交通事故にあい、加害者から受領する治療費や慰謝料ならびに損害賠償金は原則として非課税です。

      所得税は、1年間に得た所得に対して課されます。しかしながらすべての所得に対して一律に課することは、

国民感情に沿わない面があります。

      たとえば、交通事故にあって大けがをし、数ヶ月間入院を余儀なくされた場合に「痛い思いをしたこと」に対し、

加害者から受け取る損害賠償金(慰謝料)にも課税されるとしたらどう感じるでしょうか?

    何事もなく仕事をして受け取る給料とは、性格が異なることは明白です。所得税施行令でも、

次のような損害賠償金や、慰謝料、見舞金は非課税所得と定められています。

    (1)心身に加えられた損害に起因して支払いを受ける慰謝料その他損害賠償金

        この場合には、その損害に起因して勤務または業務に従事することができなかったことによる給与

または収益の補償として受けるものも含みます。

    (2)不法行為その他突発的な事故によって資産に加えられた損害に起因して

支払いを受ける損害賠償金

    ただし、業務の休止等により、その業務の収益の補償として取得する損害賠償金等は除きます。





     では事業を営んでいる人が損害賠償金を受け取った場合はどうでしょうか?

      たとえば、街角にあるコンビニエンスストアーにトラックが飛び込んでできたことにより、

店に並べておいた商品が売り物にならなくなったり、店舗が損害をこうむったような場合に受け取る損害賠償金は、

上述しました所得税法施行令によれば税務上次のように取り扱われます。

     (1)商品の損害賠償

       商品に対する賠償金はその全額が事業所得の総収入に算入されますが、被害をこうむった商品の原価は必要経費となります。

     (2)店舗の損害賠償金

        資産の損害に起因して受け取る損害賠償金として非課税です。

ただし、事業用固定資産の廃棄損などを事業所得の必要経費に算入するの場合は、

損害賠償などにより補てんされた金額を差し引いて計算します。

        したがって、損害賠償(保険金を含む)の額が固定資産の損失額を超える場合、この超過額は非課税所得となります。

     (3)店主の負傷について受けた治療費や慰謝料、また店主の負傷に起因する休業期間中の収益の補償として受領する賠償金心身

        に加えられた損害に起因して受け取る治療費や慰謝料、ならびにその損害に起因して業務に携われなかったことによる収益の補

      償として受領した賠償金は非課税です。

    (4)休業期間中の従業員の給料、収益の補てん、支払い家賃の補てん等に係る損害賠償金

        これは、店舗という資産の損失に起因する休業中の収益の補償で、上記(3)にいう店主のけがのために就業できずに受け取った

      損害賠償金ではありません。このような経費を補てんする賠償金は事業所得として課税されます。

     このように、一口に損害賠償金といっても、その損害賠償金を受け取ることとなった事実関係により、

所得税法上、課税関係も変わってきます。



 

 



     相続税法は、相続という一定の時点に存在する財産に対し、課税することを言います。

     たとえば、交通事故の加害者から治療費や慰謝料、損害賠償金を受領したときは、前述しましたように所得税は課されません。

     ただ、その時点ですでに受領した慰謝料等が残ったままで死亡した場合には、現金あるいは預貯金として残っている慰謝料等は

      相続財産として相続税の課税対象になります。

      しかしながら、交通事故等の不法行為により生命の侵害があった場合の損害賠償金は、その被害者(被相続人)の損害賠償請求

      権が相続されて遺族が取得したものか、遺族固有の損害賠償請求権に基づくものか、あるいは、その両者かの議論はありますが、

      国税庁通達において、すべて遺族固有の請求権に基づくものとして相続税の課税価額には算入しないものとして、実務上明らかに

       しています。

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