ウキゴリ属 その3-2(未記載種)
Genus Gymnogobius

 現在,ジュズカケハゼとして同定されている中に,未記載種と思われるものが少なくとも3種類含まれている.それらが未記載種と考えられる理由は,

  1. 同じ水系や近隣地域に分布するジュズカケハゼ(G. castaneus)と遺伝的に大きく異なるので生殖隔離が示唆される(Aizawa et al., 1994; Sota et al., 2005; Shinozaki et al., 2006)
  2. それぞれの分布域が狭い範囲に限定されており,その地域の標本にもとづいた原記載が存在しないので該当する学名が無いと考えられる

という二点によるものである.

 またStevenson (2002)におけるウキゴリ属の分類の再検討においても,該当する標本を調査しておらず,判断を保留されている.

 したがって,適切な記載をともなう和名と学名の提唱が必要である.さらに,3種とも河川改修やため池の埋め立てによる生息地の消失と,オヤニラミやバス・ギル類といった外来種の放流によって,絶滅のおそれが非常に高いと考えられることから,早急に保全対策の検討が必要である.

(このページの多くの情報および富山産標本については篠崎敏彦氏の提供・協力によるものです)


ウキゴリ属の1種−1
(那珂川水系産 2004.4.3撮影)
Gymnogobius sp. 1 (undescribed species)

 関東地方の那珂川水系・利根川水系・荒川水系・多摩川水系の河川中流域に棲息する(Shinozaki et al., 2006).また,背鰭の模様から本種と思われるものは神奈川県相模川水系からも記録がある(林ほか,1993).

 この種が分布する環境に類似した場所が房総半島にあるが,そこに棲息するのは,平地型のジュズカケハゼであり,この種は上記の4水系でしか確認されていない.

 写真上は成熟したメスで、第一背鰭に黒斑はない.写真2段目は成熟したオス.写真3段目はメスの顔.

ウキゴリ属の1種−2(山形県産)
(2001.8.20撮影)

Gymnogobius sp. 2 (undescribed species)

 これはため池で採集した全長約6cmの個体.山形県・秋田県のごく限られた地域のため池にのみ生息することが確認されている(篠崎・後藤,1999; Sota et al., 2005).

 両眼が離れて顔が上下につぶれたウキゴリのような顔立ちと体型をしている.食性も他の近似種と若干異なるのかもしれない.飼育下では魚食傾向が強い.

ジュズカケハゼ
ウキゴリ属の1種−3(富山県産)

Gymnogobius sp. 3 (undescribed species)

 富山県の射水地方でのみ確認されている.ジュズカケハゼ近似種としては比較的大きく成長し,両眼が離れている.

 近隣地域には,「シンジコハゼ」と同定される種類が棲息するが,遺伝的には大きく異なる(篠崎・後藤,1999).

→標本写真

ジュズカケハゼ


参考文献


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