甘遂半夏湯

「病者脈伏、其人欲自利、利反快、雖利心下続堅満、此為溜飲欲去也、本方主之。」

 按ずるに此れ流飲中焦に留まる故に脉伏する也、自利は水飲下行する也、自利すといへども續いて心下堅満する者舊飲漸く去らんと欲して新飲又續いて聚るもの也、甘遂半夏湯以て其の流飲を下すべし。故に此方甘遂流飲を決りて結するものを散じ、半夏亦能く流飲を散ず、堅きものを和する為に芍薬を以てす。此方水気を下す事速やかなるに過ぎたり故に甘草白蜜の甘きを以て此れを緩くするもの也。
 或る人甘遂猛剤にして、剱戟の如しと云うものあり、此れ未だ用い試みざるもの也。凡そ流飲甘遂にあらざれば去る事能はず、下利すといへども大黄芒硝の如く寒下の品と大に異なり何ぞ恐るる事あらんや、然れども流飲なき人に用ゆる時は剱戟と云ふべきものか、故に其の症を明めずして用ゆべからざる事諸方倶に然り。

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