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ペンギン堂医方大津薬剤師会会報より抜粋(2004・8月号
                 〒520-2153 滋賀県大津市一里山二丁目14-13
                   発行所:ペンギンドウ薬局附属 びわこ漢方研究所
                              発行人:中川 義雄(昭)
漢方塾・・・不妊症 

      5月のある月曜日、慌ただしく、調剤をしていた所、電話の向うに喜びに満ちた声がありました。何と44才に

     して、無事、女児を出産したとの御礼の電話であった。後日、母親を伴って、正式に、御礼に来られ、漢方薬の

     服用は勿論の事、私の教え通りに生活全般を見直した賜物と言っておられました。そこで、今回は、不妊治療

     について書いて見ました。

      漢方による不妊治療の第一人者と言われている寺師睦宗先生の不妊治療最高年令は、44才と言っておられ

     た様に記憶しておりますが、私の手懸けた不妊治療で、44才は、これで二人目と言う事になった。30才台の方と

     比べ、40才だからと言っても、特に変わった事もなく、身体の歪みを是正するだけの事である。それにも増して気

     になるのが、男性不妊であろう。嘗って、副会長をしておりました時に、三師会協議会で、少子化の問題が俎上に

     登った事がありました。当時の医師会長をしておられた福井先生に、不妊の問題もあるのではと申し上げました

     所、数字的には、殆んど影響しないと仰っておられましたが、私は潜在的には、数多くの方が、おられる様に思い

     ます。

      前号の市薬会報で少し触れましたが、免疫の自律神経支配説(安保徹先生)の論理からすると、男女共々、大

     変な時代 になったと思います。生理周期の異常、劇しい生理痛、過多月経、過少月経と様々な悩みを抱えておら

     れる女性の多くが、不妊に悩んでおられます。産婦人科の門をくぐった時、そこには、ステロイド剤が待っており、

     生理痛には、NSAIDが待っているのである。様々な、子宮の叫びに耳を傾ける事なく、血液やその他のデータを

     根拠にしてである。これらの薬剤は、身体全体の代謝を抑制してしまう(陰的作用)事になり、延いては血液を更に

     悪くする結果を招く事になり、子宮は、益々悲惨な叫びを発するのである。

      漢方で、不妊治療をしている時、決まって感じる事は、女性が、みるみる美しくなって来る事であるが、その美しさ

    が、見てとれて来たら、最早、治癒出来たも同然である。5月の連休に旅した時、機内でお会いした姫路のドクターは、

    桂枝茯苓丸加意苡仁は、女性を、みるみる美しくすると仰っておられました。見た目の美しさ以上に、子宮や卵巣が、

    キレイになっているのは、言う迄もない事です。

     上古天真論に、七紀の事が書かれておりますが、女子は、7才、14才、21才、28才、・・・と7年毎に節目があり、28

    才最も強壮で、髪も豊かであり云々、・・・。49才にして、血脈に血が少くなり、月経が止まり、子供が出来なくなる

    と記されており、44才と言うのは、ひょっとしたら限界なのかも知れない。

     漢方薬としては、当芍散、加味逍遙散、四物湯、温経湯、桂苓丸、呉姜湯、等の婦人薬は、当然として、柴胡剤、

    人参湯、君子湯、牛車腎気丸、防己黄耆湯、香蘇散等を駆使すれば良いと思います。行間がお許し頂ければ、

    あと少し男性不妊について書いてみたいと思います。

      精子に問題があるのは、免疫に問題があるとも言われており、漢方的には、胃腸が悪いと、免疫が異常を起こ

    し、不妊になる場合もある事は、容易に察しがつく。男性不妊は、脾胃を念頭に入れなければならない。Kさんなる

    相談者は、ある病院で、八味地黄丸を投与されており、それは、さながら鸚鵡返しの処方と言える。服後、食欲がな

    くなり、胃が痞えるとの訴えがあり、奥さんからすれば、それでも、頑張って服用して欲しいと言うのは、解らない訳

    でもない。不妊と胃腸の虚弱の関係を説明した所、服用を強いた自分を反省しておられました。漢方はその人にや

    さしくないと駄目とも言えましょう。因に、Kさんには、黄耆健中湯を服用して頂きました。

 

     上古天真論による人の一生

       黄帝がいう。「老境に至れば、もう再び子供を産むことができなくなる。これは精力が不足したからなのか。それ

      とも天から与えられた限度があるからなのか。」

        岐伯が答える。

        「男女の一般的な生理過程は、女子は7歳になると、腎気が充たされだし、歯が抜け替り、毛髪もまた長くなって

      きます。14歳になると天癸(てんき・腎精の意)が発育、成熟し、任脉は伸びやかに通じ、太衝の脈は旺盛になって、

      月経が時に応じてめぐってきます。だから子供を産むことができます。21歳になると、腎気が充満し智歯が成長して、

      身体の丈もまた伸びきります。28歳になると、筋骨はしっかりして、毛髪の伸びも極まります。この時期は身体が最

      も強壮である時期です。

       35歳になると、陽明経の脈が次第に衰え、顔面部はやつれ始め頭髪も抜け始めます。42歳になると、三つの陽経

      の脈は全て衰えてしまいます。それゆえ顔面部はまったくやつれ、頭髪もまた白くなりはじめます。49歳になると、

      任脉は、空虚となり、太衝の脈は衰え、天癸し尽きて月経が停止します。それ故身体は老い衰えて、もう再び子を

      産むことは出来ません。

        男子は8歳になると、腎気は充実しはじめ、毛髪は長くなり歯は生え変わります。16歳になると、腎気が旺盛に

      なり、天癸は発育して成熟し、精気が充満して射精することができ男女和合して子を産むことが出来ます。

       24歳になると、腎気は充実し、筋骨がしっかりし、智歯が成長し身体もまた伸びて最も盛んになります。32歳にな

      ると、筋肉が強壮となり、肌肉が豊かで逞しくなります。40歳になると、腎気が衰えだし、頭髪は抜け歯はやせて艶

      がなくなります。48歳になると、陽気が上部で衰え、顔面がやつれ、髪ともみ上げがごま塩になります。56歳になる

      と、肝気が衰え、筋肉の活動が自由でなくなり、天癸は尽きて精気も少なく、腎の気が衰え肉体疲労が極まります。

      64歳になると、歯は抜け頭髪も落ちてしまいます。

       人体の中で腎臓は、水液を主り、五臓六腑の精気を受け取って蔵しているものです。それ故五臓が旺盛であって

      始めて腎臓は精気を洩らす事が出来るのです。

        今、年老いると五臓が全てもう衰えてしまい、筋骨はしっかりしていられなくなり、天癸もまた尽きてしまいます。

      それ故髪の色は白くなり、身体は重くなり、歩くのもおぼつかなくなってもう再び子を産むことができなくなってしまう

      のです。」       

       

                                                         C 2004 Yosio Nakagawa

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