開催日:2003年11月1日
会場:沖縄県立芸術大学附属研究所
「海域アジア史研究会」は、1993年、東南アジア史・中国史・朝鮮史・日本史・琉球史などの研究分野で国際関係史・海上交流史などを専門とする、大阪・京都周辺の若手研究者・院生を中心に結成された。
この研究会では、従来の「陸」の政治的「中心(中央)」からみた歴史観や、国民国家の枠組みに縛られた歴史観、さらには、「東南アジア史」・「中国史」・「朝鮮史」・「日本史」というような研究枠組みにとらわれた歴史観などから自由な立場にたった研究が目指されている。そして「海からの視点」をキーワードに、より広い視野からアジア全体の歴史動向を捉えるため、各研究者の専門分野を越えた議論と情報交換を継続的におこなってきた。そして、2003年、このような研究会活動が10周年を迎えたことを記念して、沖縄で記念シンポジウムを開催した。
本記念シンポジウムは、統一テーマとして「海域アジア史のポテンシャル」を掲げ、2003年11月1日、沖縄県立芸術大学附属研究所を会場としておこなわれた。当日は、会場の定員を超える40数名の参加者を得ることができた。
最初に、ゲストとしてお招きした、国立シンガポール大学アジア研究所の Geoffrey Wade 氏による、“The Pre-Modern East Asian Maritime Realm: An Overview of European-Language Studies.”と題する記念講演がおこなわれた。この講演では、最近50年間ほどの、おもに欧米の研究者による、航海・造船技術、海上貿易、港市国家、沈没船、文献研究などの分野におけるアジア海域史研究の成果・動向が手際よく紹介され、本シンポジウムに参加した日本・中国・タイなどのアジア出身の研究者にとって、たいへん有益で興味深いものであった。遠路おいでいただいた Wade 氏に、この場をかりて、あらためてお礼を申し上げたい。
ついで、これまで本研究会の中心メンバーとして活動してきた諸氏による、以下のような研究報告がおこなわれた。
以上のような記念講演・研究報告ののち、今回の諸報告の内容を含めた、アジア海域史をめぐるさまざまな問題に関する総合討論にうつり、終了予定時刻をかなりオーバーするまで活発な意見交換がおこなわれた。このような活発な議論は、さらにつづく懇親会の席に持ち越され、盛会のうちにシンポジウムを終えることができた。
今回の記念シンポジウムを通じて、われわれ「海域アジア史研究会」は、自分たちがこれまで進めてきたアジア海域史研究の有効性と可能性をあらためて確信することができた。そしてこの成果を確固たる足場として、さらにつぎの5年・10年に向けて、さまざまな研究課題に取り組んでいきたい。われわれの研究活動に興味を持たれた方は、ぜひ月例会に足を運ばれたい。