PCOCCは何故音が良いか? その理由を探る。
(注)「PCOCC」;古河電気工業(株)の一方向性結晶無酸素銅線の商標です。
人間の耳は人により、加齢により多少違いますが、20Hz〜20kHzの音が聞こえると言われていますが、これは正弦波の場合で、実際の音楽は学術的にはひずみ波交流であり、200kHz程度の高調波まできちんと再現しないと音色を正確に再現できないのではないかと考えられます。例えばサンプリング周波数を上げたCDの方が音質に優れると言われている理由はここにあると思います。
そこで通常の電気銅線(TPC)とPCOCCでLAN用のケーブル;Cat.5を試作して、導体抵抗の高周波特性、即ち、表皮効果による導体抵抗の上昇の程度を比較してみました。Cat.5LANケーブルの導体径は0.52mmですので、この半径に当たる0.26mm程度から表皮効果の影響が出てきます。「図2」に銅線の表皮効果の周波数特性を示しますが、0.26mmでは約60kHz以上で表皮効果の影響が出ることが分かります。
PCOCCとTPCの表皮効果による導体抵抗の上昇分を比較した結果を「図1」に示します。このグラフは各周波数で(PCOCCの導体抵抗)÷(TPCの導体抵抗)を計算しグラフ化したものです。上記した200kHzではPCOCCの導体抵抗はTPCの約99%で、1%低いことが分かります。周波数が上がれば更に差が付きます。
スピーカーケーブルの様に導体に太いものを使用するケーブルでは表皮深さの関係から、この差はもっと低い周波数から現れるので、太いケーブルでは200kHzではもっと大きな差が出ていることになります。きっと数%に成ることでしょう。
この様に高調波成分を減衰させないことが良質な音質の確保に繋がっていると考えられます。
「図1」PCOCCとTPCの交流導体抵抗比較
「図2」銅線の表皮効果の周波数特性
ではこの様な差は何処から出て来るのでしょうか? その鍵はその製造方法と、結晶状態にある事が分かります。製造方法の概要は「図3」の如くで、OCC法では単結晶状の銅線が出来ます。(製造方法の詳細は当HPの
導体の項
を参照してください。)「図4」にその結晶状態を示します。TPCでは結晶が銅線の中心部に向かって成長するのに対して、PCOCCでは銅線の長手方向に成長します。これらの銅線は伸線加工を経て、実際に使用する銅線径まで引き落とされます。
PCOCCでは単結晶状であるために綺麗な表面を持った銅線
が出来ます。一方TPCのように多結晶ですと、伸線加工時に結晶間にひび割れが出来る等の問題が発生することがあります。通常の使用方法ではこのひび割れ等は問題になりませんが、AVケーブルではセンシティブな波形伝送が必要と成りますので差が出ると考えられます。
「図3」銅線の製造方法
「図4」銅線断面の結晶状態