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つい10日ほどまえ(2002/11月末)のことです。
22歳になったばかりの息子が、朝起きてくるとコンコンと力のない咳をしています。昨日から気がついてはいたのですが、この年頃の若者は、あまり干渉されるのを嫌がるので、本人が何も言わないため放って置いたのですが、やはり気になって「咳をしているが風邪を引いてるようだね」といいますと、「うん」と言う答え。顔色は普段とあまり変わっていません。
「症状は」と尋ねますと、「すこし体がだるい感じがする」といいます。
「他には?」と尋ねますと少し頭が重いという程度でその他には取り立てて言うほどの症状はありません。
そこで体温を計らせてみますと、顔色からは想像できませんでしたが、38度2分もあります。脈拍を計らせてみると1分間に82拍っています。息子の脈は通常70前後ですので、この脈はやや数(さく:少し速い脈)です。直接私が脈状をみてみますと、脈は浮いていて(強く抑えないで軽く当てるだけで触れる)、弱く拍っています。
私は、顔色と症状を何も訴えなかったことや体のだるさとこの脈浮弱遅の脈状から、真武湯を飲ませることにしました。この薬方を2日飲み終わったころには体のだるさも咳もとれ、あと1日念のために飲ませて廃薬となりました。
私たちは通常、顔が赤くなる陽証の風邪を「赤い風邪」、かえって顔が青くなる陰証の風邪を「青い風邪」と呼んでいます。
発熱性疾患では陽証と陰証を厳然と区別して薬方を使用しないととんでもないことになります。陰証の人に陽証の発汗剤などを飲ませますと、脱汗により色々重篤な症状が現われ下手をすると命さえ落とさせかねません。
もし誤って飲まれて、脱汗が起こり、筋肉のひきつりや手足の冷え、動悸、煩躁などの症状があらわれてきたときには、
茯苓甘草湯、桂枝加附子湯、甘草乾姜湯、眞武湯、茯苓四逆湯などで救急しなければなりません。漢方の専門家に早急に相談されてください。
息子の脈拍は通常より10ほど速く打っていました。しかし私はこれを遅脈(遅くうつ脈)と判断しました。熱が38度以上もあるのに82という脈拍数はその熱状に相応していません。通常体温が38度以上にもなりますと、脈もそれにつれもっと速く拍つものです。
(陰証、陽証については「漢方の特質」の「漢方のものさし」を参照してください。)
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