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感想ほのぼのとした人情物。そういった意味では水谷さんらしい作品で、ヴォードヴィルの役者さんにも雰囲気が合っていたような気がする。吉行和子さんが、かわいらしく印象深い。 小さな洋服やを営む母娘のうちにいて何するでもなく過ごす父親は、実はかつては伝説とさえ呼ばれた大泥棒。当初は、娘にばれるのを恐れていたが、雑誌社の編集者が彼を訪ねてきたことで、ばれてしまう。編集者の要望のまま、回顧録を作ることになり昔の仲間と集まるが....
行き場をなくし、人生の最終局面を迎えたかつて泥棒であったものたちの人生模様が哀しい。そのなくした行き場をどう処理していいのかわからない老人達の姿は、泥棒という職業でなくとも哀しいものだと思う。 テーマで語れば、ひどく重苦しくなるようなそんな話を水谷さんは非常にほのぼのとした独特の雰囲気でうまくコメディに仕上げている。ほのぼのとし、けして重苦しさを感じさせない手法はさすが。 でんでんさんや坂本あきらさんなど客演陣は元より、ヴォードヴィルの方々の演技も非常に水谷脚本、水谷演出にマッチしているように思った。 特筆すべきはやはり吉行和子さんの存在感。他の役者とはそこだけ印象が異なる。光っているのに、演出に溶け込んでいるというか、この人ならば元泥棒の夫を暖かく迎えるだろうなと素直に見ている側に思わせる。 舞台上の全ての人の母親といった風情の彼女の演技が、この舞台の雰囲気をより優しくほのぼのとしたものにしていたと思う。 いつもは少しギラギラした雰囲気のある佐藤B作さんが、彼女と二人で肉まんを食べるシーンは、佐藤B作さんのギラギラ感やしつこさというものがかききえて、ほのぼのとした雰囲気が劇場中に充満した。このシーンがみるものに与えた暖かい雰囲気が、この舞台の最大の見せ場だったのではないかと思った。 ( 2002/12/08記) |
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