インドの言語と文字 Top Languages Mathematics English
目次 行政区画 宗教 言語と文字 憲法 古語

行政区画

インドは、2001年の時点で、29の州と6つの連邦直轄地に区分けされています。 1991年と比べると、デリーが連邦直轄地から州になり、州が3つ増えました。 表中の「旧…」は英語から現地語への変更で、世界的に定着しつつあります。 インドの固有名詞について、 英語はインド国内で共通語的に普及しているので表記は安定していますが、 一部日本語表記はまだ一定していません。 KCOM が運営する Embassy Avenue から在日インド大使館の公式サイトにアクセスしてみましたが、 「州・大統領直轄領 」は英文の インド外務省 のページに直結していました。 政府筋の情報は、 Directory of official web sites of Government of India から、地図は Maps of India から得られます。
英語表記 日本語表記 備考
連邦直轄地 (Union Territory)
Andaman & Nicobar アンダマンとニコバル ベンガル湾の 群島
Chandigarh チャンディガル パンジャブ州とハリアナ州の境。両州の州都。
Dadra and Nagar Haveli ダドラ及びナガル・アベリ グジャラート州とマハラシュトラ州の境。アベリはハベリとも。 旧ポルトガル領。*1
Daman and Diu ダマン・ディウ グジャラート州内。ただし Diu は島。 旧ポルトガル領。*1
Lakshadweep ラクシャディープ アラビア海の 群島。 Amindivi 諸島、ラッカディブ (Laccadive) 諸島、Minicoy 島から成る。ただし、 その南方のモルディブ (Maldives) 諸島はもちろんモルディブ共和国そのもの。
Pondicherry ポンディシェリ 地理的に分散した南部の4地区。旧フランス領。 *1
州 (State)
Andhra Pradesh *2 アンドラ・プラデシュ -
Arunachal Pradesh *2 アルナーチャル・プラデシュ -
Assam アッサム -
Bihar ビハール -
Chhattisgarh チャッティスガル 2000年、マディア・プラデシュ州東部が州に昇格。
Delhi デリー 1991年、連邦直轄地から州へ。 州都デリーはインドの首都でもある。 デリー日本人会もある。
Goa ゴア 最小の州。旧ポルトガル領。 *1
Gujarat グジャラート ガジャラートとも。
Haryana ハリアナ ハリヤナとも。
Himachal Pradesh *2 ヒマチャル・プラデシュ -
Jammu and Kashmir ジャム・カシミール パキスタン側は Azad*3 Kashmir。
Jharkhand ジャルカンド 2000年、ビハール州南部が州に昇格。
Karnataka カルナタカ 旧マイソール (Mysore) 州。 ベンガルール(旧バンガロール) [Bengaluru (former Bangalore)] は州都。 (2006.11.1)
Kerala ケララ -
Madhya Pradesh *2 マディア・プラデシュ マディヤ・プラデシュとも。
Maharashtra マハラシュトラ ムンバイ(旧ボンベイ*4) [Mumbai (former Bombay)] は州都。
Manipur マニプール -
Meghalaya メグハラヤ (IntExp)
Mizoram ミゾラム -
Nagaland ナガランド (IntExp)
Orissa オリッサ -
Punjab パンジャブ パンジャプとも。 パキスタンには パンジャブ県
Rajasthan ラジャスタン -
Sikkim シッキム カンチェンジュンガ山(約8600m、世界第3位)を擁す。
Tamil Nadu タミール・ナドゥ タミル・ナズとも。 チェンナイ(旧マドラス)[Chennai (former Madras)] は州都。 ラマヌジャンの出身州。
Tripura トリプラ -
Uttar Pradesh *2 ウッタル・プラデシュ -
Uttaranchal ウッタランチャル 2000年、ウッタル・プラデシュ州北部が州に昇格。
West Bengal ウェスト・ベンガル 州議会レベルでは州名をバングラ州に変更。 すなわち英語からベンガル語へ。 州都コルカタ (旧カルカッタ)[Kolkata (former Calcutta)] は旧首都。 南北に細長い州で、 南はベンガル湾に面し、西にオリッサ州とビハール州、 東にバングラデシュ人民共和国を眺めながら北上するとガンジス川を渡り、 隘路をさらに北上すると ネパール王国、シッキム州、ブータン王国、アッサム州へと至る。
(*1) 世界飛び地領土研究会に詳しい。
(*2) 5つの州名に Pradesh が付きますが、 ヒンディー語で「州」の意。 (Source: The Collins English Dictionary(c)) プラデシとも音訳されます。
(*3) ウルドゥー語で「自由」の意。語源はペルシャ語。 音訳としては aazaad の方が近いようです。
(*4) 参考までに、ポンペイは、火山灰に埋没したローマの古代都市 (Pompeii) または ミクロネシアの島 (Pohnpei, 旧ポナペ島)。

宗教

1991年の国勢調査 (Excluding J & K *1) で
ヒンドゥー教徒 Hindus*2 82.00%*3 キリスト教徒Christians2.34%
イスラム教徒Muslims12.12% シーク教徒Sikhs1.94%
他の宗教は1%未満です。 1981年の国勢調査による州別の信者数比が掲載された地図を Perry-Castañeda Library Map Collection から引用します。ただし、 少し古い (例えば図中の Soviet Union は現在ではタジキスタン) のでご注意ください。
India's Religions, Source : Census of India, 1981
(*1) インドの統計情報でよく見掛ける但し書きです。現在、 カシミール地方で領有権を巡ってパキスタンと係争中のためと思われます。 インド国勢調査 に以下の記述がありました。
1991 Census was not conducted in Jammu & Kashmir (J & K) state due to disturbed conditions prevailing there at the time of census enumeration. All the statistics relating to 1991 Census provided in this site do not include corresponding statistics for Jammu & Kashmir unless otherwise stated.
(*2) Hindu は「ヒンドゥー教徒」(ヒンズーとも音訳される)、
Hindi は「ヒンディー語」という点には注意していいでしょう。
(*3) 1991年のデータには比較的イスラム教徒の多いジャム・カシミール州が 含まれていないとはいえ、同州の人口は全インドの1%程度にすぎませんので、 単純には10年でヒンドゥー教徒が約2倍になったように見えます。 ヒンドゥー教徒は人口の約8割に対し、ヒンディー語話者は人口の約4割 という調査結果は興味深いと思います。 いずれにせよ、ヒンドゥー教は世界三大宗教には数えられてはいないものの、 インドの総人口は2001年には10億を超えたことを考えると その信者数はたいへんな数に上ります。

インドの言語と文字

言語はだいたい州ごと。ただし、少数民族が多く言語総数は850〜1700とも。 1991年の時点で人口の約4割がヒンディー語、共通語としての英語があり、 他にサンスクリット語*1を 含む17(うち11は1〜10%、6つは1%未満)の言語を 憲法*2で公認。 以下の表は1991年時点での州区分に基づいています。
語族 州または国 言語 文字 備考
日本語表記英語表記日本語表記英語表記
シナチベット語族チベットビルマ系 アルナーチャル・プラデシュ Arunachal Pradesh ニシ語Nisi (Dafla) ?Nepali, Bengali も
ナガランド Nagaland ナガ語Nagaベンガル文字 さらに Ao 語、Sema 語、Konyak 語等に分かれる
マニプール Manipur マニプーリ語Manipuri
ミゾラム Mizoram ルシャイ語Lushai ミゾ語 (Mizo) は Lushai の方言
トリプラTripura トリプリ語Tripuri?Bengali が主
メグハラヤMeghalaya カシ語、ガロ語Khasi, Garo?
ブータン Bhutan ゾンカ語Dzongkhaチベット文字Nepali, Tshangla も
シッキム Sikkim レプチャ語Lepcha レプチャ文字Nepali, Bhotia が主
ネパール Nepal ネワール語Newari独自の文字
印欧語族インド系●アーリア民族 ネパール語Nepaliデーバナーガリ文字
アッサム Assam アッサム語Assameseベンガル文字
バングラデシュ Bangla Desh ベンガル語Bengali
ウェスト・ベンガル West Bengal
パキスタン Pakistan ウルドゥー語Urdu アラビア文字ナスターリク書体 (Nastaliq)
シンディ語Sindhiナスヒー書体 (Naskh)
パンジャブ語Punjabiグルムーキー文字
グジャラート語Gujaratiグジャラート文字
ジャム・カシミール Jammu and Kashmir カシミール語Kashmiriアラビア文字
ウルドゥー語Urdu
パンジャブ Punjab パンジャブ語Punjabiグルムーキー文字
グジャラート Gujarat グジャラート語Gujaratiグジャラート文字
シンディ語Sindhiアラビア文字
超人 サンスクリット語Sanskritデーバナーガリ文字 日常語としては失われ[つつある|た]
ヒマチャル・プラデシュ Himachal Pradesh ヒンディー語Hindi
ハリアナ Haryana
ラジャスタン Rajasthan
マディア・プラデシュ Madhya Pradesh
マハラシュトラ Maharashtra マラーティ語Marathi
ゴア Goa -
コンカニ語Konkaniラテン文字マラーティ語の方言
ウッタル・プラデシュ Uttar Pradesh ヒンディー語、ウルドゥー語 Hindi, Urdu デーバナーガリ文字
アラビア文字
ビハール Bihar ビハール語は方言的
オリッサ Orissa オリヤー語Oriyaオリヤー文字
スリランカ1 Sri Lanka シンハラ語Sinhalaシンハラ文字
モルディブ Maldives モルディブ語 (ディベヒ語)Maldivian (Divehi)モルディブ文字 シンハラ語に近い
アンドラ・プラデシュ Andhra Pradesh ウルドゥー語Urduアラビア文字
ドラビタ語族●先住民族 テルグー語Teluguテルグー文字
タミール・ナドゥ Tamil Nadu タミール語 Tamilタミール文字
スリランカ2 Sri Lanka
カルナタカ Karnataka カンナダ語Kannadaカンナダ文字 カナリーズ (Kanarese) 文字ともいう
ケララ Kerala マラヤラム語Malayalamマラヤラム文字 タミール文字の兄弟分だが繁雑

憲法

インドの憲法は、 India Code Information System (INCODIS) Institut fur offentliches Recht Constitution Society などが英文で公開しています。 全22部構成で第17部がまるごと公用語に当てられており、 以下のように章立てられています。
Part XVII Official LanguageArt.( 343-351 )
Chapter I.-Language of the Union Article 343,344
Chapter II.-Regional Languages Article 345-347
Chapter III.- Language of the Supreme Court, High Courts, etc. Article 348,349
Chapter IV.-Special directives Article 350-351
第1章と第2章の骨子は以下のようです。 第3章では法廷での公用語を規定し、第4章では言語的少数派への配慮と 中央政府の義務としてのヒンディー語の普及と発展を謳っています。 第344条1項と第351条が指す別表 (Schedule) には以下の18言語が、 ローマ字のアルファベット順に、挙げられています。
1. Assamese.- 7. Konkani.1992年追加 13. Punjabi.-
2. Bengali.- 8. Malayalam.- 14. Sanskrit.-
3. Gujarati.- 9. Manipuri.1992年追加 15. Sindhi.1967年追加
4. Hindi.- 10. Marathi.- 16. Tamil.-
5. Kannada.- 11. Nepali.1992年追加 17. Telugu.-
6. Kashmiri.- 12. Oriya.- 18. Urdu.-
なお、2001年のインド紙幣には 表中の太字16語+英語の計17語が併記されています。

古語

サンスクリット関連の用語を 広辞苑から抜粋しておきます。辞書の版が古いので、国号は適宜読み替えてください (一応 title 属性でルビを振ってあります)。 また、灰色の字は筆者コメントです。
サンスクリット (Sanskrit、完成せられた語、即ち俗語に対する雅語の意)
インド・ヨーロッパ語族に属し、 ギリシャ語・ラテン語・ロシヤ語と同一の祖語から分れ、 複雑な語尾変化・活用を有する。 古代インドにはヴェーダ語と古典サンスクリット語があり、 南方仏教語のパーリ語なども同系の語。
ヴェーダ (吠陀、梵語 Veda 明・文・知と訳す)
インド最古の宗教文献。婆羅門教の経典。 インドの宗教・哲学・文学の根源をなすもので、その起源は、前十数世紀の頃、 インドの西北方に移住したアリヤン族が 偉大な自然現象を讃美して歌った抒情詩に発し、 以来一千年の間に成った。最古のリグ (Rig)、それにつぐヤジュール (Yajur)・ サーマ (Sāma) 及び最新のアタルヴァ (Atharva) を四ヴェーダという。韋陀。
パーリ語 (Pāli / Paali / Pali 語、巴利語)
インド・ヨーロッパ語族のインド・イラン派のインド語。 セーロンビルマシャムなどで仏教の典籍に用いられた語。 もと古代インドの俗語の一種で、梵語と系統を同じくする。 Pāli は「線」「規範」の義であることから聖典の意に転じ、 近代に至って言語の名称とする。
プラークリット (Prakrit)
中期インド語の総称。サンスクリットの外に早くから発達。 最古の文献は前三世紀の阿育王 (アショーカおう, King Ashoka / Asoka) 碑文。
梵語 (ぼんご)
古代インドの文語であるサンスクリットの一分派。日本に伝来した聖教に用いる。
梵字 (ぼんじ)
古代インドに行われた Brāhmi という字体から発達した文字で、 梵語、即ちサンスクリットを記載するに用いる文字。 わが国で梵字というのはその一体である。例えば、基本となる文字、 即ち摩多(また)の (ア)・ (イ)・ (オ)など、 体文(たいもん)の (キャ)・ (シャ)・ (タ)などの類。 (フォントは似た形の Devanagari で代用しています。 正しくは「形から引く梵字字典」参照)
悉曇 (しったん、梵語 siddham 成就・吉祥の意)
梵字の字母。転じて、インドの音声に関する事項を総称。 広くは摩多(また、母音)と体文(たいもん、子音)を総称し、音節と同義。 狭くは摩多の十二韻のみを指す。 シナでは隋代(581-618)にはじめて悉曇の称があり、 我国では天平年間(729-749)南インドよりこれを伝う。 法隆寺の古貝葉(こ・ばいよう)は字体すぐれて有名。 平安初期の入唐僧多くこれを伝え、元慶年間(877-885)、 安然に悉曇蔵の著がある。 五十音図の配列には悉曇の影響顕著。
梵 (ぼん)
〔名〕(梵語 Brahman) (1)インドの婆羅門(baramon)教における最高原理または神。 (2)梵天の略。
〔接頭〕天竺・仏教に関する物事に冠する語。 「―語」「―唄(ばい)」
最終更新日 : 2005.1.2 初版 : 2001.10.5