力とかたち
アーチ(Arch)

 橋といえばなぜかアーチ橋を思い浮かべる。幼いころに見たふるさと山口県にある錦帯橋のイメージが、脳裏に焼き付いているのだろうか。加えられる力を全て圧縮の力に変えて、耐える技を持っているアーチ。ほとんどの人が、美しいと感じるかたちでもある。

雪景色・錦帯橋
地元写真家「まつもと こうじ」さん撮影


逆カテナリーのわざ

鎖の両端を手に持って、水平に適当な間隔で広げてみよう。この時鎖が自然に作る曲線がカテナリー(Catenary、懸垂線)だ。そう、外に出て、電信柱と電信柱の間に張られている電線を見てみよう。あの、電線が見せている曲線が、カテナリーだ。放物線に似ているけれど、放物線ではない。鎖は重力によって下に引っ張られている。そして鎖の一つ一つのつなぎめは、すべて引張りあっている。重力に対して、鎖は、引張りの力として受け止めて抵抗している。

鎖で簡単にカテナリーを作れる
(マウスポインタを写真の上にもってくると・・・)
カテナリーがアーチになる


カテナリーの画像を上下でひっくり返すと、アーチになる。カテナリーとは逆に、アーチでは力をすべて圧縮の力に変えて、耐える。もちろん、鎖ではアーチは作れない。鎖は引張りには耐えられるけれど、圧縮にはまったく抵抗できない。圧縮の力に抵抗しやすい材料で作るのが良い。石は圧縮にはめっぽう強いので、アーチの石橋が各地にある。
京都府亀岡市にある王子橋
九州外では最大径間(18.0m)だそうです。
後方の京都縦貫道コンクリートアーチは橋との対比が面白いですね
「橋の散歩径」Studio T.B.S.A. さんのページからお借りしています。

つまようじ橋の弱点=接着部

つまようじで橋を作るときには、つまようじの両端を切り、接着剤で接着していく。つまようじの強さと比べて、接着部は弱い。つまようじを手で引っ張ってひきちぎることは、ほとんどの人にとって無理だろうけれど、90度にカットして木工用ボンドで接着したものを引っ張ると、簡単に2つに別れる。

そこでいくつかの工夫がされる。45度に切断して接着する方法もその一つである。45度にすると接着面積が1.4倍になり、また力の方向が変えられるので、引っ張りに対する強さは約2倍になる。接着面をずらして数本の棒を束ねて、一本の棒にするのも、引張りに強くする方法である。
45度に接着
接着面の引張り強さは90度の2倍になる
数本を束ねて1本の棒にする

接着部が弱い、この弱点を克服する方法として、つまようじブリッジコンテストでは、アーチ形状が多く取り入れられるようになった。アーチにすると部材には引張りの力はかからない。石のアーチ橋では隣り合った部材同士は特に接合されていない。圧縮力による摩擦でかたちを保っている。つまようじブリッジコンテストに出場する橋では、アーチの要素が取り入れられて行くようになり、全体の形状はアーチそのものである橋も登場するようになってきた。

つまようじブリッジに取り入れられたアーチ形状

アーチの弱点、座屈

アーチは圧縮の力を受ける。棒状の部材に圧縮力をかけると、つぶれる前に、くにゃっと曲がることがある。これが座屈と呼ばれている。圧縮力を受ける棒状の部材は、座屈して壊れることが多い。アーチ橋でも、多くは座屈で壊れている。

アーチの座屈に対する対策も取られてきた。
1)座屈は、初期のゆがみが大きいと少ない荷重でおきやすい。精度良くまっすぐな棒を作り、奇麗な曲線にすること。
2)アーチは、全体に均一にかかる荷重には座屈しにくいが、1点に集中してかかる荷重には弱い。力をなるべく分散させるのが良い。

しかし、アーチが本当に有効なのか、新しい試みも始まっている。




カテナリーの定義と方程式は、こちらのページで。
錦帯橋の形状がカテナリーであることを、松塚展門さんが「錦帯橋のアーチ形状に関する基礎的研究」と題して日本建築学会で発表しています。
ジュースの空き缶でアーチを作っている方がいます。数学の先生だそうです。

力とかたち
曲げ
トラス
<主旨・ルール・経過>
つまようじ橋の作り方
優秀作品
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