Crazy For You

           観劇データ

劇団 四季 劇場 四季劇場 秋
作他 Ken Ludwig(BOOK)
Susan Stroman(Choreography)
George & Ira Gershwin(Music&Lilic)
企画・製作 浅利慶太
観劇日 2003/3/22 観劇時間 マチネ
出演者 ボビー:荒川務、ポリー:濱田めぐみ、ランク:川原洋一郎、アイリーン:八重沢真美、ザングラー:光枝明彦、エベレット:岡本隆生、ボビーの母:斉藤昭子、テス:秋本みな子、ユージン:奥田直樹、パトリシア:西内いず美、ムース:菅谷孝介、サム:道口瑞之、ミンゴ:中嶋徹、ビリー:石野喜一、パーキンス/カスタス:田中廣臣、ジュニア:江上健二、ピート:遠藤敏彦、ジミー:大谷健、ワイアット:武藤寛、ハリー:朱涛、パッツィー:谷内愛、シーラ:島田羊子、ミッツィー:小泉しづか、スージー:鍋谷明、ルイーズ:大石眞由、ベッツィー:伊東恵、マギー:艾于涵、ベラ:本徳亜希子、エレイン:村上真希

感想

題名から想像した通りのある種安直なラブストーリー。と思いきやタップダンスや舞台装置の派手派手さは特筆もの。古き良きブロードウェイミュージカルを地で行くような作品。なんか去年見た「プロデューサーズ」に似ていると思ったらコリオグラフィーはSusan Stromanと同一人物。納得
<<ストーリー> >

ニューヨークでダンスに明け暮れる銀行の跡取り息子は、母親の悩みの種。母親は、彼をネバダ州の砂漠の真ん中にある町に劇場の差し押さえにいかせて、ダンス熱を冷めさせようとする。が、彼がそこで出会ったのはその町唯一の女性にして、劇場の一人娘。一目ぼれした彼は、ニューヨークの有名プロデューサーを語って劇場復活の為の演しものの演出を引き受けるが....



<<感想> >

何年か前にニューヨークに訪れた際に、上演されていたのを知りながら中々食指が動かなかったのが、この作品。各種の劇評では絶賛されつつも、題名や劇評の内容から推察するにまさにアメリカ人の好きそうなべたべたのラブストーリーだろうなと思うと男の一人旅の寂しさも手伝って中々足が向かなかった。


今回、劇団四季版を見てその時の勘はは一部あたり、一部外れていた事が判った


あたっていたのは、底抜けに明るいミュージカルで、話も単純。(何せ、田舎町に訪ねていった主人公がヒロインに出会って3秒くらいで一目ぼれして仕事を放り出し、ニューヨークに帰らずその町に残る事を決めるって....ありえないでしょう。やっぱ)
外れていたのは、自分がそういうのを嫌いだと思っていたのに、実は結構好きだということ。そして、イマジネーションあふれるタップダンスシーンは、そのようなストーリーの単純さをリカバリして余りある魅力をこの舞台に与えているということ。(ストーリーが単純であるが故にタップのすばらしさ、衣装の華麗さが余計に目立つのかもしれない)


特にタップはすばらしい。単純なタップダンスのみならず、群舞としてのタップはかなりかっこいい。また、床以外のものを利用したタップ(例えば隣の人が持っている金属性のお盆を踵でならすとか)は想像力溢れており見ていて楽しくなる。


ガーシュインの曲の良さもこのミュージカルの魅力。見るのは初めてなのに聞いているうちに口ずさめるような曲がそこここに出現する。


ストーリーも単純と思っていたが、ミュージカル後半に向かうにつれて主人公のボビー、プロデューサーのサングラー等が、愛する人の為に自らの全てを変えていく様は、ちょっと考えさせられた。


僕自身は、Crazy For Youを単純に「あなたに夢中」とかそんな感じに訳して捉えていたが、どっちかというとCRAZYという言葉は文字通り「狂う」という意味があるらしい。自分のそれまでの人生を全て狂わせてしまうほどの恋というテーマは、単純なようでいて奥が深いテーマだなぁと感じた。


今更ながら、傑作ミュージカルであることを理解し、6年前に見逃した事を少し後悔したが、劇団四季版で良さを再認識したという事は、ひとえに劇団四季版完成度が高かったということでもある。


主人公ボビーを演じた荒川務の存在感と年齢を感じさせない若々しさは特筆もの。四季には(多分)珍しい明るく楽しい(ほとんど悲壮感がないミュージカルって四季では珍しいのではないか?)舞台の主役にはぴったりだった。

( 2003/3/26記)