ゴマハゼ属
Genus Pandaka →アベハゼなどを含む単系統群の系統樹へ

 ゴマハゼ属は,尻鰭基底から尾鰭にかけての黒点数で区別されるゴマハゼ(Pandaka lidwilli)とミツボシゴマハゼ(P. trimaculata)の2種が日本に分布するとされてきた.

 しかし,ミトコンドリアDNAの解析の結果,黒点数は系統関係や集団構造を反映しておらず,日本産ゴマハゼ類は遺伝的な3系統群に分けられることが明らかになった(Mukai et al., 2004).その後,第1背鰭の色斑によっても3系統群が区別可能なことが明らかになったため,和名のなかったものに「マングローブゴマハゼ」の新称が提唱された(向井・鈴木,2005).

 したがって,日本産ゴマハゼ属としてゴマハゼ Pandaka sp. A・ミツボシゴマハゼ P. trimaculata ・マングローブゴマハゼ P. lidwilli の3種が分布することになる.

 また,ゴマハゼ類は汽水魚であり,海を通じた分散が可能であると思われるが,ミトコンドリアDNAの分析結果は,島嶼間でそれほど交流がないことを示している.


ゴマハゼ P. sp. A

 屋久島・種子島以北の本州・四国・九州と周辺島嶼の内湾や塩分濃度の高い汽水域に分布する.日本産の他2種よりも大きくなる傾向にある.生時は第1背鰭の外縁が青白斑で縁取られる(死後はすぐに消失).また,第1背鰭に橙色がほとんど現れず,黒斑前縁に透明部分があることなどの違いがある.

 尻鰭基底から尾鰭にかけて4つの黒点が並ぶ個体が多いが,尾びれ付け根の黒点が消失した「三ツ星」の個体が見られる地域もある.

 写真は和歌山県産(上:向井撮影)・三重県産(中:西村氏撮影)・屋久島産(下:向井採集撮影).

ゴマハゼ
ミツボシゴマハゼ P. trimaculata

 以前は尾部下側の黒点数が3つであることが同定のキーとされていたが,奄美大島・沖縄本島においては黒点数が4つの個体も多い.生時は第1背鰭の外縁が青白斑で縁取られる(死後はすぐに消失).また,第1背鰭には明瞭な橙色斑がある.

 写真は奄美大島産(上),沖縄島産(中),西表島産(下).

 

マングローブゴマハゼ P. lidwilli

 沖縄島以南に分布する.汽水域に生息し,やや細身である.第1背鰭の黒色斑は平行四辺形で青白色斑の縁取りは無い.橙色斑は明瞭.上記の2種類とは,系統的に離れており同所的にミツボシゴマハゼと共存していることもあるが,生息環境の好みが少し異なる.

 写真上は沖縄島産,下は西表島産.

ゴマハゼ

文献


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