5行で映画

519日(土)

『バーバー吉野』  監督:荻上直子 出演:もたいまさこ、米田良、大川翔太、村松諒、宮尾真之介、石田法嗣、岡本奈月(04年)

 何の変哲もない山奥の田舎、神之ゑ町。ここでは昔からのしきたりで、子供たちは吉野刈りというヘアスタイルに統一されていた。
 そこにやってきた転校生が、投げかける素朴な疑問に、散髪屋の息子も惹きこまれ、町はちょっとした騒動に。
 どこにでもあるような田舎の風景描写と、ありえないレベルの田舎のしきたり描写。あと、あるある的な小学校的描写。
 散髪屋役のもたいまさこがハマリ役。あとは、まあ、あらすじ通りの平々凡々な作品です。
 ☆×1.0


5
13日(日)

『嫌われ松子の一生』  監督:中島哲也 出演:中谷美紀、瑛太、伊勢谷友介、香川照之、市川実日子、黒沢あすか(06年)

 高校教師の川尻松子は教え子の窃盗をかばい、のっぴきならない状態になって、家出をする。
 その後、同棲、不倫、ソープ嬢、ヒモを殺してムショ暮らし、男を愛しては傷つけられ、最期は中学生達に殺されてしまう。
 とことん不器用で巡りあわせの悪い松子の一生が、ミュージカル仕立ての映像で(下り坂の)ジェットコースタームービーに。
 ギャグなのか、逆説なのか、うまく言えないが、人生そこそこ意味あるよね、って感じにさせる逸品。
 ☆×2.5


5
5日(土)

『オペレッタ狸御殿』  監督:鈴木清順 出演:オダギリジョー、チャン・ツィイ、薬師丸ひろ子、平幹二郎 、由紀さおり(04年)

 がらさ城城主、安土桃山は、世界一の美男である自分の地位を脅かす嫡男の雨千代に刺客を送る。
 狸に救われ難を逃れた雨千代は、狸御殿の狸姫と出会い、2人は恋に落ちる。
 かつて美空ひばりとかが黄金期を支えた、「オペレッタ喜劇」のリメイクなんだそうだ。ひばり女王はデジタル出演してます。
 音楽、舞台美術、衣装で魅せる歌劇の真骨頂発揮だが、狸姫はチャンでなくて日本人の方がよかったのでは?
 ☆×1.0


5
4日(金)

『ナイスの森』  監督:石井克人、三木俊一郎、ANIKI 出演:浅野忠信、寺島進、池脇千鶴、吹石一恵、西門えりか(05年)

 モテない3兄弟の長男勝一は、旅行先で知り合った女性3人組の一人に合コンピクニックを申し込む。けどすっぽかされる。
 勝一の勤める学校では、奇妙な生徒と先生たちが、奇妙なホームルームや奇妙な部活を行っている。
 不条理コントが群像劇となってひとつの映画になる。石井作品『茶の味』、『Party』が面白かった人にはお勧め。
 ギター・ブラザーズや3人姫に代表される、どうでもいい日常感に溢れた会話のセンスは素敵だと思う。
 ☆×2.0


4
15日(日)

『県庁の星』  監督:西谷弘 出演:織田裕二、柴咲コウ、佐々木蔵之介、井川比佐士、石坂浩二 (05年)

 業務遂行能力に優れた典型的なエリートの、K県庁職員野村は、民間との人事交流で地元スーパーの現場に着任。
 指導係は年下のパート二宮。出世のため、腐らず自分の力を誇示しようとする野村だが、スーパーの仕事では空回り。
 スーパーが消防署からの業務改善を受けてから野村の実力が徐々に発揮されていくのだが、展開と演出がベタ過ぎる。
 挫折シーンに雨を降らせたりとか、低レベルにリフレインする脚本とか・・・。原作頼みの設定だけの映画です。
 ☆×1.0


4
14日(土)

『明日の記憶』  監督:堤幸彦 出演:渡辺謙、樋口可南子、坂口憲二、吹石一恵、田辺誠一、大滝秀治(06年)

 広告代理店の敏腕営業部長佐伯は、若年性アルツハイマー病にかかり、業務に支障を来たしていく。
 しかし一人娘の結婚式までは働く父親でいたいと、備考メモを駆使しながら仕事に食らいつく。それを強く支える妻の愛。
 記憶が日々日々なくなって、自分が自分でなくなったとしたら・・・。リアルな恐怖を抱える主人公と献身的な妻の演技が出色。
 これは設定と役者陣の活躍に尽きる映画。堤カントクはこんなのも撮れるんですね。
 ☆×2.0


4
7日(土)

『ケイゾク/映画』  監督:堤幸彦 出演:中谷美紀、渡部篤郎、大河内奈々子、鈴木紗理奈、小雪 (00年)

 海難事故で亡くなった富豪夫婦。生存した同乗者には殺人の嫌疑がかけられたが、証拠不十分のまま時は過ぎた。
 ある日、遺族の娘から彼らに孤島へのパーティの招待状が送られてくる。天才キャリアだが天然ボケの柴田が、捜査にあたる。
 未解決の迷宮入り事件を継続捜査する、警視庁捜査一課弐係の物語の映画版。TVドラマ見てないと訳分かりません。
 事件のトリックは標準的だが、TV版の敵役朝倉とのサイコ対決映像はダルい。堤作品の悪い癖が処々に垣間見られます。
 ☆×0.5


2
17日(土)

『硫黄島からの手紙』  監督:C.イーストウッド 出演:渡辺謙、二宮和也、伊藤剛志、加瀬亮、中村師童、裕木奈江(06年)

 1944年、日本本土爆撃の中継基地確保のため、硫黄島占領作戦が進められる。
 硫黄島の守備隊司令官、栗林中将は、地下要塞によるゲリラ戦を展開し、本土空襲を一日でも遅らせようと尽力する。
 栗林中将と古参の将校との葛藤、一平卒西郷の家族への思いなど、一応ドラマはあるが、あまり物語性がない。
 ドキュメンタリー的な演出は評価が分かれるだろうが、私的には好感。タイトルに合わせたラストはベタすぎ。
 ☆×2.5


1月25日(日)

『ダメジン』  監督:三木聡 出演:佐藤隆太、緋田康人、温水洋一、市川実日子、篠井英介、ふせえり、岩松了(06年)

 リョウスケ、ヒラジ、カホルの3人は、いかにして人生をラクに過ごすべきかと、夏休みのような毎日を過ごしている。
 ある日、謎の宇宙人から、「インドに行って人類を救いなさい」という啓示を受けた3人。旅費を貯めるべく何となく努力。
 三木カントクの脱力シリーズの初作(公開は大幅に遅れ)とのことだが、内容が飛びすぎてて、正直訳分からん。
 個人的には、ヒロインのチエミが、空き地のヒモをひっぱってキャハキャハ走り回るシーンに感動した。やっぱり訳分からんか・・・
 ☆×1.5


1
19日(月)

ALWAYS 三丁目の夕日』  監督:山崎貴 出演:堤真一、吉岡秀隆、薬師丸ひろ子、堀北真希、小清水一揮、須賀健太(05年)

 自動車修理工場を営む鈴木一家。青森から集団就職でやってきた六子を従業員に加え、家族で支え合って生きている。
 お向かいの三流小説家、茶川は、飲み屋のおかみに頼まれ、身寄りのない小学生淳之介を引き取ることになる。
 東京タワーはまだ建設中の昭和33年。東京の下町を舞台にした群像劇。
 オート3輪、力道山、テレビ、少年マンガ等々、高度成長期当初の場景描写が郷愁を誘う。ラストの台詞とタイトル以外はGOOD
 ☆×3.0

『間宮兄弟』  監督:森田芳光 出演:佐々木蔵之介、塚地武雅、常盤貴子、沢尻エリカ、北川景子、中島みゆき(06年)

 明信、徹信の間宮兄弟は、東京のマンションで二人仲良く暮らしている。野球を観るのも餃子を食べるのも一緒だ。
 でも二人には彼女がいない。ある日、二人は思い立ち、女子2名を誘い自宅でカレーパーティーを決行する。
 いい大人でここまで兄弟仲がいいというのは、やっぱりちょっとキモい。でもそれはどうしてだろうか。
 「そんなことあるわけないじゃん。だって間宮兄弟を見てごらんよ。いまだに一緒に遊んでいるじゃん。」考え込まされる台詞だ。
 ☆×2.5

『陽気なギャングが地球を回す』  監督:前田哲 出演:大沢たかお、佐藤浩市、松田翔太、鈴木京香、大倉孝二(06年)

 人間嘘発見器・成瀬、演説の達人・響野、スリの天才・久遠、正確精緻な体内時計を持つ雪子は、ロマン溢れるギャングチーム。
 それぞれの特殊能力を駆使し、銀行強盗を敢行するのだが、突如現れた武装集団に盗んだばかりの現金を奪われてしまう。
 犯行の裏には、雪子の元夫が絡んでいた。彼から事情を聞きだし、黒幕をおびき出すために新たな銀行襲撃を画策する。
 キャラが立った時点で映画的には勝利。ドンデン返しのストーリーもいいが、響野の弁舌ぶりだけでも一見の価値があるね。
 ☆×2.5


12
23日(土)

『痴漢男』  監督:寺内幸太郎 出演:柳浩太郎、長澤奈央、 長谷部優、 磯山さやか(06年)

 夜道を歩いていると痴漢に間違えられた金太。しかし、それをきっかけにその女性と彼女の友人たちとの交流が始まる
 彼女いない暦=年齢、アニメおたく、趣味は虫類、友だちなしの金太は、2ちゃんねるの住人たちに意見を求める。
 電車男の二番煎じと思っていたが、恋愛ドラマやゲームのような展開がなかなかに面白い。金太のおたく口調は鼻に付くが。
 おたくと美女3人。こんな状況はファンタジー。青少年にあらぬ期待と妄想を植えつける魔作です。
 ☆×3.0

『猫と奥さんと俺たちの青春』  監督:山田英治 出演:美月、和田緑郎、大森南朋、郡司掛雅之、藤井かほり(06年)

 「迷猫-MAIGO-」 夫に内緒でペットシッターのバイトをするヨウコ。大学時代の憧れの先輩の所のネコの世話をすることに。
 先輩への嫉妬、飼いならされたネコと自分の混同から、ヨウコは発作的にネコを誘拐する。よく分からん短編。ネコはかわいい。
 「ゴールデンウィークエンド」 出産のため実家に帰っていた妻が明日戻ってくる。林は最後の独身生活をいつもの3人と過ごす。
 30代のダメ男たちが土手でうだうだしたり、ナンパしたりするシーンはいい。2作の共通点は特にないです。
 ☆×1.5


12
10日(日)

『笑の大学』  監督:星護 出演:役所広司、稲垣吾郎(05年)

 戦争が本格化し、言論統括が厳しくなってきた昭和15年。検閲官向坂は、東京中の芝居の上演を取り締まる。
 浅草の劇団「笑の大学」の座付脚本家の椿は、向坂の無理難題に果敢に挑戦し、喜劇作家としての自分を貫き通す。
 舞台設定を日本にしろ、「お国のために」を3回出せ、警察署長を登場させろ、と注文を出す度、何故かより傑作に。
 三谷幸喜らしいシットコム。たたみ掛けるストーリー展開に、クスりと笑ってほんわかと感動する佳作です。
 ☆×2.5

『東京ゾンビ』  監督:佐藤佐吉 出演:浅野忠信、相川翔、奥田恵梨華、古田新太、松岡日菜、中村靖日(05年)

 江戸川区の工場で、仕事そっちのけで柔術の練習に打ち込むフジオとミツオ。そんな彼らの平穏な日々をゾンビは破壊する。
 近くの産業廃棄物埋立でできた「黒富士」は、どさくさで捨てられた人たちをゾンビにし、いつしか東京はゾンビだらけに。
 それから5年後、人間とゾンビの対決のバトルが金持ちのための娯楽に。ゾンビとなったミツオとコロシアムで対決するフジオ。
 無茶苦茶な原作漫画のノリを、芸達者な主演二人でうまく再現。どうでもいい映画だけど、不快感はない駄菓子的作品。
 ☆×1.0


12
9日(土)

『この町にいます』  監督:けんもち聡 出演:山本忠保、新藤彩子、中平等麻美、福田隆也、小島英樹(06年)

 愛子は、両親の死後東京の会社を辞め田舎のパブを継ぎ、自分を短大に行かせてくれた兄直希に見合いを勧める。
 相手は東京で飲食業の仕事を辞め、最近、弟とともに暮らし始めた美香という女性だった。
 2組の兄妹、姉弟が、過去を振り返り心を通わせていくストーリー。つっか、美香の元カレの話が中心だけど。
 40分くらいのド短編。ストーリーや演技等、素人くさいチープさはあるが、まあ、許容範囲。何かラストはハッピーエンドだし。
 ☆×1.0


12
3日(日)

『かもめ食堂』
ruokala lokki)  監督:荻上直子 出演:小林聡子、片桐はいり、もたいまさこ、ヤルコ・ニエミ、マルック・ベルトラ (06年)

 フィンランドのヘルシンキで、一軒の食堂を開いたサチエ。メインメニューはおにぎり。でもお客さんは全然入りません。
 でもサチエは、毎日まじめにやってればいつかはお客さんがやってくると信じ、毎日のんびりとお店をやっているのです。
 そんな彼女の周りに集まる様々な人。日本から来たミドリやマサコも、いつの間にやらお店の一員に。
 派手な出来事が起こるでもなく、淡々と、ゆったりと進む物語。独特の空気をぜひ感じて下さい。しみじみといい作品です。
 ☆×3.5


12
2日(土)

『運命じゃない人』  監督:内田けんじ 出演: 中村靖日、霧島れいか、山中聡、山下規介、板谷由夏 (05年)

 サラリーマンの宮田は、人を憎まない典型的ないい人。そんな彼の周りで起こったある夜の事件を、4人の男女の立場から描く。
 宮田の友人の探偵・神田、婚約破棄で家出中の真紀、宮田の元カノで結婚詐欺師のあゆみと、彼の恋人のヤクザ・浅井。
 一人の視点からでは事の全貌を見渡すことができない。私たちは観客という特権で、この一部始終を見渡すことができる。
 細かいところまで練り上げて、時間軸をうまく表現している、実によくできた脚本。ばっちり私のストライクゾーンです。
 ☆×3.0


11
25日(土)

『メゾン・ド・ヒミコ』  監督:犬童一心 出演:柴咲コウ、オダギリジョー、田中泯 、西島秀俊 、歌澤寅右衛門 (05年)

 幼い自分と母を捨ててゲイに走った父が、ガンで死の床に。沙織は父の建てたゲイの老人ホームでアルバイトをすることに。
 父の恋人、春彦は若くて美しい男。奇妙で優しくて、でも寂しいゲイたちとの生活。沙織の父への憎しみは微妙に変化していく。
 ゲイ映画はどうも性にあわないが、本作も然り。ただ、131分の長尺にもかかわらず、体感時間は短めな所は評価しましょう。
 パッケージのオダギリの写真は、無精ひげを伸ばした時の私に似ていると思う。・・・すまん。
 ☆×2.0


11
18日(土)

『幸せのスイッチ』  監督:安田真奈 出演:上野樹里、本上まなみ、沢田研二、中村静香、林剛史、笠原秀幸(06年)

 父親が屋根から落ちて骨折したため、東京でイラストレータになった怜は、急遽、和歌山の実家の電気屋を手伝うことに。
 お客様のためなら儲からない修理や雑用を引き受ける父。怜は家庭を顧みず愚直な商売をする父に、昔から反発していた。
 量販店に押され気味の田舎の電気屋を舞台にした、頑固な父と健気な3姉妹の家庭劇。ハートウォーミングな佳作です。
 地元人から言わせてもらうと、ほんまの和歌山弁は、こんなレベルとちゃうよ。あと、上野樹理は高校生役はそろそろしんどそう。
 ☆×2.0


11
12日(日)


『ブラック・ダリア』
The Black Dahlia) 監督:ブライアン・デ・パルマ 出演:ジョシュ・ハートネット、ヒラリー・スワンク、スカーレット・ヨハンソン(06年米)

 若きLA市警の刑事、バッキーとリーとその恋人ケイの生活は、“ブラック・ダリア事件”をきっかけに狂っていく。
 真っ二つに切断された美女ベティの死体は、ハリウッドの暗闇、リーとケイの過去、警察の腐敗をバッキーに見せ付ける。
 '40年代のLAを舞台にしたR15のミステリーサスペンス。現実に起こった事件を題材にした小説の映画化。内容は全くの創作。
 謎の埋め方と暴き方が中途半端。底が浅いが分かりづらいという最悪の結果に。単なる猟奇事件ネタで売れるわけがない。
 ☆×1.0


10
14日(土)

THE 3名様 春はバリバリバイトっしょ!  監督:福田雄一 出演:佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史(06年)

 おなじみ、ファミレスで深夜をダラダラ過ごすフリーターたちのショートコント集の3作目。
 今回はお笑い芸人を目指すネタが多く、ベタベタなボケとツッコミを繰り広げるシーンが見るに耐えなかった。
 でも、このやり取りにはクスクス。 ミッキー「ピラティスって何?」 まっつん「魚」 ミッキー「ブー」 まっつん「肉食の魚」
 ・・・うまく説明できないが、まあ、独特のテンポのゆるゆる感は相変わらず。
 ☆×1.5

『スクラップ・ヘブン』 監督:李相日  出演:加瀬亮、オダギリジョー、栗山千明、光石研、山田辰夫、柄本明(05年)

 警察の庶務で単調な仕事に埋没するシンゴは、トイレ清掃員のテツ、薬剤師のサキとともにバスジャックに遭遇する。
 3ヶ月後、シンゴとテツは偶然再会。警官として何もできず悶々とするシンゴをテツは、復讐代行のゲームに誘う。
 世の中のクソどもに想像力を植え付け、世界をぶっ飛ばす。物語設定はクールなのだが、ラスト近くから空中分解。
 謎の爆薬を作る薬剤師サキは、結局物語に中途半端な絡み方しかしない。駄作なんだけどもったいなさに星半分おまけ。
 ☆×1.0


9
24日(日)

Survive Style 5+ 監督:関口現  出演:浅野忠信、橋本麗華、小泉今日子、阿部寛、岸部一徳、麻生祐未(04年)

 妻を殺す男と何度もよみがえる妻の戦い。刺客に殺される催眠術師、催眠術が解けず鳥になったままのサラリーマン。
 ギャグCMに命を懸ける女性プランナー。空き巣3人組。「お前の役割はなんだ?」が口癖の奇妙な殺し屋と奇妙な通訳。
 各キャラクターをアップテンポの演出と申し訳程度の関係性でつなげ、よく分からない群像劇に仕上げている怪作。
 あまり小生の好みではない作風なのだが、個人的嗜好にバッチリはまっている豪華キャストに星半分おまけ。
 ☆×2.0


9
17日(日)

『天使』 監督:宮坂まゆみ  出演:深田恭子、永瀬正敏、永作博美、内田朝陽、小林明実、小出早織、森迫永依、西田尚美(06年)

 ある街に一人の天使が舞い降りる。彼女はジンライムが好きで、気ままに人々の間に姿を現したり消えたり。
 彼女ができないコンビニ店員、シングルファーザーと娘と恋人、いじめにあってる女子高生、うだつの上がらない独身姉妹、
 天使は神様じゃないから、彼女はただ彼らを見守り、優しくキスをし、ジンライムを飲み干す。奇跡は彼ら自身が起こす。
 ほんわかとした小猫系の天使に癒される映画。そういえば、癒しも与えられるんじゃなく、勝手に当事者が感じるものだよなあ。
 ☆×1.5

『博士の愛した数式』 監督: 小泉堯史 出演: 寺尾聰 、深津絵里、齋藤隆成、吉岡秀隆、浅丘ルリ子(05年)

 数学教師“ルート”は、着任初日の授業で、自分の仇名の由来を語る。それは家政婦の母の働き先の数学博士の命名だった。
 博士の記憶は、交通事故の後遺症で80分しか持たない。しかし、“初対面”の母とルートのことを、博士は毎日毎日優しく迎える。
 事故のあった翌日から毎日が始まる博士ですが、背広に貼り付けた日々のメモが現実に彼を引き連れます。
 「僕の記憶は80分しか持たない。」自筆のメモを目覚めて見付けたら、あなたならどんな気持ちになりますか。
 ☆×2.5


9
2日(土)

『ゲド戦記』 監督:宮崎吾朗  声優:岡田准一、菅原文太、手嶌葵、田中裕子、小林薫 、夏川結衣(06年)

 大賢人ハイタカこと、ゲドは世界の不安を探る旅の中で、父を刺し国を捨てた王子アレンを助け、ともに旅を続ける。
 自己の凶暴さと闇に怯えるアレンは、ある日、腐敗した都会の街でテルーという少女を人狩りの手から救う
 テルーはアレンを拒絶するが、あとでゲドの知り合いの女の人の家で再会し、すったもんだのあと、彼らは雲という魔女と対決。
 宮崎パパがこの映画を認めていない理由は、一目瞭然です。だって、商業ベースに乗らないくらいにつまらないから。
 ☆×0.5

『水グモもんもん』 監督:宮崎駿 声優:矢野顕子(06年)

 とある池の中、水グモのもんもんは、水面からせっせと空気の泡を体に取り込み、日々、水中の自分の巣を建設していました。
 ある日もんもんは、水面を、しゅんしゅんとカッコよく滑走する、アメンボのお嬢さんに出会います。
 ドンくさく水中をうごめくもんもんの憧れはちゃんと叶います。水中、水面、空中と、アニメの原点である生命躍動描写が秀逸!
 三鷹にあるジブリ美術館で上映されている短編アニメ。子供たちを虫好きに啓蒙することを期待します。
 ☆×3.0


8
26日(土)

UDON 監督:本広克之 出演:ユースケ・サンタマリア、小西真奈美、トータス松本、升毅、小日向文世、鈴木京香(06年)

 コメディアンの夢破れてNYから故郷の香川に帰ってきた香助は、親友庄介の紹介で地元タウン誌のバイトとして働く。
 幸助たちが企画した、香川中のうどん屋を食べ歩く「饂飩巡礼記」は話題を呼び、いつしか全国を巻き込んだうどんブームに。
 思いつきのコンセプトを、適当に人気のあるキャスティングで、月並みに手堅く演出する、実にフジテレビ製作らしいノリ。
 うどんなんてのは安っぽく手軽なB級グルメなので、そこそこの味でも満足すべきものだと思う。この映画もしかり。
 ☆×1.0


8
5日(土)

『忘れえぬ思い』 
 (忘不了) 監督:イー・トンシン 出演:セシリア・チャン、ラウ・チンワン、ルイス・クー、原島大地(03年)

 子連れのミニバス運転手に恋したシウワイだったが、交通事故で亡くなった彼の後を継ぎ、慣れない運転手稼業をすることに。
 彼の死に偶然立ち会った同業者のファイは、彼女の不器用な生き方を支える。いつしか二人はお互いの好意を深めていく。
 今日的アジア映画にありがちないい話なのだが、プロットが大甘。子育てにも商売にも恋愛にも中途半端なシウワイにイライラ。
 結局、彼女は、あれだけ意地を張って始めた運転手を辞め、ファイと第2の人生ときたもんですよ。意味ね〜!最初からそうしろ!
 ☆×1.0


7
15日(土)

『風の谷のナウシカ』 監督:宮崎駿 声優:島本須美、松田洋治、納屋悟朗、永井一郎、榊原良子、家弓家正(84年)

 産業文明が「火の7日間」で滅びて1000年。生き残った人々は、腐海の森の毒と蟲に脅かされながらひっそりと暮らしている。
 風の谷の王女ナウシカは自然を愛し腐海や蟲たちとの共存を考えていたが、軍事国家トルメキアが襲来し、谷を戦乱に巻き込む。
 トルメキア司令官クシャナが世界を焼き尽くした巨神兵を復活させ、腐海を焼き払おうとするんだが、巨神兵しょぼっ!
 「クシャナ⇔ナウシカ」=「文明⇔自然」という分かりやすい主題。そこより小生は平民出の参謀クロトワの卑屈さに共感。
 ☆×2.5


6
11日(日)

『深呼吸の必要』 監督:篠原哲雄 出演:香里奈、谷原章介、成宮寛貴、金子さやか、久遠さやか、長澤まさみ、大森南朋(04年)

 沖縄のとある島に集まった若者5人。彼らは人手不足の農家に寝泊りし、見渡す限りのサトウキビを刈り取るキビ刈り隊だ。
 先輩バイトの田所と衝突したり、脱退を企てたりと、バラバラだったメンバーだが、やがて、労働の中で一体感が芽生えてくる。
 都会で抱えた個々人の物語や、田所のフリーター生活等のドラマはさらっと流し、ひたすら働き、食べて、寝る生活が物語の焦点。
 仕事でやさぐれた時でも、この映画を見れば労働の素晴らしさが痛感できます。最高のデトックス(解毒)・啓蒙映画です。
 ☆×3.5


6
10日(土)

『拝啓、天皇陛下様』 監督:野村芳太郎 出演:渥美清、長門裕之、桂小金治、藤山寛美、西村晃、左幸子(63年)

 大正、昭和不況の時代、ヤマショウこと山田正助は、親と死別し天涯孤独の人生を味わってきた。世間の冷たい風が正助を苛む。
 そんな中で、三度の飯にありつけ、日々の寝床を与えてくれる軍隊生活は、正助にとっては天国だった。
 軍隊で字を憶えた正助がいとしの天皇陛下に、戦争が終わっても自分を除隊しないで、と手紙を書くところがヤマ場。
 戦後も正助の人生は続く。軍隊の物語だけだとちょっとした人情喜劇だが、戦後の正助の話は哀愁漂う悲劇。
 ☆×1.5


6
3日(土)

『サマータイムマシンブルース』 監督:本広克之 出演:瑛太、上野樹里、与座嘉秋、川岡大次郎、ムロツヨシ、真木よう子(05年)

 とある田舎大学のSF研。夏休みでダレダレの生活を送る部員たちを襲う悲劇。何と部室のクーラーのリモコンが壊れた!
 そこに突如現れるタイムマシン。この不思議な機械を使って叶える夢は、昨日に行ってクーラーのリモコンを取り戻すこと。
 お約束のタイムパラドックスに気付き、いったんは壊そうとした昨日を取り繕うために、今日と昨日とを行ったり来たりする部員。
 文化会系ダメサークルを舞台にして、タイムマシンものならではの「精密」な物語の組み立て。小生にとって面白くない訳がない!
 ☆×3.5


5
28日(日)

『亀は意外と速く泳ぐ』 監督:三木聡 出演:上野樹里、蒼井優、岩松了、ふせえり、岡本信人、嶋田久作、伊武雅刀(05年)

 スズメは単身赴任の夫の帰りを待ちながら、日々亀に餌を与える平凡な主婦。豪快な生活の幼馴染、クジャクとは天地の差。
 そんな毎日を打破するために、スズメは街で見かけたスパイ募集に応募。スパイにしてみれば日々の生活が潜伏活動そのもの。
 凡人の日常にスパイ性をまぶし、不条理なギャグと脱力的な魅力を盛り込んだ快作。とにかく素晴らしい!こんな映画はアリ?
 ラーメン屋の貼紙、公安体操、謎のヌルヌル、小豆パンダちゃん、親子相撲・・・周りが何と言おうとも、僕はこの映画が大好きだ。
 ☆×4.0


5
22日(月)

『イン・ザ・プール』 監督:三木聡 出演: 松尾スズキ、オダギリジョー、市川実和子、田辺誠一(04年)

 イカレた精神医の伊良部一郎は、患者の話は聞かない、周りの迷惑を考えない快楽主義者だ。
 勃起が収まらないサラリーマンも、強迫神経症のジャーナリストも、治療らしい治療を行わない彼にペースを崩される。
 僕らはみんな病んでいる、病んでいるからどうだってんだ、ってな感じで、世の中のストレスを笑い飛ばす一品。
 タイトルの「ストレス解消にプールに通ったら水泳中毒症になってしまう会社員」に共感を覚える小生も、患者の一人に違いない。
 ☆×1.5


5
21日(日)

『真夜中の弥次さん喜多さん』 監督:宮藤官九郎 出演: 長瀬智也、中村七之助、板尾創路、竹内力、山口智充(05年)

 江戸の長屋に住むホモカップル、弥次さん喜多さんは伊勢を目指す。喜多さんのヤク中を治し、リヤルな世界に辿り着くためだ。
 箱根の関所のお笑い代官、音痴な町娘の歌稽古などのイベントを乗り越えていくが、物語はリヤルの世界を外れ三途の川に。
 しりあがり寿の原作は途中で挫折したのだが、本作もラリラリの出来栄え。伊勢なんて関係ない目的地なきロードムービー。
 台詞の端々、キャストの端々にセンスが光るクドカン節。マニヤな小生は、研ナオコの配役の元ネタにニヤリ。
 ☆×1.5



422日(土)

『海が聞こえる』 監督:望月智充 声優:飛田展男、坂本洋子、関俊彦、荒木香恵、森川智之、天野由梨(93年)

 無二の親友の松野と、東京から転校してきた美少女武藤。杜崎は高知への帰郷の旅で、高校時代の思い出を回想する。
 武藤に思いを寄せる松野。クラスメートに心を開こうとしない武藤。離婚した父親に会いたいためについた武藤の嘘・・・
 何か特別な展開があるでもなく、淡々と青春の1ページ(←やな言い方だ)が描写される、1時間強の小品。
 氷室冴子小説が原作なのだが、映画の方が気軽に楽しめて面白いかもしれない。
 ☆×1.5


4
15日(土)

『約三十の嘘』 監督:大谷健太郎 出演:椎名桔平 、中谷美紀 、妻夫木聡 、田辺誠一 、八嶋智人、伴杏里(04年)

 北海道行きの寝台列車に乗り込む6人の詐欺師たち。札幌での偽羽毛布団販売で大金を手に入れる。
 札束は白いトランクに入れ、鍵はダミーを混ぜて各人がバラバラに保有するというのが彼らの決まり。
 帰りの列車内で紛失した札束を巡り、誰が裏切り者かを探り当てるミステリ展開。人間関係描写が光ります。
 詐欺団とか言ってても、なんかサークルテイストな結末。物足りない感もあるが、まあ、なかなかの小傑作。
 ☆×2.0

『交渉人 真下正義』 監督:本広克行 出演:ユースケ・サンタマリア 、寺島進 、小泉孝太郎 、高杉亘 、松重豊(05年)

 クリスマスイブの東京。2百万人の乗客が押し寄せる地下鉄網を、最新鋭の実験車両「クモ」が暴走する。
 犯人は、警視庁初の交渉人、真下正義を挑戦相手に指名する。衝突事故の回避、相次ぐ爆弾騒ぎを、真下は解決できるのか。
 踊る大捜査線シリーズのキャリア組エリート、真下にスポットを当てた関連作。地下鉄マニアにはオススメだが、うーん・・・
 ぱっとしないキャラの中で、勘が頼りの現場刑事を演じた寺島進に敬意を表し、星0.5おまけ。
 ☆×1.0


4
8日(土)

『逆境ナイン』 監督:羽住英一郎 出演:玉山鉄二、堀北真希、田中直樹、藤岡弘、、小倉久寛(05年)

 全力高校野球部主将の不屈闘志は、校長から、弱小野球部の廃部を宣告され、甲子園出場を必ず果たすと啖呵を切る。
 部員をうまくその気にさせて、練習に励む不屈を、ケガや赤点や恋心などの逆境が押し寄せる。
 甲子園常連の日の出高校との決勝戦。9回裏112-0の大差。不屈はこの史上最強の逆境に立ち向かう!
 藤岡弘、がはまり役の熱血バカ映画。ちょい、冗長の嫌いがあるが、野球部マネージャー属性に萌える人にはお勧め。
 ☆×1.0


4
8日(土)

『力道山』 監督:ソン・ヘソン 出演: ソル・ギョング、中谷美紀、藤竜也、萩原聖人、橋本真也、山本太郎(04年韓)

 相撲稽古に励む朝鮮人キムは、任侠人菅野の後ろ盾を得て、力道山と名乗る。また四股名とともに妻、綾を手に入れる。
 幕内で活躍する力道山だったが、大関昇進を理不尽に引き延ばされたことに腹を立て、まげを切って、プロレスに転向する。
 力道山が外人レスラーをなぎ倒す姿は、国民を熱狂に巻き込んだ。だが、力道山夫妻には、本当の安らぎはやってこなかった。
 粗暴な夫にひたすら尽くす、綾の健気な姿が見所。「大丈夫ですよ、きっとうまくいきますよ」と、私も毎日言われたいものである。
 ☆×1.0


3
19日(日)

g@me. 監督:井坂聡 出演: 藤木直人、仲間由紀恵、宇崎竜童、IZAM、石橋 凌(03年)

 広告代理店の若手エリート佐久間は、クライアントの副社長・葛城に自分の企画を潰され、大きな屈辱を味わう。
 怒りにまかせて葛城邸をストーキングしていると、長女の樹理の家出の現場を捉える。これは復讐のチャンスだ。
 樹理からの狂言誘拐の誘いを引き受け、ゲームの始まりとなるのだが、大どんでん返しのストーリーは最高!!
 藤木のヤンエグ振りが鼻に付こうが、ラストのヒロインの態度が理解不能だろうが、東野圭吾原作はどう料理しても最高。
 ☆×2.5

『杉山くんたちは夜専門』 演出:佐々木睦雄 出演: 津田寛治、吉野紗香、峯岸信太郎、杉山文雄、堀江慶(05年)

 町工場の夜勤シフトで働いている男3人のもとに、一人の女性が現れ、3人の誰かからストーカーの被害を受けていると訴える。
 同席の男はストーカー対策の専門屋とのことだが、彼自身も現役のストーカーで、だからこそこの職に向いていると宣言する。
 舞台作品のネットドラマ化。犯人探しはすぐ片が付くが、ストーカーと専門家と被害者と工員のやりとりは、舞台劇の魅力満載。
 ストーカーの心情描写も本作のポイントだが、小生が推したいのは、町工場のしがない工員たちの悲しい立場に触れている点。
 ☆×3.0


3
11日(土)

『ほしのこえ』 監督:新海誠 声優: 武藤寿美、鈴木千尋 (オリジナル版:篠原美香、新海誠)(02年)

 火星の遺跡に現れた異生命体を追うために結成された国連軍。平凡な田舎の中学生、美香子は国連軍に抜擢される。
 同級生の昇と離れ離れになるが、宇宙からメールを送り続ける美香子。地球までの通信時間は8年余り・・・
 時空を超えて送られてくる15歳の彼女からのメッセージが、23歳の昇の胸を締め付ける。
 最終兵器彼女かよっ!て感じですが、コミュニケーションのせつなさを浮かび上がらせる舞台設定には感服。
 ☆×2.5


35日(日)

『電車男』 監督:村上正典 出演: 山田孝之、中谷美紀、国仲涼子、瑛太、岡田義徳、坂本真、西田尚美、大杉蓮(05年)

 あるおたく青年が、電車の中で酔っ払いに絡まれている女性を、勇気を振り絞って助けたことから始まるラブストーリー。
 今まで女性と付き合ったことのない彼だが、ネットの掲示板の住人たちのアドバイスを頼みに、彼女との付き合いを始める。
 大ブームとなった「現代の浦島太郎」の映画版。現実世界ではありえない展開に身悶えです。こんなの嘘だ・・・orz
 エルメス役に中谷美紀というのは、オリジナルファンには( ̄ー ̄) ニヤリッ
 ☆×3.0



34日(土)

『たどんとちくわ』 監督:市川準 出演: 役所広司 、根津甚八、安部聡子、桃井かおり、真田広之、田口トモロヲ(98年)

 毎日毎日、流れる風景を眺めながら客を運び続けるタクシー運転手。鬱屈した日々を送る売れない作家。
 二人の中年男がたどん(炭団:炭を丸めた燃料)とちくわをきっかけに、フラストレーションを爆発させる話。
 たどん編はタクシー運転手が徐々に狂っていく姿が、まあ、うまく演出されているけど、ちくわ編は単なる酔っ払い。
 ラストもよく分からん。2編を無理やりつなげる必要はなかったのでは。
 ☆×0.5

『空の向こう、約束の場所』 監督:新海誠 声優:吉岡秀隆、萩原聖人、南里侑香、石塚運昇、水野理紗(04年)

 津軽海峡で日本が南北に分断されたもうひとつの戦後の世界。高校生の浩紀と拓也は北海道にそびえる高い塔に憧れていた。
 塔に飛び立つための飛行機を作る二人を優しく見守る同級生・沢渡佐由理。3人の幸せな時間は、佐由理の失踪で幕を閉じる。
 南北開戦の砲火の中、夢の世界で一人眠り続ける佐由理とともに、塔に向かう浩紀。佐由理が目覚めるのか、世界が滅ぶのか。
 浩紀の独白ポエムで構成されている作品。舞台設定は謎が多いけど、理系男子属性に萌える女子にはオススメかもしれない。
 ☆×1.5



226日(日)

CURE 監督:黒沢清 出演: 役所広司、萩原聖人、うじきつよし、中川安奈、螢雪次朗、洞口依子、大杉漣(97年)

 特に動機のない一般市民が相手の喉を十文字に切り裂く、非関連連続殺人事件が起こる。
 高部刑事は心理学者・佐久間の助けを得て、記憶障害の放浪者・間宮を重要参考人として確保する。
 「あんた、誰?」点滅する光、ポタポタと落ちる水音の中で投げかけられる間宮の言葉に、尋問する側は尋問される側に一転。
 人間の精神の不確かさに背筋が凍る思いがするサイコホラー。振り払っても振り払っても消えない念慮が残る、嫌ぁな怪作。
 ☆×2.5


2
25日(土)

『いま、会いにゆきます』 監督:土井裕奏 出演:中村獅童、竹内結子、武井証、市川日実子、YOU、小日向文世(05年)

 1年前に妻に先立たれた巧は、ある雨の日、いつもの遊び場の廃墟で、息子とともに、妻の澪と再会する。
 澪は一緒に暮らしていた記憶をなくしていたが、二人と楽しい家族生活を再開する。しかし、巧たちは澪との別れを予感していた。
 「雨の季節に戻ってきます」と言って先立った澪の再生の秘密は?本編か漫画か、原作で確認を。よくできたよみがえりモノです。
 日本一のよみがえり女優の竹内結子(cf『黄泉がえり』『星に願いを』)。ラストの日記中のシーンで見せる決意が超カコイイ!
 ☆×2.5


2
19日(日)

『いぬのえいが』 監督:犬童一心、黒田昌郎ほか 出演:中村獅童、伊藤美咲、宮崎あおい、小西真奈美(05年)

 小学生の山田くんは、空き地で出会ったポチと友達になるが、持病の発作で病院に担ぎ込まれてしまう。
 ポチの一生を描いた中心作の他、犬にまつわる作品を6名の監督が撮ったオムニバス。
 お涙頂戴を狙った月並み演出に鼻白みつつも、まあ、よしとできるのはワンちゃんの魅力故?ポチが凛々しくて素敵。
 でも、一番面白かったのは、ドッグフードのCFを撮るうちにどんどん犬とは関係ない内容になる話。犬とは関係なく楽しめます。
 ☆×1.0


2
15日(水)

THE 3名様 2005・秋は恋っしょ 監督:福田雄一 出演:佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史(05年)

 深夜のファミレスで繰り広げられる、20代フリーター3名様のゆるゆるコント2本目。
 睡眠時間を削ってまで取り組むジャンボの自動車学校話や、バカップルvsパフェ親父やら。
 原作のダメダメ感は、イケメン俳優によって目減りしてますが、前回同様、気負いなく楽しめる一品。
 次回は、ジャンボの運転で、遠くのファミレスに遠征? しねえか、そんなダルいこと。
 ☆×1.0


Super size me 監督・出演:モーガン・スパーロック(05年米)

 3食すべてをマクドナルドの生活を1ヶ月続けるとどうなるか。自らを実験台としたノンフィクションムービーである。
 アメリカ各地のマクドを訪れながら、高脂肪、高カロリー、大量の砂糖に徐々に蝕まれていく体。
 学校給食の惨状や子供をターゲットにした刷り込みCMへの警句など、やや教条的な内容。
 個人的には、ハンバーガーの食い過ぎより、毎日何リットルもの炭酸飲料を摂取する米国人に驚き。ビールにしときなさい!
 ☆×2.0


2
2日(木)

『私のグランパ』 監督:東陽一 出演:菅原文太、石原さとみ、浅野忠信、平田満、波乃久里子(03年)

 刑務所からお爺ちゃんが帰ってくる。五代家の一人娘珠子は混乱するが、人情あふれる祖父にいつの間にか惹かれる。
 ツッパリ中学生や、痴漢や、ヤクザの脅しに敢然と立ち向かう昔気質のグランパ(grand papaas文太。超かっこいい!
 爺ちゃん、孫娘、昔ツッパリ今いい人(浅野忠信)のキャラが秀逸な作品ですが、ストーリー展開がやや消化不足。
 ヤクザに拉致される珠子が見せるエスパー能力がよく分からん。筒井康隆の原作を、BOOK OFFで、暇な時に確かめてみよう。
 ☆×1.0


2
2日(木)

『旅の重さ』 監督:斎藤耕一 出演:高橋洋子、岸田今日子、三國連太郎、高橋悦史、秋吉久美子(72年)

 男出入りの激しい母の元を離れて、少女は四国四十八ヶ所巡りの旅に出る。徒歩の旅は彼女にリアルな疲労を課す。
 人恋しくなったり、人が嫌になったりと、旅の定番症状を発症する彼女は、旅芸人一座と合流したり、行商人に惚れたり。
 高校生のお遍路さんの青さがにじみ出るイメージフィルム。ヒッチハイクを断られて「コンニャロメ」の台詞は時代を痛感。
 若々しいお色気が詰まった作品ですが、それに傾かない行商の兄ちゃんに、「据え膳食わぬは・・・」の諺を手向けましょう。
 ☆×2.0


1月22日(日)

Mr.インクレディブル』
 監督:ブラッド・バード 声優:クレイグ・T.ネルソン、ホリー・ハンター、サミュエル・L.ジャクソン、ジェイソン・リー(05年米)

 全米を救うスーパーヒーローたちは、いつのまにかその強大な力が恐れられ、政府によって取り締まられてしまうことに。
 しがない小市民生活を送っていたMr.インクレディブルだったが、ある日、彼に復讐を誓うシンドロームの罠にかかってしまう。
 家族で力を合わせて悪をやっつける、定番設定の勝利。実写でもそこそこ面白いのが作れたでしょう。カネかかるけど。
 悪役のキャラ設定、ママのバーバーママ振り、カッコいいエンドクレジットが出色。
 ☆×2.5


1月22日(日)

『トイ・ストーリー』
 監督:ジョン・ラセター 声優:トム・ハンクス、ティム・アレン、J・ラッツェンバーガー、アニー・ポッツ、ウォーレス・ショーン(95年米)

 カウボーイ玩具のウッディはアンディのお気に入り。ところが、人気玩具の宇宙飛行士人形・バズがやって来る。
 面白くないウッディだが、トラブルで隣りのいたずらっ子に捕まってしまったことから、脱出のため、バズと力を合わせることに。
 おもちゃが生き生き動き出す、夢いっぱいのアニメ。Peter, Paul &Maryの『Puff The magic dragon』という曲と世界観が通底。
 個人的な感動ポイントは、自分が宇宙飛行士ではなくおもちゃであることに気付き、落ち込むバズの姿。
 ☆×2.5


1月15日(日)

THE 有頂天ホテル』 監督:三谷幸喜 出演:役所広司、松たか子、佐藤浩市、香取慎吾、篠原涼子、YOU06年)

 大晦日のカウントダウンを前に、大忙しのホテル・アヴァンティ。副支配人の新堂は次々と起こるトラブルに対処する。
 汚職政治家、コールガール、アヒルの失踪、愛人騒動に巻き込まれる客室係、鬱の演歌歌手等々、しっちゃかめっちゃか。
 ほんと、5分に一度は笑いが起きるよくできた、シットコム。映画館に足を運んで、他の観客と同化して笑うことをお勧めします。
 気軽に楽しめるエンターテイメントを確信犯的に提供できる、三谷幸喜は最高の職人だ。
 ☆×3.0


1月14日(土)

『溺れる魚』 監督:堤幸彦 出演:椎名桔平、窪塚洋介、仲間由紀恵、IZAM、渡辺謙、伊武雅刀、野際陽子(01年)

 捜査で現金を着服した白州刑事と、婦人警官の制服を盗んだ秋吉刑事は、罪の不問を条件に、内偵捜査員にされる。
 彼らの仕事は、大手写真業者ダイトー社との癒着やマフィアとの関係が噂される石巻刑事の調査だった。
 警察劇ってのは、ほんと、組織関係ドラマになっちゃうなあ。説明文書くだけで5行埋まるっちゅうねん。
 えっと、色々どんでん返しとかありますが、TORICKシリーズの堤監督らしい仲間由紀恵演出が見所ですかね。
 ☆×1.5



1月9日(月)

『ファインディング・ニモ』
 監督:アルバート・スタントン 声優:アルバート・ブルックス、エレン・デジェネレス、アレクサンダー・グルード(04年米)

 カクレクマノミのニモは、初登校の日、友達との度胸試しで人間のボートに近づいた人間にさらわれてしまう。
 妻に先立たれたマーリンは、たった一人の家族を助けるため、ニモを探す旅に出る。
 物忘れの激しいナンヨウハギのドリーや、親切なウミガメ一族の助けを借りて、ニモを探すがどこニモいない。すまん。
 子供の成長、父親の愛、努力、友情、勝利。月並みな映画要素がてんこ盛りのお子様ランチ。たまにはこういうのも美味。
 ☆×2.5


12月12日(月)

『恋するベトナム』 監督:三原光尋 出演:西田尚美、長谷川朝晴、山口翔悟、余貴美子、國村隼(04年)

 2年間に交通事故で亡くなった兄宛てに送られてきた一枚の手紙。夕子はその差出人の女性に会うため、ベトナムに向かう。
 調子のいいバックパッカー山田、人嫌いの大学生須藤と旅を共にしながら、彼女はベトナムの魅力の中で自分を磨いていく。
 深夜ドラマのDVDですが、説明の多い台詞やホテルリゾートのイメージ映像など、物語は添え物の観光案内の感も。
 さはさりとて、全9話の映像を観ていると、いつの間にか自分も彼女たちと共に旅をしている気に。ロードムービー万歳。
 ☆×2.0


12月18日(日)

Bad Santa
 監督:テリー・ツワイゴフ 出演:ビリー・ボブ・ソーントン、トニー・コックス、ブレット・ケリー、ローレン・グレアム(04年米)

 ウィリーは小人症のマーカスと組んで、クリスマスはデパートでサンタと妖精のアルバイトをするが、実は凄腕の金庫破り。
 アル中でバッド・ファッカーなウィリーだが、今年選んだデパートで出会った、デブでさえないガキに付きまとわれてしまう。
 序盤は最低にfuckingなダメサンタにブラックな笑いを向けるが、中盤以降は月並みに泣かせるウェルメイドな展開に。
 “小さい人”の差別ネタをさらりと表現するのはアメリカならでは。邦画派の小生も、こういったセンスには一目置きます。
 ☆×2.5


12月12日(月)

『春眠り世田谷』 監督:山田英治 出演:大森南朋、今井あずさ、紀伊修平、川屋せっちん、永井英里(01年)

 映画を撮るといって会社を辞めた30代男。同棲している彼女のもとで、モラトリアムな生活を過ごす。
 そのうち彼は、自分は何のために存在しているのか、という青臭い悩みに囚われる。
 同じく30代の友人たちに、ぼちぼち子供ができることに焦りと羨みを感じる男。ああ、青臭い。
 オープニングの口げんかシーンのカメラワークが最低。見て5秒で駄作と断定です。
 ☆×0.5


12月10日(土)

『タナカヒロシのすべて』 監督:田中誠 出演:鳥肌実、ユンソナ、宮迫博之、高橋克実、市川実和子、小島聖(05年)

 都内のかつら工場ではたらく田中は、32歳独身の無口なサラリーマン。平々凡々な生活を過ごしている。
 しかし、父親の死をきっかけに、母の病気、リフォーム詐欺、会社倒産、愛猫の病気と、不幸が次々やってくる。
 でも、なぜか女性が寄ってくる田中氏。弁当屋の売り子、巨乳の看護婦さん、俳句サークルの女の子。羨ましい!
 知ったかぶりで俳人・加藤楸邨(しゅうそん)を“しゅうとん”と読んで、振られるエピソードはアイタタタ。とにかく観よう!
 ☆×3.0


12月04日(日)

『クリスマス・クリスマス』 監督:山口博樹 出演:大倉孝二、伊藤歩、生瀬勝久、近藤芳正、柴田理恵、古田新太(04年)

 会社生活は退屈で、恋人とも倦怠期の健太は、怠惰な日常を打破すべく、ファンタジー保存協会に参加する。
 協会は、雪男や河童、人面魚や口裂け女などを「演出」し、世の中に夢をもたらすという、おバカな使命に取り組んでいた。
 クリスマスの夜、偽サンタたちが子供の夢をかなえるために打った素敵な演出は、月並みながらもいい話。
 大倉と伊藤の倦怠期カップルっていう設定はちょい違和感。萌えるでしょ、普通。歩たん、ハァハァ。
 ☆×2.0


THE 3名様』 監督:福田雄一 出演:佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史(05年米)

 夜な夜な深夜のファミレスに集う、20代中盤のフリーターたちのヌルいやり取りを描写した、同名漫画の映画化。
 「週5も働いたら過労死するっつうの!」とか、「俺たちでバンド組まない」とか、もうダメダメで最高です。
 彼らは永遠の20代です。30越えた男子フリーターは映画や漫画じゃなく、週刊誌『SPA!』の取材対象です。
 3名様のうちの一人、まっつんの不気味さが、イケメンのキャスティングじゃ光ってませんけど、まあ、よしとしましょう。
 ☆×2.0


11月27日(日)

Batman Begins
 監督:クリストファー・ノーラン 出演:クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン、渡辺謙、ケイティ・ホームズ(05年米)

 大富豪の息子のウェインは、目の前で両親を追いはぎに殺されてから、悪を憎むが故にダークサイドに身を落とす。
 刑務所を出てヒマラヤの山奥の自警団、影の軍団の下で修行を積むが、彼らの教条的な姿勢と対立し、袂を分かつ。
 故郷に戻ったウェインは、父の会社の色々なプロダクトをアレして、ゴッサムシティを守るコウモリ男として活躍。
 正義って何?というのがひとつのテーマだけど、解釈は無粋。映画を感じましょう。
 ☆×1.5


11月15日(火)

『幻魔大戦』 監督:りんたろう 声優:古谷徹、小山茉美、江守徹、三輪明宏、佐藤正治、穂積隆信、原田知世 (83年)

 飛行機事故に遭った王女ルナは、王女としての身分を捨て、宇宙の破壊をたくらむ幻魔との戦いを誓う。
 時空を超えてめぐり合ったサイボーグ・ベガと共に、探し当てたのは、シスコン気味の高校生・東丈。
 絵柄が大友克洋のキツめの絵で、ちょいとっつきにくい。なぜかみんなツリ目っす。
 角川を通り越して、何か、幸福の科学っぽいという感想は、うがった見方かしらん。
 ☆×1.0


11月1日(火)

『花とアリス』 監督:岩井俊二 出演:鈴木杏、蒼井優、郭智博、相田翔子、阿部寛、大沢たかお、広末涼子(04年)

 女子中学生のハナは幼なじみのアリスと同じ高校に進学し、電車でよく見かける憧れの先輩を追って、落研に入部。
 その先輩が道で転んで意識を失ったのに付け込み、ハナは先輩を記憶喪失と信じ込ませ、自分と付き合ってたことにする。
 アリスも巻き込んだ狂言劇は、ちょい強引の感もあるが、明るい女の子映画に仕上がってます。
 冒頭のなんでもない田舎を走る電車の駅が、野比田・藤子・須根尾・石之森学園・水木・横山等々なのは監督の遊び心。
 ☆×1.5


9月25日(日)

KILL BILL Vol.1、Vol.2』
 監督:Q・タランティーノ 出演:ユマ・サーマン、L.リュー、D.キャラダイン、D.ハンナ、千葉真一 栗山千明(04年米)

 殺し屋毒ヘビ暗殺団の一員だったザ・ブライドは、組織を抜けようとしてリンチに会い、夫とお腹の中の子供を失ってしまう。
 4年ぶりに昏睡状態から目覚めた彼女は、自分を不幸のどん底に突き落とした5人、とりわけリーダーのビルへの復讐を誓う。
 時間軸をずらす演出、スピード感あふれるアクションシーン、冷めたストーリー展開は、久しぶりのタランティーノ節。
 最高のシーンはビルとの対決じゃなくて、前半のオーレン編。ヤクザ100人斬り!千明たんの萌え萌え砲丸アタックがサイコー。
 ☆×3.5

9月23日(金)

DEAD A GOGO!』 監督:山内大輔 出演: 稲積衣里、片樹成穂、堀伊正人、相沢知美、サーモン鮭山(99年)

 自殺した人たちをゲストに招き、死と生の苦しみを秤にかけた状況をインタビューするレポーター。
 借金苦、不倫、神経症、いじめ、首吊り、飛び込み、リストカット・・・
 冒頭に、本作が単なる残酷映画ではないという、もっともらしい文句が出てくるが、単なるエログロ映画。
 発禁になっても、映像界にとって痛くもかゆくもない駄作。
 ☆×0.5


9月13日(火)

Dead End Run 監督:石井聰亙  出演:伊勢谷友介、永瀬正敏、浅野忠信、粟田麗、ロバート・ハリス、市川実日子(03年)

 敵から逃げる男。物陰の影に身を潜めるが、怪しい人影が。鉄パイプで殴りつけるとそれは見ず知らずの女。女は踊りだす。
 敵から逃げる男。物陰から現れる敵と対峙する男。笑い、抱擁、そして銃声。
 警官の拳銃を奪ってマンションの屋上に逃げる男、屋上にいた少女を人質に。少女は日常からのダイブを試みる。
 逃げる男たちのオムニバス。大学生が作ったかのようなインディーズ臭は石井御大ではないですか。浅野忠信だけ見所。
 ☆×0.5


9月4日(日)

『プライド 運命の瞬間』 監督:伊藤俊也 出演: 津川雅彦 、S・ウィルソン 、R・コックス、大鶴義丹、いしだあゆみ(98年)

 連合国が敗戦国日本を裁いた東京裁判。その実情を、東條英機とインド代表判事バールを通して描く問題作。
 被害者が加害者を裁いていいのか、戦勝国には戦争犯罪は問えないのか、弁護側の反問は却下され、審議は進む。
 8時間かかる映画『東京裁判』の恣意的なダイジェスト版といった風。東條が天皇陛下の戦争責任をかわす論述あたりがヤマ場。
 しかし、法廷で歌舞伎が始まったり、不必要なスローモーションが入ったり、演出はひどすぎ。国辱モノですぞ。
 ☆×1.0


8月23日(火)

『茶の味』 監督:石井克人 出演:坂野真弥、佐藤貴広、浅野忠信、手塚理美、我修院達也、三浦友和(04年)

 自分の分身の視線に悩まされる幸子、片思い高校生の兄、アニメータ復帰を目指す母、さえない催眠療法士の父
 春野一家はそれぞれが何ともいえないモヤモヤした、それでいてほんのりした悩みを抱えていた。
 同監督の『PARTY7のような、バカな台詞回しがイカす怪作。だけど、ストーリーはまったりとしたファミリーもの。
 浅野忠信のヘンな兄ちゃんぶりに拍手。美しい田園風景描写に敬礼。訳分からん映画だけど、のほほん。
 ☆×3.0


8月12日(金)

『リンダリンダリンダ』 監督:山下敦弘 出演:ペ・ドゥナ、前田亜季、香椎由宇、関根史織、三村恭代、湯川潮音、甲本雅裕(05年)

 高校の文化祭でバンドをやることになってた恵は、ギタリストの怪我とヴォーカルの脱退を受け、新メンバーを迎えることに。
 選んだメンバーはたまたま通りかかった韓国人留学生のソン。演目はジャパンロックの古典、ブルー・ハーツ。
 キャラの書き分けが甘いとか、いらん演出が多いとか、不満な点は多いけど、ブルーハーツがかかればそんなの気にならない。
 どう料理しても、ブルーハーツというマヨネーズをかければ、万人受けする一品の出来上がり。
 ☆×2.5

『姑獲鳥の夏』 監督:実相寺昭雄 出演:堤真一、永瀬正敏、阿部寛、宮迫博之、原田知世、田中麗奈、いしだあゆみ(05年)

 雑司が谷の産婦人科の令嬢が20ヶ月もの間、妊娠しているらしい。小説家の関口は怪奇雑誌のデスクを通じ事件に関わる。
 彼と旧知の古本屋の中禅寺、自称探偵の榎木津、暴力刑事の木場も、産院を舞台にした失踪・殺人・怪奇事件に引き込まれる。
 京極夏彦小説の実写化だが、原作を知らないと全然ストーリーについていけないだろうな。こんなん5行にまとめるの無理。
 んな訳で、小説読んでない人には虚無の批評。阿部寛と田中麗奈はGOOD。堤と永瀬は微妙。宮迫は妙味。
 ☆×1.0


8月11日(木)

『ロボコン』 監督:古厩智之 出演:長澤まさみ、小栗旬、伊藤淳史、塚本高史、うじきつよし、須藤理彩、鈴木一真 (03年)

 高専に進学したもののやる気が起きないダメ学生の里見は、居残り授業を免除される代わりに第2ロボット部に入部させられる。
 ロボットコンテスト(ロボコン)の常勝チームの第1ロボット部とは違い、第2ははみ出し者たちの集まりだが、偶然地方大会を突破。
 メカメカしい理系の世界を舞台にした青春映画。月並みな展開で全国大会で優勝しちゃうのだが、でも面白いんだよ。
 個人的には高校部活モノは何をやっても面白いと思ってしまう箸転状態。昔に何かあったのか?
 ☆×2.5

『ショコキ』 監督:マギー 出演:純名里沙、河相我聞、モト冬樹、遠藤憲一、大島蓉子、深水元基、本田博太郎(01年)

 都会のど真ん中にある高層ビルのエレベータが、突然故障。偶然乗り合わせた6人が中に取り残されてしまう。
 ピザ屋、地味なOLTVプロデューサー、リストラされた会社員、おばちゃんに謎の男。密室の極限状態でのコメディが展開。
 同じく隣りのエレベータに閉じ込められたお笑いグループが考える、映画のネタとシンクロして物語は進んでいく。
 お笑いグループジョビジョバのリーダー、マギーが初監督した映画とのことだが、フィルムじゃなくて舞台劇に向いてる脚本かも。
 ☆×1.5


8月7日(日)

『半落ち』 監督:佐々部清 出演:寺尾聡、原田美枝子、吉岡秀隆、鶴田真由、国村隼、伊原剛志、柴田恭平(04年)

 アルツハイマー病の進行に悩む妻を殺したとして、現職警察官の梶が自首してくる。彼は落ち着いて自分の罪を語るが・・・
 妻を殺してから自首してくるまでの2日間について、捜査官の志木は疑問を抱くが、梶の口からは真実を引き出すことができない。
 県警と検察庁が喧嘩しながらももみ消されようとしたその事実は、実はそんなに隠すような話でなく、単なる美談。
 最近の警察モノって組織劇が多いけど、この物語もそんな組織描写に力を入れてみただけの凡作です。
 ☆×0.5


7月25日(月)

『この世の外へ クラブ進駐軍』 監督:阪本順治 出演:萩原聖人、オダギリジョー、MITCH、松岡俊介、村上淳(03年)

 敗戦から2年後、米国基地内のショークラブで雇ってもらうために集まった、日本人ジャズバンド・ラッキーストライカーズ。
 しかし、クラブのマネージャーのジムらの評価は厳しい。でも、焼け跡の中で価値観がこんがらがった彼らにはジャズしかなかった。
 やがて朝鮮戦争が起き、再び戦地に送られるジムたち。彼がラッキーストライカーズに残した曲のタイトルが「この世の外へ」
 キャラの特長がもひとつ役者と一致しないですが、まあ、ウェルメイドな一品。ヂャズ好きと戦後風景が好きな人なら面白いか。
 ☆×1.5


7月24日(日)

CAT'S EYE 監督:林海象 出演:内田有紀、稲森いずみ、藤原紀香、原田喧太、山崎直子(97年)

 ♪み〜つめるキャッツアイ、マージプレイダンシン、み〜どり色に光〜る、と3姉妹怪盗の実写映画化。
 画家である父の行方を捜すため、名画を盗み続ける彼女たちに立ちふさがる、暗黒組織の紅龍団。
 何やら因縁めいた話になってくるのだが、とにかくよく分からん展開。業務上過失の罪に問われても仕方がない内容。
 長姉の泪に藤原紀香、末妹の愛に内田有紀はまあいいけど、稲森の瞳役はダメダメ。コスチュームも失笑もの
 ☆×0.5


7月10日(日)

『死ぬまでにしたい10のこと』
my life without me) 監督:イザベル・コヘット 出演:サラ・ポーリー、マーク・ラファロ、スコット・スピードマン(02年スペイン・カナダ)

 アンは失業中の夫と幼い娘二人とともに、実家の庭のトレーラーハウスで暮らす。貧しいが楽しい日常を病魔が奪う。
 卵巣ガンで2ヶ月の命と宣告されたアンは、死ぬまでにやりたい10項目を日記にしたため、実行に移す。
 「夫以外の男の人と付き合ってみる」アンだが、それは項目のひとつ。残される家族のためにしたいことは4つもある。
 誰もが考えたことのある、死ぬまでに何をすべきかということ。映画を見た後、あらためて考えさせられてしまう、設定の勝利。
 ☆×2.0


7月9日(土)

『誰も知らない Nobody knows監督:是枝裕和 出演:柳楽優弥、北浦愛、木村飛影、清水萌々子、韓英恵(04年)

 明の家は、母ひとり子ども四人の大家族だが、大家さんには単身赴任中の父を待つ二人家族と嘘をついている。
 時々長い間留守にする母親の代わりに、明が姉妹たちの親役を務めていたが、ある日から、母親が帰ってこなくなる。
 電気を止められ水も止められながらも、一家を率い明はサバイバル。でも、友だちがほしい、学校にも行きたい。
 人知れずしっかり生きる、子どもたちの逞しさと幼さが見所なのかなあ。体感時間はちょっと長め(実際2時間超の長編だけど)。
 ☆×1.5


6月19日(土)

『モーターサイクル・ダイアリーズ』
The Motorcycle Diaries) 監督:ウォルター・サレス 出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、ロドリゴ・デ・ラ・セルナ(04年米・英)

 医学生のエルネスト・ゲバラが、友人のベルナルトと南米周遊の旅に出る。相棒はおんぼろバイクの”怪力号”。
 キューバ革命の英雄ゲバラの青春時代を併走した、友人とバイクに関する映画。(といっても前半でバイクは壊れるけど)
 ブエノスアイレスの都会から出て、貧しい農夫、銅山の労働者、アマゾンの川辺に隔離された病人に出会うゲバラ。
 とにかく突っ走る青春ロードムービーとしての本作の性質を、まずは評価したい。革命に関する記述は続編で。
 ☆×2.0


『犬猫』 監督:井口奈己 出演:榎本加奈子、藤田陽子、忍成修吾、小池栄子、西島秀俊(04年)

 中国へ留学するアベチャンの家に住むことにしたヨーコのもとへ、旧友のすずが転がり込んでくる。彼女はヨーコの天敵。
 男の趣味が同じで、元・彼の古田を取られたヨーコだが、彼から逃げてきたすずと、なんとはなしの共同生活を始める。
 井口監督自身の自主映画(8mm)のリメイク。女の子の日常と友情と感情をのんびりと描いた風景作。犬・猫はアクセント。
 東京の近郊(杉並区近辺)が舞台。街々しい雰囲気ではなく、住宅地っぽい東京の雰囲気が、最近好きです。
 ☆×2.0


6月18日(土)

『恋愛寫眞』 監督:堤幸彦 出演:広末涼子、松田龍平、小池栄子、ドミニク・マーカス(03年)

 誠人は、元カノの静流を追ってNYへ向かう。彼女が死んだという噂と、彼が受け取った静流の手紙の真偽を確かめるため。
 彼女が暮らしたNYをカメラで切り取ることにした誠人は、いったんは挫折したカメラマンの夢に近づくとともに冷たい事実に直面。
 『TORICK』シリーズでおなじみの堤監督のおもしろ演出に興ざめしつつも、冷たい事実はそのままに。
 不思議ちゃんキャラが似合ったヒロスエと、点描される写真のスライドショーが見所。タイトル名と山下達郎の主題歌は最低。
 ☆×2.0


6月12日(日)

『幸福の鐘』 監督:SABU 出演:寺島進、篠原凉子、鈴木清順、板尾創路、塩見三省、益岡徹(04年)

 道を歩いてたらヤクザが死んで犯人に間違われて、そんで事故に遭って入院したら宝くじが当たったけど、盗まれてしまう。
 ビリヤードの玉のように男は運命を淡々と転がる。とにかく、ひたすら男が歩き、様々な人の人生と行き交う、そんな話。
 SABU監督の映画は、ハプニングを走り抜ける展開が売りだが、本作は寡黙な男の歩きを中心においた異色作。
 それぞれのエピソードは単なる挿話。冗長ともいえる展開、何じゃそれ、というラスト、でも、個人的にはアリな映画。
 ☆×2.0


6月5日(日)

『アイデン&ティティ』 監督:田口トモロヲ 出演:峯田和伸、中村獅童、大森南朋、マギー、麻生久美子(04年)

 バンドブームが過ぎ去り、『悪魔とドライブ』でスマッシュヒットを放ったスピードウェイも、苦境に立たされていた。
 売れるための詞ではなく、本当のロックを追い求める中島の元に、ある日ボブディランが訪れる。
 みうらじゅんの漫画の映画化なんだが、ハーモニカの調べにかぶさるディランのメッセージは、映像化しにくかっただろう。
 インディーズバンドの青臭さをひとつの売りにした映画だが、その青臭さを共有できる世代じゃないと、ちょいしんどいかも。
 ☆×1.5


5月29日(日)

『下妻物語』 監督:中島哲也 出演:深田恭子、土屋アンナ、宮迫博之、篠原涼子、樹木希林、阿部サダヲ (04年)

 茨城の農村地帯下妻市に住む桃子は、ロリータファッションに身を包む、超自己チュウの高校生。
 友達なしの彼女のもとに特攻服に身を包んだイチゴが現れる。彼女は仏血義理のヤンキー。
 両極端の彼女たちはなぜかなんだかいいコンビに。前半のジャスコネタは、農村出身者は爆笑モノ。
 「人はひとりじゃ生きられないなんて、だったら私はミジンコでいいい」という桃子の主張は、爆笑のち鬱。
 ☆×2.5


5月26日(木)

『ジョゼと虎と魚たち』 監督:犬童一心 出演:妻夫木聡、池脇千鶴、上野樹里、新屋英子、新井浩文、大倉孝二 (03年)

 大学生の恒夫は、バイト先の麻雀店で話題になっていた何年も乳母車を引く老婆と遭遇。中には不思議な少女が。
 生まれつき足が不自由で、家の中で本ばかりを読んでいる少女は、自分のことをサガンの小説にちなみジョゼと名乗る。
 ユニークな不思議ちゃんを演じる池脇千鶴のゆっくりとした関西弁は、図らずも小生のツボ。
 ありがちなヒューマンもの、恋愛ものとは一線を画した、独特の魅力あり。出会いと別れを印象的に紡ぎあげた快作。
 ☆×3.0


5月21日(土)

『さよなら、クロ』 監督:松岡錠司 出演:妻夫木聡、伊藤歩、新井浩文、金井勇太、佐藤隆太、田辺誠一 (03年)

 長野県の高校にまぎれこんだクロは、学校に住み着くようになり、やがて欠くことのできないメンバーの一員となる。
 10年前にクロの第一発見者、亮介は獣医になっていた。久々に母校を訪れた彼は、クロが重病であることに気付く。
 学生たちの募金活動、学校葬と、たかが犬に学校組織が、固いこと言わずに一体になるのは何かいい。
 亮介と死んだ親友の孝二とクラスメイトの雪子との三角関係は、本物語の添え物。食べずに残していいです。
 ☆×1.5


『解夏』 監督:磯村一路 出演:大沢たかお、石田ゆり子、冨司純子、松村達雄、田辺誠一、柄本明、林隆三(03年)

 小学校教師の隆之は、突如ベーチェット病という難病にかかり、徐々に視力を失っていく。
 恋人の陽子のもとを黙って去り、故郷の長崎に帰った隆之。彼のもとに、陽子が駆け付け、彼の目になりたいと申し出る。
 視力を失うということは、健常者からみれば大変な恐怖。本作品ではそれを行とし、失明がその行の終わり“解夏”と説く。
 映画はそこで終わっちゃうけど、その後、二人がが現実に倦み疲れ、それでも支えあって生きていくことこそ行では?
 ☆×1.0


5月15日(日)

『我等の人生の最良の年』
The best years of our lives) 監督:W.ワイラー 出演:ドナ・アンドリュース、F.マーチ、H.ラッセル、テレサ・ライト(46年米)

 第二次世界大戦から復員した、フレッド、アル、ホーマーの3人は、同郷の戦友だが、彼らを待つのは厳しい現実。
 フレッドは輝かしい軍歴を挙げながらも失業者、銀行員のアルは職場復帰を果たすが貸し渋りのスタイルになじめない。
 要約すると、戦争で両手を失ったホーマーと恋人ウィルマの純愛の裏で、フレッドがアルの娘ペギーとできちゃう話。
 苦渋に満ちた復員兵たちの生活を題材にしながらも、ハッピーエンドの恋愛モノにしちゃうあたりは、流石メリケン映画。
 ☆×1.0


5月8日(日)

69 sixty nine 監督:李相日 出演:妻夫木聡、安藤政信、金井勇太、太田莉菜、柴田恭平 (04年)

 佐世保の高校生ケンは、仲間たちとダラダラとした日常を送っていた。楽しければそれでいい、が彼の信条。
 折りしも学生運動が華やかしい'69年。ケンはアダマ、イワセたちと、愉快犯的に学校のバリケード封鎖を画策する。
 若々しい単純な行動原理で動く彼らの姿は、理屈ばかりの大学生活動家たちよりも共感が持てる。
、当時の運動家たちの大半も、実は根っこはそんなだったのかもしれない。
 ☆×2.5


4月10日(日)

『あいつ』 監督:木村淳 出演:岡本健一、石田ひかり、浅野忠信、フランキー堺、 岸部一徳 (91年)

 東京に洪水が来ることを願っている光は、いじめっ子の貞人に重症を負わされてから、なぜか超能力者に。
 貞人に喧嘩で勝つことができた光を、貞人がしつこく付きまとう。光の彼女の雪を誘拐したり、自衛隊に誘ったり・・・
、他にも、宇宙人を自称する雪の祖父、家族とはなれテントで自活する光の父など、不思議なキャラで構成された作品。
 体感時間が長い、意味が分からない、照明が暗くて夜のシーンは見にくいなど、自主映画テイスト満載の奇作です。
 ☆×1.0


4月10日(日)

『世界の中心で愛をさけぶ』 監督:行定勲 出演:大沢たかお、柴咲コウ、長澤まさみ、 森山未來 、山崎努(04年)

 朔太郎は結婚を間近に控えていたが、婚約者の律子が突然彼の故郷である四国へ失踪してしまう。
 故郷に帰った朔太郎。白血病で死んだ高校時代の恋人、アキとの想い出が生々しく蘇る。
、病床で最後に残した彼女のメッセージが、二人の男女を動かす。でも、「生き残った者にできるのは、後片づけだけ」
 大ヒット作品に対し、斜に構えてにとやかくは言いませんが、サクは墓を荒らしすぎだと思う。
 ☆×1.5


3月13日(日)

『巌流島』 監督:千葉誠治 出演:本木雅弘 、田村淳、金子昇、吉岡美穂、中川家、羽賀研二、筧利夫、西村雅彦(03年)

 宮本武蔵は実は鬼畜系だった?なりふり構わず男は殺すし女は犯す。
 そんな裏説にのっとり、彼が、細川藩の思惑で佐々木小次郎と決闘しちゃう物語。小次郎惨めなり。
 バカっぽいコメディ路線で1時間強の短時間をひっぱってくれる、お気楽娯楽路線。
 特に書いておきたいことはないですが、あえていうなら、ラスト近くの武蔵の剣劇が無駄にカッコイイっす。
 ☆×1.5


2月27日(日)

『ハウルの動く城』 監督:宮崎駿 声優:倍賞千恵子、木村拓哉、三輪明宏、我修院達也、神木隆之介 (04年)

 帽子屋で働くソフィ-は、街で美青年の魔法使いハウルに出会う。それが荒地の魔女の嫉妬を買ってしまう。
 魔女の呪いで老婆にされてしまったソフィー。彼女は街の果てで、ハウルの住処である不思議な城の住人となる。
 強引グ宮崎ウェイ。中世的魔法の世界に、スチームパンクなメカと、おたくウケしそうな少女、動物、子供をトッピング。
 意味、理屈、物語を超越した宮崎ワールド。こんな映画を多数のファンに支持されて撮れる監督は幸せ。
 ☆×1.0


2月13日(日)

『ナイトオンザプラネット』
Night on the earth 監督:ジム・ジャームッシュ 出演:ウィノナ・ライダー、ジーナ・ローランズ、ベアトリス・ダル (91年米)

 真夜中のタクシー車内で繰り広げられる、運転手と客の会話のオムニバス。
 ロサンジェルスで、NYで、パリで、ローマで、ヘルシンキで、夜をリレーするかのような小宇宙の物語。
 5つの物語は全くの非関連。舞台設定のみ共通。コント集みたいなもんか?
 LA編で、W.ライダーが演じる誇り高きタクシードライバーがカッコイイ!
 ☆×2.0


2月6日(日)

『パッチギ』 監督:井筒和幸 出演:塩谷瞬、沢尻エリカ、高岡蒼佑、真木よう子、小出恵介、オダギリジョー(05年)

 康介は担任の命令で、ケンカに明け暮れる朝鮮高校を訪問し、番長アンソンの妹キョンジャに一目惚れ。
 彼女が演奏してた「イムジン河」を弾きたいためにギターを習い、朝鮮語辞典も買って、熱心に彼女へアプローチ。
 在日朝鮮人に関する関西方面のリアルな雰囲気を伝えながらも、一級のエンターテイメントに仕上がってます。
 担任の左翼ぶりとか、近所のヒッピー兄ちゃんとか、60年代の雰囲気もよし。やや冗長の感もあるが及第点。
 ☆×2.0

『グリーンマイル』
The Green Mile) 監督:フランク・ダラボン 出演:トム・ハンクス、デヴィッド・モース 、ボニー・ハント(99年)

 幼い姉妹を殺害したとして、死刑を宣告されたジョン・コーフィーが、看守ポールの元に送られてくる。
 ジョンは不思議な力でポールや刑務所長の妻の病気を治す。また、人の痛みを感じる優しい心を持っていた。
 どうしても彼が残虐な犯罪を起こしたと思えないポールだが、真実を知っても、悲しい現実を避けることはできない。
 電気椅子に向かう道、グリーンマイルを歩くポールは、世界中の罪咎憂いを一身に背負った聖者のようであります。
 ☆×2.5

2月3日(水)

GO!』 監督:矢崎充彦 出演:高田宏太郎、椋木美羽、美保純、伊集院光、山崎努(01年)

 高校生の康介はピザ配達のバイト中に出会った、年上の美人カメラマン、令子に一目惚れ。
 しかし、彼女は実家の長崎に帰ってしまう。康介は自分が焼いたピザを届けるため、スクーターで長崎を目指す。
 若者が無軌道に突っ走る、典型的な青春ロードムービー。ストーリー構成が粗いですけど、まずまず良品。
 窪塚映画と同タイトル。両方に出演している山崎努のライダー姿が、バカでカッコイイ。「風を感じたか?」
 ☆×2.0


1月29日(土)

『黒い家』 監督:森田芳光 出演:内野聖陽、西村雅彦、田中美里、大竹しのぶ(03年)

 生命保険会社の主任、若槻は、ある契約者から呼び出され、子供の首吊り自殺の第一発見者となってしまう。
 事件と事故の両面から捜索が続けられるが、保険金は結局支払われる。しかし、その後、新たな事故が。
 保険金詐欺を舞台としたサイコスリラー。才走ったカット割とか、暗闇の中で繰り広げられるカメラワークにイライラ。
 大竹しのぶのサイコ演技がコワー、だけど、偽乳にはワロタ&萌エタ。
 ☆×1.0

『プウテンノツキ』 監督:元木隆史 出演:吉永秀平、北川千恵、はだ一朗、野口貴史、秋満保子(01年)

 無職でヒモの八太は、彼女のミサキに依存し、友人のテツローに依存しの、幼稚なプータローだ。
 大人になることができずに、他人の後ろをついて行かなければ生きていけない、未熟なぷうが目指す空は?
 八太「上見てると首が疲れるんだよ!」 テツロー「下向いてると飛べないだろうが!」
 …この手の物語見てると、ダメ男に惚れる女というのが一定需要あるのかと勘違いしかねません。
 ☆×1.0


1月22日(土)

『クィール』 監督:崔洋一 出演:小林薫、椎名桔平、香川照之、戸田恵子(04年)

 ゴールデンレトリバーのクィールは、盲導犬として様々な別れと出会いを繰り返す。
 訓練所に入るまでの生後1年までという限定期間で、子犬に人間に愛されることの喜びを伝えるボランティア。
 パピーウォーカーというそうなんですが、こんなせつない仕事があるんですなあ。小生ネコ派ですが感動しました。
 特段エキセントリックな演出があるのではなく、素材を切って並べただけの刺身的映画ですが、まずまず美味です。
 ☆×2.0

『クルシメさん』 監督:井口昇 出演:新井亜樹、唯野未歩子、なにわ天閣、鈴木卓爾、松梨智子(97年)

 愛する人ができるとその人を傷つけたくなる性癖のせい、ユキは、いままで様々な衝突を経験してきた。
 彼女の同僚ユキは、舌の奇形をコンプレックスに持ち、口をマスクで隠したまま生活をしている。
 そんな彼女たちが友人関係になり、お互いを傷つけあう羽目になるという、メンタルヘルスドラマ。
 「また、やってしもうたぁ」と、自分をトラブルの起こる方、起こる方に持っていってしまう、自爆癖の人は必見。
 ☆×1.0


1月15日(土)

IKKA:一和』 監督:川合晃 出演:國村隼 、秋野暢子 、三浦誠己 、西興一朗 、諏訪太朗 (02年)

 次男、勇の二十歳の誕生日にファミレスに集まった太田一家。なぜか父親のポケットには拳銃が。
 勇が何気に弾いた引鉄により、家族は立て篭もり犯になってしまう。
 ピザ屋とは仮の姿、その実態は逃がし屋の父が、家族を逃がした後、綿密な作戦で脱出を図る姿が出色。
 自主映画の名門、PFF(ぴあフィルムフェスティバル)のスカラシップ作品らしく、小奇麗にまとまった小品。
 ☆×2.5

『コンセント』 監督:中原俊 出演:市川実和子、村上淳、つみきみほ、木下ほうか、小市慢太郎、芥正彦(01年)

 引きこもりの兄が餓死してから、妹のユキは嗅覚異常に悩まされることになる。
 兄と父の家庭内暴力に悩まされた日々、自身の大学生時代の不倫経験、そんなフラッシュバックの連続。
 原作の臭みを、中原監督がうまくさばいてくれているとのことですが、なんかもひとつですな。
 “コンセント”とは?主電源?、接続経路?コミュニケーション?。ああ、中途半端な表現だわな。
 ☆×0.5


12月26日(日)

『きょうのできごと』 監督:行定勲 出演:田中麗奈、妻夫木聡、伊藤歩、三浦誠己、松尾敏伸、池脇千鶴(03年)

 京都の大学院に進むことになった友人の引越し祝に集まった友人たちのドンチャン騒ぎ。
 テレビのニュースからは、浜に打ち上げられたクジラ、ビルの壁に挟まれて動けない男の救出劇が。
 なんでもない日常の世界に生きる私たち。そんな世界を取り巻くなんでもないできごと。
 自身の怠惰な大学生活生活なんぞを回想。こういう日常劇はLOVE!キャストの関西弁は、なかなかナイス。
 ☆×2.5


12月19日(日)

『呪怨』 監督:清水崇 出演:奥菜恵、伊東美咲、上原美佐、津田寛治、藤貴子(02年)

 強い怨念をもって殺された者の思いが業となって蓄積され、その呪いに触れた者も命を失い、また、新たな呪いとなる。
 かつて殺人事件があった家屋に住んだ住人、介護バイトの理佳、刑事とその娘はそんな業に巻き込まれる。
 ジャパニーズ・ホラーはノーチェックだったのだが、どうやら自分の領域ではなさそう。物語性と恐さのバランスが中途半端。
 まあ、でも、大人より子供がヌボーと出てくるのが恐いのも事実。『シャイニング』の双子と同じで嫌やあな感じ。
 ☆×1.0


11月30日(火)

『サマーヌード』 監督:飯塚健 出演:野波麻帆、古屋暢一、今井雅之、 あさりど、 きたろう、 具志堅用高、香坂みゆき(02年)

 帰省中の女子大生と出会う現地の青年、結婚20周年を迎える夫婦、初エッチを目指すカップルたち、占い好きの定食屋。
 南の島を舞台に、そんな彼らの一日を描いた群像劇。色んなドラマが混載する魅力は、SABU監督作品のようなテイスト。
 登場人物が多いながらも、メリハリが効いてて飽きさせないストーリー。どうせなら全員ハッピーエンドにしてほしかったな。
 ハイロウズとブルーハーツの曲が、ふんだんに使用されてます。エンディング「日曜日よりの使者」は『ゼブラーマン』とカブり。
 ☆×3.0



11月23日(火)

『ロード88〔出会い路、四国へ〕』 監督:中村幻児 出演:村川絵梨、小倉久寛、須藤理彩、津田寛治、長谷川初範(04年)

 スケボーを走らせ四国八十八ヶ所巡りをする女子高生明日香は、骨髄性白血病に冒されていたが、懸命に遍路路を進む。
 そんな彼女の姿に、TV番組の企画で自転車遍路をする売れない芸人勇太、娘を同じ病で亡くした伴野も勇気付けられる。
 近年流行りの四国を舞台に難病モノを作ればイケるのでは、という狙いはややハズレ。やっぱ映画は企画だけじゃダメです。
 あざとい演出と勇太の寒いギャグには辟易するけど、四国を経巡る風景描写で退屈さをリカバリー。でも、ホノルルロケは不要。
 ☆×1.0


11月15日(月)

『スウィングガールズ』 監督:矢口史靖 出演:上野樹里、貫地谷しほり、本仮屋ユイカ、平岡裕太、竹中直人(04年)

 補修をサボる目的で吹奏楽部の代役を引き受けた友子たちは、結局演奏の機会は逃すがジャズ演奏に心を奪われる。
 ダラダラ女子校生たちの素人音楽活動は、メンバー集め、楽器調達、演奏場所、指導者と、苦労を重ねる。うん定番だ。
 『ウォーターボーイズ』の構図をそのまま女の子バンドに当てはめた企画。山形弁がかわいいんだずー。
 あざといけど予定調和の傑作。『青春デンデケデケデケ』、『がんばっていきまっしょい』等とともに、高校部活映画殿堂入り!
 ☆×3.5


11月7日(日)

『ザ・ハリウッド』 監督:野村恵一 出演:喜多見英明、マイケル・タバート、宮川サキ、白雪、竹橋団、芦屋小雁(98年)

 京都のビデオ屋で宅配ビデオのバイトを始めた次郎。邦画ファンの同僚ロバートと当初は対立するが、そのうち友人に。
 次郎も仕事を憶え、馴染みの客にも可愛がられていた頃に、ロバートの恋人エレナが密輸幇助容疑で逮捕される。
 ロバートは旅に出ていなくなってしまい、宅配先の老人や店長の家庭のエピソードが中心に。それぞれ消化不良の感。
 劇中、「あなたの人生で一番大切な映画は?」という質問に街中の人が答えてますが、本作は対象になりえないでしょう。
 ☆×0.5


10月31日(日)

ekiden〔駅伝〕』 監督:浜本正機 出演:伊藤高史、田中麗奈、仲村俊介、別所哲也、小倉久寛、羽場裕一(01年)

 名門大学の駅伝部だった壮介は、横須賀造船に入社し廃部になっていた駅伝部を立て直すべく奮戦。
 一方同期の早川はエリート実業団企業にスポーツ入社するが、心臓病により長距離走断念の危機に立たされる。
 仲間集め、エリートと草魂の対比、走りつづけることの喜び、チームワーク、まあ物語のエッセンスがテンコ盛り。
 個人的には、田中麗奈もさることながら、組合幹部大森と経営側八木の労使を越えた共闘に感動だと。
 ☆×3.0

10月24日(日)

『お父さんのバックドロップ』 監督:李闘士男 出演:宇梶剛士、神木隆之介、南方英二、生瀬勝久、南果歩(04年)

 一雄のお父さんは、B級リーグ新大阪プロレス所属の中年レスラー牛之助。一雄は父親の仕事が恥ずかしくてたまらない。
 しかし牛之助は息子に自分の生き様を示すため、最強空手家ロベルト・カーマンに挑戦状を叩きつける。
 通常なら1RKOの試合展開。でも、不屈の精神力で立ち向かう牛之助。予定調和のラストでも、これは全面支持でしょ。
 故・中島らも原作の映画化。コテコテベタベタの演出だが、これはこれでよし。大河ドラマの西郷隆盛役、宇梶が好演。
 ☆×2.5


10月23日(土)

『眠らない街 新宿鮫』 監督:滝田洋二郎 出演:真田広之、奥田瑛二、浅野忠信、田中美奈子、室田日出男(93年)

 上層部の秘密を握り危険視され、現場からも忌み嫌われる新宿署の刑事鮫島は、無慈悲な新宿鮫と呼ばれていた。
 改造拳銃による連続警察官殺人の裏に、ホモの密造屋木津が絡んでいると睨んだ鮫島は彼のアジトを探る。
 木津にカマを掘られそうな所を救われ、一目散に女の所に走る鮫島が人間的。でも彼女役はちょい力量不足の感。
 本作は大沢在昌作の人気シリーズだが、映画はこれで打ち止めにするつもりの演出。ラストカットはまあよし。
 ☆×1.0

『草の上の仕事』 監督:篠原哲雄 出演:後藤直樹、太田光(01年)

 高原の草刈に乗りこむ草刈職人とアルバイト。バイトの方は要領が悪く、職人にどなられっぱなし。
 休憩時間に交わされるお互いの身の上話、何となく心が通うようになるが、バイトは今日限り。
 真夏の日差しの中、むっとした草いきれの中で働く二人の若者。16ミリで撮られる淡々とした映像。
 個人的には、怒鳴られてばっかりだった引越しのバイトの時の感覚を思い出しました。
 ☆×1.5


10月16日(土)

Party7』 監督:石井克人 出演:永瀬正敏、浅野忠信、堀部圭亮、小林明美、岡田義徳、原田芳雄(01年)

 ヤクザから盗んだカネを持って場末のホテルに隠れる三木の下に、元カノのカナと彼女の婚約者トドヒラがやってくる。
 そんなドタバタの一部始終を、覗き魔のオキタとキャプテンバナナが隠し部屋から覗いていた。
 7人のうち若頭役はほとんど出番がなくキャラが立っていない。ホテルマンのやり取りの方がおもろいのに。惜しい!
 設定はともあれ、台詞の一つ一つが真剣にバカを追求しています。永瀬・浅野コンビが再び送る、最高のバカ映画!
 ☆×2.5


10月10日(土)

DISTANCE 監督:是枝裕和 出演:ARATA、伊勢谷友介、寺島進、夏川結衣、浅野忠信(01年)

 「真理の箱舟」がウィルステロを起こしてから3年。教団に殺害された実行犯たちの遺族は遺骨が撒かれた湖を訪れる。
 車が盗まれ山奥に取り残される彼らは、偶然居合わせた元信者の男と一夜を明かし、自分たちの家族の姿を思い描く。
 信者たち世界とこちら側の世界、肉親たちと自分の世界。縮められない距離を描くのに、各人のエピソードがカットイン。
 各人のキャラ立ちが弱く関係性が掴みづらい。台詞も聞きにくいし。ネットでしっかり内容を予習してから観ましょう。
 ☆×0.5


10月3日(土)

『空の穴』 監督:熊切和嘉  出演:寺島進、菊地百合子、澤田俊輔、権藤俊輔、外波山文明(01年)

 北海道のドライブイン「空の穴」の料理人市夫は、恋人に置き去りにされた妙子をアルバイトとして店で雇うことに。
 自分で何か起こすことを諦め、日々の生活にただ流されるだけの市夫の心に変化をもたらす妙子。
 序盤はムスっとしていた市夫が、中盤では「今日〜しようか?」と妙子を誘うあたり、30過ぎ独身男の痛々しさが満載。
 市夫の下を去ろうとする妙子に、「また一人になるのが恐いんだ」と泣きつく市夫。30過ぎ独身男のカッコ悪さがが満載。
 ☆×1.5

『最後のストライク』 監督:林徹  出演:岸谷五郎、石田ひかり、石黒賢、ダンカン、寺脇康文、山本浩二(01年)

 脳腫瘍のため32歳の若さでこの世を去った、リリーフエース・広島カープ津田恒美投手の物語。
 ひたすら速球のストレートで愚直に勝負を挑む、炎のストッパー津田。最愛の妻と息子と過ごす幸せな日々を病魔が襲う。
 一度人事不省に陥りながらも、軌跡の回復を成し遂げるあたり、彼の精神力にただただ感心するばかりです。
 津田投手を研究し尽くして挑んだ岸谷の演技も最高ですが、献身的な妻を好演する石田に、男子は心打たれること必至。
 ☆×2.5


9月25日(土)

『ハードラックヒーロー』 監督:SABU  出演:V6、西田尚美、寺島進、古田新太(03年)

 裏キックボクシングの八百長試合の現場にいる、中華料理屋の従業員、観客、窃盗犯。
 彼らはヤクザの銃声により、走る、逃げる、付き抜けるの逃避行へと押し出される。
 V6という人たちを主演に映画を撮って下さい、との依頼にSABU監督はいつものパターンで挑みました。
 3組の逃亡劇は、それぞれの不運と課題と運命を抱えながら、一気にカタストロフィへ。SABUという一つのジャンルか。
 ☆×1.5


9月20日(月)

『トゥーブラザーズ』
TWO BROTHERS
 監督:ジャン・ジャック・アノー  出演:ガイ・ピアースフレディー・ハイモアトラ数匹04年仏)

 1920年代のカンボジアで石仏の盗掘をするマクロリーは、寺院で一匹のトラを仕留め彼の家族を離散させる。
 2匹の子トラ、サンガとクマルは、それぞれ離れ離れとなるが、知事の催す闘虎会で運命の再会をする。
 中途半端なヒューマニズムドラマを、アニメでなくリアルのトラでやっちゃって大失敗。トラの中の人も大変だな。
 こんな映画に小生のカンボジア旅行の茶々を入れられたかと思うと、マジで憤慨。エンドクレジットの言い訳には爆笑。
 ☆×0.5


9月18日(土)

『プラトニックセックス』 監督:松浦雅子  出演:加賀美早紀、オダギリジョー、野波麻帆、加勢大周、阿部寛(01年)

 友人たちに輪姦され、両親からも見捨てられ、自暴自棄になったおあいの自殺を止めたのは1通の間違いメール。
 援交、ホステス、AV出演と、肉体資本主義を貫くあおいは、メールの主トシとの出会いで、安らぎの場を見つける。
 ずっと観るのをためらってたけど、いざ観てみると実は普通の純愛もの。『裸足のピクニック』の方がえげつない。
 見どころを挙げるとするなら、阿部寛の面白キャラぶり。◎を差し上げましょう。
 ☆×1.0


9月11日(土)

『ひまわり』 監督:行定勲  出演:袴田吉彦、麻生久美子、河村彩、マギー、栗田麗、堺雅人(00年)

 紺野は、小学校の同級生朋美が海で遭難した知らせを聞く。彼女は事故の少し前、紺野の留守に電話を掛けていた。
 葬儀に集まった友人や元恋人達の述懐は彼女の点描に過ぎず、誰も本当の彼女を知らない。
 回想の果てに、紺野は幼き頃の初恋の思い出に行き当たる。朋美もまたそんな思い出を大切にしていたのだろうか。
 舞台設定は面白いけど、演出や照明がなんだかなあ。でも袴田君の横顔は小生似との噂なので、☆半分贔屓。
 ☆×1.0


9月5日(日)

『ゲロッパ!』 監督:井筒和幸  出演:西田敏行、常盤貴子、山本太郎、岸辺一徳 (03年)

 ヤクザの羽原組長は、あと数日で刑務所に収監されることに。大好きなJBのコンサートにも行けなくなってしまった。 
 そんな彼のために、弟分の金山は子分に、ジェームス・ブラウンの拉致を命令する。
 生き別れの娘、JBのそっくりさん、内閣調査室が絡まりあうドタバタコメディ。ストーリーの組立が雑で強引。
 でも、肩肘張らずに観られるという点では、まあ及第点。ノリノリのエンドクレジットに☆半分おまけ。
 ☆×2.0


8月29日(日)

『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』 監督:金子文紀  出演:岡田准一、内村光良、哀川翔、ユン・ソナ (03年)

 ぶっさんこと田淵は余命半年ながらも、木更津キャッツの仲間と野球やビールに明け暮れる普通の生活を送っていた。
 そんな彼の前に死んだオジーが現れたり、ロックフェスへの出場が決まったり、韓国人の彼女ができたり、もう大忙し。
 TVシリーズで精緻に組み上げたキャラクター陣あっての映画。何やってもアリアリで、物語が構成されます。
 ラストの辺のムチャな展開すらも笑って許容できるくらい、TVドラマ『木更津キャッツアイ』は傑作ということです。
 ☆×1.5


8月20日(土)

『福耳』 監督:瀧川治水 出演:宮藤官九郎、田中邦衛、高野志穂、司葉子、坂上二郎、谷啓、宝田明(03年)

 フリーターの里中は老人専用マンションで働くことに。しかし赴任した日に亡くなった住人、藤原にとりつかれる。
 藤原は里中の体を使って、住人たちの中のマドンナ、千鳥と思いを果たしたいというのだ。
 クセモノ揃いの老人たちに囲まれた、里中の二重生活。官藤・田中の二人一役の演技はなかなか。
 日本高齢退職者福祉推進協会も特別協力の本作、ウェルメイドで後味さっぱり、胃にもたれません。
 ☆×2.5


8月15日(日)

『ねこ』 監督:塙幸成 出演:高野志穂(03年)

 野良猫の多い四ツ谷の街を、逃げた黒猫ガンツを探して少女が歩く。
 しかしガンツは見付からない。何もかも嫌になる少女だが、やがて、自分で自分を好きになれるよう考えを改める。
 なんともとりとめのない小品。いわゆる自分探しモノは、外すとイタイ映画になってしまいます。
 まあ、四ツ谷在住のネコ好きの人にのみお勧めします。というわけで、私的に☆半分おまけ。
 ☆×1.0

『アップ・ダウン・スカイ』 監督:塙幸成 出演:黒沼弘己、沢田玉恵、近童弐吉、修健(03年)

 地下鉄の構内で歩行者数調査をする黒井ののもとに、天使と名乗る男が現れ、記憶を失った黒井の生活を乱す。
 さらに彼の婚約者と名乗る女性も現れ、黒井の過去を揺さぶる。
 設定に色々凝りを巡らせてみても、消化不良の感が否めない。単純に言えば、物語に魅力がなく面白くない。
 1時間強の短編なのに、すごく長く感じる駄作。
 ☆×0.5


7月24日(土)

『卒業』 監督:長澤雅彦 出演:内山理名、堤真一、夏川結衣、谷啓(02年)

 卒業間近の女子大生麻美は、もの静かな心理学講師の真山に近付く。自分が彼の娘であることを隠して。
 自分の考えをなかなか外に出さない真山だが、麻美は自分の母のことを想う父の気持ちを感じていた。
 パッケージであらすじを把握しとかないと、麻美と真山の関係はよく分からない。
 村山由佳の『永遠』という小説も読んで、初めて本作が理解できるとのこと。つまり単品では駄作というわけですな。
 ☆×0.5



7月10日(土)

『なごり雪』 監督:大林宣彦 出演:三浦友和、細山田隆人、須藤温子、ベンガル、反田孝幸、左時枝(01年)

 妻に逃げられ一人になった祐作のもとに、旧友水田から突然電話が。水田の妻、雪子が事故に遭い危篤だというのだ。
 水田の誘いに従い28年ぶりに臼杵に帰った祐作は、彼を慕う雪子と水田とともに過ごした少年時代に思いを馳せる。
 フォークの名曲『なごり雪』の世界を、大分の山村を舞台にアレンジ。二度と戻れない青春時代を描いた“50歳の悲歌”。
 ちょっとベタな演出もあるが、大林節絶好調のせつない逸品。臼杵の町に雪子が願った雪が降りしきるエンドクレジットに涙。
 ☆×3.5


7月4日(日)

Kitchen キッチン』
(我愛厨房)監督:イム・ホー 出演:富田靖子、チャン・シウチョン、ロー・ガンイェン(97年日・香港)

 理髪師のルイはニューハーフパブで働く“母”と二人暮し。仲の良かった老婦が亡くなり、孫娘アギーを引き取ることに。
 悲嘆に暮れていたアギーはやがて自分を取り戻し、3人の共同生活に家族として溶け込んでいく。
 吉本ばななの小説の映画化。演出がちょっとしつこくて気に入らない。私的には森田芳光版の方がいいな。
 でも、原作で小生が好きなシーン“カツ丼を持って夜を走る主人公”が、イタリアンポークで実現されているのにはニヤリ。
 ☆×1.0

『えびボクサー』
CRUST)監督:マーク・ロック 出演:ケヴィン・マクナリー、ペリー・フィッツパトリック、ルイーズ・マーデンボロー(02年英)

 元ボクサーのビルは場末のパブのオーナー。家族もいず、毎日酒に溺れ無気力な生活をおくっている。
 しかし、友人から2mの巨大エビの買い付けの話を聞き、人対エビのリング対決をプロデュースする夢を抱く。
 獲物を殴って気絶させる、実在のかまきりエビをモチーフにしたバカ映画。ビルとエビの友情シーンとか、思わず失笑ね。
 江口洋介命名の邦題も、そのまんまでおバカ。ファイティングだかファインディングだか知らんが、ニモは見習うべきだ。
 ☆×1.0


6月20日(日)

THE HEART MAN監督:越前屋俵太 出演:島田洋七、国分健、田口錬治、島田一の助、JIRO(99年)

 歯磨き粉を搾り出すのに四苦八苦、水を飲むのに浮き輪が必要、金属パイプを付けてレストランにお出かけ。
 子供のような純粋な心を持つハートマンの、そんな一日を描いた、アメリカンテイストのスラップ・スティック・コメディ。
 『奥様は魔女』みたいに主人公の一挙一動に笑い声をかぶせたり、ベタベタのアメリカンっぽさが鼻につくくらい徹底。
 2、3ヶ所くらいクスリとくる所もありますが、日本人には馴染まないスタイルです。外人さんに見せてみたい作品。
 ☆×1.0

『パコダテ人』監督:前田哲 出演:宮崎あおい、勝地涼、大泉洋、萩原聖人、松田美由紀(01年)

 函館の女子高校生ひかるのお尻に、しっぽが突然生える。戸惑うひかるを地元誌記者早川がスクープ。
 家族に勇気付けられ、ひかるはTVでカミングアウト。しっぽはおまけの”。”みたいなもの。パコダテ人の誕生だ。
 しかし、キタキツネの寄生虫との関連を報道され、パコダテブームは一転して魔女狩りに。ひかるの運命やいかに。
 事態の解決に主要キャストが実は何も貢献していないラストだが、それもまたよし。気楽に楽しめる爽やかな一品。
 ☆×2.0


6月13日(日)

『東京マリーゴールド』監督:市川準 出演:田中麗奈、小澤征悦、樹木希林、斉藤陽一郎、寺尾聰(01年)

 OLのエリ子は友達に誘われた合コンで、田村に出会う。何となく田村が気になったエリ子は、後日彼に電話をかける。
 田村には東京に留学中の彼女がいたが、エリ子は、彼女が帰ってくるまでの1年間でいいから付き合って、と頼む。
 エリ子に電話番号を渡しときながら、彼女の話をしたり、煮え切らない態度を取ったりと、田村マジむかつく!
 “期間限定付劇的東京大恋愛”というキャッチコピーですが、二人の1年は何となく終わります。ラストはいかがなものか。
 ☆×1.0

『震える舌』監督:野村芳太郎 出演:渡瀬恒彦、十朱幸代 、若命真裕子、中野良子、越村公一 (80年)

 近所の埋立地の水溜りでケガをした昌子の異変に、三好夫婦は気付く。彼女は致死率の高い破傷風に感染していたのだ。
 ちょっとの刺激にも反応し身体を弓反りにして痙攣する昌子は、暗幕を張り巡らせた病室で絶対安静。
 予断を許さない病状に、三好夫婦は疲れ果て、自分たちも感染しているのでは、と訝るまで参ってしまう。
 破傷風の恐怖を通して、子供が病気になった時の親の苦労が痛感できます。
 ☆×1.5


6月5日(土)

『群青の夜の羽毛布』監督:磯村一路 出演:本上まなみ、玉木宏、野波麻帆、藤真利子、小日向文世(02年)

 大学生の鉄男は、バイト先のスーパーで出会った女性客さとるとつきあうことに。彼女は二つ年上の魅力的な女性だ。
 物静かなさとるの肉欲的な一面、そして神経症的症状。鉄男は付き合いを深めていくうちに、彼女の心の闇を垣間見る。
 母親を怯えつつも依存せざるをえないさとる。彼女の歪みは母娘関係の歪みであることに鉄男は気付く。
 家族が個人の人格形成に与える影響は大。本作のように手詰まりを解体(≠解決)できるケースは少ないだろうな。
 ☆×1.5


『バトル・ロワイヤルU【鎮魂歌】』監督:深作欣二、深作健太 出演:藤原竜也、前田愛、忍成修吾、竹内力(03年)

 中学生同志を殺し合わせるBR法に反旗を翻した七原秋也を抹殺するため、政府は同じ中学生を召集し七原のアジトに送る。
 殺さなければ殺される。政府の脅迫で従軍した彼らは、戦地で仲間が殺されるうちに七原への殺意を高めていく。
 本作は前作のように生徒一人一人のキャラが立っていない。結局、手を結んで政府軍と戦うことになるし。ちょいおざなり。
 テロの論理、圧政の不条理、まあ現代批判として定番の見方ができますが、前作のような定番外の深みは皆無。
 ☆×1.5



5月29日(土)

A』、『A2監督:森達也 出演:荒木浩ほかオウム真理教信者 (98年、01年)

 TVディレクターの森がオウム真理教の広報副部長荒木のドキュメントを製作するが、ボツとなり契約も解除される。
 本作は、オウムを悪の教団とする報道方針から外れた、マスコミには報道されないオウムの姿を描いたものである。
 信者の日常と信条、報道エゴに満ちたマスコミ、地域住民たちの本音など、一般世論の視点からはずれた映像が満載。
 真実というものは存在しない、ただ解釈だけが存在する。バランス感覚を持った大人になりたいですね、
 ☆×1.0


5月22日(土)

『近未来蟹工船 レプリカントジョー』監督:松梨智子 出演:加藤啓 、佐藤真弓、まんたのりお、水野晴郎(02年)

 自動車工場バイトの城は、賃下げに抗議して組合を作ろうとするが、社長に妻を寝取られその様子をビデオ公開される。
 城は復讐を誓い、隠遁科学者の手により改造人間として生まれ変わる。武器は無制御なチンコビーム。
 様々な諧謔に満ちたバカ映画。映研あがりのインディーズ臭が嫌いな人には受け入れられないでしょうな。
 中途半端にテーマがあり、それを作品内でちゃんとこなしているあたりも、非常に自主映画っぽいです。
 ☆×1.0

『サノバビッチ☆サブ 〜青春グッバイ〜』監督:松梨智子 出演:いけだしん 、斗枡仁之、澤田育子(00年)

 サブとケンは、欺瞞に満ちた高校生活に耐えられず、サブの起こした殺人事件をきっかけに東京へ家出する。
 東京では学生運動グループに参加し、正しいことを広めるために尽力するが、それも叶わず次は漫才師を目指す。
 「ビッグになってやる」ために迷走する二人のあがきを描いた、やっぱりアホでマヌケなバカ映画。
 いい大人になってもバカな自主映画を撮り続ける、松梨監督の決意とも受け取れる作品。
 ☆×1.0


5月15日(土)

『俺は鰯‐IWASHI‐』監督:冨樫森 出演:ユースケ・サンタマリア、紺野まひる、大沢たかお、篠原涼子(01年)

 上司に客に、自分を殺してペコペコするサラリーマン高城。彼はある接待の席で、中国人娼婦のフイミンに出会う。
 彼女と一夜の恋に落ち再会を約束するが、マフィアに追われているフイミンは台湾へ。高城は危険を顧みず彼女を追う。
 どう見ても日本人の中国・台湾人キャスティング。また、人物描写がおざなりで、ストーリー展開についていっていない。
 でも、関係性や意味にこだわった作品が窮屈なのも事実。こんな肩の凝らないテレビ作品もたまにはいいか。
 ☆×1.0


5月9日(日)

『恋に唄えば♪』監督:金子修介 出演:優香、竹中直人、玉山鉄二、篠原ともえ、古田新太(02年)

 ハンサムな恋人サトルから突然別れを告げられ、幸福の絶頂から不幸のどん底に落ちこむユミ。
 そんなユミのもとに、不思議な壷からヘンな魔法使いが現れる。ユミの願いをひとつだけ叶えてくれるという。
 恋人の心を取り戻すため、魔法使いとともにオーストラリアへ。中途半端な魔法と中途半端なミュージカルで物語は進む。
 インド映画あたりの歌って踊るB級テイストを目指してるんでしょうが、今一つ。単なるベタな映画です。
 ☆×1.5

『ピーピー兄弟
THE BEEP BROTHERS監督:藤田芳康 出演:ぜんじろう、剣太郎セガール、みれいゆ、岸辺一徳(01年)

 イクオ、タツオは売れない兄弟漫才師。ストリップ劇場で客に野次られる舞台ばかり。そんな彼らが素人演芸番組に出演。
 放送中、タツオが「オメコ」を連発することで舞台はパニック。しかしそれをきっかけに、ポルノ漫才師として、彼らはスターに。
 放送禁止用語を連発する彼らのやりとりを「ピー」音で隠し、それをネタに視聴率を稼ぐTV局。月並調なマスコミ批判。
 いずれにしても、イクオ、タツオのネタ自体が二流そのもの。同じ漫才モノの大阪物語の方がマシ。
 ☆×1.0


5月5日(水)

『ブレイブハート』
Brave heart) 監督:メル・ギブソン 出演:メル・ギブソン、ソフィー・マルソー、ブレンダン・グリーソン(95年米)

 14世紀、スコットランドはイギリス国王の圧政下にあった。父を戦いで失い叔父の下に身を寄せていたウィリアムが帰郷。
 彼は幼なじみのミューロンと夫婦の誓いを立てるが、彼女はイギリス人に辱めを受け領主に殺されてしまう。
 自由と独立を求め、また亡き恋人の復讐にウィリアムは立ちあがる。しかし、やがて彼は様々な陰謀に翻弄されることに。
 ドロドロしたヨーロッパ中世史に存在する悲劇の英雄伝。日本人にはちと理解しづらいか。
 ☆×1.0


5月4日(火)

『フェノミナン』
Phenomenon) 監督:ジョン・タートルトープ 出演:ジョン・トラボルタ、キーラ・セジウィック、フォレスト・ウィテカー(96年米)

 カルフォルニアの片田舎、自動車整備工のジョージは、誕生パーティーの夜、不思議な光に包まれ天才に生まれ変わる。
 ポルトガル語を20分で習得、色んな発明をしたり、地震を予知したり、でも、意中の彼女レイスの心はつかめない。
 でも後半は、村人たちに気味悪がられたり、FBIに逮捕されたりと、凡人が天才に生まれ変わる悲劇が主題となる。
 ラストはなんか難病モノになってしまいますが、まずまずお勧め。しかし、タイトルでうまい邦訳はなかったのか。
 ☆×1.5

『ユージュアル・サスペクツ』
The usual suspects) 監督:ブライアン・シンガー 出演:カブリエル・バーン、ケビン・スペイシー(95年米)

 麻薬組織の船が何者かによって爆破された。現場で捕まった、容疑者バーバル(おしゃべり)の供述で物語は始まる。
 とある事件で容疑者として集められた前科者たち5人。留置所で彼らはパトカー強盗の計画を企て、作戦は見事に成功する。
 しかし、謎のマフィア、カイザー・ソゼの脅しに会い、彼らは対抗組織の船を爆破するよう命令される。
 カイザー・ソゼとは何者なのか。どんでん返しのラストはこの手の映画のお約束。それでもうまい!と膝を打ちたくなる作品。
 ☆×2.5


4月17日(土)

『チキン・ハート』 監督:清水浩 出演:池内博之、忌野清志郎、松尾スズキ、馬渕英里何、荒木経惟、岸部一徳 (02年)

 相手を殴れなくなったボクサー水野は、フリーターをしながら、夜はストレスが溜まった会社員相手に殴られ屋をしている。
 アウトロー浅田は船で遠くにいくことを夢見る。元教師の丸は、カツラの営業に再就職。そんなダメ人間たちの物語。
 鈴木慶一の音楽に乗せて、3人の男たちの煮え切らない日常が過ぎていく。正直、ストーリー展開は今ひとつ。
 しかし、何となくだらだらと、それでいて前向きな姿勢は好感が持てる。松尾スズキの名演が出色。
 ☆×1.5


Jam Films 監督:篠原哲雄、岩井俊二、堺幸彦他 出演:山崎まさよし、広末涼子、妻夫木聡、大沢たかお(03年)

 謎の女が死者の魂を静める『the Messenger』、同棲カップルに訪れる昼下がりの事件『けん玉』、
 SFショートショート『Cold Sleep』、水虫に悩む女の密かな愉悦『Pandora』 立て篭もり犯の不条理ドラマ『HIJIKI』、
 男子クラスのある授業風景『JUSTICE』、紙に必ず現れる不思議な存在と女の子のお話『ARITA
 上記以外の監督は、行定勲、望月六郎、北村龍平、飯田譲治ら。プロが撮ったオムニバス自主映画といった味わい。
 『the Messenger』×1.0 『けん玉』☆×2.0 『Hijiki』☆×1.5 『ARITA』☆×2.5 他☆×0.5


4月17日(土)

『ウォーターボーイズ』 監督:矢口史靖 出演:妻夫木聡、玉木宏、三浦哲郁、近藤公園、金子貴俊、竹中直人 (01年)

 廃部寸前の唯野男子高水泳部に、美人教師佐久間が顧問として赴任。3年生の鈴木だけだった部員が一気に30名に。
 しかし佐久間の専門はシンクロ、文化祭でシンクロをやると意気込む。結局5名を残し大半が退部。しかも佐久間が産休に。
 美人教師と男子高生という、単純なドラマの構図は急変、成行で水族館のおっさんに演技を習うことに。この展開いいなあ。
 男子がシンクロをやる、という思いつきだけの感もあるが、中途半端を卒業しようとする部員たちの熱気が心地よい青春映画。
 ☆×2.0


Life is Journey 監督:田辺誠一 出演:大塚寧々、近藤公園、三船美佳、つぐみ、市川実日子、hitomi03年)

 『LIFE』一人の女が人生を歩み続ける。出会い、別れ、過ぎ行く時を長回しのワンカットで描く。
 『ん』彼女との会話が気まずく終わってしまった。しりとりに溢れる街で、男は伝えるべき言葉を探す。
 『エ』落ちこむ友達を夜中に家に呼び出す女の子。何でもない会話でも二人は通じ合う。
 掌編を集めたオムニバス。『ん』と『エ』以外は非関連。月日の名前が付いた通りを男と経巡る最終章『No Where』はクソ。
 『LIFE』☆×2.0  『ん』☆×1.5  『エ』☆×3.0  『No where』☆×0.5


4月11日(日)

『ナースコール』 監督:長崎俊一 出演:薬師丸ひろ子、松下由樹、大鶴義丹、渡辺篤郎(93年)

 梢は大学の附属病院に勤める中堅看護婦。彼女は、仕事に対する情熱を徐々に失いつつあった。
 後輩看護婦の山崎は、担当になった骨肉腫患者、柴田の心を開かせようとするがうまくいかない。
 梢がうまく立ち回り、柴田は治療に協力的になるが、山崎は自信をなくし退職を申し出る。
 会社員も看護婦さんも、仕事に関する悩みは一緒。とらば〜ゆ世代(死語)に向けた作品だが、内容は平凡。
 ☆×1.0


4月10日(土)

『エレクトリックドラゴン80000V 監督:石井聰亙 出演:浅野忠信、永瀬正敏(00年)

 竜眼寺盛尊は爬虫類専門の探偵。小さい頃に事故にあったせいで、電気に感応する不思議な力を持ったエレキ野郎だ。
 雷電仏蔵は、顔面半分をメタルマスクで包んだ謎の電気工事屋。電気の番人として盛尊の前に立ち塞がる。
 モノクロームの画面に飛び散る電気の火花、メタルのリズムとエレキギターの旋律。最高におバカでカッコイイ。
 石井節をギンギンに効かせ、浅野、永瀬の豪華共演で電気の大切さを訴える(嘘)、なかなかの怪作。
 ☆×2.5


4月3日(土)

『!〔ai-ou〕』 監督:堤ユキヒコ 出演:柴田恭兵、錦織一清、大槻ケンヂ、岡部まり(91年)

 チンピラの修次には、中古セスナを修理しいつか空を飛び、うだつの上がらない日々を脱出する、という夢があった。
 会社のカネを使いこんだ銀行員辻川と、不器用なパンク青年ゲンが彼の仲間に入り、3人の奇妙な共同生活が始まる。
 男たちの腐れ縁的な友情が物語を構成していくんだけど、何だかな。ゲンがヒロインに告白するシーンとかも、正直キツイ。
 しかし、ヤクザとの闘争により傷ついた彼らが、飛行機で逃走するラストシーンには、月並み調ながらも感動させられます。
 ☆×1.0


3月21日(日)

『グッバイ、レーニン!』
Good bye. Lenin!) 監督:ヴォルフガング・ベッカー 出演:ダニエル・ブリュール、カトリーン・ザース(04年独)

 東ベルリンに住むアレックスの母クリスティアーネは、夫が西に亡命してから熱烈な愛国主義者となった。
 アレックスが民主化デモに参加する姿を見て、ショックで倒れた母が目を覚ましたのは1990年。ベルリンの壁は崩壊していた。
 「もう一度強いショックを与えたら命取りになる」と医者に言われ、アレックスは母に東ドイツがまだ健在だという大芝居を打つ。
 設定は面白いんだけど、作り方が粗くストーリーの細部が詰め切れていない惜しい映画。
 ☆×1.5


3月7日(日)

『ゼブラーマン』 監督:三池崇史 出演:哀川翔、鈴木京香、渡辺篤郎、大杉漣(04年)

 小学校教師新市は、学校でも家庭でもうだつがあがらない。そんな彼の生きがいは、特撮ヒーロー「ゼブラーマン」のコスプレ。
 新市の住む街で次々と起こる怪事件。その裏には異星人の暗躍があった。新市は彼らに戦いを挑む。「白黒つけてやるぜ」
 多演役者と多作監督の本領が発揮されている、B級テイスト満載の作品。主題歌最高、ゼブラナース最高。
 今をときめく脚本家、宮藤官九郎の興行的才能に注目。往年の一色伸行を思わせる彼の活躍に、邦画の救いを見た気が。
 ☆×2.0


3月6日(土)

『カタクリ家の幸福』 監督:三池崇史 出演:沢田研二、松坂慶子、武田真治、丹波哲郎、西田尚美、忌野清志郎(02年)

 会社をリストラされた片栗正男は、道路建設が間近で客が見込めるという言葉に乗り、家族を伴いペンション経営をすることに。
 しかしペンションは閑古鳥。やっとのことで来る客は自殺したり腹上死したり。片栗一家は風評を恐れ彼らの死体を隠蔽する。
 死体を始末していくうちに、深まる家族の絆。どんな困難も力を合わせれば乗り切れるさ。そんなお馬鹿なミュージカル・コメディ。
 正男役の沢田研二、次女を狙う結婚詐欺師リチャード役の忌野清志郎、大御所二人の歌声が素敵。ナイス・キャスティング。
 ☆×1.5


2月22日(日)

『壬生義士伝』 監督:滝田洋二郎 出演:中井貴一、佐藤浩市、中谷美紀、夏川結衣、三宅裕司、村田雄浩(03年)

 南部藩の貧乏侍、吉村貫一郎は、飢える家族を養うため、脱藩し新撰組に入隊し、剣術指南役として銭稼ぎにいそしむ。
 田舎自慢、家族自慢で、銭に執着し生きることになりふり構わぬ吉村の俗物振りが、新撰組の鬼と呼ばれた斎藤には苦々しい。
 しかし、醜く生きているように見える吉村の背景には、家族、郷土への愛、そして武士としての義心があふれていた。
 原作は浅田次郎。単身赴任のサラリーマンがターゲットか、しっかりとした感動もの。映画では、盛岡弁が聞き取りにくいけど。
 ☆×1.5

『コールドフィーバー』
Cold Fever)監督:フレドリック・トール・フリドリクソン 出演:永瀬正敏、リリ・テイラー、ギスリ・ハルドルソン(95年米・アイスランド)

 平田アツシは、客死した両親の菩提を弔うことを祖父に強要され、ハワイで過ごすはずの休暇をアイスランド行にあてる羽目に。
 酒場で知り合った女性にボロ車を売りつけられたり、その車をアメリカ人観光客に奪われたり、そんな散々なロードムービー。
 宿で知り合った老人の手引きによって、無事、両親が亡くなった川に辿り着いた平田が、線香をあげ酒を川に手向け、The End.
 うーん、結局、アイスランドは雪と氷の国。先入観は払拭されない投げっぱなし映画です。でも、行きたいなアイスランド、一度は。
 ☆×1.0


2月15日(日)

『阿弥陀堂だより』 監督: 小泉堯史 出演:寺尾聰、樋口可南子、吉岡秀隆、小西真奈美、北林谷栄 (02年)

 売れない小説家の孝夫は、パニック障害にかかった女医の妻、美智子とともに故郷の信州に移り住む。
 阿弥陀堂と呼ばれる寺院に一人暮らす96歳の老婆、おうめ。彼女のことばを村の広報誌に綴る発音障害者の小百合。
 胃がんを宣告されても毅然と死を受け入れる孝夫の恩師、幸田。豊かな自然と純朴な人々に美智子の心は癒されていく。
 人の生き死に、季節の移り変わり、都会生活では忘れ去られた大自然の恵み。農林水産省推薦の、なんとも邦画的な邦画。
 ☆×1.5

『白い船』 監督:錦織良成 出演:中村麻美、濱田岳、中村嘉葎雄、尾美としのり、竜雷太、大滝秀治 (02年)

 島根の漁村にある塩津小学校に通う好平は、授業中のよそ見で、海の向こうに白い船が毎週現れることを発見する。
 彼の小さな発見によって、全校生徒17人の小さな学校は、新潟と福岡を結ぶ九越フェリーの船長と交流を深めることになる。
 田舎ののんびりした校風と、子供たちの好奇心に、教師としての自信を失いかけていた静香は癒されていく。
 田舎と子供を使った癒し系、これまた邦画の典型。台詞回しが方言じゃないけど、中途半端な方言指導で製作するよりはマシ。
 ☆×1.0


2月8日(日)

『竜馬の妻とその夫と愛人』 監督:市川準 出演:木梨憲武、中井貴一、鈴木京香、江口洋介、橋爪功 (02年)

 坂本竜馬の十三回忌に竜馬の妻おりょうを出席させるよう指令を受け、役人覚兵衛は、現在の夫である松兵衛を訪ねる。
 松兵衛はうだつの上がらないテキ屋で、おりょうは松兵衛を見限り、愛人の虎蔵と駆け落ちを考えていた。
 竜馬の名声を汚さぬよう事態の収拾にあたる覚兵衛、竜馬の妻であり続けるおりょう、みんなが竜馬を心にひきずっている。
 三谷幸喜の芝居の映画化。三谷脚本の笑いがあちこちに仕掛けられているが、ちょっと冗長の感も。
 ☆×1.5

『殺し屋1』 監督:三池崇史 出演:浅野忠信、大森南朋、塚本晋也、Alien Sun、寺島進、SABU、松尾スズキ(01年)

 泣き虫だが究極のサドであるイチと、彼に命を狙われる、凶暴なヤクザだが究極のマゾである垣原をめぐる物語。
 ヤングサンデーに連載され、どぎつい暴力描写が話題を呼んだ漫画の映画化。
 連載終了前に製作されていて、ラストは原作とは違う。前に見てS-Labでも紹介しましたが、どんなラストか忘れたので再見。
 どんなにどぎつい内容でも、すぐ忘れちゃったってことは駄作なんでしょう。浅野忠信の変態的演技のみで持ってる作品。
 ☆×1.0


2月1日(日)

『刑務所の中』 監督:崔洋一 出演:山崎努、香川照之、田口トモロヲ、大杉漣、窪塚洋介、椎名桔平(03年)

 ガンマニアのハナワは趣味が高じて、銃刀類不法所持および火薬取締法違反で、懲役3年の実刑判決を受ける。
 ハナワが送られた日高刑務所の日常は、刑務官の号令に縛られながらも、テレビに昼寝、お節料理ありの世界だった。
 いい大人が集められ、規則正しい集団生活を送る刑務所の世界は、どことなくユーモラス。今までのムショ観を覆される。
 小倉マーガリンパン、醤油掛け麦米飯、春雨スープに野菜の旨煮。ムショ飯の描写が、B級グルメ感満載で秀逸。
 ☆×3.0

『少林サッカー』
(少林足球) 監督:チャウ・シンチー 出演:チャウ・シンチー、ヴィッキー・チャオ、ウオン・ヤッフェイ(01年香港)

 黄金の右と呼ばれたかつての名選手ファンは、チームメイトのハンが仕掛けた罠で選手生命を絶たれた。
 ファンがある日街で出会った青年シンは、少林寺を世に広めるために悪戦苦闘中の貧乏拳法家。
 シンの少林寺仲間が集いサッカーチームを結成し、ハンの率いるデビルチームと対戦する、という、実におバカな映画。
 単純に楽しめるアクションコメディは、香港映画の常道。設定だけで持ってる映画というのも捨てたもんじゃない。
 ☆×2.5


1月21日(土)

『もう、ひとりじゃない』 監督:じんのひろあき 出演:佐伯日菜子、今村理恵、桜井亜弓、長谷川圭、安生洋二(98年)

 多重人格者たちの収容施設から逃げ出す一組の男女。五重人格の男と八重人格の女が折りなす、サイコドラマ。
 スイッチする性格ごとに別キャストが当てられていて、観ていて実にめまぐるしい映画。
 設定だけで勝負している感があって、正直ストーリーは分かりづらくもうひとつ。
 多重人格を陳腐なドラマの題材にすることは、精神医学的に誤った認識を広めることになりかねない。要反省だ。
 ☆×0.5


1月18日(日)

TRICK劇場版』 監督:堤幸彦 出演:仲間由紀恵、阿部寛、生瀬勝久、山下真司、芳本美代子、竹中直人(02年)

 自称天才奇術師の山田奈穂子は、糸節村の青年団長に頼まれ、村の言い伝えの恐怖から村人を救うために神の振りをする。
 自称「神」たちとの霊能力対決を乗り越え、超常現象を解き明かす物理学者上田とともに、村の秘密に挑む菜穂子。
 まあ、テレビシリーズのキャラ作りの妙で持っている作品。謎解きとか村の因習とか、その辺の作り込みはイマイチ。
 映画作品の「テレビ」化が懸念される昨今ですが、当たれば勝ちなんでしょうかねえ。
 ☆×1.0


1月11日(日)

『猟奇的な彼女』 監督:クァク・ジェヨン 出演:チョン・ジヒョン、チャ・テヒョン、キム・インムン、ソン・オクスク(01年韓国)

 さえない大学生キョヌは、地下鉄の車内で酔っ払った美女を介抱する羽目に。それをきっかけに二人は付き合うことになる。
 酒豪で暴力的な彼女の口癖は「ぶっ殺されたい?」そんな彼女に振りまわされるキョヌのおどおど振りが笑いを誘う。
 劇中で、韓国人は恋愛モノが好きだ、という台詞があるが、本作もさもありなんと思わせる、気持ちのいい恋愛映画。
 フランス映画にありがちな“猟奇的な彼女”(ベティ・ブルーとか)は観てて疲れるけど、本作はそんなバタ臭さがなくGood
 ☆×3.0


1月10日(土)

『それから』 監督:森田芳光 出演:松田優作、藤谷美和子、小林薫、笠智衆、中村嘉葎雄 、草笛光子(85年)

 資産家の次男、代助は、定職に付かず日がな本を読んだりして過ごす高等遊民。家族は結婚を迫るが彼は取り合わない。
 彼は友人平岡の妻、三千代を密かに想っていたが、平岡に彼女を譲って友情を取った過去があった。
 夏目漱石の有名作の映画化で、不況、将来の閉塞感、人生のエゴといった原作の雰囲気をどんよりと映像化しています。
 だからこそ、気分的には鑑賞するにはしんどい作品。登場人物の明治口調は好きだけど。
 ☆×1.0


1月1日(木)

『千年女優』 監督:今敏 声優:荘司美代子、小山茉美、折笠富美子、飯塚昭三、佐藤政道、小野坂昌也、津田匠子(02年)

 かつての大女優藤原千代子を取材したインタビュアー二人は、いつしか彼女の語る映画の世界に巻きこまれてしまう。
 少女時代に会った初恋の相手を追って、彼女は女優になって満州に向かう。あるときは戦国時代の姫君、江戸時代の遊女。
 映画の中の彼女も現実の中の彼女も、思いはひとつ。あの人にもう一度会いたい。
 アニメならではの変化自在ぶりですが、ただそれだけの作品。ジャパニメーションなんておだてられても、中身がなくちゃあね。
 ☆×0.5

『黄泉がえり』 監督:塩田明彦 出演: 草なぎ剛、竹内結子、石田ゆり子、哀川翔、山本圭壱、伊東美咲、田中邦衛 (03年)

 阿蘇の集落で、死者が生前の姿のままで蘇る事件が起こる。厚生省の調査官平太は故郷で起こる怪現象の解明に乗り出す。
 平太は友人俊介の婚約者で幼馴染の葵と再会する。彼女は冷静さを装う反面、俊介のよみがえりを心から願っていた。
 カリスマ歌手RUIのライブが行われる夜、よみがえりの人たちが土に帰っていく最後の夜。通じ合う平太と葵の心。涙、涙、涙。
 ライブのシーン長過ぎ!とかクサナギくんのカクカクした演技とかツッコミ所もありますが、ラストシーンの秀逸さに免じて☆3つ
 ☆×3.0


12月28日(日)

『ジョニーイングリッシュ』
JOHNY ENGLISH) 監督:ピーター・ハウイット 出演:ローワン・アトキンソン、ジョン・マルコビッチ(03年米)

 英国秘密諜報局“MI 7”の事務職イングリッシュは、自分のミスから仲間を全滅させてしまい、運良く正式スパイになることに。
 彼の任務は、パスカル卿の経営する刑務所で催される、王室財宝のお披露目式の警護。しかし王冠が賊に盗まれてしまう。
 Mr.ビーンのアトキンソンが007をパロって演じるスパイギャグの連続。実にお馬鹿である。
 葬式の参列者を賊と勘違いしたイングリッシュが、その場をごまかすために演じた**な人とか。英国式ブラックテイストも満載。
 ☆×2.0

13階段』 監督:長澤雅彦 出演:反町隆史、山崎努、田中麗奈、笑福亭鶴瓶、宮藤官九郎(03年)

 喧嘩で人を殺してしまったが3年弱で仮出所してきた三上の下に、刑務官南郷が訪れ、ある死刑囚の冤罪調査の仕事に誘う。
 樹原は仮出所中自分の保護司夫婦を殺害したとして死刑が確定していたが、彼は交通事故で事件前後の記憶をなくしていた。
 そんな樹原の蘇った記憶の断片を頼りに、事件現場近辺の階段を探しだす南郷と三上。刻々と迫る死刑執行の期日。
 展開が強引なサスペンスなので、ちょっとついていくのはしんどいです。どんでん返しが最後にありますが、へーそれで?
 ☆×0.5


12月21日(日)

『ノッティングヒルの恋人』
Notting Hill) 監督:ロジャー・ミッチェル  出演:ジュリア・ロバーツ、ヒュー・グラント、リス・エヴァンス、ジーナ・マッキー(99年米)

 ハリウッドの人気女優アナが、ロンドンのノッティングヒルでしがない旅行書店を営むタッカーと恋に落ちる。
 逆シンデレラ・ストーリーというか、妄想逞しい高校生が考えそうなストーリーです。
 でも、強引な序盤をやりすごせば、ストーリーはウェル・メイドなラブドラマに落ちつきます。同居人スパイクがいい味出してます。
 映画、マスコミ、芸能界をひねったジョークも交え、ハッピーエンドでめでたしめでたし。上手い映画は気持ちがいいですな。
 ☆×3.0

『毒婦マチルダ』 監督:松梨智子  出演:松梨智子、細貝康介、市川しんぺー、荻久保則男、千葉雅子(99年)

 父親に男として育てられた押忍華留(オスカル)は、女であることを知った日に両親を北朝鮮のスパイに虐殺されてしまう。
 彼女をかくまう殺し屋レオンによって“マチルダ”の名を得た彼女に、奇想天外な展開が待ちうける。
 B級、自主映画テイストの本作を、イタいと見るか、面白いと見るか、それによって育ちが分かるでしょう。
 私にとっては許容範囲内の面白さでした。人に勧めようとは思いませんけどね。
 ☆×2.5


12月14日(日)

Laundry 監督:森淳一  出演:窪塚洋介、小雪、内藤剛司、角替和枝、西村理沙、木野花(01年)

 テルはばあちゃんの経営するコインランドリ-で、日がな洗濯物を見張る仕事を続ける。
 そんなテルの店に洗濯物を忘れていく水絵。彼女を追って、テルの旅が始まった。
 子供の頃にマンホールから落ちて「脳にキズがある」テルのピュアなセリフに、心の傷を背負った水絵は癒されていく。
 窪塚、小雪、内藤、各々のキャラと演技が光る秀作!
 ☆×3.5

tokyo.sora 監督:石川寛  出演:板谷由夏、井川遥、仲村綾乃、高木郁乃、孫正華、本庄まなみ(01年)

 絵のモデルをしながら日本語を学ぶ台湾人留学生、胸が小さいのを悩む美術学校の生徒、流行らない喫茶店のウェイトレス
 ランジェリーパブでバイトをしながら小説家を目指す娘と美容師を目指す娘、メガネをかけたままオーディションを受け続ける娘
 東京の空の下、それぞれの思いを抱いていきている女の子たちの物語。しかし、彼女たちのキャラが全然立ってません。
 舞台設定が拡散してしまって、冗長なまま終わってしまう駄作。いや、狙いはいいんですけど、もう少し絞った方が…
 ☆×0.5


12月7日(日)

『フリーター』 監督:横山博人  出演:金山一彦、鷲尾いさ子、羽賀研二、洞口依子、浅田美代子(87年)

 大学浪人中の健二は、友人の隆がつくったフリーター・ネットワークでバイトにいそしむ日々を送る。
 キャッチセールスのバイトで知り合った向日葵に心を奪われる健二だったが、彼女は手配師の相澤とも関係を持っていた。
 夢を追いかけるという大義名分をもとにモラトリアムを満喫するフリーターたちは、当時は文字通り自由人でした。
 今やフリーターは失業者。時代を感じさせます。映画の内容はクソですが、フリーターを初めて公の作品にした点は評価。
 ☆×0.5

『落下する夕方』 監督:合津直枝  出演:原田知世、渡部篤郎、菅野美穂、国生さゆり、中井貴一(98年)

 リカは4年間同棲していた健吾に突然別れを告げられる。華子という女性に心を奪われたというのだ。
 健吾が出て行った部屋に残され家賃の支払に苦心するリカを、華子が突然訪ねてきて、同居の提案をする。
 自由奔放な華子に振りまわされているうちに、現実に向き合うことを無意識に避けていたリカは、心の強さを得る。
 巡る月が女性の再生のモチーフとして、うまく描かれています。
 ☆×2.0


12月1日(月)

『ラスト サムライ』
The Last SAMURAI) 監督:エドワード・ズウィック 出演:トム・クルーズ、渡辺謙、真田広、小雪(03年米)

 近代化が進む明治初期の日本に戦術指南役として雇われたオールグレンは、官軍に従わない勝元派と戦い囚われの身となる。
 牧歌的な農村風景、求道的なサムライ達の姿、いつしかオールグレンは勝元たちの生き方に共感を覚えるようになる。
 ハリウッドでチャンバラをつくったら、『Dance with wolves』 になっちゃいました、って一言で言えばそういう映画。
 日本人スタッフを中枢に入れずに、時代考証とかを無視して勝手に作ったからこそ、上質のエンターテイメントになっています。
 ☆×2.5

『燃えよピンポン』 監督:三原光尋 出演:高田聖子、鴨鈴女、藤原圭、桂雀三郎、重定礼子、竹葉博人(96年)

 なにわドリンクのOL美弥子は、生涯宿敵の天満ボトラーズの真央子と、美男子の顧客を巡ってピンポンで勝負することに。
 ライバルをやっつけるため、また、社運をかけ、ジークン流卓球の極意を修行する美弥子。
 かなり濃度の高い大阪ギャグが積みこまれた、ほんまにアホな映画ですわ。正味のところ。
 バカとアホではアホの方が勝ちということで、今年のB級映画大賞でもあげましょか。
 ☆×2.0

DRIVE 監督:SABU 出演:堤真一、柴咲コウ、安藤政信、筧利夫、大杉漣、寺島進(02年)

 時間に正確で交通ルールもしっかり守る、神経質な製薬会社の営業マン朝倉の車に、銀行強盗たちが乗り込んでくる。
 仲間の一人がカネを奪ったまま逃走したのだ。突然のカーチェイスにもいつも通りの朝倉。こうしてドライブは始まる。
 銀行強盗たちが自分たちの道を見つけて、朝倉の下を去っていく。SABU監督ならではの成行ムービー。
 強盗役のセリフ「これも、ひとつの縁なんだよ」に要約される本作は、純粋なハッピーエンドで終わるウェル・メイドな一品。
 ☆×2.5


11月22日(土)

裸足のピクニック 監督:矢口史靖 出演:芹川砂織、梶三和子、Mr.オクレ、娘太郎、泉谷しげる(93年)

 女子高生の純子がキセル乗車で捕まるのをきっかけに巻き込まれるトラブルの連続を描いた、ブラックコメディ。
 祖母の遺骨をなくしたり、他人のお通夜で火事を起こしたり、友人たちはグレるは一家は離散するは、とにかく無茶苦茶。
 すべてが悪い方向に転がるが、それでも逞しく生きていく純子の姿に感動、嘆息、苦笑。
 ハリウッド仕立てのジェットコースター・ムービーを凌駕する、かっとばしたストーリー展開に拍手喝采。
 ☆×3.5

Slap Happy 監督:三原光尋 出演:前田晃男、山下さとみ、桂雀三郎、前田一知、ベンゴンザガ(96年)

 コンビニでバイトしながら予備校に通う正男は砂をかむようなぱっとしない毎日を過ごしている。
 これといった友人もなく、彼女もいない。コンビニで深夜いつも見かける女性に憧憬を向けるのが精一杯だった。
 宅配便の受付で、彼女の電話番号と住所を入手し、彼女をストーキングする正男。残酷なラストが彼を絶望に陥れる。
 都会にひとりで生きる若者たちの怨嗟に満ち満ちた、閉塞感あふれる怠惰な作品。
 ☆×1.5


11月15日(土)

『いつものように』 監督:くらもち聡 出演:河野智典、高瀬アラタ、石川七恵、今川菊生(97年)

 バイク便のバイトのタカセは、友人コウノに誘われてシャブの運び屋に転職することになっていた。
 そんな最後のバイト先でイラストレーターの卵のナナエに出会い、成行で3人は飲みに行くことになる。
 設定は非日常でも、大人になりきれないフリーターたちのだらだらとした日常感が作品を包み込む。
 観客の期待をことごとく裏切る単調な展開。長回しのカット。でも不思議と退屈しないのはなぜ?とにかく観て下さい。
 ☆×4.0

『映画 のび太の結婚前夜』 監督:渡辺渉 声優:小原乃梨子、大山のぶ代、野村道子、久米明(99年)

 しずかちゃんと将来本当に結婚できるかどうか、のび太は不安になり、タイムマシンで自分の結婚式を見に行く。
 タイムマシンの設定を間違え式の前日に着いてしまうが、未来ののび太も相変わらずのそそっかしさ。
 でも、しずかちゃんのパパはこう言います。「あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ。」
 友人が子供を映画館に連れて行って自分が感動したとのこと。娘を持つ親じゃないとこの作品の良さは分からないかも。
 ☆×1.0

『ザ★ドラえもんズ おかしなお菓子なオカシナナ? 監督:米谷良知 声優:林原めぐみ、中尾隆聖、山寺宏一(99年)

 オカシナナ王国で開かれるお菓子作りコンテストに参加するドラえもんズ。行く手を敵役のニガニガが阻む。
 果たして笑いを失った王女様を喜ばせるお菓子を作ることが出来るのか。
 「結婚前夜」の併映作品なのでついでに観たのですが、各国のドラえもんがうじゃうじゃでてきて正直ついていけない。
 未来の道具も出てこないし、これはドラえもんとは別の作品。日本のSF最高傑作に対して失礼な商業映画。
 ☆×0.5


11月9日(日)

『式日』 監督:庵野秀明 声優:岩井俊二、藤谷文子、村上淳、大竹しのぶ(00年)

 創作意欲を失った映画監督は故郷の街で、線路に横たわる少女と出会う。
 「明日は私の誕生日なの」訪れない誕生日、廃墟ビルに暮らす彼女が毎日繰り返す奇妙な儀式。
 現実を拒絶し虚構に埋もれる少女と、現実を切りとって虚構にすることに倦んでいるカントクが過ごす32日間。
 庵野監督の生み出すモノローグをつなぎ合わせた難解な作品ですが、ストーリーのテンポがいいのでまあ許す。
 ☆×1.5

『玩具修理者』 監督:はくぶん 出演:田中麗奈、忍成修吾、麿赤兒、姿月あさと(02年)

 アンティーク・トイ・ショップを訪れた少女は、店員の高校生にブリキのおもちゃ等を見せてもらう。
 おもちゃの説明に耳を傾ける彼女の、サングラスの訳を少年は尋ねる。少女は幼い頃の不思議な思い出を語り始めた。
 どんなおもちゃでも直してくれる”ようぐそうとほうとうふ”こと、玩具修理者の話。ちょっとブラックなショート・ショート。
 自主映画テイストの作品ですが、セット、キャストには結構気合いが入ってます。店員役はちょい力不足だけど。
 ☆×1.0


11月1日(土)

『猫の恩返し』 監督:森田宏幸 声優:池脇千鶴、袴田吉彦、渡辺哲、斉藤洋介、前田亜季、丹波哲郎(02年)

 車に轢かれそうになった猫を助けた女子高生ハルは、猫の国に連れて行かれ王子のお嫁さんにされそうになる。
 困ったハルは不思議な声に導かれ、猫の事務所のバロンのもとを訪ね、助けを求める。
 猫の国での冒険は、ハルにとっての素敵な経験。同じジブリ作品の異界もの『千と千尋…』と比べてみるのも面白い。
 近年の宮崎作品のような理屈を求めなくても、素直に楽しめる映画です。ネコさんハァハァ、な人には特にお勧め。
 ☆×2.0

『ギブリーズ episode2 監督:百瀬義行 声優:西村雅彦、鈴木京香、古田新太、篠原ともえ、今田耕司(02年)

 架空のアニメ制作会社、スタジオ・ギブリの日常を描いた作品。
 激辛カレーに挑んだり、終電で美女によりかかられたり、小学生の頃の初恋の想い出に浸ったりとか…
 『猫の恩返し』のおまけ的作品なので、なんとも表現できませんが、まあ、ジブリの内輪受け的な小品。
 まあ、こういう実験的(興行的と対義語)なものも作れる余裕が、ジブリにはあるということですな。
 ☆×1.0

『きみのためにできること』 監督:篠原哲雄 出演:柏原崇、真田麻垂美、川井郁子、岩城滉一、大杉漣 (99年)

 録音技師の高瀬は、恋人を残して宮古島の機織の取材に。メールを通しての遠恋の傍ら、レポーターの鏡耀子に惹かれていく。
 音へのこだわりに自分を導いた木島との再会、木島と耀子の関係、恋人日奈子との不和。高瀬を揺さぶる様々なノイズ。
 いわゆる爽やかな恋愛ものを目指しているのでしょうが、人物描写がいまひとつでキャラに感情移入できない。
 年上のお姉さんに惹かれながらも結局元の鞘に収まるというだけのお話。お姉さんキャラがミスキャストなら全ておじゃんです。
 ☆×1.0


10月26日(日)

G-O-M-E-N 監督:松川健治 出演:藤巻裕己、近藤真一、三浦義順、三浦陽介、川俣智弘(99年)

 高校卒業を3日後に控えた男子高校生5人組は、最後の想い出作りに乗り出す。
 バンド結成にAV作り、とにかくどれもうまくいかないまま、時はダラダラ過ぎる。本当にお馬鹿なVシネマ。
 ストーリー、演出、台詞回しとどれを取っても見事な三流ぶりを発揮し、無為な75分を過ごせます。
 こういうムダな時間って大切だよな、学生時代しかり。というわけで、敬意を込めて最低映画と認定します。
 ☆×0.5

『アカルイミライ』 監督:黒沢清 出演:オダギリジョー、浅野忠信、藤竜也、りょう、笹野高史、白石マル美(02年)

 おしぼり工場でバイトをする雄二は、先輩の有田守を慕っていた。ある日、有田は飼っていたクラゲの世話を雄二に託す。
 工場の社長を殺害し投獄された有田は獄中で自殺し、頼れる者がいなくなった雄二は有田の父の下に身を寄せる。
 情緒不安定な雄二の混乱ぶりは未来が見えない若者たちの苦悩か。それでも生きていかざるをえない。
 死に際に有田が残した「行け」のサイン。ふわふわと繁殖するクラゲたち。不安定な未来のメタファーに満ちた作品です。
 ☆×2.0


10月19日(日)

『好き』 監督:本田昌広、鋤田正義、長澤雅彦 出演:田中麗奈、高橋一生、伊原剛志、伊澤健(00年)

 田中麗奈を主演に、人を思う淡い気持ちをモチーフにしたオムニバス作品。
 ラーメン屋のバイトがチンピラ少年に惹かれていく『チャーシュー麺』
 教え子の父親に思いが芽生える教師を、写真と彼女のモノローグで描く『波』
 網膜剥離で夢を諦めなければならないアマチュアボクサーを、いつの間にか慕うようになる『テンカウント』
 ・・・なんというか、つながりのない単調な3作です。単に田中麗奈で恋愛映画を作りたかっただけなのか・・・。
 ☆×1.0

『害虫』 監督:塩田明彦 出演:宮崎あおい、田辺誠一、りょう、石川浩司、蒼井優(02年)

 中学1年の北サチ子は小学生の時の教師と付き合っていて、彼が転職し離れ離れになった今も文通を続けている。
 登校拒否中に出会った不良少年とのつきあい、自殺未遂した母親との生活、サチ子を心配してくれる唯一のクラスメイト
 ハッピーエンドかサッドエンドか、物語の筋が皆目見当つかないまま、時間が過ぎていく難解な作品。
 この映画、脚本読んでもストーリーが理解できないだろな。宮崎あおいの少女離れした魅力に免じて☆半分おまけ。
 ☆×1.0


10
月12日(日)

『ローカルニュース』 監督:中村義洋 出演:長谷厳一郎、足立紳、細川徹、沼田祐里、佐藤晃子、井出健一郎(99年)

 地方局のとあるニュース番組。報道ニュースではなく、企画ニュースを取材するクルーたちの物語。
 逆立ちダイエットに喋る文鳥、凧上げ名人に現代忍者、どうでもいい話題を映像に仕上げるディレクター中川。
 やる気のないカメラマンと音声のアルバイト、現場に遅刻するレポーター。中川の苦労は絶えない。
 私たちが何気に見てる穴埋め番組も、実はこんなどこにでもある職場風景の下でつくられてるのでしょうね。
 ☆×2.5

『てなもんや商社 萬福貿易商社』 監督:本木克英 出演:小林聡美、渡辺謙、鄭浩南、香川照之、田中邦衛(98年)

 ひかりがほんの腰掛けのつもりで入った会社は、中国との貿易を行う中小商社。中国人相手のビジネスに翻弄されるひかり。
 欠品、仕様間違い、納期遅延、検品に行けば昼間から乾杯乾杯の酒攻撃でつぶされる。そんなタフな毎日で成長していく彼女。
 どこにでもある職場風景の中で中国ビジネスのおかしさが点描されてて、非日常的な日常感があふれています。
 小林聡美のコメディOLは当たり役。彼女のドタバタ振りと中国の猥雑さで、自然に笑いがこみ上げてくる好作です。
 ☆×3.0


10月5日(日)

『女学生の友』 監督:篠原哲雄 出演:山崎努、前田亜紀、野村佑香、山崎一、毬谷友子、中村久美、山田辰夫(01年)

 息子一家と同居する老人、弦一郎。彼らとそりが合わず砂を噛むような生活の中で、孫娘の梓だけとは心が通い合えた。
 渋谷に梓とでかけた弦一郎は、梓の友人まゆ達のグループに出会う。その中の一人、未菜が後日弦一郎に相談を持ちかける。
 未菜と弦一郎の奇妙な友情の中で、未菜一家の家庭崩壊、弦一郎一家の相続争い、まゆの妊娠問題などが語られる。
 柳美里の原作なのだが、ラストが見事なまでの不完全燃焼。物語の種はたくさん蒔かれていい感じなのに、投げっぱなしかい。
 ☆×1.0

『サトラレ』 監督:本広克行 出演:安藤政信、鈴木京香、内山理名、松重豊、小野武彦、寺尾聡、八千草薫(01年)

 自分の考えていることが周りに伝わってしまうという特異体質を持つサトラレ。研究者洋子は、あるサトラレの保護に派遣される。
 症例7号と呼ばれる健一。洋子の任務は、外科医の卵の彼に夢を諦めさせ、薬学研究の道に進ませることだった。
 周りの人はサトラレが自分がサトラレだと気付かないように振舞わなければならない。サトラレも周りの人も大変。
 原作を読んだ人には中途半端な仕上がりだろうな。でも、無人島に一人で暮らすサトラレ1号の姿には、心を打たれました。
 ☆×1.5


9月28日(日)

『ワンダフルライフ』 監督:是枝裕和 出演:ARATA、小田エリカ、寺島進、内藤剛志、谷啓、由利徹(98年)

 死んだ人が天国に向かうまでの1週間、自分の一生の間で一番心に残った思い出をひとつだけ選んで、それを映画にする。
 そんな施設のとある1週間の物語。22人の死者たちはそれぞれの思いを映像に託し、それを観てあの世に旅立ちます。
 人物描写が少し中途半端に終わる嫌いもありますが、ファンタジックな設定のおかげで、それなりの作品にまとまってます。
 監督、脚本、観客は全て自分。まったく個人的な映画を一生に1本撮ることができる。映画人じゃなくても憧れてしまいます。
 ☆×2.0

『あの、夏の日 −とんでろ じいちゃん−』 監督:大林宣彦 出演:厚木拓郎、小林桂樹、菅井きん、勝野雅奈恵(99年)

 おじいちゃんがボケたらしい。両親から体よく監視役を押しつけられた由太は、夏休みを祖父のいる尾道で過ごす。
 祖父賢司郎はかくしゃくとはしているものの、時におかしな呪文を唱え、由太を不思議な夏の世界に連れていく。
 由太とじいちゃんが、尾道の海町をタイムスリップ。昔の尾道の夏がノスタルジックに蘇る、ちょっと素敵なファンタジー。
 新尾道三部作の締めにあたる本作、しまなみ街道もでき、どんどん変っていく尾道に手向けた、大林節絶好調の一品です。
 ☆×3.0


9月21日(日)

『キッチン』 監督:森田芳光 出演:川原亜矢子、松田ケイジ、橋爪功、浜美枝、中島陽典、四谷シモン、浦江アキコ(89年)

 唯一の肉親だった祖母を亡くしたみかげは突然ひとりぼっちに。そんな彼女に祖母の知り合いの青年、雄一が手をさしのべる。
 そして、オカマで雄一の「母」である絵理子と3人で風変わりな暮らしが始まる。吉本ばななの同名小説の映画化。
 雄一の家の不自然な豪華さ、橋爪功のオカマ母、川原亜矢子の透明感、小説めいた台詞回し。それらが微妙なバランスを保つ。
 函館の坂町を舞台にした、なんだかふわふわとした、不思議な魅力を持った作品です。
 ☆×2.5

『ビリー★ザ★キッドの新しい夜明け』 監督:山川直人 出演:三上博史、室井滋、真行寺君江、原田芳雄、内藤剛志(86年)

 ギャングが跋扈する世界。一軒のカフェに用心棒が集う。ビリーは武蔵、サンダース、中島みゆき、104、マルクスと店を守る。
 珍客珍店員珍オーナーが行き交う店を、ギャングたちはいつ襲撃するのか。高橋源一郎の小説群が原作です。
 小劇場の雰囲気が満載された不条理の世界。店内でのキャラとキャラのぶつかり合いはゴージャス。
 何かよく分からんけど、よく分からないのが面白い、そんな不思議な作品です。そうとしか表現しようがないや。
 ☆×2.5


9月14日(日)

『ラブレター』 監督:森崎東 出演:中井貴一、耿忠、根津甚八、山本太郎、洞口依子、大地康雄(98年)

 新宿で裏ビデオ屋をしているさえないチンピラ吾郎は、不法就労の中国人ホステスと偽装結婚し小金を得る。
 白蘭という彼女との関係は書類上だけの夫婦。しかしある日、吾郎の下に白蘭の訃報が届く。
 彼女の身元引き受けに向かい、荷物を整理していると、白蘭から吾郎に宛てた手紙が出てくる。
 自分の死を悟りつつ、束の間の夫に宛てたたどたどしい文句。浅田次郎の原作を忠実になぞった、月並みに泣かせる作品。
 ☆×2.5

『ピンポン』 監督:曽利文彦 出演:窪塚洋介、ARATA、サム・リー、中村獅童、大蔵孝二、夏木マリ、竹中直人(02年)

 この星で卓球の一番を目指すペコ、才能に恵まれながらヒーローを追い続けるスマイル、努力で二人を凌駕しようとするアクマ、
 国を追われて背水の陣で挑む留学生チャイナ、卓球の権化と化したドラゴン。彼らが折りなす高校卓球の世界。
 いわゆるスポ根ものですが、一連の窪塚主演作品の中では、本作のペコが一番すかしていて、かつひたすらで格好いいです。
 スマイルの内省的姿勢といい、ドラゴンの卓球哲学といい、キャラがCGの中で生き生きと立っている傑作ですな。
 ☆×3.0


9月7日(日)

『バネ式』 監督:吉田照美 出演:原武昭彦、乙葉、吉田照美、みうらじゅん、せんだみつお、伊東四朗(02年)

 電波が頭に突き刺さり、頭痛に悩まされるサラリーマンは、街の薬局から電波の医者を探すよう言われ、ラジオ局を目指す。
 ラジオ局の中を受付嬢に案内され迷走する男。度重なる頭痛と襲ってくる懐かしい妄想の風景。
 ラジオパーソナリティの吉田が、つげ義春の「ネジ式」を下敷きに、ラジオへのオマージュとして制作した、シュールな一品。
 撮影現場となっている文化放送近辺は私の住みかに近く、見慣れた風景があちこちに。という私的理由で☆半分おまけ。
 ☆×2.5

『あ、春』 監督:相米慎二 出演:佐藤浩市、斉藤由貴、山崎努、藤村志保、冨司純子、三浦友和(98年)

 妻の実家で、妻子と義母とで暮らす証券マン紘の下に、死別したはずの父親、浜口笹一を名乗る男がやってきた。
 なし崩し的に同居する一家の混乱と団欒。ずうずうしい笹一を、一度家から追い出しても、結局呼び戻してしまう。
 紘の母から、笹一と紘は血がつながっていない赤の他人と聞いても、入院した笹一の看病をする一家。
 家族とは不思議なもの。山崎努の好演で、そんな思いを掻き立てられます。
 ☆×2.5


8月31日(日)

『タンポポ』 監督:伊丹十三 出演:宮本信子、山崎努、役所広司、安岡力也、桜金造、高見映(85年)

 トラックの運転手ゴローがある雨の日に立ち寄った一軒のラーメン屋は、未亡人タンポポがきりもりする流行らない店だった。
 タンポポの店を行列ができる店にするために、ゴローはその道の隠れたプロたちを集め、再建策に乗り出す。
 マカロニウェスタンならぬ、ラーメンウェスタン。本筋以外にも食に関するコメディが挿し込まれ、愉快な娯楽作に仕上がってます。
 食通のホームレスがタンポポの息子にオムライスを作ってやるシーン。「できるかな」ののっぽさんが喋ってますよ。
 ☆×3.0

『あさってDANCE 監督:磯村一路 出演:中嶋朋子、石橋保、裕木奈江、石野真子、ベンガル(91年)

 曽祖父の葬式で末吉は泥酔。目を覚ますと見知らぬ女性、綾が転がり込んでいる。ついでに転がり込む4.5億の遺産話。
 貧乏劇団の大学生スタッフの末吉が、降ってわいたような非日常に翻弄される、そんなお話。
 中嶋朋子の小悪魔チックなキャラがいい。他の映画やドラマでは見られない自由奔放でかつ一途な面をもつ綾役を好演。
 ストーリーはちょっと中途半端だけど、映画化が難しい山本直樹マンガですから、中嶋朋子に免じてそこは大目に見ましょう。
 ☆×2.0


8月23日(土)

『につつまれて』 監督:河瀬直美 出演:河瀬直美、河瀬宇乃、池上恵美子、山城清信(92年)

 生まれてすぐに生き別れた実父を探す、河瀬自身のノンフィクション映画。
 関西のあちこちを転々とした父の住所が淡々と読み上げられ、町の何気ない風景が淡々と点描される。
 父の消息を何とか探しだし、電話をかける河瀬。一度目は無言で切ってしまうが、二度目の電話で勇気を出して父に語りかける。
 これは、家族という、個人をつつむ環境についての物語なのでしょうか。難解な作品ですが、観心地は悪くないです。
 ☆×1.0

『かたつもり』 監督:河瀬直美 出演:河瀬直美、河瀬宇乃(92年)

 河瀬を実父母に代わり育てた祖母の日常を、カメラで淡々と追いかける、河瀬の家族に関するノンフィクション映画。
 『につつまれて』と対をなす、彼女にとっての本当の家族の祖母を、優しく暖かく、カメラはとらえます。
 この作品も難解。タイトルの意味も全く分かりませんが、ひたすら祖母をアップで撮り続ける河瀬の家族愛は伝わってきます。
 農作業にいそしむ宇乃ばあちゃんの奈良弁は、私の故郷、和歌山のおばちゃん達とそっくりで、なんだか感傷的でした。
 ☆×1.0


8月13日(水)

『踊る大捜査線 The movie 2
レインボーブリッジを封鎖せよ! 監督:本広克行 出演:織田裕二、深津絵里、柳葉敏郎(03年)

 人気刑事ドラマの映画化第2弾。すっかり観光地化し増殖し続けるお台場の街で、会社役員を対象とした連続殺人が起こる。
 例によって、現場:所轄署と本店:警視庁の確執を、湾岸署の青島刑事と本庁の室井管理官が熱く演じる。
 室井に代わり捜査の指揮を取る女性管理官沖田、組織へのアンチテーゼであるリーダーなき犯人集団、こいつらがイマイチ。
 結局、キャラが立ってるTVシリーズのメンバーの勝ち。「責任を取るのが私の仕事だ」室井管理官のこの一言にシビれました。
 ☆×1.5

『茄子 アンダルシアの夏』 監督:高坂希太郎 声優:大泉洋、小池栄子、筧利夫(03年)

 世界3大自転車レースのひとつ、スペインで行われるブエルタ・ア・エスパーニャで力走する、解雇寸前の選手ペペ・ベンネリ。
 レース当日はペペの兄アンドルと、ペペの元恋人カルメンの結婚式。そんな故郷の街をペペは先行逃げ切りのトップで通過する。
 黒田硫黄の作品集『茄子』より一編を、自転車の疾走感とラテンの日差し満載の短編アニメに。上映時間47分。代金千円均一。
 ぱっと観ただけでは舞台設定が分かりにくい映画ですが、とにかく色んなものをびゃーと走り抜ける快感をつかんで下さい。
 ☆×1.5

8月8日(金)

『メトロポリス』 監督:りんたろう 声優:井元由香、小林桂、緒方浩暉、石田太郎、富田耕生、若本規夫(01年)

 巨大都市に建設された超高層ビル「ジグラット」は、実は街の有力者レッド公が世界を狂わせるために作った支配塔だった。
 そのビルの王座に座るはずのロボット・ティマ。ロボットに支配される世界を嫌ったレッド公の養子ロックは研究所を破壊。
 完成途中のティマは探偵助手ケンイチによって難を逃れる。ワタシハダレ?ロボット?ニンゲン?自我に迷うティマが痛々しい。
 手塚治虫原作、大友克弘脚本と、日本アニメ映画の粋を凝らした作品だが、映像はプレステのファイナル・ファンタジーみたい。
 ☆×3.0


8月3日(日)

『模倣犯』 監督:森田芳光 出演:中居正広、津田寛治、山崎努、藤井隆、伊東美咲、木村佳乃(02年)

 テレビ番組あてに、死体のありか、殺人ライブの予告等を電話してくる挑戦的な犯人による、前代未聞の連続殺人が発生。
 殺人ライブのあった日、事故車から犯人の死体が見付かるが、主犯の網川は、真犯人は別にいるとテレビ番組に現れる。
 マスコミを翻弄する知能犯網川を、マスコミの人気者、中居が好演しているのが愉快。
 しかし、演出に謎解きを入れて、DVDで売り出す商魂が気に食わん。宮部みゆきの原作は買っても、DVDは買わないぞ。
 ☆×3.0

『世界の終わりという名の雑貨店』 監督:濱田樹石 出演:西島秀俊、高橋マリ子、真行寺君江、松尾スズキ(01年)

 雄高は雑誌のライターを辞め、古びたビルの一角で世を避けたような雑貨店を開く。厭世的な女子高生、胡摩はそこの常連に。
 胡摩は自分にあて手紙を書きそれをいつも読んでいる。雄高はカセットテープに誰に聞かせるでもなく言葉を吹きこみ再生する。
 似たもの同志の二人が折りなすアンニュイな映像が淡々と。女子高生の脚フェチな人以外は退屈な映画です。
 映画としては駄作ですが、台詞ははっとするものが点在。原作は嶽本野ばらの『ミシン』という短編漫画。今度読んでみよう。
 ☆×1.0

7月27日(日)

『麿子』 監督:押井守 声優:勝生真沙子、古川登志夫、緒方賢一、鷲尾真知子、玄田哲章、山寺宏一(90年)

 四方田家に突如現れた38年後の近未来の子孫、麿子。長男犬麿の孫を名乗る彼女の出現は微温的ホームドラマを崩壊させる。
 母の家出、息子の駆け落ち、父の犯罪。破壊者麿子のために家族は離散し、そして不条理の世界で再び結合する。
 本作は、6巻編成のアニメビデオシリーズ『御先祖様万々歳』を、長編映画に再編。演劇的台詞回しが魅力的。
 日本のアニメは宮崎だけじゃない。おたくが崇める押井監督の古典作品。「物語」の本質をえぐるあざとい演出はオススメ。
 ☆×3.0

『パイナップルツアーズ』 監督:仲江裕司、真喜屋力、當間早志 出演:兼島麗子、利重剛、洞口依子、照屋林助(92年)

 声が出なくなったオペラ歌手がユタ(占い師)のお告げで太平洋戦争時代の不発弾を探すお話、『麗子おばさん』
 本土から来て島で働く郵便配達員が島の娘とヤっちゃって結婚させられる、『春子とヒデヨシ』
 アキラと夏子の二人が組んだパンクバンドが、島にホテルを建てようとするリゾート会社にケンカを売る、『爆弾小僧』
 以上3話の沖縄オムニバス映画なのだが、南国テイストを頼みにした甘えが目立つ。まあ、沖縄の雰囲気は好きなんだけどさ。
 ☆×1.0

7月20日(日)

『ロビンソンの庭』 監督:山本政志 出演:太田久美子、町田町蔵、田口トモロヲ、上野裕子、CHEEBO87年)

 ある日、緑の廃墟に迷いこんだクミは、そこで暮らすことにする。キャベツを植え、壁をサイケに染め、自分の基地を作る。
 都会の真ん中にそんな土地が存在するなんて信じられないが、そんな奇跡の場所での秘密基地作りの話。
 音楽は、80年代を代表するサブカルポップのじゃがたら。その筋のサブカル者には受けるのでしょうか。
 関西人にさえ聞き取りにくい関西弁、淡々と進む映像、緑のイメージフィルムなのかしらん。
 ☆×0.5

『満員電車』 監督:市川菎 出演:川口浩、笠智衆、杉村春子、小野道子、川崎敬三、船越英二(57年)

 一流大学を出て一流企業のラクダビールに就職した茂呂井は、サラリーマン生活のストレスか、治らない歯痛に悩まされる。
 そんな折、父から母が発狂したとの手紙が。茂呂井は原因究明のため、精神医学生の和紙破太郎を実家に送る。
 伝統的なサラリーマン風刺だが、それらが現在にも結構通用するのは、小津安二郎の『けれど』シリーズと同じ。
 座席がなくても、うろうろしてちゃ、満員電車にすら乗れやしないのです。そして僕らはサラリーマンであり続ける。ハァ…
 ☆×1.0

7月13日(日)

『無能の人』 監督:竹中直人 出演:竹中直人、風吹ジュン、三東康太郎、山口美也子、マルセ太郎(91年)

 元マンガ家の助川は定職につかず、妻のパート代に家計を頼るうだつの上がらない生活。
 ある日、助川は石がマニアの間で高値で取り引きされているのを知り、多摩川で石屋を始める。当然客なんてくるはずもない。
 つげ義春の原作(石を売る、無能の人、鳥男etc)を忠実に映画化。ゴンチチの音楽も雰囲気ぴったり。
 自分をダメな方へダメな方へ持っていってしまう助川。そんな彼を責めながらも連れ合う妻のキャラは、原作より多少救いあり。
 ☆×2.0

GO!』 監督:行定勲 出演:窪塚洋介、柴咲コウ、大竹しのぶ、山崎努、新井浩文、村田充、細山田隆(01年)

 杉原は元ボクサーの父を持つ在日韓国人。民族学校から日本の高校に進学するが、ケンカっぱやさは相変わらず。
 超カワイイ桜井と付き合うことになるが、彼は在日であることを切り出せずにいた。そんな彼の「恋愛に関する物語」である。
 民族、国家、祖国、国籍、差別…そんなものはダセー、「広い世界を見るのだ。」窪塚洋介がそんな爆発高校生杉原を好演。
 その杉原をいつもぶん殴る親父を山崎努が好演。マジで最強、リスペクトっす。
 ☆×1.5

7月6日(日)

『自殺サークル』 監督:園子温 出演:石橋凌、永瀬正敏、麿赤児、さとう球緒、嘉門洋子、ROLLY02年)

 ある日、JR新宿駅で女子高生54人が、何の前触れもなく一斉に電車に飛び込む集団自殺事件が起こる。
 その後、ハーメルンの笛吹きに躍らされたかのように、何の関係もない連鎖自殺が全国で起きる。
 現場でみつかる人皮のひも、自殺者数を預言するウェブサイト、少女アイドルグループ、全てが非関連な関係を持つ。
 結局、謎は謎のまま。物語は解決を見出さない。不可解さとグロテスクさが苦手な人は観ない方がいいです。
 ☆×1.5

『ロックンロールミシン』 監督:行定勲 出演:加瀬亮、池内博之、りょう、水橋研二、粟田麗 (02年)

 サラリーマンの賢司は、高校の同級生凌一と偶然再会する。彼は仲間とオリジナル・ブランドの服を製作していた。
 賢司は彼らの自由奔放な生き方に憧れ、会社を辞め“ストロボ・ラッシュ”の立ち上げに関わっていく。
 会社の先輩には学生ノリだとバカにされる生活。確かに彼らの姿は、学園祭を前にした学生バンドのよう。羨ましい…。
 でも、夢を追いかけることの難しさに、やがて彼らはぶつかります。現実は映画の中でもやっぱり強いね。
 ☆×2.5


6月28日(土)

『顔』 監督:阪本順治 出演:藤山直美、豊川悦司、國村隼、大楠道代、牧瀬里穂、佐藤浩市、岸辺一徳(99年)

 35歳の正子はデブ、ブス、ネクラで、家に引きこもってばかりの日々。母が亡くなった葬式の夜、不仲の妹を絞殺してしまう。
 ラブホテルの従業員、バーのホステス、老人の後見人と、成行まかせの逃避行を経て、正子は生きる力を身に付けていく。
 自転車に乗れるようになりました、友達もできました、人前ではしゃげるようになりました、笑えるようになりました。
 少し長く感じる映画ですが、藤山直美の熱演で中年女性のたくましさを痛感できます。
 ☆×1.5

『ソフィーの世界』
SOFIES VERDEN) 監督:エリック・グスタヴソン 出演:シルエ・ストルスティン、トーマス・ヴォン・ブロムセン(99年ノルウェー)

 ソフィーの元に不思議なハガキが届くように。「あなたは誰?」「世界はどこから来た?」それは時空を超えた思索の旅への誘い。
 ソクラテス、ミケランジェロ、グーテンベルグ…、ソフィーは案内人アルベルトとヨーロッパの歴史を俯瞰体験する。
 二人は自分たちの世界が、クナーグ少佐が娘ヒルデのために書いた哲学教室の劇中であると気付く。そして世界は交錯する。
 哲学小説というより、これは上質のファンタジー。原作の魅力が見事に映像化されています。ノルウェー語が耳珍しくて、イイ!
 ☆×2.5


6月22日(日)

TAMALA2010 a punk cat in space 監督:t.o.L 声優:武田真治、加藤武、ベアトリス・ダル、佐藤54-712002年)

 ネコ地球のTOKYOMEGURO-CITY、1歳の誕生日、タマラはオリオン座エデッサ星への旅に出る。
 道中の事故で、ネコ族とイヌ族の動乱の最中のQ星に不時着。雄ネコ、ミケランジェロと行動を共にすることになる。
 物語のバックボーンであるCattyCoの暗躍、ミネルバ教の破戒と再生の女神タトラ、これらとタマラの符号の一致は?
 キッチュなアート・アニメで私には苦手な部類だが、『100万回生きた猫』、ヤマト運輸とのアナロジーを発見できてニヤリ。
 ☆×1.0

『狂気の桜』 監督:薗田賢次 出演:窪塚洋介、RIKIYA、佐藤元気、江口洋介、原田芳雄、本田博太郎、高橋マリ子(02年)

 山口、須藤、小菅の3人は、ネオ・トージョーを標榜する自称ナショナリスト。自分たちの街、渋谷を、半端な奴らから守る毎日。
 彼らに接触する右翼系暴力団と消し屋の五郎。若者たちは大人たちの思惑に組みこまれていく。
 奪還(恐喝)、矯正(暴行)、排泄(強姦)に明け暮れる彼らの日常。行間を埋めるのは、SIBUYA系のHIPHOP
 腐った日本に喝を唱える彼らはマジRespectっすけど、自分とはイデオロギーが違うなあ。LovePeace.
 ☆×1.5

『バタアシ金魚』 監督:松岡錠司 出演:筒井道隆、高岡早紀、東幹久、土屋久美子、白川和子、浅野忠信(90年)

 花井カオルは水泳部のソノコに一目惚れ。泳げないくせに水泳部に入部、「君のために五輪を目指すよ」とソノコにつきまとう。
 口汚く罵られソノコに拒絶されても、カオルは思いこんだら一直線のストーカー。ソノコは精神バランスを崩し過食症になる始末。
 とにかくカオルの恋愛ターミネーターぶりに爆笑。思いこみは確かに青春の一幕だなあ。
 高岡早紀目当ての10年ぶり再見だったが、ライバル高の敵将ウシ役にまだチビの浅野忠信を発見。彼のデビュー作でした。
 ☆×2.5


6月15日(日)

『豚の報い』 監督:崔洋一 出演:小澤征悦、あめくみちこ、上田真弓、早坂好恵、岸辺一徳(99年)

 大学生の正吉は、行きつけのスナックのホステス達を厄払いのため、故郷の島、真謝島に連れていく羽目になる。
 ウタキ(霊場)が点在する神の島に向かった一行。正吉には海で亡くなり風葬になった父の骨を拾う、という目的があった。
 沖縄独特の葬祭文化をモチーフにした芥川賞作品の映画化だが、映画だけでは人物関係とかの把握がちょい難解な作品。
 ネーネー(お姉さん)たちのかしましさを下敷きに、沖縄テイストをそこはかとなく楽しみましょう。
 ☆×1.0

『グリーン・カード』
Green Card) 監督:ピーター・ウィアー 出演:ジェラール・ドバルデュー、アンディ・マクダウェル(90年米)

 ブロンティは温室付きのマンションに住むために、アメリカでの居住資格を求めるフランス人ジョージと偽装結婚をする。
 green-housegreen-card。入国管理局の査問をクリアしお互いの目的を得るために、二人の打算的な共同生活が始まった。
 物語の設定を聞くと大体ストーリーの想像がつきますが、それはもう、その通りに進みます。「情が沸く」ってやつですな。
 フランス臭たっぷりのジョージ役、J・ドバルデュー。ラブストーリーに似つかわしくない彼の巨体も、見ているうちに好感が…
 ☆×1.5


6月8日(日)

『セブン』
SEVEN) 監督:デビッド・フィンチャー 出演:ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、ケビン・スペイシー(95年米)

 定年を1週間後に控えた老刑事サマセットの下に着任した若手刑事ミルズ。二人を待ち構えていたのは猟奇的連続殺人。
 キリスト教の7大罪(大食、強欲、怠惰、色欲、高慢、羨望、憤怒)になぞらえ事件は起こる。羨望と憤怒を残して自首する犯人。
 観客はいつのまにか、殺人犯ジョン・ドゥの犯行動機に惹きこまれ、そして衝撃のラストで非条理のカタルシスを得るのです。
 人間というのは、結局意味を求める存在なのだなあ。そんなことを実感させられる作品。
 ☆×2.5

『ドリーム・スタジアム』 監督:大森一樹 出演:萩原聖人、牧瀬里穂、桃井かおり、池内博之、王貞治、金田正一(97年)

 住宅メーカーの営業マン田沼はひょんなことから、入団を前に30年前バイク事故で死んだ南海の新人、西山の能力を授かる。
 そして、会社を辞め、ダイエーホークスの指名打者として破竹の活躍、…って、後年の『ミスター・ルーキー』とかぶってます。
 西山の菩提を弔うため妹が球場を作り、そこに名球界メンバー が集って…って、それ、『フィールド・オブ・ドリームス』やん。
 野球ってほんと、映画にしやすいのね。
 ☆×1.5

『洗濯機は俺にまかせろ』 監督:篠原哲雄 出演:筒井道隆、富田靖子、小林薫、百瀬綾乃、田鍋謙一郎(99年)

 電気店の娘でDJの節子は結婚も仕事も失敗し、ある日ズブ濡れで、実家の分店を任されている修理工木崎の下に転がり込む。
 かつて節子の番組のファンだった木崎は、複雑な思いで、店主の娘との生活をなし崩し的に受け入れる。
 結局、節子は地方の放送局にDJとして復帰。リサイクル家電を再生のモチーフとした、ちょっといい雰囲気の映画です。
 木崎の台詞、「再生も生産のひとつだと思います」って実はちょっと深い台詞だったり。
 ☆×2.5


6月1日(日)

『シベリア超特急』 監督:マイク水野 出演:マイク水野、かたせ梨乃、菊地孝典、西田和晃、アガタ・モレシャン(96年)

 第二次大戦前夜、日本陸軍山下奉文大将はヨーロッパ視察から帰国途中、シベリア鉄道の車内で殺人事件に巻き込まれる。
 荒唐無稽なストーリー、イタ過ぎる演出、台詞棒読み、ウケ狙いとしか思えないが、マイク水野こと水野晴郎先生は大マジ。
 監督、脚本、主演と、先生大張り切り。もう、好きにして下さいって感じ。戦争はイケナイよな。ボルシチも結構美味かったぞ。
 エンドタイトル後に楽屋オチがあるバージョンがあるので、さらなる脱力感を求める方は「特別編集版」を買って下さい。
 ☆×0.5


5月25日(日)

『紅の豚』 監督:宮崎駿 声優:森山周一郎、加藤登紀子、桂三枝、上條恒彦、岡村明美、大塚明夫(92年)

 イタリア空軍を離れ、自らの姿を豚に変え、空賊相手の賞金稼ぎに身をやつした飛空挺乗りポルコの物語。
 飛空挺の疾走感、メカニックの楽しさなど、ラピュタ、ナウシカ、トトロのような商業映画より監督の趣味を十二分に反映。
 国家や民族を背負い海軍に残るより、友人の未亡人ジーナの人生を背負うより、人間を捨て自由を選んだポルコの格好よさ。
 彼のハードボイルドなガハハ笑いは、イタリア中年の「気持ちのいい男」振りを醸し出していて、グッジョブ!
 ☆×3.0

『BeRLiN』 監督:利重剛 出演:中谷美紀、永瀬正敏、ダンカン、あめくみちこ、山田辰夫、萩原聖人(95年)

 ホテトル嬢、キョーコ()は、自由奔放で、感情的で、触れ合う人を惹き込む魅力を持った不思議な女性。
 とあるTVドキュメンタリーのクルーたちは、突然失踪した彼女の行方を追う。そして様々な人から彼女の姿が点描されていく。
 キョーコ()が出る回想シーンはカラー、現在はモノクロ、ドキュメンタリーシーンはビデオ。撮影形態がコロコロ変るので注意。
 「壁」のかけらをいつもお守りに首からぶら下げるキョーコ()。自由と狂気をかわいらしく演じる、彼女らしい象徴です。
 ☆×2.0


5月17日(土)

『はつ恋』 監督:篠原哲雄 出演:田中麗奈、原田美枝子、真田広之、平田満、佐藤充、仁科克基(00年)

 母がガンで急遽入院することに。娘の聡夏(さとか)は母親のオルゴールから、相手に出せなかった恋文を見つける。
 聡夏は母のはつ恋の相手、藤木を見つけるが、彼は病床の母に引き合わせるにはしのびない、すさんだ生活を送る男だった。
 聡夏と藤木、それぞれの家庭の別離と再生がテーマの家族映画。タイトル通りの恋愛映画ではありません。
 満開の願い桜の下、聡夏と母親の会話が深い。父親には入りこめない領域。でも父は優しく家族を見守っています。
 ☆×3.0

『ポストマン・ブルース』 監督:サブ 出演:堤真一、遠山景織子、大杉漣、堀部圭亮、清水宏、伊藤洋三郎、山本亨(97年)

 郵便配達員沢木が高校の同級生、ヤクザの野口にDM配達をきっかけに再会することで、なぜか警察が一方的に勘違い。
 これまた郵便物をきっかけに薄命の美女、小夜子とめぐり合う沢木。入院中の殺し屋ジョーが絡んでさらに混乱する捜査線。
 疾走、勘違いをテーマに、バカヤクザとバカ警察をアレンジし、ブラックなエンディング。サブ監督の映画はこんなのばっか。
 しかし、この映画のラストは、沢木と小夜子にとっちゃ唯一のハッピーエンドなんだろな。あざとく感動させられちゃいました。
 ☆×3.0


5月10日(土)

『走れ!イチロー』 監督:大森一樹 出演:中村雅俊、浅野ゆう子、石原良純、松田龍平、木村佳乃、南野陽子(01年)

 リストラにあった中年サラリーマンの家族、詐欺師に名をカタられた小説家、一浪が決定したバイク青年の恋愛
 イチローがオリックスを去りメジャーに行く前の神戸を舞台にした、4人のイチローの物語。
 広島カープの高橋慶彦をモチーフにした、村上龍の「走れ!タカハシ」が原作。大森一樹が無理矢理神戸映画にしちゃいました。
 様々な登場人物の物語がイチローを中心に展開されるが、彼は作品中における「背景」です。
 ☆×2.0

『ココニイルコト』 監督:長澤雅彦 出演:真中瞳、堺雅人、中村育ニ、笑福亭鶴瓶、島木譲二(01年)

 広告代理店のコピーライター相場は、上司との不倫が理由で、大阪支社の営業にトバされてしまう。
 そこで出会った中途採用の新人前野は、「ま、ええんとちゃいますか。」が口癖。彼のペースにいつの間にか癒される相場。
 作家、最相葉月のOL時代の経験を綴った小エッセイと、スガシカオの同名曲「ココニイルコト」が本作のきっかけ。
 大阪の人と街が折りなすちょっといい雰囲気の傑作。前野のキャラに触れているうちに、あなたもほんのりと前向きになれます。
 ☆×3.5


5月5日(月)

『星に願いを。』 監督:冨樫森 出演:竹内結子、吉沢悠、高橋和也、牧瀬里穂、國村準(2003年)

 事故で視力と声を失った笙吾を絶望から救ったのは、看護婦奏(かな)の体当たりな献身だった。
 いつしかお互い心を通わせるようになる二人、しかし、笙吾が再びの事故に遭い他界。失意に沈む奏。しかし、ここで奇跡が。
 自分の存在を明かさないのが、笙吾が数日の生を受けるためのルール。奏に想いを伝えることができるのか。
 香港映画の『星願』が原作。交通事故が多すぎるよ、とかツッコミ所も多いが、そこそこ感動できる素直な「よみがえりモノ」です。
 ☆×1.5

4月27日(日)

『ルディ 涙のウィニング・ラン』
Rudy) 監督:デビッド・アンスポー 出演:ショーン・アスティン、ジョン・ファブロー、ネッド・ビーティ(93年米)

 ルディの夢は、ノートルダム大学のアメフト選手になること。でも彼は体格、学力、財力には恵まれていない。
 結局高校を卒業後、父と兄が働く製鉄工場に勤めるのだが、彼は夢を諦めなかった。工場を辞め、ノートルダムを目指す。
 “神は彼に熱意を与えた。”才能に恵まれていなくても、ルディは努力で憧れのフィールドに立つ。そんな実話に基づいた映画。
 アメフトのルールを知らなくても、そこそこ楽しめます。
 ☆×1.5

『ブルース・ブラザーズ』
THE BLUES BROTHERS) 監督:ジョン・ランディス 出演:・ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、ジェームズ・ブラウン(80年米)
 
 ブルース兄弟は、自分の育った孤児院を存続の危機から救うため、バンドを再結成する天啓を受ける。
 メンバーをあの手この手で勧誘し活動を再開するが、兄弟の前に、警察、ネオナチ、謎の女、ウェスタンバンド達が立ち塞がる。
 脇役を固めるのが、アメリカを代表するミュージシャンたち。洋楽に詳しくなくても、ノリノリに楽しめます。
 しかし、パトカーが大量破壊されるカーチェイスを認めるシカゴ市警は太っ腹。日本の警察にはそんな度量はないだろな。
 ☆×3.0


4月20日(日)

『ぼくんち』 監督:阪本順次 出演:観月ありさ、矢本悠馬、田中優貴、真木蔵人、岸辺一徳、鳳蘭、今田耕治(2003年)

 ひなびた港町に暮らす一太、ニ太の兄弟の元に久しぶりにお母ちゃんが帰って来た。異父姉のかの子を連れて。
 生きることの苦しさ、宿命を、ほのぼのとした片田舎の点描で表現した、西原理恵子原作マンガの映画化。
 「泣いてお腹が膨れるか」「泣きたい時には泣いてええんちゃうんか」…時に厳しい台詞が物語の主題に。
 母と息子の別離がストーリーをひっぱる後半は少しダレるけど、前半の人間描写とかは好きだなあ。
 ☆×1.5

『恋する惑星』
(重慶森林/Chung King Express)監督:ウォン・カーワイ 出演:金城武、ブリジット・ジン、フェイ・ウォン、トニーレオン(94年香港)

 「その時彼女との距離は0.1ミリ。57時間後、僕は彼女に恋をした。」警官223号のお相手はヤクの女手配士。
 「その時ふたりの距離は0.1ミリ。6時間後、彼女は別の男に恋をした。」サンドイッチショップのフェイは警官633号に一目惚れ。
 いわゆるA boy meet a girl の2作オムニバス。フェイ役のフェイ・ウォン自身が歌う主題歌「夢中人」で、好感の持てる作品に。
 好きな相手の部屋に忍び込んで、掃除、金魚放流、CD放置と勝手放題のストーカー、フェイ。でも何故か憎めないんだよな。
 ☆×2.0


4月13日(日)

『元祖大四畳半大物語』 監督:曾根中生、松本零士 出演:山口洋司、篠ひろ子、前川清、若宮大祐、ラビット関根(80年)

 日当たりの悪い四畳半一間で繰り広げられる青春。下宿マンガの金字塔「男おいどん」の原型、それが本作。
 ダメヤクザとその情婦、下宿のおばさん、同階のオカマ(若かりし関根勤)と、それぞれいい配役。
 しかし、大東京で逞しく生きていく九州男児、足立太はのび太系。同じダメ人間でも全然違う。これは思いっきりミスキャスト。
 独り暮らしの空間をひとつの宇宙に例えた松本マンガの功績は大きいが、本映画はB級的楽しみも中途半端の駄作。
 ☆×0.5

『ヒポクラテスたち』 監督:大森一樹 出演:古尾谷雅人、伊藤蘭、光田昌弘、狩場勉、柄本明、西塚肇、真喜志きさ子(80年)

 医学生荻野の青春点描。ハードで奇妙な医学実習、寮仲間とのバカ話、シラケ世代の学生運動、同棲相手の妊娠と破局。
 若者たちの70年代的日常を淡々と描いた本作は、『風の歌を聴け』の神戸に対し、監督自身の京都府医大時代へのオマージュ。
 どこか世から引いたところのある主人公荻野愛作を、古尾谷が好演。物語後半、精神バランスを崩していく荻野の姿は出色。
 今見ても(というより、古尾谷が自殺した今だからなおさら)心に残る作品。  邦画界きっての名優の死に合掌…。
 ☆×2.5


4月6日(日)

『たそがれ清兵衛』 監督:山田洋次 出演:真田広之、宮沢りえ、田中泯、丹波哲郎、小林稔侍、大杉漣(02年)

 海坂藩の平侍、清兵衛は、城勤めが終わる黄昏時、同僚の誘いを毎回断り家に帰るため、たそがれ清兵衛と呼ばれるように。
 労咳で妻は亡くなり、幼い娘二人と痴呆の母の世話を男手一人でみる。貧困に喘いで着物は薄汚れても、彼は家族を守る。
 そんな折、親友飯沼の妹朋江が出戻ってくる。清兵衛に密かに想いを寄せる朋江に、清兵衛は応えてやることができず悩む。
 サラリーマンの間で大人気のこの映画。仕事とは?戦いとは?家族とは?生き甲斐とは?人を想うこととは?
 ☆×4.0

3月30日(日)

『ダイナマイトどんどん』 監督:岡本喜八 出演:菅原文太、宮下順子、北大路欣也、嵐寛寿郎、金子信雄(73年)

 米軍占領下の北九州。暴力抗争を禁じられたヤクザが、親睦野球大会の名を借りて大暴れするおバカな話。
 岡源組の加助は料理屋のおかみお仙に惚れているが、野球の助っ人にやってきた銀次は彼女の情夫。面白くない加助。
 銀次は橋傳組に買収されてしまい、二人の対決は決勝戦で行われることに。警察隊とGHQが見守る中、男たちの闘いが始まる。
 ゴージャスな出演者を駆使したヤクザ映画の見事なパスティーシュ。映画と野球が元気だった時代の心地よい作品です。
 ☆×2.5

『KYOKO』 監督:村上龍 製作総指揮:ロジャー・コーマン 出演:高岡早紀、カルロス・オソリオ・スコット(96年)

 トラックドライバーのキョウコは、小さい頃一人ぼっちだった自分にダンスの楽しさを教えてくれたGI、ホセを訪ねてアメリカに。
 しかしホセは、末期のAIDS痴呆症にかかっていた。自分がスターだったという妄想と幼少時代のマイアミが彼の記憶の全て。
 そんなホセを家族にあわせてあげるために、彼を車に乗せてマイアミを目指すキョウコ。女丈夫振りに惚れ惚れしちゃいます。
 でも、キョウコちゃん、夜の公園を挑発的な格好で一人歩きするのはダメだぞ。あと、病人をダンスさせちゃいけません。
 ☆×2.5


3月23日(日)

『ドカベン』 監督:鈴木則文 出演:橋本三智弘、高品正弘、永島敏行、マッハ文朱、川谷拓三(77年)

 明訓高校の番長岩鬼は、自分より大きな弁当を食べる転校生ドカベンこと山田に因縁をつけるが、山田は相手にしない。
 その後二人は弱小柔道部を救う羽目になり、影丸率いる花園高校を破るが、亡き妹のために闘う賀間が立ちふさがる。
 とまあ、本作は山田が野球部に入部するまでの柔道部時代の話。里中、土井垣、不知火とかは出てこない。
 橋本:朴念仁や〜まだ、高品:男岩鬼、川谷:秘打白鳥の湖、マッハ:夏子はん、水島新司:酔いどれ監督等、見所満載。
 ☆×1.0

『ブエノスアイレス』
(春光乍洩/Happy Together)監督:ウォン・カーワイ 出演:レスリー・チャン、トニー・レオン、チャン・チェン(97年香港)

 ゲイカップルウィンとファイは、「やり直す」ために香港から一路ブエノスアイレスへ。そこでもケンカと別離を繰り返すのだが…
 恋人たちの心情描写のみで成り立つ映画は苦手だ、ましてゲイムービー。やっぱ、どうしても好きになれんよこの映画。
 でも、イグアスの滝(世界最大なのだそうだ)、悲しみを捨てることができる南米最南端の灯台には行ってみたいと思った。
 旅を続ける台湾人青年チャンが、ファイの思いが詰まったテープを灯台で聞きかざすシーン。あんな旅人になりたいな。
 ☆×0.5

3月16日(日)

『皆月』 監督:望月六郎 出演:奥田瑛二、北村一輝、吉本多香美、荻野目慶子(99年)

 「みんな月でした。」 1枚の書き置きを残し、貯金を持って家を出た妻を追い、男は義弟と情婦とともに旅に出る。
 芥川賞作家、花村萬月の小説を映画化。映画評の禁じ手をあえて使わせてもらうなら、「原作の方がよかった。」
 艶っぽい官能表現も、不自然な面子で繰り広げられるロードムービー的展開も、2時間サスペンスドラマの域を脱しない。
 濡れ落ち葉のおっさん役の奥田をはじめ、キャスティングはまあまあ適役なのだが、それでも火曜サスペンスぽいんだな
 ☆×0.5

『リリィ・シュシュのすべて』 監督:岩井俊二 出演:原隼人、忍成修吾、蒼井優、伊藤歩、大沢たかお(01年)

 中学二年生の雄一は、夏休み後、素行が激変した星野にいじめられる閉塞した毎日。彼の救いは歌姫リリィだけだった。
 インターネットで岩井が一般参加者と創作した小説を元にした異色作。スクリーンにはBBSの書き込みが数々写し出される。
 映画の枠をもはみ出す岩井のテクニックは「卑怯」。田んぼに佇むカッペヤングも岩井にかかればすげえカッコイイ映像に。
 「太っちゃえばもう仕事しないで済むね。」援助交際を強いられる少女が雄一に明るく振舞った台詞とか、とにかく痛々しい映画。
 ☆×1.5


3月9日(日)

『キューポラのある街』 監督:浦山桐郎 出演:吉永小百合、東野栄治郎、杉山徳子 (62年)

 鋳物工場のキューポラ煙突が立ち並ぶ、埼玉県川口市の職人一家の物語。
 リストラに遭った酒乱の父、乳飲み子を抱える母、やんちゃな弟タカユキ。
 高校受験を控えるジュンが貧困の中でも健気に頑張る、そんなストーリー。それだけのストーリー。
 在日朝鮮人の友人が「私、朝鮮に帰るの。」と言ったのに対し、ジュン、さらりと「あら、そう、よかったわね。」これは迷台詞!
 ☆×1.0

『五条霊戦記 GOJOE 監督:石井聰亙 出演:浅野忠信、永瀬正敏、隆大介、岸辺一徳 (00年)

 源義経と武蔵坊弁慶の五条橋での決闘を、CGを駆使しSFチャンバラにした、そんな作品。それだけの作品。
 配役はゴーヂャスなのだが、いまいちキャラが立っていない。永瀬演じる刀泥棒なんて、実はほとんど意味のないキャラ。
 まあ、浅野忠信はあいかわらず器用な演技を見せてます、でも、元服前の義経役にはちょっと無理があるな。
 義経の影武者役、芥子丸(細山田隆人)と並ぶと、それはもう一目瞭然。
 ☆×0.5


3月2日(日)

『バッファロー’66
(Buffalo‘66) 監督:ヴィンセント・ギャロ 出演:ヴィンセント・ギャロ、クリスティーナ・リッチ (98年米)

 ビリーは服役を終えて、故郷のNY州バッファローに帰ってくる。でも、両親には、遠くで妻と一緒に暮らしていることになっている。
 嘘を塗り固めるために、トイレを借りにいったダンス教室の女生徒レイラを拉致、にわか妻を演じることを強要する。
 吉本新喜劇じゃあるまいに、というシチュエーションでも、レイラは甲斐甲斐しく良妻を演じ、ビリーと恋に落ちる。
 極めて人工的なストーリーで、細部無茶苦茶だが、説明なんか糞食らえ。観客は辻褄よりハッピーエンドを求めているのだ。
 ☆×2.0

『火星の我が家』 監督:川島拓 出演:鈴木重子、ちわきまゆみ、堺雅人、日下武史 (00年)

 声の出なくなったジャズシンガー未知子が久々の帰国。ある日父が脳梗塞で倒れ、介護が必要に。
 控えめで優等生的な独特のテンポの次女、未知子。母の介護のため、音楽家の夢を諦めた長女。
 未知子に憧れる下宿の青年、透。そして病床で火星を夢見る父。家族をめぐる物語は淡々と進みます。
 善人路線の未知子はマニア受けしそうな魅力を持ってますが、ラスト近くで透に対して語る台詞はあんまりでしょ…
 ☆×1.0


2月23日(日)

『月とキャベツ』 監督:篠原哲雄 出演:山崎まさよし、真田真垂美、鶴見慎吾、ダンカン (96年)

 バンドを解散して農村で沈黙を守るミュージシャン、花火。彼のもとを訪れたファンの少女ヒバナ。
 山崎の代表曲“one more time, one more chance”を映像化した、山崎まさよし映画という表現がぴったり。
 でも、本作は彼がメジャーになる前の作品。プロモーションフィルムじゃなく、中身は素直なファンタジーだったりする。
 ちなみに、原案は鶴間香という人の、尾崎豊の死に手向けられた自主映画。
 ☆×2.0

『菊次郎の夏』 監督:北野武 出演:ビートたけし、関口雄介、岸本加世子、吉行和子 (99年)

 夏休みになったけど一人ぼっちの正男。遠くで暮らす母親を訪ねる旅に出るが、なぜか近所の変なおじさんが一緒だ。
 河原のキャンプ場で、知り合ったみんなと正男が遊ぶシーンとか、北野武らしい童心たっぷりのほんわか映画。
 こういう近所のおじさんって最近いないよな。というのが北野の世代。
 たけしが子供の頃にはこんな大人がいたんだ。というのが我々の世代。
 ☆×2.0


2月16日(日)

『てなもんやコネクション』 監督:山本政志 出演:ツェ・ワイ・キット、新井令子、リ・チェオン チュイ・クォン・ラン (90年)

 香港の海辺に住む家族がことごとく懸賞に当選。息子は日本旅行にでかけるが、帰りの航空券を盗られてさあ大変。
 でも、遊園地の記念入場者にまたまた当たり、香港旅行をゲットする。新人ガイドと荷物泥棒を伴って無事帰国。
 しかし、自分たちの留守中に、なんと村が大規模な地上げにあっていたのだ。
 とにかく、破天荒な快作で好感が持てる。一部カットの不条理なインディーズ臭は、まあどうでもいい。
 ☆×3.0

『戦場にかける橋』
The Bridge on the River Kwai) 監督:デビッド・リーン 出演:W.ホールデン、A.ギネス、早川雪洲 (57年英)

 「♪サル、ゴリラ、チンパンジー」の“クワイ河マーチ”でおなじみの名作。
 第二次大戦中のビルマで日本軍の捕虜になった英国軍が、軍人のメンツをかけて鉄道橋の建設労働に挑む。
 しかし、英軍はこの橋の爆破を計画し、決死隊を送りこむ。成否にかかわらず悲しみを生む作戦が遂行された。
 日本人とイギリス人とアメリカ人。職業軍人と徴兵軍人。将校と兵隊…様々な対比が物語を彩る。
 ☆×3.0


2月9日(日)

『大阪ストーリー』 監督:中田統一 (94年)

 ロンドンで映画を学ぶ中田が制作する、自らの家族を題材にしたドキュメンタリ。
 在日韓国人の父と日本人の母に生まれた長男の中田は、厳格な父、帰国し結婚し家業を継ぐことを求める母、
 父の会社に勤める弟、別居して暮らす姉、などなどの取材の節々で、家族という枠組に直面する。
 父に反発しながらも、自分の夢を父に叩きつけられない弱さに悩む中田。終盤の展開はあまりにドラマティック。
 ☆×2.5

『生まれてはきたけれど』 監督:小津安二郎 出演:斎藤達雄、菅原秀雄、吉川満子 (32年)

 麻布から郊外に引っ越してきた吉井一家。腕白坊主の二人は早速近所のガキ大将と喧嘩になるが…
 子供の階級は腕っ節でなんとかなるが、大人の世界はそうはいきません。
 近所に住む上司の家で活動写真上映会に招かれ、子供たちの前で上司のご機嫌取りを上映される吉井。
 「俺みたいな会社員になるなよ」と子供の枕もとに語りかける吉井に涙・・・
 ☆×2.5

『大学は出たけれど』 監督:小津安二郎 出演:高田稔、田中絹代、鈴木歌子 (29年)

 現存するフィルムが10分しかなく、その全容を知ることはできないが、昭和初期の流行語にもなった映画。
 受験先の企業に「受付業務なら…」と言われて「失礼ながら、私は大学を卒業しました」と啖呵を切る野本。
 しかし、田舎からやってきた婚約者と所帯を持つため、再びその会社に頭を下げることに…
 『生まれては〜』と同じく、現代にも通用するテーマを、戦前に描いてしまってる点に注目。
 ☆×2.0


2月2日(日)

『鉄男UBODY HAMMAR 監督:塚本晋也 出演:田口トモロヲ、叶岡伸、塚本晋也 (93年)

 サラリーマン谷口の平和な家庭を、スキンヘッドの男たちが非日常の世界に引きずり込む。
 谷口の失われた記憶に眠る、変身の秘密と「やつ」との関係。結構ウェルメイドなメタルSF。
 殺意で自らの肉体を兵器に換える谷口のメカメカしい姿は、前作同様、自主映画テイストたっぷり。
 トモロヲといえば、プロジェクトXのイメージが定着したが、やっぱ、彼は「鉄男」でしょ。
 ☆×2.0

『海ほおずき』 監督:林海象 出演:唐十郎、タン・ナ、原田芳雄 (96年)

 台湾で殺された女子大生羽田真理子の手紙が両親に届く。「私の息を届けます。」
 ヤク中の探偵灰田が、現地で雇った助手まりことともに、真理子の手紙の意味を探る。唐十郎脚本。
 唐十郎が泥まみれ水まみれになり、台湾を駆けずり回る。中年のペーソスが原田芳雄の泥臭さで倍増。
 海ほおずきとは、ニシ貝の卵巣の外袋。生物に詳しい人じゃないとタイトルの意味は分からんでしょうな。
 ☆×1.0


1月26日(日)

『風、スローダウン』 監督:島田紳介 出演:石田靖、五十嵐いずみ (91年)

 アマチュア・バイクレーサーとその友人たちの青春を描いた、非常に島田紳介くさい作品。
 ストーリーがベタベタの青春的展開で、こちらが観ていて恥ずかしくなる。実に素人くさいドラマ。
 話の筋とは関係なく、あちこちに関西系ギャグが散りばめられててるのは、紳介の照れ隠し?
、まあそれなりに楽しめる作品だけど、脇役たちの台詞、もう少し聞きやすくできなかったの?
 ☆×2.0

『中国の鳥人』 監督:三池崇史 出演:本木雅弘、石橋蓮司、マコ イワマツ (98年)

 椎名誠原作。商社マンと借金取りは中国雲南省で、子供たちに空を飛ぶことを教える少女に出会う。
 最初はタイトルだけ見てSFかと思ったけど、雲南省の自然と、素朴な人々の暮らしが心地よい作品です。
 少女の英語歌によって、彼女の祖父の数奇な運命に思いを馳せる主人公。
 諦めの中で見る夢は、どんな夢なのでしょうか。
 ☆×3.0


1月19日(日)

『(ハル)』 監督:森田芳光 出演:深津絵里、内野聖陽、宮沢和史、戸田菜穂 (95年)

 パソコン通信を舞台にした恋愛映画。インターネットではなくパソ通ってのがいい。
 主人公とヒロインの「パソコン文通」は、スクリーン一杯に映し出される字幕で演出される。
 “洋画を観るときの字幕を読む不思議さ”を主人公が劇中で指摘しているが、本作品も読む不思議さ満載。
 役者が実際に口に出すとクサい台詞も、テキストとして読む分には何故かOKなんだよな。
 ☆×3.5

『神様の愛い奴』 監督:藤原章、大宮イチ 主演:奥崎謙三  (01年)

 元上官の戦争犯罪を暴くべく行動し、発砲騒ぎを起こした奥崎が、刑期を満了し出獄する。
 本作品は前作『行き行きて神軍』に引き続き、彼のアナーキー振りを描写するドキュメンタリーである。
 というより、気狂い老人を面白がるただの悪趣味ドキュメンタリー。根元敬のマンガそのまんまの雰囲気
 昔はこの手のサブカルものも決して嫌いではなかったんだが・・・
 ☆×0.5


1月12日(日)

『大阪物語』 監督:市川準 出演:沢田研二、田中裕子、池脇千鶴 (99年)

 大阪の落ち目夫婦漫才師の家族ドラマ。
 家出した父親を探して大阪の街を駈けずり回る池脇千鶴、当時14歳。
 ちょっとしたプロモーションビデオ風。
 出演者がちゃんとした大阪弁なのは、さすが。
 ☆×2.5

『風の歌を聴け』監督:大森一樹 出演:小林薫、真行寺君江、巻上公一 (81年)

 港町のバーをめぐる青春を描いた、村上春樹の小説を映画化。
 大森一樹と村上春樹は中学校が同じ芦屋だとのこと。
 自らの青春の舞台である、神戸の風景描写、そして自主映画制作。
 大森が原作の私有化に成功している点に注目。たんに村上文をなぞるだけなら、ヤな作品だったろうね。
 ☆×2.5

 

 


行で映画TOPへ戻る