課題7;ケーブルのWorkmanshipをチェックしよう

オーディオケーブルのカタログには使用材料や構造が示されていますが、実際に出来たケーブルを手にして見た時、このケーブルがどの程度の製造技術を持ったメーカーで、きちんと製造されたか? いわゆる“Workmanship”をチェックしてみる必要が有ります.何故なら、日本で販売されているAVケーブルの多くは、国内、海外のブランドを問わす、東南アジア製が多い為に、よく見ると“Workmanship”に問題を持ったものも有ります.
 高級品らしく見せる為に、最外装に必要の無いネットでお化粧をしたものは、内部が見えなくなり、“Workmanship”を評価出来ない製品も多く有ります.
 店頭の切り売りケーブルでは、外観や断面を見る事が出来るので、“Workmanship”の評価が出来ます.

1、導体のチェック
 導体は綺麗な光沢を持ったものである事が基本です。絶縁材料の中には被覆した後の経時変化で導体を変色させるものがありますので、注意が必要です。特に、透明のポリ塩化ビニール樹脂(PVC)で出来たものの中には短期間で導体が変色し、悪い事にその状態が絶縁が透明であるので、レンズ効果で拡大して見える物があります。PVCは元来、塩ビパイプの如く硬い材料です。電線用に使用するには適していないので、樹脂の中に可塑剤と称される液体を入れて柔軟性を持たせますが、透明にするには特殊な配合となり、無理があります。一部には塩化ビニルの塩素が液体の可塑剤に溶け出し、導体と直接触れるので、導体は変色してしまう様な劣悪品もあります。

 良好な絶縁体で被覆された導体は下記の写真の如く、15年程度経った後も、光沢を放っています。因って、スピーカーケーブルの端末等で、導体変色が起こったら、その部分を切り取り、再度絶縁体をストリップすれば綺麗な銅線で再度接続が出来ます。











「写真1」 スピーカーケーブルの端末;

       赤い絶縁体より左側(半田処理側);1993年に端末処理
       赤い絶縁体より右側;写真撮影直前(2009年)に絶縁体ストリップ

 構造面では、撚線においては導体断面が綺麗な円形であることが、安定した電気特性を得る上では重要です。信号伝送用のケーブルにおいては導体断面を真円に造る事が必須です。

3、介在物の偏り、シースの偏肉
 「図2」の如く、介在物がバランスよく入り、
シースの厚さが均一ですと、絶縁線心は中央に
きちんと収まっていますが、これらのバランスが
崩れると、絶縁線心は偏って入ってしまいます。

 この結果、信号の伝送特性は悪くなりますし、
外来ノイズも受け易くなります。
又、ケーブルの概観も綺麗な円形ではなくなり、
螺旋が切れたような形状となってしまいます。

 日本のトップメーカーの常識は「何処を切っても
金太郎飴の様に同じ顔が出る」
事にあります。
ケーブルを業としている方々がこの様な認識を
持っていないと、技術レベルが低下し、低級品を
有難がって手にする事例が横行する事でしょう。

4、ネットで厚化粧
 シースの上にネットをかけて保護する事は船舶、自動車、ロボット等に用いられるケーブルで行われる事がありますが、これらの目的は、外傷からケーブルを保護することにあります。AVケーブルはマイクロホン用や一部の映像ケーブルを除けば、外傷を受ける様な使用はされませんので、本来、ネットは不要なものだと思います。

 AVケーブルで行われているネット被覆は明らかに、高級感を出すための手段でありましょう。ネットを施す事で、得た特性、失った特性、さあどちらが大きいのでしょうか? 高級感を出す事で大きな利益を得る供給者はそれで良いかもしれませんが、明らかに電気特性は僅かながら悪い方向へ行くでしょうし、埃や湿気を吸い込み貯めます。

 又、上記のように製品に何らかの問題を持っていても、中を見ることが出来ませんから、劣悪品を見抜くことが出来ないのも事実です。

2、導体の偏心、絶縁体の偏肉
 導体が絶縁体の中心に入っていない場合、
導体が偏心していると称されます。同軸ケーブル等
にあっては、“同軸”が保証されない事になります。

絶縁体の厚さが断面の方向で異なって事を称して
絶縁体の偏肉と言われます。偏肉していますと、
耐電圧等が不均一に成るので、
特性を維持するのが難しくなります。
JIS規格等では絶縁体の最も薄いところは標準厚さの80%以上と規定されています。