●路地裏
ムーンティア・エクセリオンは、「夜のやすらぎ」を持つパッセル
少年に手を惹かれるがまま、走っていた。
そこは、人気の少ない路地裏で、迷路のように入り組んでいた。
「はぁはぁ、ここまで来れば大丈夫だろう」
息を切らしながら、少年はティアに言う。
「はぁはぁ、そうだね」と頷くティア。
「それにしても、ロレンツォのやつ。僕の店で好き勝手な事を」
少年は毒づく。
「キミの店?」ティアは目を丸くする。
「あ、いや、性格には、僕が働く店だけどね。
それよりも、君もいい迷惑だよね」
少年は話をごまかすように、ティア同意をもとめる。
「まったくだよ。
でも、まぁ、僕がかわいいのはわかるけどね」
苦笑して、冗談をいいながら、ティアは、額の汗をぬぐった。
「おいおい、君! 自分でそんなことを言うもんじゃないよ」
少年は、ティアの冗談を真に受けたらしい。
「ごめん、ごめん、冗談だってば。
でも、君が白き雌鹿亭で働いてるなんてびっくりしたな・・・・」
ティアの指摘に、少年は、自分が仕事中だと言うことを思い出
した。少年の表情をみると、やるべき仕事を穂織り出した事に、
すくなからず罪悪感にかられたようだ。
「ああ、お師さんの遺言でね。あそこで働くようにいわれているん
だ。
お師さんと、おやじさんは、昔、仲間だったらしくてね・・・。
そうだ! 名前をまだ聞いてなかったね。僕はパッセル」
「よろしく、パッセル。僕はティア。
ねぇ、できたらお友達になんない?」
ティアは笑顔で右手を差し出す。
パッセルはその手を握り握手する。さっきまで走っていたせいか、
2人ともドキドキしてしている自分に気が付き顔を赤らめる。
「いや、僕は君のことを好きなんかじゃないぞ」
いきなり何を言うのだろうとティアは首を傾げたが、何となくそん
なパッセルが可愛く見えた。
微笑むティアの笑顔を見てパッセルの顔は更に赤くなる。
「そうだ、聞きたいことがあるんだ」とティアは思い出したように言
う。
「ま、まぁ、立ち話も何だから、僕の家でゆっくり話そう」
パッセルはその間に混乱した自分の気持ちを整理しようとしてい
た。
ティアは、パッセルの家に訪問できることが、なんだかワクワク
していた。
呟き尾形 2005年5月22日 アップ
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