【機械式計算機館】

ウッドバー


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煌めきボタン 機械式計算機の展示コーナー 煌めきボタン

花車                    花車


Keisanki Top Photo


 まずはじめに機械式計算機の概要について説明しておきますと、これは電卓が出現する以前に複雑な計算を簡単かつ確実に実行するために考案されたもので、歯車やカム、ラッチなどの機械機構によって数値の入力、計算、結果表示を行うものです。
 機械式計算機は手でクランクを回転させるなどの手動操作によって計算作動を行わせる手廻し計算機と、モーターの回転により計算作動を行わせる電動計算機に大別されます。しかし、電動計算機が普及価格で量産されるようになった頃には電卓が出現し、 その後急激な価格低下で爆発的に普及して機械式計算機を駆逐してしまったため、一般的には『機械式計算機=手廻し計算機』というイメージが強いようです。

 かのレオナルド・ダ・ヴィンチも歯車を使用した計算機のスケッチをマドリッド手稿に画き、これが世界初の計算機とされていますが、実際に製作されたかは不明です。 なにしろレオナルド・ダ・ヴィンチという人は、ヘリコプターのスケッチまで画いているのですから。
 現存する最古の手動式機械計算機はパスカルが1642年に製作したもので、1694年にはライプニッツが横型レバー回転式計算機を発明するものの、当時は工作技術が未熟で実験機の域を出ず実際に使用出来るものにはなり得ませんでした。
 量産された最初のものは、1820年に作製されたトーマ・ド・コルマーの計算機です。その後、フェルト、バロース、オドナー、モンローなどが改良を行い、実用的な計算機が次々と量産されて普及していきました。

 日本では明治34年(1901年)に矢頭良一が製作販売したものが最初で、その後、アイデアル計算機や、手廻し計算機の代名詞にもなっているタイガー計算器など多くのメーカーが手掛けて量産されるようになりました。
 ところが日本の場合、欧米諸国と比べると機械式計算機の普及は著しく低かったのです。
 これは当時の他の物価と比較して、現在の我々がパソコンを買うよりも遙かに高価なものであったのも一因ではありますが、それ以上に日本では古くより算盤(そろばん)というものが存在していた事が最大の原因であると云えます。 元々日本人は単純な計算能力には優れていたと云われていますが、それを一層引き立てる道具が算盤だったのです。簿記計算のような単純計算の繰り返しの場合には機械式計算機など必要としなかったのです。
 実際に日本で機械式計算機が多く使われていたのは力学計算などを行う技術系分野だったのです。

 電卓の普及と入れ替えに絶滅した(まさに絶滅という言葉が相応しい)機械式計算機ですが、日本では昭和45年(1970年)前後のことでありました。
 この年、かのタイガー計算器も手廻し計算機の製造を中止しています。
 ちなみに零細企業を営んでいる拙宅に電卓が導入されたのも丁度この頃、1969年の暮れであったと記憶しています。


 さて、次に私が機械式計算機に興味を持った切っ掛けですが、高校時代に学園祭で母校の商業科の展示室に置かれていた手廻し計算機(黒いタイガー計算器、おそらくは特装型)に触れたのが最初でした。
 ハンドルを廻すとカチャカチャと表示されてる数字が変わっていき、当たり前のことですがきちんと計算結果が表示される。割り算の時だけは結果が出るときに「チーン!」とベルが鳴る。 当時は既に高校生でも関数電卓は必需品、プログラム電卓どころか初期のポケコンが普及し始めた時期でしたが、機械物好きにとって手廻し計算機に興味が湧くのは当然のことといえるでしょう。
 だけど手廻し計算機は当時から見ても過去の遺物、まして現役時代の相対的価格を考えれば、「そうおいそれと入手出来る物ではない。」 という先入観が先に立ち、入手しようなどとは思っても見ませんでした。

 以来幾年月、ふと思い立って某インターネットオークションで、『タイガー計算器』 と検索してみたところいくつか出品されているではありませんか。
 程度の良さそうな物いくつかに入札して落札、入手したのですが壊れてはいないものの動きの渋いことといったらありません。さっそく分解して掃除、注油して組み立て、調整をしたらさすがに機械物、簡単に復活してくれました。
 さあ、これで調子付いて次から次へと手廻し計算機を集めまくって、レストア。
 気が付けば比較的容易に入手出来る戦後のタイガー計算器製と、日本計算器製のほぼ全機種の入手を完了。いくつかの稀少機種も揃ったことなので、「HPに展示コーナーをつくってみよう!!」 ということになった次第です。

 なお、文中で「計算機」と「計算器」という2つの表記を使い分けていますが、原則としては「計算機」の方を使い、「タイガー計算器」などの会社名・商品名の場合は「計算器」を使っています。
 


Keisanki Top Photo 2

『Space Time Museum』 所蔵の手廻し計算機




Keisanki Top Photo 3

『Space Time Museum』 所蔵の電動計算機




煌めきボタン RELIABLE TYPEWRITER & ADDING CO. 煌めきボタン


【ADDOMETER】


ADD−1

機械式計算機の原点!!

1642年にパスカルが考案した世界初の計算機を
アメリカのRELIABLE TYPEWRITER & ADDING CO.が
改良のうえ、1900年代初頭から製造した加減算機。

後の手廻し計算機などを見慣れた目には子供向けの教育
玩具程度にしか映らないかも知れないが、これでも桁上げ
桁借りをしてくれるれっきとした機械式計算機なのである。
ただし、計算能力に優れる日本人にはこの程度の計算機は
必要が無かったため、日本へは殆ど輸入されなかった。

製造会社のRELIABLE TYPEWRITER & ADDING CO.は
直訳すれば『信頼できるタイプライターと加算機の会社』
ということになり、なんともはや御大層な社名であろうか。

このアドメーターの前オーナーはアンティーク機械類の収
集家で、海外渡航の折りに機械式計算機や旧いタイプライ
ター等を入手されてきたとの由。アドメーターは英国の骨
董品店にて30年程前に購入されたものということである。




ADD−2

使用方法は‥‥‥

アドメーターの使用方法は到って簡単、単純明快そのものである。

まず最初にすべてのダイヤル表示がゼロになっているか確認し、もし
なっていなければ本体右側手前のクリアレバーを引いてリセットする。

数値の入力はクリアレバーの隣りに収納されているスタイラス
(先の尖ったものという意味)を引き抜いて、各ダイヤルに設
けられたスタイラスホールに差し込んで回し入力していく。

加算の場合はスタイラスホール内側の大きい数字列表示に従い右回し、
減算の場合は外側の小さい数字列表示に従い左回しに動かせばよい。

アドメーター最大の特徴とも云えるのが数値入力の際、どの桁から
入力していっても計算結果にはまったく影響しないことであろう。




ADD−3

最良の状態!!

入手時、ケースは全体に黒褐色に酸化しており、それはそれで古風な
良い味を出していたのだが、機構部分をオーバーホールするため分解し
たところケース材質が真鍮製であることが判明したため磨くことにした。

真鍮という材質はたとえ乾拭きであっても度々磨いていれば金色の光沢を
保つが、数週間も放置すれば曇って次第に光沢を失ってくるものである。
このアドメーターも現役時には手入れをされて光り輝いていたものが、
使われなくなってから表面が酸化したものと考えてまず間違いは無かろう。

そうとなれば、磨いて光沢を取り戻すことは単なる手入れに過ぎず、再塗
装や再鍍金とは異なり、歴史的価値を損なうことは無いものと考えられる。
もしも表面が酸化した状態の方がよいというのであれば、再度分解して
真鍮製ケースだけを半年も雨晒しにしておけば元通りになるであろう。

一方、機構面は潤滑油に埃が混ざって結構と汚れてはいたものの傷みは
殆ど認められず、樹脂を痛めない溶剤で洗浄のうえグリスアップと注油。




煌めきボタン タイガー計算器 煌めきボタン


【製造No.205563】


No.205563−1

『E60−3型』 電動タイガー

『Space Time Museum』 の宝玉!!

“通商産業省より奨励金を受け研究開発を完了”
(当時のカタログ表紙の謳い文句を引用)

タイガー計算器では戦前にもプロトタイプやショーモデルとして
幾種類かの電動式計算機を造ったことがあるが、これはれっきと
したカタログモデルであり、一般に市販されたものなのである。

しかし定価の¥178,000−は、当時の物価と比べてみると、
現在の高級パソコンはおろか、オフコン並の超高価品であろう。




No.205563−0

金属製 銘板!!

型式名や製造番号を記した銘板は金属製。

同時期の手廻し計算機では銘板は使われず直接打刻、
後の手廻し計算機では鍍金シートのステッカー貼付。




No.205563−2

基本的に手廻し計算機と同じ

基本的に手廻し計算機のクランク回転をモーターで行わせるものである。

当然の事ながら計算終了時、自動的に停止させる機構が備わっている。

計算方法は加減算、乗算、除算の場合でそれぞれ操作手順が異なる。

まず最初にキャレージの位置であるが、加減算の場合は任意の位置に
置けばよいが、乗算では左寄せ、除算では右寄せとしなければならない。
キャレージはスプリングにより右側に引っ張られていて、総送りキー(→)
を押すと右寄せになる。左へ送るには任意の位置まで左側に押す。

加減算の場合は被加数、被減数を右置数レバーによって入力し、
(+)キーを押すと右ダイヤルに置換される。右置数レバーのクリ
アは頂部中央右の右レバークリアキーを押すと、電動で行われる。
次に加数・減数を右置数レバーで入力し、加算キー(+)または
減算キー(−)を押せば、右ダイヤルに計算結果が表示される。

乗算の場合、被乗数を右置数レバーで入力し、乗数を左置数レバーに
よって入力した後、乗算キー(×)を押せば右ダイヤルに計算結果が
表示される。同時に左置数レバーによって入力した乗数は計算が進行す
るに従い逐次、左ダイヤルに置換されていく。従って通常、左置数レバー
をクリアボタンによりクリアする必要は無い。左置数レバーが手廻し計算
機や他の多くの電動計算器には無い、この計算機独自の装備である。

除算では、被除数の頭を10桁目に右置数レバーによって入力し、(+)
キーを押して右ダイヤルに置換する。右置数レバーをクリアした後、除数
の頭を11桁目に右置数レバーで入力、除算キー(÷)を押せば左ダイヤ
ルに商が、余りが有るときにはこれが右ダイヤルにそれぞれ表示される。
除算の場合ストップキー(S)を押せば、その桁で計算を止められる。




No.205563−3

左右ダイヤルのクリアは手動

左右ダイヤルのクリアは手廻し計算機と同じく、左右のクリアレバーで。
さすがに当時、キャレージ内へ電動機構を組み込むのは難しかったか?

『E60−3型』のデザインは後の手廻し計算機、『H62−20型』
に通ずるところがあるが、もちろん開発時期の早いこちらがオリジナル。
また、『H62−20型』では本体やキャレージのケースがプラスチック
製となったが、こちらは生産数が少ないこともあってか全金属製である。

これ、カタログには「持ち運びが容易」と謳っているが、12.5Kgと、
当時の手廻し連乗式(グレータイガー)の2倍以上の重量級であり、また
値段を考えても手軽に持ち歩いて使っていたとは、とても考えられない。




No.205563−4

ケースと説明書、カタログ付!!

超高価品であったのだからケースに入れて保管してあったのはともかく、
取扱説明書に加えてカタログまでが良い状態で残っていたは驚きである。

計算機自体もあまり使っていないようだが、これは動かしてみると理由
がわかるような気がする。とにかくガシャガシャとうるさいのである!!

何れにしても、よくぞここまで良い状態を保って残っていたものである。





t−e60−e64

新旧電動タイガー!!

『E60−3型』 と 『E64−21型』

左右チェックダイヤルのクリアがリセットレバーによる手動式だった
E60−3型と、遂にこの部分まで電動式に進化したE64−21型。

基本的筐体を共用しているモデルチェンジ版だということが窺えよう。




【製造No.239692】


No.239692−1

『E64−21型』 電動タイガー

『Space Time Museum』 の至宝!!

前モデル、『E60−3』型のモデルチェンジ版。

基本的筐体はE60−3型と共用のため外観的にはそれ程変わって
いるような印象を受けないが、より一層電動化が進められている。

定価の¥178,000−はE60−3型と同じであるから周囲
の物価上昇に対して相対的に値下がりしたことになるのだが、そ
れでも相変わらず超高価品であったことに変わりはなかった。




No.239692−0

銘板はステッカーに‥‥‥

型式名や製造番号を記した銘板はE60−3型の金属製
プレートから同時期の手廻し計算機と同じステッカーに。

しかし、本体の銘板貼付部分には凹みが設けられている。

ダークグレー塗装部分は高級感のあるレザートーンに。




No.239692−2

左右ダイヤルのクリアを電動化

E60−3型では左右ダイヤルのクリアはリセットレバーにて
手動で行っていたが、これが電動化されたのが最大の相違点。

手前のクリアキー(C)操作により左右ダイヤルを帰零する。
キャレージ正面中央に配した小さなレバーにて左ダイヤルのみ
クリアと、左右ダイヤルともクリアを切り替えることが出来る。


キャレージに左右ダイヤルを配するタイプでこのサイズの電動
計算機に左右ダイヤルの電動クリア機構を持つものは世界的に
見ても殆ど存在せず、タイガー計算器の技術力を物語っている。

しかし余りにも精緻な構造であるが故、故障も多かったと聞く。




No.239692−3

より洗礼された外観

キャレージ左右のクリアレバーが無くなっただけ
であるが、相当に洗礼された様相を呈している。

後の方に見え隠れしているのが純正電源コード。
両端のプラグにはタイガーのロゴマークが付く。




No.39692−4

ケース付だが‥‥‥

これも超高価品であったからであろう、先のE60−3型同様
にケースに入れて保管してあったのだが、払い下げられて後は
倉庫に放置されていた模様でケース外観の状態は余り良くない。

とはいえ、計算機本体の状態は非常に良いのであるから、
ケースは役目を立派に果たしていたと云えるのである。



【番外 ミニタイガー計算器置物】


Mini−1

新築落成記念品!!

タイガー計算機を象ったブロンズ製(?)の置物。
『新築落成記念 昭和十一年四月 タイガー計算器株式會社』
とあるが、どこの建物であるかは記しておらず、現在調査中。

この記念品に自体に関しも入手当初は、「文鎮か?」 とも
考えたのであるが、文鎮とすると簡単に持ち上げられるよう
な摘む所が無くて非常に持ち難く、単なる置物であると結論。




Mini−2

立派な箱入り!!

外側に網目模様を付けてレザーを模した紙を巻いた立派な箱
に収められている。中も下はビロード張り、蓋はスポンジ入
りの布張りで、まるで高級な時計や宝石の箱みたいである。

本体表のキャレージ部に『タイガー計算器株式會社』の刻印が、
『新築落成記念 昭和十一年四月 タイガー計算機株式會社』の
金色文字が印刷により記されている。このことから考えて、タイ
ガー計算器株式会社自体の建物にまずは間違いないであろう。




Mini−3

本体裏面にも刻印

『新築落成記念 昭和十一年四月 タイガー計算器株式會社』

の文字が本体裏面にもしっかりと刻印されている。




Mini−4

大きさは‥‥‥

このミニ置物の原型となったものよりは十数年後の
モデルではあるが、同じ『特装型18号』と比較して。


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なお、昭和45年(1970年)にタイガー計算器は
『H68−21型』を最後に手廻し計算器の製造を中止した。
最終製造番号は、No.493972とのことである。

しかし、手廻し計算器の製造を終えても会社が無くなった
わけではなく、現在も『株式会社タイガー』として、運輸
関係のソフトウエアを中心に扱う会社として存続している。


同社のホームページ 『Tiger net』 には、

『タイガー手廻計算器資料館』

というコーナーが在るので、興味のある方は
是非とも訪問することをお薦めします。


Tiger netボタン 【Tiger net】



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煌めきボタン 日本計算器 煌めきボタン


【製造No.95711】


No.95711−1

『SM−21型』(後期型)

日本計算器は昌和洋行(事務機器販売会社)社長、小島義雄氏他により
1945年に設立され、初期には富士星印計算器ブランドで販売された。
後に日本計算器ブランドに変更、最後期にはビジコンブランドとなる。

日本計算器製の機械式計算機でも型を超えた一連の製造番号を付与。

日本計算器製の機械式計算機は富士星印計算機、SM−21型、
HL−21型の3モデルが造られ、SM−21型とHL−21型は
それぞれ前記型と後記型が存在する。とくにSM−21型では前記型
から後記型に移行する際、機能面で大きなマイナーチェンジが施された。

前期型からの変更は二箇所だが、機能的な面では連乗用ツマミ手前に
クランクハンドルの回転方向を指示するインジケータが設けられた。
乗算・除算方向にクランクハンドルを廻すと、赤い指示が出されて
その旨を表示、クラッチのリセット忘れミスを防止するのに有用。




No.95711−2

総送り金具を装備

SM−21型からは総送り金具が装備されるようになった。

総送りは桁送りツマミを押し込む操作によっても可能であり、
後年のHL−21型後期型ではコストダウンのためであろうか、
或いは使用頻度が低いためか、再び総送り金具が廃される。




No.95711−3

連乗用ツマミがプラスチック製に

些細な事であるが、連乗用ツマミがプラスチック成型品に変更された。
むしろ前期型の金属削り出し製をネジで留める方がオーバークォリティ。

このNo.95711は修復に大変手間のかかったもので、多くの部品が
紛失していたのみならず、本体やキャレージのケースも歪んでいた。
3台の部品取り機から必要な部品を寄せ集めてレストアが出来た。


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日本計算器もHL−21型を最後に手廻し計算器の
製造を中止したが、会社は最後期のブランド名である
『ビジコン株式会社』と社名を変更し存続している。
主に電灯線を使ったLANモデムで有名である。

手廻し計算器関係には全く触れていないが、現在の
同社の様子はホームページで伺うことが出来ます。


【Busicom Corp. HP】



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煌めきボタン 東京芝浦電気 煌めきボタン


【製造No.9823】


No.9823−1

東芝の計算機

Blue Star計算機 は東芝の子会社である東京電気で製造されたもの。

当初は日本事務機より発売され、その後は東京電気自身が販売し、更
に東芝事務機の設立後はモデルチェンジし、Toshibaブランドで販売。
しかし元を質せば、スウェーデンのOdhner計算機のコピーである。

これは東京電気ブランドで販売されていた、いわば中期の製品。
後面パネルの製造No.とは別に、ベース底面に“66176”の刻印
が在るが、もしかしたら日本事務機ブランドからの通番であろうか?

世界的にはともかく、日本製の手廻し計算機としては一風変わっている。

全体的なスタイルもチェックダイヤルが装備されないこともあり、かなり
横に細長くスマートな印象を与える。ブランスウィックグリーン(非常に
濃いモスグリーン)の塗色もより一層スマートさを助長していると言える。
※:写真では肉眼で見るよりもかなり薄い緑色に写ってしまいました。

このNo.9823は後面に勧業銀行豊橋支店で使われていたもので
あることを示す什器ステッカーが貼り付けられている。銀行でBlue
Star計算機が使われていたのは割合と珍しいのではないだろうか?




No.9823−2

独特な置数レバークリアと連乗機構

置数レバークリア機構は本体右パネルに在るボタンを押すとストッパー
が置数レバーの回転進路を塞ぎ、クランクハンドルを加算・乗算方向に
廻すとレバーがストッパに当たり帰零、クランクハンドルを元に戻すと
ストッパのロックが外れ、スプリング力で元に戻る仕組みになってる。
また、本体上面パネル、置数レバー左手前に在るクリアツマミを左へ押
してる間もストッパがかかるようになっていて、使い易い方を選べる。

連乗機構は他の多くの手廻し計算機がキャレージを僅かにずらして、右
ダイヤルと置数レバーのギヤを噛み合わせるのに対し、右ダイヤル右隣
りの連乗レバーを下げると右ダイヤルギヤと置数レバーギアの間にアイ
ドラギヤが噛み合わされる。右帰零ハンドルを回転させれば連乗機構
は解除されるが、連乗レバー下の解除レバーでも解除することが出来る。




No.9823−3

独特なキャレージ機構

桁送りは左右それぞれの桁送りボタンを押し下げることによって行う。

総送りは総送りツマミを上下から挟み込んで、キャレージを押せばよい。

また、他のキャレージ機構と大きく異なるのは、桁送り機構が本体ベース
部に固定されていて、キャレージと共に動いていかない点にも注目!!

このキャレージ機構もスウェーデンのOdhner計算機のコピーである。
Odhner計算機を手本にした日本製の機械式計算機は多数有るのだが、
どういうわけだかこのキャレージ機構を採用したのは東芝製計算機のみ。



【製造No.7206992】


No.7206992−1

『20−TB形』 東芝製手廻し計算機

最も完成度の高い手廻し計算機!!

東芝の手廻し計算機として最終型となるモデルである。

Blue Star計算機がスウェーデンのOdhner計算機のデッド
コピーであったのに対して、基本的な機構は継承しながらもまったくの
別物、東芝オリジナルデザインといえるほどにリファインされている。

手廻し計算機として最後期の製品になることもあるが、人間工学的に
考えられた操作性や機構面、材質面などすべての面に於いて世界的に
見て最も完成度の高い手廻し計算機と云うことが出来るであろう。




No.7206992−0

鋲留めの金属製銘板!!

金属製銘板がリベット留めされるのも機械式計算機では異例。
このようなところにも製造会社の性格が窺えるというものだ。

銘板に20−TB型ではなく、20−TB形と刻してあるのだ。




No.7206992−2

右手側に集約された操作機構

20−TB形の特徴は操作機構が徹底して右手側へ集約される点である。

キャレージはクランクハンドル下の赤いツマミが付いた桁送りレバーを手
前に引くと一桁ずつ左送りに、奥側に押すと同様に右送りされるのである。

また、キャレージはスプリングによって常に左側へ引っ張られており、左
側へ総送りするときは桁送りレバーの上にある銀色の四角いボタンを押す
とストッパが外れてスプリング力で左寄せ状態となる。右側へ総送りする
場合はキャレージ本体を右へ押せばラチェットが働いて右寄せになる。

置数レバーのクリアはクランクハンドルホルダ取付部にある白いツマミの
付いたレバーを手前に引いて行う。機構的には特に変わったところも無い
のだが、他の殆どの手廻し計算機ではクリアレバーを左側に設けている。

キャレージ右面にあるレバーは左右ダイヤルのクリアレバーで、操作は
手前に引く。左ダイヤルだけクリアする場合はキャレージ右端に2個並
んだ白いツマミ付きレバーのうち右側のレバーを手前に引いてからクリ
アレバーを引けばよい。左右ダイヤルを同時にクリアするケースが多く、
右ダイヤルのみクリアする必要は無いという点から考え出された機構。

連乗機構はキャレージ右端の白ツマミ付きレバーのうち左側の連乗レバ
ーを下げると右ダイヤルギヤと置数レバーギアの間にアイドラギヤが噛
み合わされる、Blue Star計算機から継承されたもの。右帰零ハンドル
を操作するか、連乗レバー下の解除レバーで解除するのも同じである。




No.7206992−3

何も無い左面!!

本体、キャレージともに左面には何も操作機構が無い。

ということは左手はクランクハンドル操作時に計算機を押さえて
おくか、キャレージを右側へ総送りするときのみ使うだけである。

あと、以外と見過ごされてしまう部分であるが、本体のケースが
鋼板プレス部品を溶接によって組み立ててあるのは日本製の機械
式計算機では東芝製のみであり、家電製品の技術を応用したもの。
同時期に他の日本製機械式計算機は挙ってプラスチックケースを
採用していたが、その中で金属ケースを使って高級感を演出



【製造No.7301135】


No.7301135−1

『20−EB形』 東芝製電動計算機

KING of 『Space Time Museum』 !!

他を圧倒する堂々たる存在感は、まさに王者の風格。

機械式計算機の基本的機構は前出のBlue Star計算機と
同様の構造であるが、これは同一メーカーが設計・製造した
ものであることを考えれば、至極当然といえるであろう。

電動計算機としてはもっとも原始的な構成であり、手っ取り早く
言えば手廻し計算機のクランクハンドル回転操作をモーターに行
わせるだけのものである。もっとも、手廻し計算機を使う上でい
ちばん骨の折れる仕事はクランクハンドル操作であるから、この
単純労働から解放してくれると云うだけでも充分価値はあろう。


非常に無骨な外観であるが、機構部分の構成は更に無骨なもので
あり、立体構造の頑強な鋳鉄製フレームに部品が取り付けられる。

過剰なほど大きなモーターとピッチが荒く熱処理加工されたギヤ
はとても電動計算機のものとは思えず、電動工具のようである。
簡便な構成と相俟って部品破損による故障など無縁であったろう。

モーターからの一次減速にスプリングベルトが使われているのは電動
計算機のみならず、電機製品としても珍しい。(殆どの電動計算機で
は静音性と回転脈動吸収のため一次減速に細いVベルトが使われる)
これは非常に細長いコイルスプリングを環状につないだものであり、
Vベルトはじめ他の多くのベルト伝導がベルトとプーリー間の摩擦力
によって動力を伝えるのに対して、スプリングベルトではプーリーに
刻んだ横溝に一つ々々のコイルが嵌込むことで噛合伝導になることだ。
また、通常は噛合伝導により高い伝導効率を示しながら、過剰なトルク
がかかった場合にはスプリングベルトが伸びて滑るため、張力等を上手
く選べば簡易的なトルクリミッターとして作用させることも出来る。
実際に二次減速部分をロックさせてモーターを回してみたところ、ベ
ルトが滑ると同時にプーリーの横溝を乗り越える際の耳障りな大きい
異音を発して何らかの異常事態が発生していることを警告してくれた。

本体の外装ケースは値数レバー部分を除き一体式の鋼板プレス製。
時代を考えればよく造ったと思う反面、分解時にはキャレージを
先に抜かねばならず、メンテナンス性は余り考慮されていない。




No.7301135−00

光〜る、光る 『Toshiba』 ♪♪♪

当時の家電製品に取り付けられていたのと同じ
タイプのメーカーエンブレムが誇らしげに輝く。

電動計算機は、「回〜る、回る東芝♪♪♪」




No.7301135−0

鋲留めの金属製銘板!!

この機種にもやはり金属製銘板がリベット留めされている。

こちらも20−EB型ではなく、20−EB形と刻される。




No.7301135−2

操作には慣れを要する

基本的に右側手前に設けられた演算ボタンを押すと計算を実行。
つまりはこれがクランクハンドルの代わということになるのである。
値数レバー左に設けられたクラッチと、左側手前の切り替えレバー
はそれぞれを演算種類毎に合わせる。(両者は原則として同じに)

加減算の場合、これで数値を入力して計算を実行していけばよい
のであるが、乗除算の場合には独自の操作方法が加わってくる。

乗算時は値数レバーによって入力した被乗数を右ダイヤルに置換し、
左ダイヤル手前に設けられた値数ダイヤルで左ダイヤルに乗数を
入力してやる。電動タイガーの左値数レバーとチェックダイヤルの
機能を左ダイヤル部分に集約したと考えて差し支え無いであろう。
乗算で他の機械式計算機と大きく異なるのが、予め左ダイヤルに
入力した乗数を演算が進むにつれて差し引いていく点である。

除算の場合は右ダイヤルに被除数、左ダイヤルに除数を入力する
のであるが、キャレージを桁送りするたび自動的に演算を開始して
左ダイヤルがゼロになるまで演算をし続けるようになっている。
しかしその代わりに、と云っていいのかどうかわからないが、左
ダイヤルには桁上げ機能が持たされていない。これはキャレージ
を桁送りさせながら演算することで主軸の回転数を抑えて不必要
な消耗をさせないようにするための工夫であったと云われている。




No.7301135−3

3ボタン式キャレージ機構

キャレージ機構はBlue Star計算機、更にその手本と
なったスウェーデンのOdhner計算機と同じで、手前中央
の赤い押しボタンによって左右に移動させる。左を押せば左に、
右を押せば右にそれぞれ一桁ずつ移動させることが出来る。
2つの赤ボタン手前の小さい白ボタンは総送りボタン。

なお、キャレージ本体は4個のローラーによって支持されて
おり、非常に軽く、なおかつ確実に作動するようになっている。


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東芝のその後をここに記すなど愚の骨頂であろう。


【TOSHIBA HP】



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煌めきボタン BRUNSVIGA計算機 煌めきボタン


b11−1

『11型』 姉妹

BRUNSVIGA 11型の姉妹機、『11E型』 と 『11S型』

並べてみるとこんな感じ。11Sはフルキーを配置する分だけ大きい。

置数レバー入力の11E型と、これをフルキー入力タイプにした
のが11S型。どちらも数値入力以外の基本機構は同じもの。



【製造No.11−27360】


No.11−27360−1

『11E型』

『Space Time Museum』 白眉の逸品!!

旧西ドイツ、OLYMPIA WERKE AG製造の電動計算機。
BRUNSVIGA手廻し計算器のクランクハンドル操作をモーターに
置き換えたものであり、基本的な操作は手廻し計算器に準じる。

置数レバーによって数値入力をしたあと、目的の操作キーを押す
ことによって、手前ダイヤルへの置き換えや各種計算を実行する。
チェックダイヤルが置数レバー部分に一体化されているのが面白い。
チェックダイヤルのクリアは下段いちばん右のクリアキーで、電動化
こそされてはいないが、置数レバーはスプリングにより瞬間的に戻る。

桁送りは、右に送るときは手前ダイヤルを必要なだけ引き出し、左へ
送るときには桁送りキー(←)を一回押す毎に一桁ずつ送られる。
総送り機構は無いが、最大でもキーを5回押せばよいので不要か。

同じ電動機械式計算機ながらタイガー計算器『E60−3型』と異なり、
乗算の際には奥ダイヤル(左ダイヤルに相当)を見ながら加算キー
をずっと押し続けなければならないのが難点と云えるだろうか。




No.11−27360−2

不可解な電源電圧??

本品には日本で使われている電源プラグ付コードが付属して
いるため正規に輸入されたものだと考えられるが、使用電圧が
75/100Vとなっているのは何とも不思議なことである。
商用電源で100V以下の電圧を使ってる国は無いはずだが。

不思議といえばもう一箇所、手前ダイヤルの左端一桁分にだけ
透明アクリルのカバーが付いている。最初見たときは全部に付
いていたのが割れてここだけ残ったのかと思ったのだが、位取
指針を動かさなくてはならないから、全部には付けられない。
が、なんのことはない。手前ダイヤルを右寄せしたときにダイ
ヤル左端と本体との間に隙間が開いて埃が入るのを防ぐため。




No.11−27360−3

ケースはハンマートーン塗装

ケースは鋼板プレス製のものに塗装が施されているが、その塗装が
日本の事務機器ではあまり使われていないライトグリーンメタリック
のハンマートーンである。むしろこれは機械類に多く見られるもので、
さすがにドイツは機械製品の国であると感心するやら呆れるやら‥‥‥



【製造No.10−04726】


No.10−04726−1

『11S型』

『Space Time Museum』 珠玉の逸品!!

11E型の置数レバーによる数値入力をキー入力に変えたもの。
したがってキーは各桁毎に0〜9までが並ぶフルキー方式である。

使い方は数値入力がキー方式となっている以外は11Eと同じ。
キーのクリアは、各桁をクリアするには各桁いちばん手前のキーを
押し、全ての桁をクリアするには左側キーブロックに在る入力数値
クリアキーを押せばよい。なお、入力数値を訂正するには各桁で新
たなキーを押せば、その桁で既に押してあるキーはリセットされる。




No.10−04726−2

自動桁送り装備!?

桁送りは、右に送るときのみ自動化されている。

左側キーブロックに在る桁送り(→)キーを押すことによりスク
リュー機構によってキャレージが右側へ送られていく。ただし、
11E型同様に手前ダイヤルを直接引き出すことも可能である。
左へ送るときには(←)キーを一回押す毎に一桁ずつ送られる。

手前ダイヤル、奥ダイヤル機構は基本的に11E型と同じもの。




No.10−04726−3

フルキータイプとしてはコンパクト!!


一般的に電動計算機は手廻し計算機と比べてモーターを内蔵する分
大型・重量級になりやすく、ましてやフルキータイプでは多数のキー
を設置しなければならないためこの部分の面積を相当に食ってしまう。

ところが11E型は電動計算機としては異例なほどの小型・軽量機であ
り、これをフルキータイプにした11S型もキー部分の面積が増えただ
けで、非常にコンパクトにまとまっている。重量も比較的軽量である。

このNo.10−04726はyahooオークションで入手したもので、
外観は上等とは言い難かったが、完動品で欠品も無いようなので購入。
フルキータイプの場合、キーボタンが抜け落ちて紛失しているケースが
多く、これが一個たりとも欠けていないのは非常に珍しいと言えるだろう
汚れは外観に留まらず内部にも大量の埃と油が溜まっていたが、不思議
と作動は軽快であった。それに塗装の痛みや錆は少なく、完全に分解し
て各部品を洗浄したところ入手時とは見違えるほど綺麗な状態になった。




煌めきボタン ORIGINAL ODHNER計算機 煌めきボタン


【製造No.229−28989】


No.229−28989−1

『229型』

スウェーデンのオリジナルオドナーは最も早い時期に手廻し計算機の
確立された基本形をつくったメーカーの一つとして挙げることができる。

また、オリジナルオドナー計算機はその時期こそ異なれタイガー計算器
をはじめ多くの日本製機械式計算機が手本としたものであることから、
日本に於ける機械式計算機の発展に大いなる貢献をしたと言えよう。

この『229型』は手廻し計算機としては最後期の製品である。

No.229−28989の前オーナーはラリー用計算機として使用して
いたという珍しい来歴を持つ品物である。悪路走行中の振動が激しい
車内で手廻し計算機を操作するのはさぞかし難儀なことであったろう。




No.229−28989−2

少ない桁数?!

なにもオリジナルオドナーに限ったことではないのであるが欧州製の
機械式計算機は日本製のものと比べると桁数が少ないのが常である。

別にこれは欧州の機械式計算機メーカーの技術力云々の問題ではなく、
単純にユーザーサイドから桁数を増やす要望が少なかったためである。
戦後の日本製機械式計算機では右ダイヤルで概ね20桁前後のものが
主流となっていたのであるが、このような桁数を必要とするのは国家
レベルでの財務計算や、最先端の科学技術計算ぐらいなものであった。
それが証拠に時代が下って電卓全盛時代になってからでも、せいぜい
が10〜12桁程度、最大でも16桁程度に止まっていたのである。

必要以上に桁数を増やすことは部品点数を増加させ、結果的に価格の
高騰につながることである。この点から考えれば、必要充分な桁数に
止めた欧州の機械式計算機メーカーの設計方針の方が賢明と云えよう。




No.229−28989−3

独自のキャレージ機構!!

先にBlue Star計算機の項でも記したが、このタイプの
キャレージ機構はオリジナルオドナーが開発したものである。

右ダイヤルの右隣に設けられた三角形のツマミは連乗ツマミ。
連乗セットはツマミを手前に引き、右ダイヤルクリアハンドルを操
作すると自動的に解除される。解除はツマミを押し戻すことでも可。

日本製の機械式計算機が筐体にプラスチックを使うようになった
この時期でも、オリジナルオドナーは金属筐体を使い続けていた。




煌めきボタン ZENITH 煌めきボタン


【白血球分類計算機】


ZENITH−1

総計カウンター

理化学機器メーカー、三基科学工芸株式会社製の臨床検査機器。
白血球の臨床検査で顕微鏡をのぞきながら、白血球の種類毎に
それぞれのレバーを押し下げると種類毎の数がカウントされると
同時に、左端に設けられた総計表示部分に総数が加算表示される。

同様の構造のものが総計カウンターとして存在しているが、これ
は医療関連機器として相当しっかりとした造りになっている。
機械式計算機としては極めて単純な構造のものではあるが、
めったに見られない珍品として展示に加えることにした。




ZENITH−2

精緻な仕上げ!!

構造的には非常に単純ながら、各部の造りは精緻を極めたもの。
表示部分のプレートやカウントレバーツマミ、リセットダイヤル
とも真鍮地にブラスト処理のうえ、梨地鍍金を施したものである。
カウントレバーツマミとリセットダイヤルが削り出しなのは、
生産数が極めて少ない特殊用途製品であることを物語っている。
これだけ精緻な仕上げをしていながら、マイナスビスに加えて
プラスビスも併用されていることからは製造年代が窺える。

リセットダイヤル操作は奥方向へ一回転させるのだが、表示が
すべて帰零すると同時にベルが鳴るのには洒落た演出を感じる。




ZENITH−3

ストロークの長いカウントレバー

前述の通りカウント操作は各種類毎のカウントレバーを
押し下げて行うのだが、商工業用の一般的なカウンター
と比べると操作ストロークは相当に長目となっている。
これは万が一にも操作ミスを起こさせない配慮である。

総計表示100カウント毎にベルが鳴るのも操作時に注意
を促すためで如何にも医療関連機器らしさを感じさせる。




ZENITH−4

木箱入り!!

少し旧い理化学機器のお約束として、
丈夫な造りの木箱に収められている。

高価な医療関連機器だからであろう、
本体・箱とも保管状態は申し分ない。


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三基科学工芸株式会社は現在でも
理化学機器メーカーとして健在だが、
残念ながらHPは無い模様である。



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ウッドバー




煌めきボタン 機械式計算機の入手と修復 煌めきボタン


 殆どのメーカーで既に30年以上前、生産が終わっている機械式計算機ですが現在でも入手そのものはそれほど難しくはありません。しかし、何分にも旧いものですから状態の良い品を入手しようという場合にはいくつかの考慮すべきポイントがあります。 この章では私が機械式計算機を入手・修復してきた際の経験上、考慮しておくべきポイントについて記してみました。
 なお、日本国内に於いて海外製の機械式計算機、とくに手廻し計算機の入手が絶望的な状態に近いのは、戦前に政府が原則として機械式計算機(当時はこれしか無かったが)の輸入を禁止していたことに加え、 タイガー計算器をはじめとする日本製の手廻し計算機があまりにも完成度が高いものであったため、敢えて輸入品を購入する必要性が殆ど無かったからなのです。
 もしも海外製の機械式計算機を入手したい場合、代理店により輸入された一部の製品以外は国内で入手することは困難で、手段はどうであれ欧米で探すのが確実であろうと思われます。

 まだまだ書き足りない部分も有るかとは思いますが、参考の一端にでもなれば幸いです。



◎入手先と状態

 現在、機械式計算機を購入する場合に考えられる入手先は主に2つ考えられます。
 まず一つ目は骨董品店です。
 骨董品店で購入する場合の最大のメリットは、外観や作動状態などを直接自分の目で確認することが出来る点です。
 ただ、骨董品店と云っても取扱ジャンルは店によって異なりますので、機械式計算機でしたら古民具関係を扱っているところを探すのが確実でしょう。 もちろん古美術品を中心に扱う骨董品店で機械式計算機を置いてあることも決して珍しくはありませんが、専門外の品目ですからたいした作動確認もしないまま、外観だけを掃除して店頭に並べてあり、質問しても満足に答えられないといったケースが多々見受けられます。

 二つ目はインターネットのオークションです。
 インターネットオークションとしてもっとも著名なyahooオークションで検索すると、常に数点の機械式計算機が出品されている様子です。
 ただしこの場合、最大の難点は直接自分の目で確認してから購入できない点にあります。
 「少なくとも外観は出品ページの写真で確認できるだろう。」 と思うかも知れませんが、写真の撮り方によっては実際よりも相当綺麗に写っていることも珍しくはありません。 当『機械式計算機館』の写真が実際よりもあからさまに粗を写し出しているのとは逆のケースが多いということですね。
 作動状態は確認のしようも無く、『完動品』と謳っているものでも、実際に手元に届いてみると作動不良を起こしている部分が有るものや、辛うじて動くといったものが殆どです。 『完動品』とは本来、「新品時と比べて遜色無く作動する」或いは「実用上問題無く作動する」といった意味なのですが、「取り敢えず動く」という意味に拡大解釈している出品者が多いようです。 何とか入札してもらいたくて良い宣伝文句を並べ立てたい気持ちはわかりますが、辛うじて動く状態のものを『完動品』と謳うのはまさに誇大広告、モラルに欠けると思うのですが‥‥‥
 そういうことからも、インターネットオークションで購入する場合、本当の意味での完動品を手に出来るのは『希のまた希』ぐらいに考えておくべきでしょう。

 値段に関しては骨董品での購入もインターネットオークションでの購入もさしたる差は無いようです。
 インターネットオークションで機械式計算機を探している方は結構といらっしゃるようで、開始価格は低くても複数の入札者が有る状況では自然と相場付近での落札価格になるのは当たり前のことであるといえます。

 私の場合はインターネットオークションでの入手が殆どなのですが、当初より本当の意味での『完動品』を入手出来るとは考えておらず、 「修復して完動品になれば運が良い。」 更には、「数台から状態の良い部品を集めて一台の完動品を得られればそれでよい。」 程度に考えています。



◎お薦め機種

 予め欲しい機種が決まっている場合は当然ながらその機種を探せばよいのですが、特に機種を定めずに、「機械式計算機を入手したい。」 「タイガー計算機が欲しい。」 という方も多いようです。
 そのような場合にお薦めしたいのは、戦後のブラックタイガー『連乗式20号』の後期型です。
 理由として、まずは日本で機械式計算機の代名詞にもなっているのがタイガー計算機であり、多くの者がタイガー計算機として思い浮かべるのが黒塗りのブラックタイガーだからです。
 次に連乗式は機械式計算機としてすべての機能を装備したものであり、後期型は比較的状態の良いものが多いことが挙げられます。
 他には機械式計算機としての完成度という点から、『グレータイガー』連乗式もお薦め出来ます。
 また、この二機種は数台から部品を集めて一台に修復する場合に同じ機種を入手し易いことも、お薦め出来る大きな理由の一つになります。

 反対に他の機種をお薦め出来ない理由として挙げられる点に次のことが有ります。
 戦前〜戦中のタイガー計算機は一部部品の材質が悪く(まだ高品質な材料が開発されていない時代ですので)、それが破損しているものが多くて例え数台を集めても同じ部品が壊れていて結局はどうにもならないケースが多いのです。
 逆に最後期のプラスチックケースになった計算機は、ケースが経年変化で変色・ひび割れしているケースが殆どで、一度変色やひび割れを起こしたプラスチックを直すのは不可能です。
 日本計算器の『SM−21型』はダイキャストケースを採用していますが、これも経年変化で強度が低下してひび割れ等を起こしている事例がまま見受けられます。『HL−21型』はプラスチックケースに変わっていますが、ケースの問題の他にも使われているギヤの強度が低く、これが破損しているケースが多いのです。 ただし、日本計算器の名誉のために記しておきますが、いくらギヤの強度が低いとはいえ本来の作動状態ではまったく問題が無く、何らかの理由で動きが渋くなっているときに無理矢理動かした場合に破損し易いというだけです。
 その他の機種ではたとえ計算機自体にお薦め出来ないような問題は無くても、数台の同一機種を入手することが非常に困難であるため、万が一部品取り機が必要になった場合に困るということがあります。



◎修復

 機械式計算機は既に過去のものでは在っても、現代の機械製品と同じく非常に高精度につくられています。
 機構部分の分解・組立を行うためには少なくとも基礎的な機械知識が必要になります。機械知識の無い方が機構部分を分解・組立をしても元通りに復する確率は非常に低いため、お薦めは出来ません。

 ここで私が入手した機械式計算機の中に有った組立ミスの例を記しておきたいと思います。
 ひとつめは数台入手したグレータイガーの一台なのですが、外観は非常に良くて帰零レバーの動きも非常に軽くてスムーズ。ここだけを見れば殆ど使用されていない事が十二分に窺えるのですが、本体とキャレージ機構の間に通常の使用ではまず発生しないであろう相当なガタがあり、 クランクハンドルを減算・除算方向へ回した際に左右ダイヤルの桁上がり・桁下がりがまともに作動しない。更にはリセットレバーを操作しても3までしか戻らない。
 特にリセットレバーの件から、「これは素人が分解して、形だけ組んだな。」 と機械屋の直感が閃きました。
 そういう眼で今一度調べてみると、すぐにキャレージを押さえる部品が逆向きに取り付けられているのが見付かりました。さっそく取り外して本来の向きに組み直したところ、 本体とキャレージ間のガタが無くなったのみならず、左右ダイヤルの桁上がり・桁下がりも正常に、それも極めてスムーズに作動するようになったのです。ためしにキャレージを押さえる部品を逆に取り付けることによって発生するガタを測ってみたら、 約0.3ミリでした。たかが0.3ミリと思うなかれ、機械知識を有しない者には僅かな値に見えるかも知れませんが、精密機械にとっては決して小さくはない値なのです。この0.3ミリのためにキャレージはガタガタと動くのみならず、 本体からキャレージ側のギヤを動かす爪のかかり具合が悪くて桁上がり・桁下がりが正常に作動しなかったのです。
 リセットレバーが正常に働かない方も途中のギヤのタイミングがずれているため、レバーを動かしたときにチェックダイヤルのシャフトに設けられた凸部がダイヤルを零まで回し切れないという、やはり初歩的な組立ミスでした。
 東芝製手廻し計算機、20−TB形もリセットレバーギヤのタイミングがずれていて完全にリセット出来なくなっていましたが、こちらはリセットレバーギヤを外すところまでネジの締付トルクが非常に弱くなっていましたから、分解しかけて途中で止めたことが窺えました。
 察するにこの部分を分解した途端、ギヤがずれてしまったためにそれ以上分解することを中断して組立はじめたものの、ちょっとしたコツを要するギヤのタイミング合わせが出来ないまま組み立てたのでしょう。
 以上のどれをとっても、基礎的な機械知識が有れば犯すことのない程度のミスだったのです。

 ですから機構部分の分解・組立を伴う大掛かりな修復を行える方には今更説明の必要も無いでしょうから、ここでは機構部品自体は壊れておらず、ケースパネルを外す程度で行える修復についての説明に留めたいと思います。
 なお、機種はタイガー計算機の金属ケースモデルを想定しています。

 誰でも購入して最初にしてみるのが作動を確認することだと思いますが、軽く動く場合はともかく少しでも動きが渋い場合は決して無理に動かしてはなりません。 無理に動かせば壊さなくて良いところまで壊してしまいますから。

 作業をするときは下にタオルを畳んで敷いておくと傷を付けたりすることがないので良いでしょう。

 最初にケースのパネルをすべて外します。
 クラッチのツマミを外し(ネジ込みですから左に回すと外れます)、本体の上面パネルを外すとキャレージパネルを外すことが出来ます。あとは本体の後面パネルと底面パネルを外せばスケルトン状態になります。

 スケルトン状態になったら、まずは軽く掃除をします。ケースに入れたリカバーをかけないで長年保管されてきたものだと相当な埃が溜まっていることが多く、そのまま次の作業に進むと埃を巻き込んでしまう恐れがあります。 掃除機で吸いながら歯ブラシなどで丁寧に埃を落とし、だいたい落ちたらやはり掃除機で吸いながらウエスで乾拭きします。掃除機で吸いながら掃除をするのは出来る限り機構内部に埃を巻き込まないようにするためです。

 次に歯ブラシと乾拭きでは落ちない汚れと、古くなって粘ったオイルを落とすために浸透潤滑スプレーを全体にタップリと吹き付けます。
 ここで使用する浸透潤滑スプレーでお薦め出来るのは、LPS社製『No1(LPS−1)』かWD-40社製『WD-40』です。浸透潤滑スプレーはDIY店等へ行くと非常に多くの種類のものを見ますが製品によって優先させる能力が異なっていて、 中には浸透性に優れていても錆が発生しやすくなったりプラスチックやゴム、塗装を痛めるものも少なくありません。『No1』と『WD-40』は私が長年使ってきた中で、錆の発生とプラスチック等を痛めないことが確認出来ています。
 浸透潤滑スプレーを吹き付けた後は、丸一日以上はそのまま置いておきます。この間、下に浸透潤滑剤が垂れてきますから、出来ればペン皿やバットを敷いておいた方が良いでしょう。

 浸透潤滑剤が充分に行き渡ったら軟らかいウエスで拭き掃除をします。
 これで殆どの汚れが落ちますが、大量の汚れが浮き上がってくることもありますので、そのようなときは浸透潤滑スプレーを惜しげ無く吹きかけて洗い流します。

 汚れを充分に落としたら、クランクハンドルや帰零レバーなどを動かして作動状況を確認します。
 軽く動くようであれば再度、浸透潤滑スプレーをタップリと吹きかけながら何回も作動をさせます。そうすることによって機構内部に溜まっている古いオイルが洗い流されるのです。
 古いオイルを充分に洗い流し終えたら、軟らかいウエスで浸透潤滑剤を拭き取ります。

 これで機構部品が壊れていなければスムーズに作動しますが、安心してこのまま組立に入ってはいけません。
 浸透潤滑剤は、機械式計算機の潤滑油としては粘度が低過ぎるのみならず数ヶ月で乾燥してしまいますから、機構部分には適正なオイルを注してやらなくてはなりません。
 DIY店等でミシン油として売られているものでも構わないのですが、品質の良くないものだと数年で劣化して粘ってきますから、出来れば高品質のオイルを使った方が後々のためです。 お薦め出来るのが、一つ目はラジコン用の潤滑油として売られているトリニティ社製の『ロイヤルベアリングオイル』です。これは紫色に着色されているため見た目には怪しげなのですが、非常に低粘度で高い潤滑性を持っています。 二つ目もラジコン用潤滑油で、スクワットプレシジョンの『レーシングオイルLo−1』なるものです。こちらの方が若干粘度が高くなります。
 ふたつとも長期間の使用でも粘りが出ることが無く、機械式計算機に使うには適しているものです。どちらもラジコンを扱っている模型店であれば在庫していなくても大概のところでは取り寄せてもらえます。

 外観の方は浸透潤滑スプレーを吹き付けて暫く置き、軟らかいウエスで吹き上げるだけで済ませることが多いのですが、それで落ちない汚れは家電製品用のクリーナーを使って掃除します。
 この場合に注意しなくてはならないのは、塗装面に使えるものを選ぶことです。塗装面に使えるのであれば、プラスチックやゴムを痛めることもありません。 また、研磨材入りのクリーナーは汚れを削り落とすものですから、同時に塗装も削り落としてしまうことを考慮して必要最低限の使用に留めるべきです。


 さて、これで修復が終わって軽く動くようになりましたが、機械式計算機は骨董品に分類されるものですから、実用に供するような使い方は止めておいた方が無難です。
 具体的に言えば、桁数の多い掛け算や割り算で激しく作動させるべきではありません。
 かといって、動かさずに飾っておくだけというのもまたよろしからず、時々は点検をかねて一通りの作動をさせてやる程度がいちばん良いでしょう。




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機械式計算機の会


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年4回、『会報』がホームページ上に掲載されます。
又、随時に会員からのメール(公開了承のもの)
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消息交換などに役立つこともあります。

会報は希望により印刷物として郵送もされていますが、
この場合は印刷費・郵送費の実費がかかります。

 機械式計算機の歴史や現役時代の使用状況などに
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