タンポポの不思議 2002.12.30 修正

姫路市周辺でよく見るタンポポは以下の4種と言われている。

 セイヨウタンポポ  3倍体  広く世界に分布する

 アカミタンポポ   3倍体  上記によく似るが実が赤い

 カンサイタンポポ  2倍体  最近日本の平地の二倍体タンポポは区別するのは適切でないとの意見が有力なようだ。

 シロバナタンポポ  5倍体  花が白い

 日本のタンポポについて知りたい方は タンポポ(リンク)で。 広島のタンポポ(リンク)もよくまとまっています。 フランスのタンポポも実は2倍体と3倍体の混在であることが最近明らかになっている。 タンポポの仲間は8の倍数の染色体を持ち、2倍体は16本、3倍体は24本、5倍体は40本の染色体を持つ。

 ところで、2倍体以外の植物は減数分裂が通常うまくいかない、よく見かけるヒガンバナも3倍体で種を着ける花は0,5%程度、それも殆ど発芽しない。 発芽する種を持つヒガンバナの花は万に一つも無いらしい。 なぜタンポポの3倍体は私の実験でもあるように発芽率がいいのか。

 じつは減数分裂を途中で止め再融合して種を作ってしまうのだ。 めしべを切り取ってもても発芽する種ができる。 では花粉を作るのはなぜか? 無駄ではないのか?  実はセイヨウタンポポは夏場は花粉を作らない! 私はこのことをつい最近 NiftyのFORUM で知って、(自己増殖し進化しない種がそんな性質を獲得できるはずが無いと思い)イロイロ調べたくなったのだ。

 注 在来種の二倍体のタンポポは自家受粉しないことが知られている、したがってめしべを切り取る実験に意味は無い。

セイヨウタンポポと思われるタンポポの遺伝子を調べた報告(リンク)がある、

 セイヨウタンポポと思われるタンポポはほとんどが在来種との雑種なのだ。 タンポポの花粉の写真を見よう。

   
カンサイタンポポの花粉   セイヨウタンポポの花粉   アカミタンポポの花粉

 カンサイタンポポの花粉はほぼ粒がそろっているが3倍体の花粉はサイズがばらばら。 でも3倍体の花粉は1N、2Nの花粉もあり2倍体を受粉さすことがある 『雑草の自然史』山口裕文 編箸。  (註:2Nと3Nであるとの報告がある)(リンク)

セイヨウタンポポはヨーロッパでも日本でも2倍体のタンポポと遺伝子を交換しているのだ!

 その他の野草においても、『花の性 その進化を探る』 矢原徹一 箸 によると、ヤブマオ と ヒヨドリバナ については( 3倍体無性生殖型に2倍体の花粉が受精すれば4倍体ができる。 その4倍体の非減数卵に2倍体の花粉が受精すれば5倍体ができる。 またもし、4倍体が減数卵を作り、それに2倍体の花粉が受精すれば、再び3倍体ができる.すなわち3倍体−4倍体−3倍体サイクルである.)とある。 タンポポにも同じ仕組みが有るようだ。

 樹の遺伝子もイロンナ倍数体がある

 森林の100不思議(東京書籍) 樹木の進化と染色体 より

  染色体の数や形は植物の種類によって一定していますが、同じ植物の属の中で二倍、四倍・・・・・・の数になることもあります、細胞分裂する時には染色体も二つに分かれるので、花粉や卵細胞の染色体の数は細胞分裂の時に見えるものの半分ということになります。だから、植物は普通、二倍体なのです。  ところが、同じ植物で普通は見つからない三倍のものが自然状態で見つかったことがあります。それは九州の有名なさし木用のスギ品種から発見されました。大分県日田地方で育てられたウラセバルやヒノデスギという品種がその話題の主です。これらは普通のスギより染色体数が一セット多い三つのセットからなるスギで、三倍体と呼ばれています。これらは花粉や卵をつくる減数分裂の異常によって自然に生じたものです。  その後、全国から選ばれた成長の良い、精英樹の中にも多くの三倍体が発見され、スギの三倍体は林業的にも価値の高いことが認められています。  秋は果物のおいしい季節です。カキは日本にもとからあった果物ですが、このカキには大きな秘密が隠されていました。 カキは日本に限らず、東南アジアや遠くはインド、アメリカにもあります。カキの木の染色体は普通九十本です。ところが、インド・アッサム地方の熱帯降雨林に生えている日本のカキにそっくりの仲間の染色体の数を調べたところ、三十本の二倍体となっていました。カキの生育地はもともと熱帯ですが、その後、中国や日本にも繁殖の範囲を広げました。その際、染色体の数は四倍の六十本になり、さらに八倍の一二〇本に増加していきました。そこで、カキの染色体数九十本のなりたちですが、分類学や細胞遺伝学に照らして判断すると、おそらく四倍体と八倍体との交雑によってできた種と考えられるわけです。つまり、四倍体と八倍体の減数分裂でできた染色体数は三十と六十で、その染色体数の和が九十となるからです。私たちは染色体の増加によって進化し、改良された六倍性のカキを食べていることになります。  同じようなことが日本列島で発達した広葉樹、ハンノキの一群に見られます。ヒメヤシヤブシという種の染色体数は十四本の二倍体植物ですが、ミヤマハンノキは二十八本の四倍体です。また、ヤシヤブシやオオバヤシヤブシという種では五十六本ですから八倍体の植物となります。つまり、これらの種の分化は二、四、八の倍数系列からなっていることがわかります。これを細胞遺伝的に分析すると、二倍のヒメヤシヤプシから少し異質化した四倍種は、寒い青森県の高地に適応し、八倍種は、太平洋側に適応できるようになりました。いずれも染色体数が多くなった種は適応地を広げ、また成長量も増えています。  これらのことは、木が長い時間かけていろいろな環境に適応し、進化する時、染色体数の増加による倍数性がいかに重要な役割を果たしてきたかを物語っています。 (染郷正孝)

関連図書

このページ作成後の出版であるが『日本のタンポポとセイヨウタンポポ』 小川潔 どうぶつ社

セイヨウタンポポが在来種のタンポポを駆逐しつつあるとの論調が広まったが今では影を潜めました。 タンポポに限らず分類の問題は遺伝子の解析が出来るようになって一層複雑になってきたようです。

 

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