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『特許明細書英訳の手法と実務』
廣島節也著
(日本実業出版社より2007年刊行予定)




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リストマーク連載エッセイ  ●嵐が止むまで
『特許明細書英訳の手法と実務』ができるまで
特許翻訳コンサルタント
廣島節也(ひろしませつや)
〜リアルタイム出版ドキュメンタリー〜


第8回 書籍の内容は予定ページ数で決まる



前回の考察で、本当にめざすべき書籍構成がはっきりと見えてきました。「考察」といっても、机に向かって、ただ考えていたわけではありません。出版社で承認された企画書の構成に沿う形で、実際に執筆しながら、徐々に『特許明細書英訳の手法と実務』として最もふさわしい内容を絞りこんでいったのです。

このように、「より読者が必要性を感じる内容」を追求した結果、構成を変更することにしました。けれど、これとは別にもうひとつ、考慮しなければならない重要なポイントがありました。書籍の「枠組み」です。

書籍の場合、企画書の段階でおおよその定価、ページ数を記載しておかなければなりません。つまり実際に原稿を仕上げる前に、どのくらいの厚さの本で、どのくらいの値段で売るかが決めるのです。そして、定価、ページ数などの基本的な枠組みが、内容に大きく影響をあたえることを、筆者は今回はじめて知りました。

最初の企画書の段階では、本書のタイトルは『特許明細書英訳の手法と実務 〜上手いといわれるコツからクライアントのつかみ方まで〜』でした。副題からおわかりのように、フリーランスの特許翻訳者がクライアントと接触し、受注し、翻訳し、納品するまでを網羅する予定でした。ところが、ドラフトで「第1章 受注から納品まで」を書いていくうちに、「A5版並製320頁」という枠では、おさまりきらないことがわかってきました。

本書のメインは明細書英訳の技法です。それは動かせません。しかしながら、フリー翻訳者にとって、クライアントをどのように見つけ、仕事を受注するかという点は、大変興味あるところです。筆者の実体験をもとに解説しておけば、読者にとって利益になるだろう=売れるだろうと考えたのですが、ページ数がそれを許さないのです。さらに、対象読者をフリーランスに限定するのも、逆効果になるおそれがあります。特許事務所や企業知財部に籍をおいている翻訳者に、「クライアントの取り方」云々はアピールしないと思われるからです。ここは涙をのんで、焦点を「明細書英訳の技法」に的を絞ることにしました。

すでに書いてしまった数十ページのドラフトが無駄になってしまいますが、やむを得ません。実用書を書き慣れた著者であれば、このような回り道はありえないでしょうが、それで本のクオリティを上げられるなら、断行すべきです。

もっとも、上記のような軌道修正は一気に行ったわけではなく、あくまでも段階的に進んでいった結果です。実際には、ドラフトVer.1、Ver.2と稿を重ねるにしたがって第1章・第2章「受注から納品まで」の部分を削り取らざるをえなかったのです。

さいわい編集者も、構成の見直しはよくあることです、と理解を示してくれました。

次回は、実際に書籍化される構成についてお話しいたします。


                                     (つづく)

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特許翻訳コンサルタント 廣島節也 アメリカ出願明細書用の英訳について徹底指導。翻訳テクニック解説だけでなく、経営の視点から社内特許翻訳者育成のお手伝いもいたします。
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