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『特許明細書英訳の手法と実務』
廣島節也著
(日本実業出版社より2007年刊行予定)


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特許翻訳者への道

リストマーク担当講師

特許翻訳コンサルタント
廣島節也(ひろしませつや)
〜アメリカ出願明細書英訳編〜

第18回  プロ特許翻訳者になるには、現状を生かす

Q:
はじめまして。私は海外に在住しているのですが、昨年の夏ごろから特許翻訳者になりたいと考えて、購入した書籍を参考に今は英文を和文にする作業を主に中心に独学しています。今使っている書籍が終わったら何か通信講座を受講してみたいなと考えるようになりました。いずれは和文から英文にできるようにと夢だけは高く持っているのですが、特許翻訳者に求められる力というのは、日本語の特許を英語にするというのが一番求められるものなのでしょうか?今の英文和訳中心の学習方法よりも逆の和文英訳中心の学習方法に変えたほうがよいのかどうかなど、自分ではわからないことだらけです。もし何かアドバイスがあればどうぞよろしくお願いいたします。また、この状況で、特許翻訳者として働くためには、どんな形態の仕事が一番見つけやすいものか、もしもわかれば教えていただけますでしょうか?

A:まず学習方法ですが、めざす目標によらず、英和も和英もやらなくてはなりません。特にあなたのように英語を自由に操れる(であろう)人であれば、和英の学習を進めれば進めるほど、他人の書いた英文明細書から、辞書に記載されていないような表現を学ぶ必要性を痛感するはずです。

ところで、海外在住であるあなたには、本連載「第17回 プロ特許翻訳者になるために、まず何をすべきか」(下記参照)でお薦めしたような、日本国内特許事務所勤務という道を選択できません。「海外在住」としか書かれていないので、詳しい事情が不明ですが、すくなくとも英語の読み書きについて問題はないはずです。仮に米国在住だとすれば、米国内のPatent Attorney へ売り込むのも一案です。ただし、ネイティブ以上の語学力、特許経験の有無、技術バックグラウンドなどが問われることは、まずまちがいないでしょう。移住経験者の話を聞くかぎり、日本語ネイティブが英語ネイティブたちの中で仕事を奪いとるにはかなりタフな精神力が要求されるようです。

さしあたり、あなたにとっていちばん有効な学習方法は「通信講座」でしょう。信頼できそうな講座を選び、受講することになりますが、<成績優秀者にはお仕事を発注します>といった謳い文句には注意してください。仕事は、あくまでも自分でとるもので、だれかが紹介してくれるものではありません。

「どんな形態の仕事が一番見つけやすいものか」とのおたずねですが、生計の足しにできるくらい、しっかりした仕事は、獲得するまでに相当な苦労が必要です。特許翻訳者募集広告はネットでも数多く目にしますが、では数件もあたれば、だれでもすぐに仕事がとれるかというと、それほど簡単ではありません。今回は学習方法の解説ですから、詳しくは触れませんが、募集する事務所の条件と応募者(翻訳者)の条件とが一致して、はじめて取引開始となります。そのさい、あなたが、機械、電気、化学、いずれかの分野で、標準以上の特許翻訳力を持っていることは、もちろん大前提となります。すなわち、未熟なまま応募しても、募集側に翻訳者としてのみならず営業マンとしても拙劣な印象しか残さない結果となるのです。

私が担当講師をつとめる『特許英訳マスターコース』では、フリーランス特許翻訳者としてすぐに応募できるレベルをめざします。また、希望者には有料で日本国内における営業方法など、具体的なコンサルティングを行なっています。


第17回  プロ特許翻訳者になるために、まず何をすべきか

Q:
特許翻訳者になりたいのですが、特許翻訳講座に申し込むかどうかで悩んでいます。主婦なので、入学金と授業料を合計した数十万円は大金です。パンフレットに「優秀な成績でコースを終了された方は、提携先翻訳会社のトライアルを受けていただき、お仕事を発注する可能性があります」と書いてあるので、主人に前借りを相談してみたのですが、「そんなに簡単に仕事がもらえるはずがない」と耳を貸してくれません。私は結婚前、渉外弁護士の秘書をしていたので英語には自信があります。翻訳学校に事情を打ち明けたのですが、「講座で勉強しながら、他社のトライアルに挑戦してみてはいかがですか」と言われてしまい、すぐに仕事をもらえるようすもなく、少しがっかりしました。どうすればよいでしょうか。


A:特許事務所の常勤翻訳者募集に応募されることをお薦めします。理由は以下の通りです。

理由1 常勤翻訳者は求められている
外内(英和)や内外(和英)をあつかっている事務所では専従の翻訳者を配置しています。もちろん外注先としてフリーランス特許翻訳者も持っていますが、フリーランスはワードいくらの出来高制が通例です。外注経費をおさえたい事務所にとって、経営の点から、給料制の常勤翻訳者が必要なのです。求人広告はときどき見かけますし、仮に広告が見つからなくても、事務所へ問い合わせてみる価値は大いにあります。特許未経験でも一から指導してくれる事務所が多いのが特許業界の特徴です。あなたが必要な書類を整え、真剣にアプローチすれば考慮してくれるかもしれません。

理由2 お金をいただきながら勉強できる
英語に自信があるのは結構なことですが、特許庁のHPから日本出願明細書や米国特許公報をダウンロードして、熟読してみてください。特許明細書の英文は、法律事務所で要求される英文契約書などの英文とは文体がまったく異なります。さらに電気、機械、化学などの技術分野の知識も必要です。いきなり翻訳講座を数カ月、受講されても、こうした下地がなければ、一人前の特許翻訳者になるのはむずかしいでしょう。特許事務所から給料をもらいながら、実務として特許翻訳を勉強できることを、ご主人に伝えてみてはいかがでしょうか。

理由3 特許明細書を訳すには責任感が必要
発明者や出願人は特許明細書の翻訳のために数十万、ときには百万円を超える料金を支払います。しかし誤訳がもとで特許そのものが取り消される裁判ざたがあるのです。こうした実情を知れば、軽いアルバイト気分では翻訳できなくなるはずです。事務所の翻訳部にいれば、あなたの致命的な誤訳も、まわりの先輩たちがフォローしてくれるでしょう。フリーランスとして独立を考えるのはその先の話です。

理由4 教材のよしあしを見抜ける目を養う
自力で明細書全文を訳せるようになってから、特許翻訳講座の教材をもう一度、見直して下さい。一目で自分の役に立つかどうか判断できるはずです。「役に立つ」と納得できれば、申し込めばいいのです。そのころには入学金も受講料も全額あなたの貯金で賄えるでしょう。

ご参考 プロ向け特許英訳コース
私が講師を担当している『特許英訳マスターコース』では、さらに高いレベルをめざしています。なんとか明細書を英訳できるようになった翻訳者を対象に、じかに料金を請求できるフリーランス特許翻訳者レベルのノウハウを教えます。「添削」方式ではなく,、<翻訳プロセス>育成に重点をおいているため、明細書の読み方自体が変化し、結果的にあなたの訳文も大きく変化するはずです。いつでもやめていただけるように入会金は徴収しません。私自身がコメントを書くメール通信講座なので、定員制です。『特許英訳マスターコース』資料申込フォーム

 <特許翻訳に関する疑問を、およせください。本コーナーでご回答します。


●特許翻訳を発注するさいの極意〜翻訳費用はどこまでおさえるべきか〜

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発明者が特許事務所をスマートに見つける方法

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翻訳作業に必要なアイテム【書見台・ライト】



     リストマーク連載エッセイ

●嵐が止むまで
『特許明細書英訳の手法と実務』ができるまで

特許翻訳コンサルタント
廣島節也(ひろしませつや)
〜リアルタイム出版ドキュメンタリー〜

第14回 <翻訳プロセス>を解説するには

文系出身でありながら、自分で発明した装置および方法の明細書を書き起こし、図面を作るのは、思いのほか楽しいプロセスでした。特許翻訳者をめざす人に明細書作成を勧めるつもりはありません。ただし、斜視図、回路図、フローチャートなどを目で追いながら、明細書本文を「楽しく」読めることが特許翻訳者に必要な資質だと思います。特に電気・電子、機械分野の明細書を訳すには、図面を楽しく読めなければ、仕事としてつづけられないでしょう。

明細書を完成させた後で、英訳解説の原稿にとりかかったわけですが、これも表現方法に工夫が必要です。

書籍で英訳テクニックを解説するための素材として、架空の日本出願明細書を書き下ろすこと自体、異例のことです。したがって、翻訳解説も、当然のことながら、従来の<部分訳解説>のようなおざなりの解説であっては、わざわざお買い上げいただく価値がないのです。ひとつの和文に対し模範英文をひとつ示し、解説を数行つけ加える、というよくある形式では、筆者の翻訳テクニックを充分に説明しきることもできません。

何度も読み返す価値のある翻訳解説本とはどのようなものでしょうか。読むたびに新しい発見がなければなりません。何より、読者がいま業務で扱っている明細書を翻訳するのに、直ちに役立つ情報が書かれていなければ意味がありません。そのような情報が一冊に凝縮されているからこそ、本棚に常備しておく価値があるのです。

そのためには<翻訳プロセス>を解説するしかありません。<翻訳プロセス>とは、筆者の造語ですが、最終的な英文を得るまでのプロセスのことを指します。ビギナーであろうとベテランであろうと、だれでも自分の<翻訳プロセス>を持っています。プロは非常に複雑で、繊細な<翻訳プロセス>を持っているため、ビギナーには想像もつかない英文が書けるのです。英語に関する本はたくさんありますが、筆者が知る限り、<翻訳プロセス>を解説した翻訳本はほとんどなく、特許明細書に限定すれば筆者の本がおそらく最初でしょう。

<翻訳プロセス>を解説するには、自分がビギナーだったころ、いかに下手な英訳を連発していたか、正直にふりかえればいいのです。ふりかえる素材が、勤めていたころにがむしゃらに訳した英文データです。また、自分の英文を集めた特許翻訳対訳データベースもよい材料となります。筆者は特許関連企業にいたため、一流の特許翻訳者の英文明細書を入手し、そのテクニックを貪欲に吸収できる立場にいました。そのころの知識と独立してからの経験が現在の蓄積です。

最初期の自分の英訳手法と現在の英訳手法を比較していけば、おのずと筆者の<翻訳プロセス>が見えてきます。なぜ現在、そのようにではなく、このように訳すのか。何を基準にその英文を採用したのか。一歩一歩説明していくだけで、特許英訳の考え方が浮き彫りとなるはずです。この<翻訳プロセス>の解説が読者の<翻訳プロセス>へよい影響を与えられれば書籍として成功したといえるでしょう。

この<翻訳プロセス>は、「どの英語表現を使うか」ではなく、「日本語をどのように読むか」というところから解説がはじまるため、読者の翻訳力にただちに作用するのです。

                                     (つづく)
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特許翻訳コンサルタント 廣島節也 アメリカ出願明細書用の英訳について徹底指導。翻訳テクニック解説だけでなく、経営の視点から社内特許翻訳者育成のお手伝いもいたします。
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