『つよがり』

お元気ですか?。
まだまだ寒い日が続いていますね。
私の方はどうにか毎日過ごしています。

先日この町に来て以来、ずっと部屋の窓に貼っていた
大きな犬のポスター剥がしました。
歩いていてもダメですね。
つい家の軒先なんか君の姿を探してしまうんだ。
たくさんの人が行き交う駅の中、うつむきかげんで歩く私がいる。
すれ違う人に君と同じ香りを見つけると、はっと振り返ってしまうんだよ。
君がいる訳ないのにね。
ドラマであるような「町で偶然」なんて、
本当はある訳ないの分かっているんだけど・・・。
もう自分の気持ちに突っ張るのに疲れたよ。
今の気持ちのまま素直になろうかな。
その方が楽になれるんだ。

君と過ごした半年。あれは一体なんだったんだろう。って今でも思い返す事があるよ。
僕の平凡各駅列車。
突然乗り込んできた君。
ずっとずっとこの先の駅まで一緒に旅したかったけど、
こんなに急にプラットホームに降り立つ君を見送るなんて。

君はもう僕の事はもう思い出してくれる事は無いんだろうね。
過ぎ去った時を振り帰ってはいないだろうね。
だって君にはもう新しい生活が始まっているんだから。

この町は君の仲間たちがたくさんいるよ。
でもみんな僕から遠ざかるんだ。
きっと僕がしょぼくれた顔をしていたからかな。

そんな時かな、温もりの無い部屋へ帰るのが寂しくてちょっと遠回りしたんだ。
そして偶然、君によく似た子を見かけた。
その時はもう、僕の心臓に一瞬電流が走ったようだったよ。
僕はその子に君の名を呼んでみたんだ。
そしたらその子は懐っこい仕草で寄ってきてくれた。
嬉しかった。
涙が出そうだったよ。

それからというもの
僕の通勤時間は長くなったんだ。
その子に君の面影を重ねてしまったんだね。

そうだ聞いて、
その子に先日ちびちゃんが産まれたんだ。
君にはあまり似ていないんだけど、3匹のとても可愛い子達だよ。
今は遠くからそっと見守る事しか出来ないんだけどね。

お母さんになるとたくましくなるんだね。
あんなにも優しかった子がこんなにも変わるんだって。
小さな体をしているのに精一杯頑張って生きているんだって。
それを見ていたら自分も変わらなきゃって思ったよ。
そうすれば本当の意味でこの町で生きていけるって。

そして君の事も忘れる事が出来るって…。