● うぐいす徳利と盃
骨董に凝っているA氏。またも、変なものを持参してきた。このところ、彼はフィールドウォーカーならぬ、タウンウォーカー。街の商店街から、生物ネタを拾ってくる。彼が今回、拾ってきたネタは、うぐいす徳利。

図T
一見、醤油のビン。何をいれるか、これが徳利かということは別にして、注ぐと鳴くのである。鳥のように。もっぱら話題は、どのようなしくみで鳴くかということ。
職場の近所の古い瀬戸物屋にあると言うのだが、この「なぜ鳴くのか」とい興味だけで買うには高価な値段だという。さすがのA氏も手を伸ばせない。
ところで、それに前後して、いただいた盃。うぐいす盃というのだが、やっぱりこの瀬戸物屋から購入したという。


図U 横(左) 図V 裏(右)
図Uのゾウの鼻のようなところに口をあて、注いだ酒を飲むと笛が鳴るが、飲みたい一心で吸い込むので「ピュルピュル」と鳴る。水で試してみたが、水だと、いかにも試しに飲んでいるので、勢いがなく「ピー」という程度だ。粘りのある酒で、「飲みたい」という気持ちが「ピュルピュル」と鳴らせる。つまり、

図W
盃の底の部分に水笛の秘密があるのはおわかりでしょう。
ところで、この水笛がどうして鳴るのか?日本玩具館へ行って、Oさんに取材してみました。

図X

図Y
この2つとも水笛。しくみは、2つとも、同じ。つまり、縦笛の吹く先と反対の先を水につければ、「ピュルピュル」と鳴るのだ。ところが、図Tも図Uも吹くことはしない。吸うか、注ぐかだ。
ではしくみを説く鍵は?コリスの笛ガムにある。今は、笛ラムネが主流だという。あの、誰もが知っている駄菓子だ。

図Z 8個入りで60円。おまけ付き。(恐竜のおまけだった)
その笛のしくみは、

図\ コリス笛ラムネのしくみ
図9のとおり。割って見ると意外と簡単なしくみだ。つまり、図2の盃の底には、このコリスの笛ラムネと同じしくみが埋め込まれているということだ。
さて、徳利のしくみ。つのる疑問と思いに、A氏、好奇心に負けて買ってしまったのだ。(私は、それを預かっている)

図] 図Tの断面図
しくみは、「?」に仕組まれていて、注ぐたびに底から空気を吸い、「?」のところで笛を鳴らしていたのだ。

図]T
知ってしまうと、「なるほど」と思うのだが…。
これと同時に、私にもオファーがあった。「鴨(カモ)徳利」を買わないかと。このホームページは、生物のテーマで成り立っている。うぐいす徳利では、関連が薄いのである。というのも、そもそもウグイスは「ホーホケケキョ」と鳴く。ちょっと、大雑把である。さて、鴨徳利。

図]U
羽根が生えていて、鴨のようだろう。燗は立てて、飲むときは寝かせてと、酔っ払いの私には、徳利を倒すことなく、便利な徳利だと感じている。

図]V 図]Uの底 (記念という文字は紀念の誤りです)
図3でお気づきだろうが、図13のようにどれも知的所有権の表示がされているのである。ちなみに、図Tの底には「登録商標 千峰園」、「新案登録第48894号」とある。図3の猪口には、「新案登録第45863号」。図12の鴨徳利には、「意匠登録第2652号」とある。
このうち、手がかりは、鴨徳利の「戦掉(セントウ)紀念勝徳利」とある。日露戦争の勝利に喜んだ、粗品だったのだろうか。調べてみると、特許制度など、知的所有権の制度のしくみは、この日露戦争前夜に作られた。関連性があるのだろうか。(この話題は、また別の機会に。)
参考
*.1 浦野惠司/著『バラエティ徳利・盃図鑑(目の眼ハンドブック)』里文出版,2000
INSECT EYE'S (C) by Kazuhiro Sugioka