verry berry Merry-go-round
---番外編 : ある独身男性による妄想劇場。
東方司令部は、どうしてか未婚者の率が高い。
そんな、まだ若い独身男性たちが一介に集まれば、時として不埒な会話に流れる場合も多々あるわけで。
「最近のグラビアってなんか物足りねーよなあ」
ぼそりとブレダが漏らした、その一言が発端だった。
「水着ならいいと思いやがって」
「そうかー?俺としては露出ギリギリで喜ばしいけどな」
ブレダの開いていた雑誌をパラパラめくりつつ、ハボックが「これなんか、隠してる部分ほとんどねぇし」とニヤける。
「いや、出していればいいというものではないでしょう」とは、ファルマン。
「チラリズムの方が好ましい場合もありますよ。東の方の民族衣装KIMONOなど特に」
(フム。KIMONO、か――)
CASE1.KIMONO
「どうですか、大佐。似合います?」
赤い着物を身に纏い、くるりと一周回って見せるに、胸中で感嘆する。
折り重なった衿が細い首筋をいっそう引き立たせ、また、上げた髪がうなじを露にする様子がなんとも色っぽい。
「ああ・・・。とても似合うよ、」
微笑んで賛じると、は「嬉しい」と恥らうようにうつむいた。
「でも・・・実はこれ結構苦しいんですよ」
帯をいじりながら、がロイの方を上目遣いに見つめた。
思わず、ごくんと生唾を飲み込む。
「ならば――私が脱がせてあげよう」
帯に手をかけ、器用に結びを解く。
そして、どこかで見た劇のようにくるくると回した。
もちろん台詞は、
「ああ、お止め下さい、お代官様・・・!」
「はっはっは!良いではないか良いではないか〜!!」
「・・・・・ふ、ふふ。いいな、KIMONO」
「ハァ?」
ひとりほくそ笑むロイを、ハボックが胡散臭そうに見つめたが、本能で無視することにした。
すると、すぐに話題は次のものに移る。
「じゃあ、お前、裸エプロンなんてのはどうだ?」
「裸エプロン〜?いくらなんでもそりゃ親父臭ぇよ」
「なんでだよ。男のロマンだろーが」
(男のロマン・・・・・・)
CASE2.裸エプロン
「お帰りなさい、アナタ」
「ああ、ただいま」
玄関口で出迎えてくれたに、ひとつキスをもらう。
「一応、お夕飯作っておきましたけど、どうします?先にシャワー浴びますか?それとも…」
熱っぽい瞳に、ロイが映って潤む。
それに魅入っていると、が自分の身体を抱きしめるようにして俯いた。
自然と寄せて上げられた胸の、その頂がエプロン越しに透けて見える。
さ、どうします?
先にご飯?シャワー?それとも――
「あ・た・し?」
「く・・・!」
今度はひとり悶絶し始めたロイを、やはりハボックが見つめる。
また良からぬことでも考えてんじゃねーのか?という疑いと呆れの視線で。
そんな2人の空気には気づかず、ブレダとファルマンは話を集約しようとしていた。
「まあ、つまるところ、結局は人それぞれの趣味趣向次第ということですね」
「だな。つーか、やっぱ一糸纏わぬ姿ってのが一番なことには変わりねぇし」
「確かに」
そう一同が納得した直後。
「なーにが、確かに――なんですか?」
いつの間にか覗き込んでいたのは、独身男性ならぬ独身女性の。
その場に居た全員がまずい!と思うも時すでに遅し。
の視線はもうブレダの持つ雑誌へと注がれていた。
「――ブレダ少尉!また職場にそういう雑誌持ち込んで!」
もう没収!と言って、<イカガワシイ>雑誌を取り上げる。
「別にいーじゃねぇかよ。男にとっちゃぁ、これも一種の清涼剤なんだし。なぁ?」
「そーそー」
「そういうのはどうぞご自宅で!もう、大佐も少尉たちに混じってないで何とか言って下さ――」
ロイに助け舟を求めたが、動きをぴたりと止めた。それはそれは驚愕の目で。
遅れて、男衆たちも。
「―――へ?」
間の抜けたロイの軍服に、ぽたり、ぽたり。
状況を把握できていないロイに、ハボックがぼそりと。
「大佐――鼻血出てますけど」
「な・・・!」
慌てて手で覆い隠すが、どうしようもなく。
待っていたのはの冷ややかな視線。
意味するものは極々シンプルな二文字。
「ち――違うんだ、ッ・・・!これは決して、君の裸を想像していたわけじゃ・・・」
口走った不穏な言葉に、の顔がすぐさま紅潮する。
言うまでもなく、羞恥と怒りのせいで。
次に出る言葉は容易に予想できた。
つまりは、
「・・・・・・最ッ低!」
小走りに走り去るの背中を追いかけようとも、なにせ鼻血が止まらない。
崩れ落ちるロイの傍。
残った3人の男達は同情の目を向けた。
「大佐もまだまだ若いんですねえ・・・」
「つーか、想像力逞しすぎ」
「いや、いくらなんでもあの場面で鼻血はまずかったっしょ、鼻血は…。意外と溜ってんすね」
「うるさいッ」
一周年企画LOG--04