「平和・人権・民主主義を考える」西濃憲法集会2003

憲法アピール

 わたしたちは、伝えなければなりません。

 知ってしまった事実は、重くて悲しいものですが、このまま黙っていることはできません。

 12年前に終わったと思っていた湾岸戦争。はるか遠くの地でおきた「過去の出来事」だと思っていたわたしたちに、つきつけられた現実は、イラクの人々、とりわけ子どもたちのあいだで、ガンや白血病が多発しているとの報道でした。

 死の恐怖におびえる少女。長年の経済封鎖による貧困と、「大量破壊兵器の材料」になるという理由で、薬の輸入が禁止され、治療もできず、なすすべを知らない母親たちの悲しみの姿。

 フォトジャーナリスト・森住卓さんの写真は、戦争の怖さをまざまざと感じさせるものでした。

 そして、再び彼らの上に、砲弾の雨がふりそそぎました。

 湾岸戦争以後、劣化ウランが兵器に使用されるようになり、「新たな核戦争」が始まったと言われています。今回のイラク攻撃でも、劣化ウラン弾を使用したことをアメリカは認めています。

 劣化ウラン弾は、原子力発電所の燃料を作る過程で発生する大量の核物質と、使用済み核燃料でつくられる、文字どおり「核のゴミ」です。その新しい処分方法としてこれを軍事転用し、イラクやコソボ、アフガニスタンに撒き散らしたのです。劣化ウラン弾の責任は、核開発、原子力発電をすすめる国々の責任でもあります。日本もまた、そのひとつの国です。

 「新しい核戦争」は、大地や水を汚染し、ただ、普通に生きたいと願っている貧しい人々や子どもたちの命を奪うだけではなく、これから生まれてこようとする生命さえも摘み取ってしまうものです。

 このイラク攻撃にたいして、世界中の人たちが、戦争に反対する行動をおこしました。小さな町の交差点で、ひとり「NO、WAR」のプラカードをもって静かにたたずむ青年、あるいは、攻撃に反対する何万人ものデモ。「人間の盾」となってイラクへ渡った人など、イラク攻撃をとめることはできなかったけれど、「正義のための戦争はない」「争いの解決に暴力はいらない」というみんなの思いは、歴史を動かす大きな流れをつくっています。 

 日本の憲法前文は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍がおこることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」とうたわれています。

 この崇高な憲法の理念に対し、現実にあわないから憲法を変えようという動きがあります。しかし、戦争の本当の姿を知ったわたしたちは、こんな悲惨な現実に、憲法をあわせることは許すことはできません。そして、それをやめさせるのは、わたしたち自身であることを、もう一度自覚しなければなりません。主権は国民自身、わたしたち自身にあるのですから。

 本日、憲法集会に参加されたみなさん、今日ここで知った事実を、自分の家族へ、友人へ、まず知らせてください。そして、その人たちと一緒に、この事実を知らないすべての人に伝えていきましょう。
 わたしたちは、世界のどこにおいても、人類の未来を閉ざす劣化ウラン弾を使用することに反対し、一日も早く、イラクの少女に本当の笑顔の戻ることを願い、あらゆる戦争を許さないという強い決意をこめて本日のアピールとします。

          
2003年5月3日 「平和・人権・民主主義を考える」西濃憲法集会2003 


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