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『特許明細書英訳の手法と実務』
廣島節也著
(日本実業出版社より2007年刊行予定)


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リストマーク連載エッセイ  ●嵐が止むまで
『特許明細書英訳の手法と実務』ができるまで
特許翻訳コンサルタント
廣島節也(ひろしませつや)
〜リアルタイム出版ドキュメンタリー〜


第12回 お手本となるすぐれた明細書


はじめて特許明細書を書くことになりました。装置の構成、効果効用は決まっています。そこで必要となるのが、明細書のお手本です。

特許明細書には特有の記述スタイルがあります。同じ発明内容であっても、記述の上手下手によって、印象がまるで変わってきます。もちろん、実際の出願なら、印象の良し悪しだけではすみません。記述の仕方が、権利の取得や発明の実施そのものにまで直接、影響してきます。弁理士、特許技術者の仕事のむずかしさ、重要さがここにあります。

筆者は翻訳者として数多くの特許明細書を読んできました。フリーランスですから、クライアントごとに明細書の記述方法に、独特の癖があることを知っています。

明細書の構成は、特許庁によって方式が決められていますが、発明内容をどのように説き起こすか、どのように実施例をならべるか、どのように発明を要約するか、どのようにクレーム(権利主張)するか、といった中味については、出願人・代理人の裁量に任されて
います。このため、引例公報と読み比べるとよくわかりますが、似たような発明であっても、クライアントによって記述方法に癖が出てくるのです。

今回の明細書は特許英訳解説書のサンプルです。出願するわけではありません。そこで、公報などを読み直して悟ったのは、参考にできるのは、本格的に書き込まれた明細書ではない、という事実でした。

過去に受注した案件の中に、切れ味の鋭い文章で、綿密に組み立てられた明細書もあります。けれどもそれは長編小説のような大作でした。書籍のページ数の関係から、サンプル明細書は短編小説でなくてはなりません。

したがって、できるだけサンプルに近い長さで、しかも記述方法に癖の少ないものを参考にするのがよいと判断しました。権利取得するのが目的ではありません。審査官や当業者に読ませるわけでもありません。特許翻訳を学ぶ読者が、翻訳の思考プロセスをスムーズに修得できる記述こそが求められるスタイルなのです。


                                     (つづく)

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特許翻訳コンサルタント 廣島節也 アメリカ出願明細書用の英訳について徹底指導。翻訳テクニック解説だけでなく、経営の視点から社内特許翻訳者育成のお手伝いもいたします。
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