ドンコ属  →ドンコ科
Genus Odontobutis

 日本にはドンコ(O. obscura)とイシドンコ(O. hikimius)の2種、韓国には別にコウライドンコ(O. platycephala)、セマダラドンコ(O. interrupta)、中国にカラドンコ(O. potamophila)がいる。全て純淡水性で卵から孵化した子供はすぐに底性生活を送る。 


ドンコ(山陰・琵琶・伊勢グループ)
O. obscura, San-in-Biwa-Ise Group

 写真は滋賀県産.

 ‘ドンコ’の確実な自然分布は愛知県-新潟県以西.ただし,地域によってかなり遺伝的な相違があり、何百万年にも及ぶ地域集団間の隔離があったことを示している(Sakai et al. 1998).

 大きくは「山陰・琵琶・伊勢」「東瀬戸」「西瀬戸」「西九州」「匹見」の5グループに分かれており,その中でも特に「山陰・琵琶・伊勢」と「匹見」グループは他の地域集団から大きく分化している.「匹見グループ」はイシドンコとして新種記載されたが,「山陰・琵琶・伊勢」は残りのグループと同種とされている.

ドンコ
ドンコ
ドンコ(西九州グループ)
O. obscura, West Kyushu Group

 写真は上は佐賀県産,下は鹿児島県産.
 東瀬戸・西瀬戸・西九州の3グループは,相互に近縁な一群としてまとめることができる.

イシドンコ O. hikimius
(2002.5.20撮影)

 2002年に新種記載された種類で、それまではドンコの匹見グループとして、他とは遺伝的に大きく分化した集団として知られていた(Iwata and Sakai, 2002)。

 頭部がやや平たいことや下顎の模様、頭部の孔器列などで‘ドンコ’から識別できる。
 現在の分布は島根県の一部水系の上流とその周辺に限られている。同じ水系の中〜下流に棲むドンコとの間には、わずかながら交雑が生じているらしい(酒井ほか,1999)。

イシドンコ
イシドンコ

 日本のドンコのmtDNAの系統は,大きく3群に分かれており,将来的にはそれぞれが別種として記載されるかもしれない(向井・西田,2003).

 一つめの系統はアロザイム分析の山陰・琵琶・伊勢グループであり,外見的には胸鰭基底の黒斑は下が明瞭なことが多いようである.

 二つめの系統はイシドンコであり,記載論文に書かれた特徴(孔器列・顔の尖りかた・下顎の模様)以外にも,胸鰭基底の黒斑の上のほうが明瞭という特徴が見られる.

 三つめの系統はアロザイム分析の東瀬戸・西瀬戸・西九州の3グループを合わせたものであり,胸鰭基底の黒斑が二個,非常にはっきりと現れている.

山陰・琵琶・伊勢型(滋賀県産)

胸鰭基底の黒斑は,やや不明瞭,あるいは上下の大きさが不揃い.

イシドンコ(島根県産)

胸鰭基底の黒斑は,やや不明瞭でが明瞭(?)

西瀬戸型(神奈川県産:国内移入魚)

胸鰭基底の黒斑は,上下とも明瞭

西九州型(佐賀県産)

胸鰭基底の黒斑は,上下とも明瞭



文献

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