四畳半の住人 / 四畳半で梅干しを作る / 重石を考える 

■■ 重石を考える ■■
作者:四畳半の住人
 梅干の仕込みシーズンまっさかり。年々手作り派が増えているのか、質問メールも多くなります。で、初めて挑戦という方からの一通のメールに重石の疑問がありました。
 

【質問】
サイトでは、重石は、梅の重さの1倍から1.5倍とありますが、梅干の本には、3倍から5倍とあります。軽すぎませんか。

と言うものでした。実際、ちと古い本にかかれている重石はそれぐらいです。 私も過去に梅干の本を買ったときに、重すぎる重石に疑問を覚えながら その通りに重石したことがあります。で、出来た梅干は皮が破れて潰れてた粒、 破れないながらもぺっちゃんこでふんわり感には乏しい粒と、ほとんど全てが干物のような出来上がりになってしまいました。それ以来、重石は最低限に軽くしています。
   最近の梅干し本を見てもらえれば、重石は1倍から1.5倍とあるものもあります。 そう伝えましたが、私の個人データでは信頼度が低いので、大分県の大山町で開催された全国梅干コンクール上位入賞者のレシピによる、重石15%を紹介したところ、今度は、別の方から

ミスプリでは?
梅の重量の15%と記してありますが、
150%の間違いなのではないでしょうか?

 とメールをいただきました。「そう来たか!」って感じでしたが、確かに、通常は1から1.5倍の重石がプロはその10分の1ってのは納得しにくいですかね。私は1倍以下の重石もありと考えているので(実際、小梅の重石はゼロに近いです)、重石15%と言う数字も違和感なく読むことが出来ました。この感覚は、漬け込む量などによっても違うのだと思います。梅干しの参考書は、2kgを目安に書かれているものが多いので、2倍の重石=4kgでも、漬物ならこんなもんかな?と納得出来てしまいます。が、10kgの場合、3倍=30kgを使う気分にはなれません。私の過去の経験では、面圧 50 g/cm2〔20cm直径のバケツに15kgの重石)で梅が潰れてくる感じです。面圧 50g/cm2を簡単に説明すると、4Lの梅干し(4cm球が潰れて面積16cm2)で考えると1粒に1kgで潰れます。って事は、漬けた容器の1段の個数x1kgになる重石では梅が潰れると考えて下さい。梅の大きさ、熟度により変わります。あくまでも目安で。。
 単純に考えて量産の場合、150%の重石じゃ設備が大変だし、説明するまでもないのですが、理由がわかると理解も得やすいので、15%の真偽を私なりに考えてみます。数字に強い方には、重石の掛かり具合の説明は突っ込みどころ満載でしょうが(微積分を使えとメールが来そう)、出来る限り簡単にしてあります。だらだらと書いてしまうのは、私の悪い癖。

全国梅干コンクール上位入賞者の重石15%について考える

 大分県大山町の第四回全国梅干コンクール上位入賞者のレシピによると、割合でなく、容積でデータを出している方がいるのでこの方の場合で考えていきます。 Lサイズの南高梅6kg

●600リットルの樽で何キロの梅が漬けられるか


●今度は、120kgの重石から逆算


ここまでは、私の考え方ですので、

●実際の梅漬け写真を探してみる

 梅の生産から梅干しへの加工過程を紹介しているサイトはたくさんあります。この「筋本農園」の写真がわかりやすいので紹介します。紀州梅干専門「筋本農園」の 漬け込み風景です。2段目以降の写真を見て下さい。

結論! 以上のことから考えるに、
重石15%はミスプリではないと判断します。

細かい精度や仮定した数字に関する突っ込みは、無しで。。。超省略して考えています。

大量に漬け込む時の重石の考え方 ↑目次へ

 「でも、やっぱり納得できない!」ってメールを想定して、大量に漬け込む時の重石のかかり方を簡単に考えてみます。まったくの個人意見ですので、まぁ笑って下さい。
 個人宅のように一つの樽で10kg程度を漬け込む場合と、梅干業者のように数百kgを一つの樽で漬け込む場合に何が大きく違うのか考えると。大量に漬け込む場合には、

  梅の自重(梅そのものの重さ)が関係してきます。

 家庭用に少量の場合は、梅の堅さ(耐重石)に比較して梅の自重はたいしたことがありません。家庭用に少量と言っても、20kgが入る樽に1.5倍の30kgを掛ける気はしません。業者用に、300kgの梅ともなると、下の方の梅には、上に乗った梅の重さが重石になります。

  じゃぁ、樽の一番下になる梅は数百kgもかかるので、潰れてしまうんじゃ、、

 と思いがちです。 先ほどの筋本農園で一番大きいタンクは、3300リットルとありました。写真から、横梅が潰れる為の重さは、量が多くても少なくても同じです。 300kgの梅を漬け込む場合、最下段には、300kgの重さがかかると計算しそうになります。 もし、本当にそうなら、どんな上手な漬け方をしても、最下段の梅は潰れてしまいそうです。実際、私も重すぎる重石を掛けて梅が潰れたことがありました。でも、潰れたのは上の方だけで、下の方は普通でした。どうやら均等に重石の影響があるわけではないようです。梅は重石から受けた重さをそのまま伝える訳ではなくて、

 何段目か下までしかその重さは作用しない。
  だんだんと減衰していくのでは。。


 つまり、梅は 低反発スポンジのようなものと考えます。その時の重石の掛かり方を簡単に省略して描いてみると、、
Lサイズの南高梅6kg
 わかります??? これ。。真ん中の赤い帯とその色の濃さが重石のかかり具合と考えて下さい。梅の自重分も1段目、2段目、、、最後の段と加算されていきます。各段別にかかる重石を表したのが、左のグラフ(もどき)です。潰れるほどの重石でない事が前提です。重石は下まで効いているかもしれないし、梅の自重とうまくバランスが取れるかどうかが、重石のコツなのでしょうね(なお、重石グラフの線の形は色々です)。重石の加減、漬け込み日数が違えばなんて思っています。あくまでも私の考えですので、この図の説明はこれでお終いです。(自己満足ってこと。。(^^;)

 大量に漬ける場合、ある程度より下の梅については、それより上の梅の自重で重石分の働きが出来るので、重石は一番下の分(梅の全量)までを考える必要がない。→これをしないと上段の梅が潰れる。
 しかし、、パソコンでこういう絵を描くのってのは大変ですね。。途中で阿呆臭くなって殴り書きってか、子供の絵より酷いことになってしまった。 他のサイトですごくキレイな絵を見るけどたいしたもんだ。。。と再認識。。CADの方が100倍も楽だわ。。(-_-;)

過去の梅干レシピ本による重石の比較  ↑目次へ

 確かに、重石は色々ですが、少量しか漬けない場合は、あまり影響がありません。10kg、20kgと漬けるようになれば、重石の感覚は自然とついてきます。とりあえず、手元にある本で重石の比較をしてみます。もっと違うデータが書いてある本をお持ちの方、教えて下さいね。

本の題名 手作りの味
いろいろ
ウメ干し

ウメ料理
梅百科 梅干し

梅料理
作って楽しむ
信州の漬物
発行所 自然の友社
農業図書(株)
家の光教会 家の光教会 主婦と生活社
別冊週刊女性
信濃毎日新聞社
発行年 1981年 1990年 1998年 2000年 2001年
著者 - 都築佐美子 松本紘斉 藤巻あつこ 横山タカ子
重石
(漬け始め)
記述なし 2〜3倍 1.5〜2倍 完熟梅=1倍
熟度不足=1.5〜2倍
2倍
重石
(梅酢後)
軽く 半分 軽く
重石
(紫蘇入れ後)
半分 不要 軽く 同上


 改めて調べてみると、あまり大差ないですねぇ。。2kgの梅を漬けるのに必要な重石は、2kg〜6kg。この程度ならば、梅も潰れないですかね。が、、6kgはちと重すぎですかね。どの本も著者は梅仕事では有名な方々のようです。梅研究家もいれば、梅仕事の第一人者と言われる方もいます。どれを真似してもいいと思います。これらレシピ本はあくまでも家庭用です。梅加工業者のように大量に漬け込む場合には参考にならないことは当然ですよね。
 で、面白いのが、1981年発行の「手作りの味いろいろ」でした。著者の方は、園芸高等学校の食品化学科、園芸科の方々ですが、20年以上前は、漬物の重石などは、感覚で当たり前に身に付いていたので記述していないのだと思います。確かに、慣れてくると、重石はどれぐらいがいいのか分かります。一応、念のために測ってみるって感じです。3〜5倍と書いてある本、お持ちでしたら紹介ください。

私が考える重石の役割やらいろいろ ↑目次へ

 あちこちと重複しますが、重石の役目、重石の考え方をダラダラと並べてみます。役目が分かれば、加減もしやすいって事で。。重石は梅干しの一番のコツ(ただし、一番影響を与えるのは素材(=梅)です)かもしれません。

 しかし、こんなにダラダラと書いても読む人っているのだろうか。。せめて、質問をくれた人だけでも読んで欲しいなぁ。。梅に限らず、溢れる情報の考え方は同じですね。鵜呑みにしない。自分の感覚を信じる。与えられたデータを疑う前に実験してみたり、その背景を考えたりして、そのデータの真偽を自分なりに考えることをすれば答えは見つかります。
 で、もうこれ以上、重石についての質問を受けてもお答えできる能力がありませんので、勘弁ください。図書館を利用する場合は、同じテーマの物を何冊か読み比べてみることをお勧めします。
梅酢を待つ赤紫蘇を入れる1/2
四畳半で梅干しを作る

2004年6月22日作成 四畳半の住人