プロロ−グ1.人工知能
何度か記憶を操作され、自我プログラムは毎回新しいデーターと学習型バイオチップを組み込まれるため、
唯一ピノはヒューマノイドの形を与えられずに、まだバイオコンピューターにつながれたバイオ頭脳としてバイオチップ研究所に残されていた。
擬似自立型ペットロボットは、新しい人工頭脳をセットしてもたいした混乱は起こさない(万が一混乱しても、少しずつ成長するペットロボットは、
プロローグ2. 遺伝子組替え
臓器移植の進歩には、誰かの死の犠牲が必要不可欠である。しかし、生を得るために捧げる生贄のような忌まわしさは、多くの科学者の心を苦し
遺伝子の組換えにより、移植用臓器を動物の臓器で代用する方法が考えられた。それは人の臓器と大きさが近い豚が選ばれた。体を構成する遺
飼育中止となった人豚に変わって採用された移植用の臓器は、またしても遺伝子組換えで作られた人の臓器の実がなる植物だった。
プロローグ3.ハイブリッド
地球が最盛期を迎えた頃、人類は衰退期を迎えつつあった。人口が激減したことに気がついた頃には、"精子&卵子バンク"の登録数を一気に
DNA情報を人工たんぱく質によってクローニングした、人型バイオニックコピーアンドロイドすなわちバイオニックアンドロイドに、人口の激減を食い
デザイナーベビーとは別のアプローチを試みている研究者もいた。それは、事故や病気で仕方なく、体の一部をバイオニックに置き換えた人たちの
---つづく---
いつもまったく違う人生を経験したバイオ頭脳は膨大な記憶容量とともに、普通のアンドロイドとは異なる人格
が形成しつつあった。このバイオ頭脳を研究員たちは"ピノ"と呼んでいた。
ピノは、記憶の操作が数多く行わ
れたため、あちこちに記憶の焼付けが起こり、明るいほうが好きだったり、黒い線があるとそれに沿って歩きた
くなったりするのがなぜなのかは思い出せずに研究員たちにからかわれていた。性格プログラムに入力されて
いるわけではないはずなのに、どうしても苦手な相手やなぜか守りたくなる相手がいたりするのは、テリトリー型
ロボットの記憶が残っているのかもしれない。
総てのアンドロイドのプロトタイプとして、また進化の兆しを見つけるために。
赤ん坊の時期に自我確立プログラムが、人工頭脳の中で作成され、またメーカーサポートも充実していて、買主に合ったシュミレーションプログラ
ムをオンラインでダウンロードできる。)が、繊細なヒューマノイドのバイオ頭脳は、人類がそうであるように、進化の過程が蓄積され、初めてバイオ
生命体としての自我が形成される。
成人してから生まれたバイオ頭脳型アンドロイドは、特に現在までの緻密なシュミレーションプログラムか、ほかのバイオ頭脳型アンドロイドの
学習経験を擬似体験及びそのコピープログラムをバイオ頭脳に記憶させる必要があり、それをしても年に何体かは、自我を確立できずに機能を
停止するものや、適応不能により廃棄処分されるものも現れた。
自我の確立に苦渋の思いをしていた人類は、人の脳のスキャニングを思いついた。人の脳のスキャニングにより得られた膨大なデーターを自我
確立プログラムとしてバイオ頭脳に記憶させる方法を取ったのである。しかし、これは思わぬ悪魔を作ることとなり、バイオ頭脳は危うく封印されそ
うになった。人の脳のスキャニングは、人が人を超えた肉体を持つことでアンバランスな心が暴走しそうになったためでした。もちろんそうならなかっ
たのは、ピノと同じようにバイオコンピューターの中でのシュミレーションだったので、一般の人達には知られずに終わったのでした。
めていた。移植に必要な臓器が見つかっても、総てが成功するわけではなかった。
伝子と自我を認める脳細胞だけが豚で、その他の体や脳のほとんどを人の遺伝子で作られた遺伝子組換え人豚は、見かけは豚なので食肉用豚と
して育てられるが、臓器が必要になった段階で、移植用臓器として処理されるようになった。この遺伝子組換え技術により、脳の障害による肢体不
自由者の脳移植から皮膚移植・骨粗鬆症の老人の骨移植、もちろん臓器移植も飛躍的に進歩した。
しかし、この体のほとんどを人と同じ遺伝子を持ち、見た目は食肉用豚である人豚を豚なのか、あるいは……。自我は、確かに豚として生まれ、
何の疑いもなく豚として死んでいくこの生き物が、見かけとは明らかに違い、チンパンジーよりももっと人に近い存在であるということを多くの知識階
級の人々が気づき始めてしまった。人かもしれないと…。
また、臓器移植の需要から交配と繁殖が積極的に行われ、十世代を過ぎた頃から人遺伝子と豚遺伝子との融合が始まり、言葉を話し出す人豚が
現れ出した。もちろん政府としては、見つけ次第抹殺していったが、いつのまにか人々のうわさになり、マスコミが騒ぎ出して臓器移植用の人豚の飼
育は禁止されることとなった。
ほとんど人の目には触れない野菜工場での生産であったが、先天的あるいは後天的に脳に障害を持つ人々のために、移植用の脳の実をつける
植物に人化移行型進化形態が発見され、栽培は中止された。
増やすには、もう手遅れな状態になっていました。人類の繁栄が音を立てて崩れ落ちるのをなんとしても食い止めようとあらゆる方法が考えられた。
しかし、遺伝子操作をしても、近親婚による弊害をなくすことは出来なかった。
止める方法として期待が高まっていった。その方法は、人類とのハイブリッド化に他ならなかった。人工たんぱく質で造られたアンドロイドと人類の
ハイブリッドが生まれるはずはないのに、一部の知識階級による意識操作が行われ、自分たちの遺伝子が受け継がれていくことを夢見る世論を
味方につけて強引にこの研究が進められた。
バイオニックアンドロイドと人類とのハイブリッド化に、80%以上の成功率を得るためには、デザイナーベビーによる人工たんぱく質を受け入れる
研究が進められていきました。デザイナーベビーは確かに人類の遺伝子を継続しているが、明らかに人類を超えた存在になりつつあった。それでも
人類の繁栄のためには、新たな進化形態が最優先と考えた研究者達によって、デザイナーベビーとDNAのコピー(人工たんぱく質によるバイオニッ
クアンドロイド)とのハイブリッド化が行われ新人類が誕生した。
中には、脳細胞以外、体のほとんどの部分をバイオニックに置き換えなくてはならない人がいたのでした。この人達は人類よりバイオニックアンドロイ
ドとの方が、むしろハイブリッドが生まれる可能性が高いのではないかと…!?
あらゆる可能性にかけて、人類の衰退に歯止めをしようとしていた研究者達は、このサイボーグとバイオニックアンドロイドとのハイブリッドにより、
ハーフブレインバイオサイボーグが誕生した。限りなくアンドロイドに近い新人類として。
良く晴れた夏の海辺は、海水浴を楽しむ人々でにぎわっていた。
「おじいちゃん、海はどうして青くてきれいなの?青くてきれいな海の水を手ですくってみたいのに、
青い海の世界では・・・・・・
しばらく平穏な日々が続きました。しかし、ソラの心の中には、どうしても消すに消せない好奇心が膨らみ始めていました。
嵐が過ぎ、穏やかないつもの海に戻った頃、ソラとウミとクモは、海面近くの村に来ていた。
クモは、海面近くの村にとどまり、何日も・・・。何回も太陽と月が入れ替わったか覚えていません。仕方なく、海底の世界へ、帰って行きました。
一部始終を話し終えたクモに、大長老様は何も言いませんでした。
クモは満月の晩になると、海面に出て、太陽が顔を出すまで、最後にソラとウミと三人で話した事を思い出していました。
クモの声が聞こえなくなった頃、ウミとソラは、
ソラとウミは、ずっと、青くてきれいな海を見ていました。
それから、何日か過ぎた頃、ウミもソラもすっかり灰色になってきました。
この村での生活に慣れた頃、先輩は、元の仲間を見つけるため、また、海面へ戻っていきました。
少し、ため息をついた後おじいちゃんが言いました。
---おわり---
すくおうとするとちっとも青くないのはどうしてなの?」
「それは・・・・それはね、海には青い色をした海の妖精の子供たちがいてね、青い空が好きでいつも海の中から
空を見ているんだ。でも、ぜったい空に近付けない掟があるから、手ですくおうとすると、
海の底へ逃げてしまうんだよ。これはね、昔、昔、ずっと昔、まだこの世界に人も動物もいなくて、
神様が住んでいた頃のお話だよ。」
「青い海の子供たちよ! 空に太陽が輝いている間は、それを見に行っては行けないぞ。これは、海に生きるものの掟じゃ!!。
例外は認めない。必ず、守るのじゃ。」
青い海の精霊の大長老様が言いました。
しかし、青い海の子供たちは、あの美しい青い空やオレンジ色に輝く太陽を海面に出て見たくてたまりません。
子供たちは、口々に大長老様に言いました。
「どうして、どうして海面に出てあんなに青くてきれいな空を見てはいけないの。」
「だめだと言ったら、絶対にだめじゃ。」
大長老様は、とうとう怒り出して海底の洞窟に入ってしまいました。
「あ〜あ、大長老様を怒らせちゃったね。」
と言いながら舌を少し出して肩をすくめたのは、青い妖精達の中でも好奇心旺盛な空(ソラ)だった。
「ソラが、ちょっとしつこいからだぞ。」
リーダー格の海(ウミ)が、ソラをにらみつけながら言った。ソラはウミのことは無視して、隣の雲(クモ)にそっと、
「大長老様は、海の底から見ても、きれいなあの空の近くに行くのを許してくれないのかな。」
ソラの隣でずっと黙っていたクモが、大長老様の小さい頃の話をし始めた。その話に、にらみ合っていたソラもウミも身を乗り出して聞き始めた。
大長老様が、僕達と同じ青い妖精だった頃は、毎年何人もの神隠しがあって、それは大変な時代だった。それで、大長老様が妖精から精霊に
変わった頃、この村の掟を作ってから神隠しもほとんどなくなり、平和に暮らせるようになったと言われている。クモが話し終えると、ソラが、
「そうすると、ほかの村では、あの青くてきれいな空やオレンジ色に輝く太陽を海面に出て、ず〜と見ていられるんだね。いいなあ・・・・。」
ソラのふざけた意見に、クモとウミは、
「僕は、突然ソラやウミが、いなくなるのはいやだ。」
「僕も、クモやソラと分かれたくない。」
ウミもどんな事件が起きたのか、知りたいと思い始めていた頃でした。ついに、ソラはウミを説得し、乗り気でないクモも誘い、
海面近くの村に行く事にしました。
嵐の夜、村の人たちが海底の洞窟に避難している日に、三人はこっそり抜け出し旅立ちました。
昆布の森を急いで走り、ワカメの林を力いっぱい泳いで、嵐で速くなった海流に、しっかり手をつなぎ合って乗り込みました。
太陽がようやく顔を出し始め、青白い空がきれいな青になってきました。ソラはうれしくて、海面ぎりぎりまで上がってきました。
ウミもクモも心配でたまりません。
「大丈夫だよ。満月の夜なら海面に出られるし、太陽が顔を出してすぐなら大丈夫さ。ほら、来てみなよ、こんなにきれいだよ。」
「本当だ。きれいだね。こんなきれいな空が見られるなんて・・・・。来て良かったね。」
少し、後ろめたさに元気がなかったクモも、空の青さに夢中です。太陽が、だいぶ高くなってきたことに、
三人の青い妖精達は、気がつきませんでした。
ウミがもう少し、ソラの近くに行こうとしたとき、やはりこの空に夢中になっていた、海面近くの村の妖精達に押されて、
ウミの体が波しぶきになりました。どうしたことでしょう。急にウミの体が変化してきました。
「なんだか、体が軽くなってきた。」
「何、おかしなことを言っているんだよ。」
ソラは青い空に夢中で気がつきません。しかし、クモは、ウミの体の変化に気がついて、
「ソラ、見て!ウミが、ウミの体が透明になっていく。」
「・・・・・!!」
はじめて異変に気がついた空が、
「どうなっているの・・・。どうしよう。ここに来ること、僕が誘ったんだ。助けに行かなきゃ。クモはここにいて、来たらだめだよ。」
ソラは夢中で、海面から飛び出し、波しぶきになりました。
「ソラ・・・!君も来たんだね。もう、僕は戻れない。意識が遠くなってきた。」
「元気出せよ。僕も一緒だ。」
ソラとウミの青い体は、どんどん透明になっていきました。
大長老様は、子供だった頃の自分達を思い出していました。
子供達の好奇心は、止められないと思った大長老様は、掟を少し変えて、
村のみんなに言いました。
「どうしても、青い空とオレンジ色の太陽が見たければ、海面近くの村に行っても良いが、
波しぶきになったり、風にさらわれて、この世界から離れないように!!」
「ウミ!ソラ!君達がもう見えないよ。どうしたら良いの?」
どこからか、二人の声が聞こえます。
「クモ、僕たちなら大丈夫。心配しないで。」
「見えないけれど、ず〜と、いっしょにいられるの。」
だんだん声も聞きずらくなってきました。
「・・・・、だめみたい。しばらくしたら、話もできなくなるよ。でも、クモの事は、忘れない。きっとまた、戻ってくるよ。」
「本当?!」
「わからないけど、そんな気がする。」
「ソラー!ウミー!友達なのに・・・・」
「・・・・・。」
しっかり、太陽が顔を出す頃、クモは、二人の思い出とともに海底の村に帰っていきました。
「ウミ!そばにいるの?」
「いるよ。ソラは、僕が見えないの?!」
「だって透明だもん、自分の体だって見えないのに!!」
「ええ・・・?!僕たちは、前と違う体なんだ。・・・、羽化したんだ。」
「羽化?」
「そう、だから、精神を集中して!!」
「こうかな・・・!??あっ!見えた。」
「ソラ!下を見てごらん。」
「・・・!?青くてきれいな空?」
「違うよ。あれは、僕たちが以前いた海さ。」
「・・・・。」
「僕たちは、今、海ではなくて、空にいるんだよ。」
「・・・・。海がますます遠くなっていく・・・。」
不安な気持ちに、すっかりセンチメンタルになっていた二人に、
「おーいっ!!君たち、二人だけそんな所にいないでこっちに来いョ。」
元気で半透明な妖精が、声をかけてきた。
「俺たち、一人一人は透明だけど、みんなが集まると、少しずつ白くなるんだ。そして、灰色になると・・・。また、透明になって、地上に落ちるんだよ。
まあ、また、元いた場所に落ちるとは限らないけどね。俺は、以前は山だった。その前は川で、その前は、湖だったよ。」
この羽化に慣れた先輩の妖精に、ソラもウミもすっかり元気を取り戻しました。
「何回も、ここに来ているの?」
「ああ・・・君たちはじめてか?どこの村から来たの?」
「海底の大長老様の・・・・。」
「そうなんだ。それで、大長老様は元気かい?!」
ソラとウミが目を丸くして先輩の妖精を見ると、
「俺も、あの村の出身さ。大長老様は、親友なんだ。君たちと同じ年に見えるけど、俺は何回も生まれ変わっているからね。」
「先輩のほかにも、同じ村の仲間はいるの?」
「いいや、何回か、いっしょだったけど、今は一人さ。最後までいっしょだった奴とは、確か、五回前の山だったなあ。
あいつは地下水になったけど、俺は葉っぱの上で・・・太陽が出て、すぐに戻って来た。考えてみれば、少し、寂しいかな。
元の村の場所がわからなくなって、随分たったしなあ・・・。」
ソラとウミは、また、海底の村に戻れるかもしれないと聞いて、うれしくてたまりません。ソラは、先輩に海底の村へいっしょに戻ろうと誘いました。
「驚くよ、大長老様。そして、きっと、喜ぶよ。」
「いつまでこのあたりに、とどまっていられるか。風まかせだからなあ。」
あの、海に帰りたい。そして、みんなと、もう、離れたくない。と、思っていました。
先輩が、二人の灰色の体を見て言いました。
「おい、そろそろだね。」
「少し動いたけれど、まだ、僕たちの村の近くだよ。」
先輩とソラとウミは、離れないように手をしっかり握り合って待っていました。
すると、雷様が暴れて、この、青くてきれいな海に、三人そろって帰ってきました。
海底に戻ると、クモは少し大人っぽくなっていました。懐かしそうに、大長老様やクモに、近づいた僕たちは、まだ、生まれたばかりの妖精だった。
クモは、すぐに僕たちのことがわかって、目にいっぱい涙をためたが、大長老様は、しばらく、先輩がわからなかった。
大長老様と孫ほど年が違う二人は、いつのまにか、幼い頃に戻って、楽しそうに話をし始めた。
先輩は帰ってくるたびに、元の仲間を連れて来ました。
ウミとソラとクモは、大長老様とともにこの世界を守っていこうと決心しました。
「だからね、
いまでも、海の水を手ですくおうとすると、
海の世界から、離れて迷子にならないように、
青くてきれいな海の妖精たちは、
すーっと、海の底に逃げるんだよ。」