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感想  非常にスピード感のあるハムレットになっていた。(時間は2時間半かかったが)無駄なところは削ぎ落としつつも大事なところをきっちりと演出されており、斬新ではないが素晴らしい舞台になっていたと思う。 有名な話なんで割愛。    なぜか、ハムレットと聞くとみたくなる私。そういう客は少なくないらしく、扉座の舞台では珍しく補助席まで埋まるような大入り。    佐藤累央さんが演じるハムレットが非常に弱々しく、軟弱な感じでいい。企画物のハムレットだとどうしても有名俳優がこの役をやるせいか、わりと雄雄しい感じのハムレットが多いと思う。ま、主役だし有名な方がやらないとちょっと客が呼べないということもあるかもしれないが、本来のハムレットは、こういう王子が父親の亡霊の命令によって叔父に対する復讐を実行しようとするもなかなか決断できず、狂った芝居までして自分を必死に奮い立たせ、それでも殺されかけるまで結局復讐を実行するに至らないという「ひ弱さ」が出てこないと物語として死んでしまうような気がする。    この佐藤さんの抜擢からも、横内さんがかなりハムレットに対する思い入れがあり、正確な脚本解釈の元にこの芝居を作り上げてきていることが伝わってくる。    ガートルード、クローディアスを一面的な悪役とせず、人間としてわかる役に作っているのもさすが。この二人にも何か共感できるものがあり、それをうまく引き出しているなと思った。一般的に、ハムレットの視点からこの二人を捉えた演出になるせいか、クローディアスというと兄を殺し、その国と妻までも奪った大悪人的に最初から描かれる事が多いのだけど、最初のシーンでクローディアスが「姉であったガートルードと一緒に国政にあたり混乱を回避するために結婚という形をとった」というセリフがあんなふうに普通に(悪意のある表情とか妙な目配せとかいやらしい感じのガートルード、クローディアスの抱羅とかなしに)語られるとなんか、二人が普通にいい人に見えてくるから不思議。このほうが、この後の亡霊によるクローディアスによる暗殺の暴露による衝撃を観客にストレートに伝えられる気がする。
   愛憎に焦点の当たりがちなこの物語の政治的な部分もきちんと演出されているのも、興味深かった。レアティーズが民衆の力を持ってクローディアスに刃向かうというあたりは、そうかこの話は革命ものの側面もあったのかと驚きました。    田中信也さん演じるホレイショが、実はとても気に入っていた。でしゃばりすぎずそれでいて、最後にビシッと決めてくれる。正直、田中さんの演技の中では今回のホレイショが一番印象に残る出来だったと思う。(弱々しい演技の印象が強かったのだけど今回はそういう過去の芝居とは一線を画していたと思う)
   新訳ということもあり、全体にセリフがわかりやすかったのも今回の舞台を面白いものにしてくれたと思う。有名な「To be or not to be...」の訳は「いさぎよく死ぬべきか、生き長らえて生き恥をさらすか....」坪内訳の「生きるべきか死すべきか」と一見逆になっている気がしましたが、後半のセリフを聞くとこっちの訳の方が的を得ているようなきがしました。ここに限らず全体にわかりやすくそれでいて格調高い雰囲気を失っていない脚本で、素晴らしかったです。
   一点だけ苦言を。元々ハムレットは長い芝居です。今回は、墓堀のシーンとかを簡単にしてスピード感のある芝居になっていることは認めますし、これだけ盛りだくさんの芝居をよく2時間半に納めたもんだとも思うのですが、やはり二時間を越える舞台は、休憩を挟むべきじゃないでしょうか?この脚本はそういう構造になっていると思うのですが.... ( 2001/09/02記) |
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