3年前に見たときは、そのあまりにも豪華すぎるキャスティングを当時絶好調だった巨人に喩えていやみを書いたのだが、今回はそういう野暮は言わない。(別に阪神が調子いいからではない)
とにかく身震いする舞台。新感線もので見るのは、実はいのうえ歌舞伎といわれるシリーズのみなのだが、特にこの舞台への期待は高かった。通常こう書くと、見終わった後の感想は「高すぎました」になるのだが、今回はそんなことがない。
前回、凛とした威厳が感じられず(声がかれていたせいもあるかもしれないが)不満が残ったつばき役が、富田さんから天海さんに交替したのは、大正解。
逆にかわいい町娘役が天海さんではどうかという不安も杞憂に終わり、美しい(かつなぜか腕っ節の強い)町娘像が見事に出来ている。ここさえできれば、阿修羅転生後の美しさ、かっこよさに心配はない。殺陣も含めて、かなりレベルの高い世界を見ることができました。身長も互角だし、最後あたりの二人の戦いのシーンは、かなり見ごたえのあるシーンに仕上がっていました。
また、伊原さん演じる邪空もかっこいい。独特の凄みが効き、見事な敵役。JAC出身というだけのことのある身のこなし、殺陣も決まるし、存在感もすごい。
こういった脇に固められて、それでも最高の華を持つのが主役の染五郎さん。恐ろしい役者です。これだけの役者に周り固められてかすむことなく、より華々しく際立つというのは、やはり血筋なのでしょうか。実は前半のおちゃらけが過ぎて、かっこよさが少し損なわれているような気がしたのですが、2幕に入りぐんぐんかっこよくなっていき、ラストシーンで頂点。
実は、鬼を救うという阿修羅の復活が、鬼の滅びを呼び込むならば、弥勒の復活による人類の救済とはという最後あたりの美惨のセリフは何故か心に残る。中島さんの脚本が好きな理由はこんな考えさせるセリフが随所にあることによる。