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『特許明細書英訳の手法と実務』
廣島節也著
(日本実業出版社より2007年刊行予定)
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連載エッセイ |
●嵐が止むまで
『特許明細書英訳の手法と実務』ができるまで
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特許翻訳コンサルタント
廣島節也(ひろしませつや) |
〜リアルタイム出版ドキュメンタリー〜 |
第11回 「電磁波キャンセル装置および電磁波キャンセル方法」
実際に出願するためではないにせよ、自分で特許明細書を書くのは、思いのほか楽しい経験でした。まだ市場に存在していない、あたらしい装置を創造し、文書化していくプロセスに、翻訳とはまた違った楽しさを味わうことができました。
技術者や弁理士が書いた和文明細書を英訳する特許翻訳者は、原則として原文を変更できません。言い回しそのものはさまざまに言い換えられても、文章内容そのものを変えてはならないのです。ところが、発明の内容から文章内容まで自分の判断で書き進められるのです。これは楽しいの一言につきます。一流の発明者あるいは技術者がバックアップしてもらえれば、明細書を作成するのはそれほどむずかしい仕事ではないかもしれません。
ただし、弁理士や技術者は重い責任も負っています。表現・文言によっては裁判で追求される可能性もあるのです。明細書を担当するということは、とりもなおさず、特許をとれるようにするだけでなく、権利行使や侵害の可能性まで想定し、万全を期すことができるということです。筆者はやはり翻訳屋なのです。そこまでは責任が負えません。法的に強い明細書を書くノウハウも知りません。このため、かつてある弁理士さんから「技術を勉強して、明細書を書きませんか」と勧められても断わらざるをえませんでした。勉強するのはいいのですが、技術的・法的に顧客の信頼に応えられないことはわかっていたからです。
電磁波は、調べれば調べるほど興味をそそられる技術分野といえます。前回お話した、現代のトレンドであるだけでなく、軍事機密にふれる部分があるため非公開の装置・発明が多いのです。実際に開発されていながら、国家安全対策上、公には伏せられている装置やシステムも多数あるようです。
筆者が考えた電磁波キャンセル装置は、人体に有害な電磁波を簡単に中和できるというものです。これこそ夢の装置です。電磁波をループアンテナでキャッチし、リアルタイムの3次元電磁波強度分布にもとづき、最も効果的な中和波動に変換してしまう小型装置です。短い明細書にまとめる必要上、実施例として、アンテナの組み合わせ方や液晶画面によるリアルタイムのモニタリングを挙げておくにとどめましたが、身近な被爆対策にも使えます。
たとえば、電子レンジや業務用冷蔵庫に装着すれば家電から放出される電磁波を避けることができます。携帯電話や中継アンテナに応用すれば、電磁波被害も無くなるかもしれません。現在のところ、発生する電磁波を遮断することは技術的に不可能です。この発明は、電磁波を遮断するのではなく、電磁波干渉手段を用いて、人体に無害な波動に変換してしまうところにポイントがあります。
明細書の書類名(タイトル)は「電磁波キャンセル装置および電磁波キャンセル方法」と決めました。
次回は、翻訳屋が明細書を実際にどのように書いたのか、という点についてお話します。
(つづく)

| 特許翻訳コンサルタント 廣島節也 |
アメリカ出願明細書用の英訳について徹底指導。翻訳テクニック解説だけでなく、経営の視点から社内特許翻訳者育成のお手伝いもいたします。 |
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