道学先生の中島淳彦さんの舞台は、今回で何度めかの観劇です。現代を舞台にしているというより少し昔の昭和の時代を描かれることが多く、またその時代のおじさんを描くのがとてもうまい作家さんだとおもいます。たまたまヴォードビル等で見させていただいた機会が多いからかもしれませんが。
今回も舞台は戦後三十年たち、小野田さんや横井さんといった残留日本兵の話題が国民の関心をさらっていたころのフィリピンの片田舎の島でした。舞台のはじめからすまけいさん演じる残存兵とおぼしき人が印象的にでてきています。
その島のリゾートホテルに不倫の結果逃げられた元部下を追いかけてきた中年男、その同行者。犬猿の中の友人、日本人を父にもつ現地ガイドといったさまざまな人が交差します。残留日本兵を捜すための大捜索が話のくらいまっkになるかと途中期待したのですが、拍子抜けするくらいあっさりとこの一行と残存兵であるすまけいさんは出会います。
角野卓三さん演じる外務省の役人でありながら捨てられた若い女を忘れられない情けない中年男とその友人役の佐藤B作さんのかけあいがこの舞台のリズムを作っています。
まいど豊さんも若いんだか年とってんだかよくわかりませんが、今回はひょうひょうとした若者代表みたいな役をうまく演じています。時代背景から逆算するとまいどさんの役こそいまでいう段階の世代にあたるわけでそのまいどさんがB作さんや角野さん演じる上の世代に今の若いものはと評されるさまは少し皮肉がきいていると感じました。
ストーリーの中で語られる戦争時の話は30年前でさえ風化しつつあった戦争の記憶や終わっていない戦争の傷をたんたんと思い起こさせてくれます。戦争に人生を変えられた多くの人の一人として責任感がつよくそれでいて誰も責めない残存兵の生きざまが胸に迫ってきました。
今はさらに時間がたち戦争の記憶も傷も多くの人の中でわすれさあられているように思います。個人的には最後に年をとり、なぜか外務省でちょっとえらくなったまいどさんに現代のこの舞台となった島を訪ねてもらって総括をしてほしかった気がします。ストーリーのなかで語られた事柄が全て中途半端な終わり方をしているように思いました。だからこそ余韻が残っているのかもしれませんが