会計学の部屋(会計、簿記、経理、税務)

第1章 簿記とは

 1 簿記の意味と種類
 簿記とは、企業や個人事業における取引を、一定のルールに従って記録したり、計算したり、集計したりする技術で、財務諸表といわれる書類を作るための一連の帳簿記入の手続きといえます。
 簿記には、単式簿記と複式簿記というのがあります。
 単式簿記は、お小遣い帳のように、何に使ったかを書いたりする摘要欄やその金額を記入する金額欄があって、収入は+として、支出は−として処理しながら残高を計算する記帳技術です。

図表 単式簿記の記入例

日付
摘要
金額
残高
1/1 前月から
20,000
1/5 友達と食事
-3,000
17,000
1/20 給料
100,000
117,000
1/21 普通預金へ
-90,000
27,000
1/25 新聞代
-3,000
24,000

 一方、複式簿記は、増えたり減ったりを+や−の記号ではなく、左(借方という)や右(貸方という)に金額を記入することで表現します。また、摘要欄に加えて、その取引について勘定科目というもので、取引によって生じた事柄を表現していきます。

図表 複式簿記の記入例(仕訳帳)

日付
借方
貸方
金額
1/5 交際費 現金
3,000
1/20 現金 売上
100,000
1/21 普通預金 現金
90,000
1/25 新聞代 現金
3,000

図表 複式簿記の記入例(総勘定元帳 現金)

借方
金額
貸方
金額
売上
100,000
交際費
3,000
普通預金
90,000
新聞代
3,000

 複式簿記(以下、簿記)では、仕訳帳や(総勘定)元帳という帳簿で取引やその取引によって生じた事柄を記録することになります。例えば、単式簿記では、1/5の取引について現金が減ったことを−記号で表示しますが、複式簿記では、現金が減ったことを、仕訳帳では、現金という勘定科目を貸方に、現金の元帳では貸方に現金が減った金額とその原因となった勘定科目(交際費)を記入することで表現します。
 また、複式簿記では、借方と貸方の金額は一致します。これを貸借平均の原則といいます。

 2 取引と取引の8要素
 会計上(簿記上)の取引とは、経済的価値の変動をもたらす事象(事柄)、もっと簡単にいえば、その活動が金額で表現できる場合に取引といいます。
 例えば、商品を購入したいという注文を受けた場合、一般的には取引というのですが、簿記では、キャンセルがあったりするので、その契約が十分に履行(この場合、法的に商品代金を請求できる)されるといえる時点(商品を引き渡す)まで、取引として扱いません。一方、火災や盗難等は、取引とは一般にいいませんが、簿記では、火災でいくらの建物がなくなったとか、盗難でいくらの現金がなくなったと、金額で表現できるので、取引となります。
 取引は、大きく分けて、2つの要素に区分することができます。例えば、現金で1,000,000円の自動車を購入したとすると、1,000,000円現金が減って、1,000,000円分の自動車が増えることになります。そこで、2つの要素を借方と貸方に分けて、記入することになるのです。
 取引を記録したり、集計したりするときに、次の取引の8要素といわれる関係が常に重要になってきます。

図表 取引の8要素

 
 上記の例で、現金で自動車を購入したことで、現金が減って、自動車が増えたわけですが、それを取引の8要素でみてみると、現金という資産が減ったので、このことについては左の貸方に表現することになり、一方、自動車という資産が増えたので、このことについては右の借方に表現することになります。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
車両運搬具
1,000,000
現金
1,000,000

総勘定元帳
現金

借方
金額
貸方
金額
車両運搬具
1,000,000

車両運搬具

借方
金額
貸方
金額
現金
1,000,000

 3 資産、負債、資本、収益、費用
 取引を2つの要素に分類して、取引を記録して、集計していくわけですが、そのためには、取引によって、どんな事象が事柄が生じたのか検討しなくてはなりません。その場合には、まず、資産、負債、資本、収益、費用のどれに該当するのかが重要になっていきます。
 そこで、資産、負債、資本、収益、費用というものがどういったものかを、簡単に示すことにします。
 資産とは、現金や現金になるようなもの(現金を増やすもの)をいいます。資産には、現金の他に、当座預金や普通預金等の銀行預金、建物、土地、特許権等があります。
 負債とは、現金を減らすものをいいます。負債には、借入金等があります。
 資本とは、企業の出資者(所有者)からの元手をいいます。
 収益とは、企業の活動によって生じた成果をいいます。収益には、売上高や受取利息等があります。
 費用とは、収益を生むための努力をいいます。費用には、賃金給与、交際費、通信費、交通費等があります。

 4 仕訳帳と元帳(総勘定元帳)
 簿記は定義で示したように、財務諸表を作成するまでの一連の手続きからなっています。その流れは、取引の発生→仕訳帳に仕訳記入→元帳へ転記→試算表作成→決算手続き→貸借対照表及び損益計算書の作成となります。
 取引をそのまま記録するのが仕訳で、取引によって生じた資産や負債等を項目(勘定科目)ごとに分類して収益するのが元帳です。
 上記の自動車の購入の例では、現金で1,000,000円の自動車を購入したことを記録したものが仕訳です。そして、現金や車両運搬具という勘定科目ごとに取引を記録しているのが元帳です。

 簿記は、企業の取引を表現する言語といえます。従って、ある事柄(取引)を文章(仕訳や元帳)で表現するには、文法(取引の8要素)に従って、品詞(資産、負債、資本、収益、費用)に適した単語(勘定科目)を配列することになります。

 ○練習問題
 Q.1.次の項目を資産(A)、負債(B)、資本(C)、収益(D)、費用(E)に分類してみましょう。

項目
解答
項目
解答
項目
解答
電気代 パソコン 受取利息
商品の購入 広告代 銀行からの借入
商品の販売 開業時の店主の出資 購入した土地
未払の仕入代金 従業員の給料 店主からの借入

 解答

項目
解答
項目
解答
項目
解答
電気代
E
パソコン
A
受取利息
D
商品の購入
E
広告代
E
銀行からの借入
B
商品の販売
D
開業時の店主の出資
C
購入した土地
A
未払の仕入代金
B
従業員の給料
E
店主からの借入
C

 Q.2.取引の8要素を完成させてみましょう。

借方
貸方

 解答

借方
貸方
資産の増加
資産の減少
負債の減少
負債の増加
資本の減少
資本の増加
費用の発生
収益の発生

 Q.3.次の取引を取引の8要素に分類してみましょう。
 例:現金で車両を購入した。

借方
貸方
資産の増加
資産の減少
 A.従業員の給料を現金で支払った。
 B.借入を現金で返済した。
 C.商品を販売したが、代金はまだ受取っていない。
 D.土地を購入したが、代金はまだ払っていない。
 E.家賃の入金日になったが、入金がまだない。
 F.来月に払う予定の広告代の請求書を受取った。
借方
貸方

 解答

借方
貸方
費用の発生
資産の減少
負債の減少
資産の減少
資産の増加
収益の発生
資産の増加
負債の増加
資産の増加
収益の発生
費用の発生
負債の増加

  第2章 会社を始める

 会社(法人企業)には、一般的に、有限会社と株式会社があります。設立にあたって、両者ともに資本金が必要です。有限会社は300万円、株式会社は1,000万円以上必要になります。
 会社の出資者(所有者)から現金やその他の資産(例えば、土地や建物等)を会社が受け入れた場合、それが借入れたものでなければ(返済する必要がなければ)、それは資本金といわれるものです。

図表 出資者と会社の関係からみた資本金

出資金
出資者
出資者
出資者
出資者
資本金
会社

 会社を設立するために、出資者から受け入れた資産は、会社の資産ですので、会社の資産が増えたことを表すために、受け入れられた資産に該当する勘定科目を借方に記入して仕訳します。一方、資産が増えるのは、出資(元入れ)によるものなので、これを表す資本金という資本の勘定科目を使いますが、出資によって、資本金が増えますので、貸方に記入して仕訳をします。
 例えば、現金/資本金や土地/資本金というように、仕訳することになります。
 例1:羽生さんは、現金1,000万円を出資し、株式会社羽生商店を設立した。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
現金
10,000,000
資本金
10,000,000

総勘定元帳
現金

借方
金額
貸方
金額
資本金
10,000,000

資本金

借方
金額
貸方
金額
現金
10,000,00

 例1の仕訳でいえば、会社の現金が1,000万円増えますから(資産の増加)、現金を借方に記入することになります。次に、現金が増えた原因を確認します。なぜ、現金は増えましたか。その理由は、出資者(株式会社なので株主)である羽生さんが、出資したためです。従って、出資者の出資額を表す資本金が提供されたからですので、貸方に資本金と記入することになります。
 元帳についても、取引の8要素に従って考えます。現金という資産の勘定が増えましたから、現金の元帳の借方に記入します。その原因の資本金で増えたことも記入することになります。また、資本金が増えました。もう少し分かりやすくいうと、羽生さんが会社に投資した金額は、会社設立前は0円であったのに、今回の出資によって、1,000万円になりましたから、即ち、株主からの出資額が増えたということは、会社の資本金が増えたということになります。そこで、資本金勘定の貸方に記入することで、資本金という資本の勘定が増加したことを表現します。

 会社の設立の際には、現金を出資するので、現金/資本金という仕訳が普通ですが、それ以外の形態をとることがあります。例えば、出資者が自分の所有する土地、建物、自動車その他、現金や預金以外の個人の財産を会社に提供することがあります。この場合、賃貸ではなく、会社の名義に変更して出資する場合を現物出資といいます。
 現物出資した場合にも、個人の財産が会社のものになるので、受入れた土地や建物等は、会社の資産として扱われます。従って、土地/資本金とか、建物/資本金というような仕訳になります。
 例2:羽生さんは、更に、建物2,000万円を株式会社羽生商店に出資した。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
建物
20,000,000
資本金
20,000,000

総勘定元帳
建物

借方
金額
貸方
金額
資本金
20,000,000

資本金

借方
金額
貸方
金額
建物
20,000,000

 このような場合にも、取引の8要素を思い出して、仕訳や元帳の記入をすることになります。会社にとって、現金と建物という資産が増えました。資産の増加を表現するには、仕訳では、借方にその資産の勘定科目である現金や建物を記入します。また、元帳では、現金や建物という資産の勘定科目は、借方で増加を意味しますから、現金や建物の元帳には、借方に記入されます。

 また、会社を設立するには、法人登記等の準備が必要になります。その他にも、会社を設立して、営業を開始するまでの準備も必要です。その準備に係る支出は、将来の長い期間にわたって現金を創出するため、資産として扱われています。言い換えると、支出の効果が長期間現れるので、設立や開業のために支出したものは、(繰延)資産となります。
 会社を設立するための支出は、創立費あるいは設立費という繰延資産の勘定科目で表します。創立費で処理されるものは、会社の設立までに係る、定款や諸規則の作成に係る代金、株式募集等に係る広告代金、株券等の印刷代、金融機関や証券会社への取扱手数料、創立総会に係る代金といった設立費用や発起人(会社を設立しようとする人達)の報酬等があります。
 例3:株式会社羽生商店の設立のため、久保司法書士事務所に委託していた登記業務が完了した。同司法書士事務所に対する報酬500,000円を現金で支払った。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
創立費
500,000
現金
500,000

総勘定元帳
現金

借方
金額
貸方
金額
創立費
500,000

創立費

借方
金額
貸方
金額
現金
500,000

 会社を創立するための支出、つまり、創立費は、繰延資産という資産の項目ですので、まず、創立費という資産が増加したことになります。従って、創立費を仕訳帳の借方に記入します。そして、例3では、創立費を現金で支払ったので、現金が減少したことを表すために、仕訳帳で現金を貸方に記入します。
 元帳の記入では、創立費の支払のために現金が減少したので、貸方に金額とその支払の原因である創立費を記入します。一方、創立費という資産が増加しましたので、借方に現金によって増えたことを示します。

 設立後、営業を開始するまでに係る支出を開業費または開業準備費という繰延資産の勘定科目で表します。開業費で処理されるものには、設立から開業までに係る、土地や建物の賃借代金、従業員を募集したり開業をアピールするための広告代金、従業員の給料等があります。
 例4:株式会社羽生商店は、広告代理店の加藤広告株式会社に依頼していた従業員募集と開業時のセール広告の代金200,000円を現金で支払った。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
開業費
200,000
現金
200,000

総勘定元帳
現金

借方
金額
貸方
金額
開業費
200,000

開業費

借方
金額
貸方
金額
現金
200,000

 創立費の場合と同じで、開業費という繰延資産の増加を表すことになりますので、仕訳帳の借方に創立費と記入します。元帳の記入も開業費の勘定の借方に記入されます。
 例1〜例4までで、現金と資本金の総勘定元帳は次のようになります。他の勘定科目(建物、創立費、開業費)の元帳は、それぞれの例の元帳と一致します。

総勘定元帳
現金

借方
金額
貸方
金額
資本金
10,000,000
創立費
500,000
開業費
200,000

資本金

借方
金額
貸方
金額
現金
10,000,000
建物
20,000,000

 また、貸借対照表(残高試算表)を作成すると次のようになります。

貸借対照表

資産の部
金額
負債及び資本の部
金額
現金
創立費
開業費
合計
9,300,000
500,000
  200,000
10,000,000
資本金

合計

10,000,000

10,000,000

 ○練習問題
 Q.1.次の取引を取引の8要素で示してみましょう。
 A.現金1,000,000円を元入れして開業した。
 B.商品3,000,000円を元入れして開業した。
 C.開業記念セールの広告代500,000円を現金で支払った。

借方
貸方

 解答

借方
貸方
資産の増加
資本の増加
資産の増加
資本の増加
資産の増加
資産の減少

 Q.2.次の取引を仕訳帳に記入してみましょう。
 現金4,000,000円と建物6,000,000円を元入れして開業した。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額

 解答

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
現金
建物
4,000,000
6,000,000
資本金
10,000,000

 Q.3.次の取引を元帳に記入してみましょう。()内には勘定科目を入れましょう。
 株式会社を設立にあたって、株券の印刷代100,000円と募集広告代200,000円を現金で支払った。

総勘定元帳
(   )

借方
金額
貸方
金額

(   )

借方
金額
貸方
金額

 解答

(現 金)

借方
金額
貸方
金額
創立費
300,000

(創立費)

借方
金額
貸方
金額
現金
300,000

 第3章 商品を売買する

 会社を作るのは、何らかの事業をするためです。
 例えば、肉を売る、洋服を売る、美容サービスをする、電子機器を作る等々、いろいろな事業します。こうした会社の主たる営業活動、とりわけ、商品売買を中心に、ここでは、それらの取引の記録について説明していきます。

 1 商品を買う
 まず、単純にものを売る会社を考えてみると、売るための商品がなければ始まりません。そこで、売るための商品を買うことになります。商品を購入した時に、商品を購入したことを表すのが、仕入という費用の勘定科目です。例えば、商品を現金で購入した場合の仕訳は、借方に仕入、貸方に現金として記入されます。商品を購入する場合、特に、代金の支払いの形態によって、いくつかの取引例がありますので、簡単に説明していきたいと思います。
 例5:株式会社羽生商店は、商品300,000円を株式会社藤井商事から購入し、代金は、現金で支払った。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
仕入
300,000
現金
300,000

総勘定元帳
現金

借方
金額
貸方
金額
仕入
300,000

仕入

借方
金額
貸方
金額
現金
300,000

 商品を現金で購入する他に、掛で購入といわれるものがあります。これは、商品を購入して、代金は後日支払うという場合の取引をいいます。
 このように、仕入代金を後日支払う場合に使う勘定科目が、買掛金という勘定科目です。買掛金は、後日支払わなければならないので、負債の勘定科目です。
 例6:株式会社羽生商店は、谷川商会株式会社から商品500,000円を購入し、代金は来月末払とした。
 

仕訳帳
借方
金額
貸方
金額
仕入
500,000
買掛金
500,000

総勘定元帳
買掛金

借方
金額
貸方
金額
仕入
500,000

仕入

借方
金額
貸方
金額
買掛金
500,000

 掛けで商品を購入した場合、仕入という費用が発生し、買掛金という負債が増加しますので、借方に仕入、貸方に買掛金と記入して仕訳します。元帳では、仕入については現金で購入した場合と同様に、仕入勘定の借方に記入します。買掛金が仕入によって増加したので、負債の増加は、貸方に記入しますので、買掛金勘定上の貸方に記入します。
 例7:株式会社羽生商店は、上記(例6)の買掛金500,000円をすべて現金で支払った。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
買掛金
500,000
現金
500,000

総勘定元帳
現金

借方
金額
貸方
金額
買掛金
500,000

買掛金

借方
金額
貸方
金額
現金
500,000

 買掛金を現金で支払ったという取引です。買掛金という負債が減少し、現金という資産が減少します。従って、仕訳では、借方に買掛金、貸方に現金と記入することになります。
 例8:株式会社羽生商店は、丸山物産株式会社から商品400,000円を購入し、代金のうち半分は、小切手を振出して支払い、残りは掛とした。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
仕入
400,000
当座預金
買掛金
200,000
200,000

総勘定元帳
当座預金

借方
金額
貸方
金額
仕入
200,000

買掛金

借方
金額
貸方
金額
仕入
200,000

仕入

借方
金額
貸方
金額
諸口
400,000

 商品を仕入れた取引ですが、代金の支払いに小切手を用いるという取引です。小切手を振出して支払った場合に使う勘定科目が、当座預金という資産の勘定科目です。当座預金から支払うわけですから、当座預金は貸方に記入されます。
 例9:株式会社羽生商店は、谷川商会株式会社に対して、商品の手付金として、現金100,000円を支払った。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
前払金
100,000
現金
100,000

総勘定元帳
現金

借方
金額
貸方
金額
前払金
100,000

前払金

借方
金額
貸方
金額
現金
100,000

 手付金を支払うということがあると思いますが、それがこの取引です。手付金は、商品という資産に将来変化するか、キャンセルによって現金が戻ってきますから、資産に該当します。従って、手付金は資産になります。手付金という資産を表す勘定科目は前払金ですので、手付金を支払った場合には、借方に記入されることになります。
 例10:株式会社羽生商店は、商品250,000円を谷川商事株式会社から購入した。なお、商品代金のうち、100,000円は、上記(例9)の手付金を相殺し、残りは、約束手形を振出して支払った。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
仕入
250,000
前払金
支払手形
100,000
150,000

総勘定元帳
前払金

借方
金額
貸方
金額
仕入
100,000

支払手形

借方
金額
貸方
金額
仕入
150,000

仕入

借方
金額
貸方
金額
諸口
250,000

 商品を仕入れた場合には、これまでと同様に、借方に仕入勘定で表現します。この取引は、先に手付金(前金)として支払っていた商品が到着したという取引になり、仕入代金の一部は、前払金という資産で支払ったというように表現することになります。従って、仕訳では、前払金を貸方に記入します。次に、250,000円のうち、100,000円のみが支払われていて、残りを約束手形を振出したわけですから、支払手形という負債が増加しましたので、貸方に支払手形と記入します。
 例5〜例10までの総勘定元帳をまとめると次のようになります。

現金

借方
金額
貸方
金額
仕入
買掛金
前払金
300,000
500,000
100,000

当座預金

借方
金額
貸方
金額
仕入
200,000

前払金

借方
金額
貸方
金額
現金
100,000
仕入
100,000

支払手形

借方
金額
貸方
金額
仕入
150,000

買掛金

借方
金額
貸方
金額
現金
500,000
仕入
仕入
500,000
200,000

仕入

借方
金額
貸方
金額
現金
買掛金
諸口
諸口
300,000
500,000
400,000
250,000

 2 商品を売る
 商品を買ったら今度はそれを売る取引についての処理を説明していくことにします。商品等を販売した場合には、売上という収益の勘定科目を使って表現します。商品購入の時と同様に、代金の回収の形態が幾つかあるので、例を挙げながら確認していくことにしましょう。
 例11:株式会社羽生商店は、中原商店株式会社に商品400,000円を販売し、代金を現金で回収した。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
現金
400,000
売上
400,000

総勘定元帳
現金

借方
金額
貸方
金額
売上
400,000

売上

借方
金額
貸方
金額
現金
400,000

 商品を販売した場合には、売上という収益勘定を貸方に記入して仕訳することになります。ここでは、代金は、現金で回収したので、現金は増えることになりますから、借方に現金を記入することになります。今までと同様に、仕訳で借方に記入した勘定科目は、その勘定科目の元帳の借方に記入し、仕訳で貸方に記入した勘定科目は、その勘定科目の元帳の貸方に記入します。従って、現金の元帳には、現金という資産が増えた時は借方に、売上の元帳には、売上という収益が発生した時は貸方にということで、上記のように記入します。
 例12:株式会社羽生商店は、有限会社森内物産へ商品500,000円を販売し、代金は、来月末に受取ることとした。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
売掛金
500,000
売上
500,000

総勘定元帳
売掛金

借方
金額
貸方
金額
売上
500,000

売上

借方
金額
貸方
金額
売掛金
500,000

 売買代金の未払や未収の状態を掛といい、仕入代金は買掛金という負債の勘定科目、売上代金は売掛金という資産の勘定科目を使います。この例では、商品を販売して、代金を回収していないので、売掛金となります。
 例13:株式会社羽生商店は、有限会社森内物産から上記(例12)の売掛金500,000円を現金で受け取り、直ちに、当座預金に預け入れた。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
当座預金
500,000
売掛金
500,000

総勘定元帳
当座預金

借方
金額
貸方
金額
売掛金
500,000

売掛金

借方
金額
貸方
金額
当座預金
500,000

 売掛金が入金した場合は、売掛金という資産が減少しますので、貸方に記入することになります。この例では、現金で受け取ったのですが、直ぐに、当座預金に預け入れてしまったので、借方には、当座預金という勘定科目を入れることになります。
 例14:株式会社羽生商店は、有限会社米長商店から商品の手付金100,000円を現金で受け取った。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
現金
100,000
前受金
100,000

総勘定元帳
現金

借方
金額
貸方
金額
前受金
100,000

前受金

借方
金額
貸方
金額
現金
100,000

 商品の手付金を受け取った場合に使う勘定科目は、前受金という負債の勘定科目です。従って、この取引については、現金という資産の増加と、前受金という負債の増加を表現することになりますので、借方に現金、貸方に前受金として仕訳することになります。
 例15:株式会社羽生商店は、有限会社米長商店へ商品450,000円を販売し、上記(例14)の手付金を差引いて、約束手形で受取った。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
前受金
受取手形
100,000
350,000
売上
450,000

総勘定元帳
受取手形

借方
金額
貸方
金額
売上
350,000

前受金

借方
金額
貸方
金額
売上
100,000

売上

借方
金額
貸方
金額
諸口
450,000

 商品を販売したので、貸方に売上と記入しますが、借方には、既に受け取っている手付金を減らしますので前受金が入ります。また、350,000円は約束手形で受取ったので、受取手形という資産の勘定科目が入ることになります。
 例11から例15までの総勘定元帳をまとめると次のようになります。

現金

借方
金額
貸方
金額
売上
前受金
400,000
100,000

当座預金

借方
金額
貸方
金額
売掛金
500,000

受取手形

借方
金額
貸方
金額
売上
350,000

売掛金

借方
金額
貸方
金額
売上
500,000
当座預金
500,000

前受金

借方
金額
貸方
金額
売上
100,000
現金
100,000

売上

借方
金額
貸方
金額
現金
売掛金
諸口
400,000
500,000
450,000

 次に、第2章の最後に示した次の貸借対照表を下にして、第3章の例5〜例15までの取引を考慮した貸借対照表と損益計算書を作ってみることにします。ただし、次の取引があったとします。
 例:株式会社羽生商店は、当座預金に5,000,000円を預け入れた。

仕訳帳

借方
金額
貸方
金額
当座預金
5,000,000
現金
5,000,000

総勘定元帳
現金

借方
金額
貸方
金額
当座預金
5,000,000

当座預金

借方
金額
貸方
金額
現金
5,000,000

 現金からある預金に預け入れる場合があります。その場合には、現金を貸方に、預金を借方に記入します。

貸借対照表

資産の部
金額
負債及び資本の部
金額
現金
創立費
開業費
合計
9,300,000
500,000
  200,000
10,000,000
資本金
 

合計

10,000,000

       
10,000,000

総勘定元帳
現金

借方
金額
貸方
金額
売上
前受金
400,000
100,000
仕入
買掛金
前払金
当座預金
300,000
500,000
100,000
5,000,000

当座預金

借方
金額
貸方
金額
売掛金
現金
500,000
5,000,000
仕入
200,000

受取手形

借方
金額
貸方
金額
売上
350,000

売掛金

借方
金額
貸方
金額
売上
500,000
普通預金
500,000

前払金

借方
金額
貸方
金額
現金
100,000
仕入
100,000

支払手形

借方
金額
貸方
金額
仕入
150,000

買掛金

借方
金額
貸方
金額
現金
500,000
仕入
仕入
500,000
200,000

前受金