AVケーブルをどの様に解釈しますか?
電気的等価回路
下図はケーブルの電気的等価回路です。
AVケーブルの場合には伝送する信号の波長に対してケーブルの長さが短いので
集中定数回路として扱って良いと思います。
送電線や電話線は波長に対してケーブル長が長いので、下記等価回路がシリーズに
繋がった分布定数回路として扱われます。
R;導体抵抗;信号を伝送する2本の導体の抵抗です
L;インダクタンス;導体の持っているインダクタンスです。
C;静電容量;導体間の絶縁物からなる静電容量です。
G;漏洩量;絶縁体をもれて流れる漏洩量です。


グラフの各要素を説明しますと;
・導体抵抗(R);赤色の線
10kHz以上で表皮効果の影響が出て導体抵抗は上昇します。
・インダクタンス(L);緑色の線
10kHz以上で低下しますが、これも表皮効果の影響で、導体が円筒状になってくるためインダクタンスは低下します。
・静電容量(C);青色の線
PW-S-T2では絶縁体にポリエチレンを採用していますので周波数的にはほぼ一定となります。
・漏洩量(G);
記載されていません。ポリエチレンのような比誘電率、誘電正接が小さな材料では非常に小さな値となります。
・特性インピーダンス(Zo);黄色い線
影像インピーダンスとも言われますが、アンプやスピーカーとのマッチングを考える上で重要な値です。
・減衰量(α);紫色の線
上記したローパスフィルターの周波数特性を示します。このカーブの傾きによって音域のバランスが変ります。逆に言うと、設計によってこのカーブの形は変える事が出来ます。故に、音質設計が出来る訳です。
(注)「PCOCC」;古河電気工業(株)の一方向性結晶無酸素銅線の商標です。
・各種スピーカーケーブルの減衰量比較
実際に私が設計をし、商品化した各種スピーカーケーブルの減衰量を比較した結果を下図に示します。概して、細い導体を使用したケーブルがグラフの上方に、太い導体を使用したケーブルは下方に位置します。これらを見比べて頂けると分かりますが、それぞれの形状はかなりの差があります。減衰量絶対値の大小は例えばアンプのボリューム調整をすることで音量を一緒に出来るわけですが、グラフの形状の差は簡単にアンプ等で修正できません。特に形状の差が大きく違う事が見て取れるのは数kHz以上の所で、正に音に色付けをする高音域です。
この様にケーブルを替える事は低域濾波器の特性が違った物になる事を意味します。実際の聴感上の音のバランスと、グラフの形状の関連性を掴めば、音質設計ができるようになります。このグラフを見るポイントは全体のバランスです。なぜならば、音楽はある決められた周波数の音を聴いているのではなく、低音域から高音域の、学術的には”ひずみ波交流”の集合体を、帯域全体で聴いていることに他なりません。又”ひずみ波交流”をフーリエ展開して、周波数成分に分けると、人の耳に聞こえる正弦波の上限だと言われている20kHzを上回った周波数成分が出てくることは間違えないことで、ケーブルとしては100kHz程度までの帯域をカバーしないと、いい音が出ないと私は考えています。これで思い起こすのは、昔のアナログ電話です。昔の電話は300Hz~3.4kHzの帯域のみ電話線で伝送していましたから、実際の肉声とはかなりかけ離れた声になっていた事を思い起こします。余力を持っていることは大切なことです。
減衰量の形状にはこんなに大きな差が在る訳ですから、音が違って聞こえて当たり前です。ただ、どの樣な形状が好ましいかを一言では言えません。即ち、どの樣な音質設計をするか? 例えば、低音域重視、高音域重視、広帯域にするか? 音質設計(意図)はケーブルの作成依頼者の思惑であり、具現化は設計者の腕に掛かっています。
残念ながら現在市販されてるケーブルで、この様な特性データーを公開されている製品はほとんど無く、導体の純度やメッキ処理、外観の見てくれで高価な価格設定をしているが多いのは残念なことです。
