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感想断片的なセリフの連続であり、ストーリーではなく抽象絵画を見せられるような暗い美しさを感じ、感動した。但し、全般にストーリーのスピード感に乏しいが故に、長くなっており見ていてつらい部分もあった。   うち捨てられたある街角のごみ袋達。ごみ袋に囲まれ、死にかけた女性達から「パパ」と呼ばれる男。夜毎儀式が行われるその街角に、うち捨てられた「サカモト」という名の弁護士は、かつて弁護したミナトという女性に出会う。ミナトは、「サカモト」の弁護の結果、無罪として認められていたが、ミナトの心の内にはそれに対して釈然としない思いがあった。その思いは、彼女が捨てようとして捨てられずにいたゴミ・・・一通の出されなかった手紙だった。 燐光群の作品の中でも好きな作品の再演であり、楽しみにしていった。と同時に、燐光群の作品はほとんどがそうなのだが、あまりにもその時代の事件に根ざした部分が多いこの作品が、今見て本当に感激できるだろうかと不安を抱えながら行った。 結論から言うとその不安は杞憂であった。 島田歌穂、柄本明という役者を得たせいもあるかもしれないが、芝居の出来としては非常に高いものが出来ている。シーン毎の関連性は薄く、当初ストーリーを追うのに若干苦労したが、ストーリーを追うのではなく、シーンを受け入れるという姿勢で見始めた瞬間にほとんどのシーンが心に「ずしん」と響くものに変わった。 既に遺体が発見され、未だに裁判で係争中の弁護士「サカモト」の失踪事件や、それと深いかかわりをもった髭を生やした空中浮遊を得意とした宗教家に「パパ」がそっくりなことや、男友達のうちで、なぐられ、殺され、コンクリートに詰められた女性「ミホ」の登場といった芝居上のことは、10年前であればおのおのが現実の事件との関連性からショッキングなものとして見え、ともすればこの芝居の中心的なテーマをかき消すほどの印象を観客に与えていたかもしれない。 しかし、10年の歳月は、現実に似た事件があったことを観客(少なくとも僕の)の心の中で風化させ、よりストーリーの肝心な部分に集中することができた。 結局、この作品はミナトが救われる事が全てだったように思う。そのシーンに向かって全てのシーンが準備されていた 雪が降るシーンは、非常に印象の残るシーンになっていた。天井から何か降ってくる芝居は、いやというほどみたような気がするが、今回のシーンの感動は、物量とかじゃなくそのシーンにいたる過程とその役者の演技がきっちりかみ合った結果として、何もかもを洗い流すイメージが鮮烈で目に焼きついた。 恐らく妹尾河童さんが担当した美術の暗い、ほとんど黒一色に近い舞台上に白い雪が降るのが良かったのかもしれない。 「世界は予想以上に複雑で、人の一生はそれを把握するには短すぎ、人の五感はそれを知るには嘘をつきすぎる。だから、人は救いを求める為に簡単に騙され、悩み、癒されようとしている」 ある種飄々としている柄本さん演じるパパに帰依する娘達を見て、強くこんなことを思っていた。言っていることのほとんどが、意味不明どころか意味がないにもかかわらず、娘達がそれに帰依する姿は、ほんとに多くの宗教と違いがなく、柄本さんの宗教家らしからぬ飄々とした雰囲気が逆にそれを明確にしていた。 ほとんど最近芝居みるといつも書いていることだが...もう30分短ければもっと良かったと思うのだが...
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