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解説 『遺族年金減額に備えて』

(1)現役世代の遺族給付について最も多いケースを説明しましょう

■年金の種類
死亡者が加入していた制度により遺族へ次の名称の年金が支給されます。
1) 国民年金(厚生年金と共済組合加入者を含む)・・・遺族基礎年金
2) 厚生年金加入者・・・遺族厚生年金
3) 共済組合加入者・・・遺族共済年金
※遺族共済年金は遺族厚生年金とほぼ同じですので、以下説明を省略します。

■遺族の範囲
遺族基礎年金は子供のいる妻へ、遺族厚生年金は配偶者等へ支給されます。尚、死亡時において以下の要件が問われます。
a.収入・・・年収850万円を将来にわたって下回ること
b.配偶者・・・事実婚を含み、夫の場合は55歳以上であること
c.子供・・・18歳到達年度の3月末まで、ただし1、2級の障害者は20歳未満まで

■保険料の納付要件
年金加入から死亡した月の前々月までの間、保険料を納めた期間が全加入期間の3分の2以上あること、もしくは死亡した月の前々月までの1年間、保険料を滞納していないことが要件です。

■年金額
1)遺族基礎年金
804,200円(定額)+子供の加算額
(2人目まで一人231,400円、3人目以降一人77,100)

2)遺族厚生年金
a.基本ケース
報酬比例の年金額×3/4(=0.75)
b.子供が成長して遺族の範囲から抜けた時、妻が受ける額
報酬比例の年金額×0.75+寡婦加算額

[報酬比例の年金額]
死亡者の平均標準報酬月額×係数×厚生年金加入期間の月数×物価スライド率
※厚生年金加入中に死亡した場合は最低300月(25年間)加入したとして計算できます。
※平均標準報酬月額とは全加入期間中の平均月収のことです。

[寡婦加算額]
ア、中高齢寡婦加算(64歳まで)・・・603,200円(定額)
イ、経過的寡婦加算(65歳以降)・・・603,200円−生年月日ごとの減額
※寡婦加算は死亡した夫が厚生年金に20年以上加入していた場合、妻が35歳以上であれば子供がいない場合でも支給されます。


(2)コラムの主人公、年子さんのケースを解説しましょう
[解説1]
金男さんは厚生年金加入中に死亡したため、扶養家族だった年子さんと子供を対象として遺族厚生年金と遺族基礎年金が支給されました。年金額は次のように計算されます。
1)遺族基礎年金・・・804,200円+231,400円=1,035,600円
2)遺族厚生年金(基本ケース)
・・・280,000円×0.0075×300月×1.031×0.75≒487,100円
合計 1,522,700円(月額126,891円)

[解説2]
子供が18歳になり高校を卒業した翌月から年金額が次のように変わります。
1)支給終了
2)64歳まで 487,100円+603,200円=1,090,300円(月額90,858円)

[解説3]
年子さんが65歳になるとさらに次のようになります。
a.遺族厚生年金・・・487,100円(昭和31年度生れ以降、経過的寡婦加算はありません)
b.老齢基礎年金
ア、20歳〜31歳まで11年間国民年金に加入し、それ以降29年間免除を受けた場合
・・・804,200円×(11年×12+29年×12×1/3)÷480≒415,500円(月額34,625円)
合計 902,600円(月額75,216円)
イ、 免除を受けなかった場合・・・804,200円(月額67,016円)
合計 1,291,300円(月額107,608円)


(3)寡婦にかかる優遇措置
未亡人に対して政府および市区町村では次のような優遇措置を設けています。
a.国民年金法
地方税法に定める寡婦に該当し、一定所得以下の場合は毎年の申請により国民年金保険料(13,300円)が免除されます。ただし、年金額は支払った場合の1/3になります。
b.所得税法
扶養家族を有する場合は年間27万円の寡婦控除が、その内所得が500万円以下の場合は年間35万円の特別の寡婦控除が受けられます。
c.地方税法
扶養家族を有する場合は年間26万円の寡婦控除が、その内所得が500万円以下の場合は年間30万円の特別の寡婦控除が受けられます。
d.医療制度
母子家庭で一定所得以下の場合、保険料や医療費について市区町村独自の減免措置が講じられています。


(4)メッセージ
遺族年金は一家の稼ぎ手の突然の死亡により、残された遺族の所得保障をするために設けられている制度です。遺族厚生年金はいったん受給する権利が決まれば再婚しない限り一生涯支給されますが、コラムの事例のようにその額はライフステージごとに減額されます。最終的に妻の年齢が若いほど貧弱な額まで下がるのは、妻本人が満額の国民年金を受給することを前提とされているためです。母子家庭の育児環境が未整備なわが国で、未亡人にとって外で働くということは過酷なことで、そのために国や地方公共団体では各種の優遇措置を設けているわけです。しかし制度にばかり囚われてしまうのはあまりにも惜しい、社会に出れば新しい人生も開けるのではないでしょうか。年金を自らの手で生み出し、女性もみな一人前の年金をもらえる社会になれば素晴らしいことだと思います。(以上)

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