巻7

戈部

【戈*一】
592
戈 1
『国字の字典』が『[瑣−貝+月]玉集』を引き「表(あらわ)す」意の国字とする。
【力+戈】
593
戈 2
『国字の字典』が『[瑣−貝+月]玉集』を引き「おさむ。治(おさ)める」意の国字とする。
【或−(或−戈)+八】
594
戈 2
『名義抄』に「イマシム 戒字歟」とある。
【或−(或−戈)+日】
595
戈 4
『名義抄』に「ヒク」とある。
【或−(或−戈)+ネ】
596
戈 4
『名義抄』に「ヤ爪ム」とある。
【竏−千+戈】
597
戈 5
『名義抄(観智院本)』に「ソハタツ」とある。
【有+戈】
598
戈 6
【車+戈】
599
戈 7
『篇目次第』に「モチ 无」とある。
【戚−(上*小)+羊】
600
戈 7
『篇目次第』に「ハシメ 无」とある。
【戚−(上*小)+衣】
601
戈 7
『世尊寺本字鏡』・『法華三大部難字記』に「フクリ」とある。「陰嚢(ふぐり)」の意の国字か。
【戚−(上*小)+弟】
602
戈 8
『世尊寺本字鏡』に「子コ」とある。
【有+我】
603
戈 9
『和字正俗通』に「ムツマシ」とある。
【裁−衣+(往−主+尺)】
604
戈 9
『篇目次第』に「オサム 无」とある。
【戚−(上*小)+恋】
605
戈 11
『世尊寺本字鏡』に「ウレヘ」とある。
【我△我△我】
606
戈 17
『世尊寺本字鏡』に「ヲフ ヨワシ」とある。

戸部

【扇−羽+(兄−口)】
607
戸 2
『篇目次第』に「タシナム 无」とある。
【扇−羽+丸】
608
戸 3
『音訓篇立』に「シリ」とある。「尻」の異体字か。
【扇−羽+匂】
609
戸 4
『音訓篇立』に「トホソ」とある。
【扇−羽+由】
610
戸 5
『名義抄(観智院本)』・『字鏡鈔』・『字鏡抄』に「ツク」、『篇目次第』に「トホソ 无」とある。
【扇−羽+古】
611
戸 5
『音訓篇立』に「カスカヒ」とある。『中華字海』が『集韻』を典拠に「[扇−羽+占]的訛字」とする。[扇−羽+占]は『中華字海』に「門閂」とある。国訓といえる。
【扇−羽+死】
612
戸 6
『音訓篇立』に「フス」とある。「屍」の異体字か。
【扇−羽+圭】
613
戸 6
『文教温故』に「ノタレ 明暦三年鈔本の刀劒鑑定の書に用いるところの造字」とある。
【扇−羽+而】
614
戸 6
『音訓篇立』に「トホソ」とある。
【扇−羽+肝】
615
戸 7
『篇目次第』に「ヲソロシ 无」とある。次項参照。
【扇−羽+(行−彳+日)】
616
戸 7
『字鏡鈔』・『字鏡抄』に「ヲソロシ」とある。[扇−羽+肝]参照。
【扇−羽+男】
617
戸 7
『音訓篇立』に「ヌスヒト」とある。
【扇−羽+果】
618
戸 8
『音訓篇立』に「アラ」とある。[屋−至+果]の異体字で、「マラ」の誤りであると考えられる。
【肩+反】
619
戸 8
『名義抄(観智院本)』に「ソバム」とある。「側む」意の国字か。

手部

【司−(一*口)+手】
620
手 1
『国字の字典』が『語源の文化誌』を引き「まら」の意の国字とする。この字は[門#手]の門構えがくずれた字形と考えられる。[門#手]は[門#下]・[門#午]・[門#牛]などと同じく「閉」の異体字である。[門#牛]にまらの訓ががあることから、[司−(一*口)+手]も同様の状況が考えられ、「まら」は国訓といえる。
【児/手】
621
手 7
次項参照。
【兒/手】
622
手 8
『国字の字典』が『歌舞伎評判記集成』から「俊徳丸[兒/手]柏(しゅんとくまるこのてかしわ)」と引き国字とする。『歌舞伎台帳集成』の影印には前項の文字が使われているものがある。前項の文字を正字意識からこのように翻刻したものであれば、資料としては好ましくない。
【糸▽手▽刃】
623
手 9
『名義抄(観智院本)』に「ヒサク」とある。「拉(ひさ)ぐ」あるいは「提(ひさ)ぐ」意の国字か。
【犬−大+(持−寺)】
624
手 1
笹原宏之著『メートル法単位を表す国字の製作と展開』が『官板バダビヤ新聞』を引き「ギュルデン」とする。オランダ・ドイツの一部で通用した金貨あるいは銀貨のこと。
【持−寺+入】
625
手 2
H31-28
m11788
1-84-69
『黒本本節用集』・『和字正俗通』に「サカス」とある。『運歩色葉集』に「ヱブリ」、『法華三大部難字記』に「ヱフリ」とあるのは、「杁」と混同したものか。影響は受けていないだろうが、古壮字にも「摘」の意である。
【持−寺+刀】
626
手 2
m11787
『国字の字典』が西鶴の『浮世栄花一代男』を引き「鉈(なた)」の意の国字とする。『龍龕手鑑(宋本)』に「音木日乗」とあり、『龍龕手鑑(朝鮮本)』には「音木白桑也」とある。どちらにしても国字でないことは確かである。『音訓篇立』に「ヲヨヒノマタ」、『拾篇目集』・『法華三大部難字記』に「ユヒノマタ」とある。
【持−寺+又】
627
手 2
『名義抄(観智院本)』・『字鏡鈔』・『字鏡抄』に「ヲサム」とある。
【扨】
628
手 3
57-14
m11824
『異體字辨』・『和字正俗通』に「サテ」とある。
【持−寺+山】
629
手 3
苗字に[持−寺+山]友(そまとも)がある。国字「杣」の異体字か。
【持−寺+己】
630
手 3
苗字に[持−寺+己]細(きさい)がある。
【持−寺+已】
630a
手 3
『音訓篇立』に「オソル」とある。(『今昔文字鏡』に字喃とある。)
【持−寺+子】
631
手 3
『国字の字典』が『譬喩尽』を引き「[持−寺+弄](せせ)る」意の国字とする。『類篇』に「九勿切以杖掘出也」とあり、漢字そのものであると考えられる。
【持−寺+(一**巾)】
633
手 4
『名義抄(観智院本)』に「トカタ」とある。
【持−寺+勿】
634
手 4
『篇目次第』に「ハシメ」とある。『中華字海』が『直音篇』を典拠に「音斎。義未詳」とする。国字ではない。
【持−寺+生】
635
手 5
『名義抄(観智院本)』・『字鏡鈔』・『音訓篇立』に「イノル」とある。「村−寸+生」の異体字か。国字と考えられる。
【持−寺+右】
636
手 5
『字鏡鈔』・『字鏡抄』に「モツ」とある。
【持−寺+司】
636a
手 5
『音訓篇立』に「ニテリ」とある。
【挧】
637
手 6
57-43
『JIS X 0208:1997』(附属書7(参考)区点位置詳説)に「『日本地名大辞典』の福井県には「挧谷」があるが、現地の役所によれば「栩」(トチダニ・トッタニ)」とある。『中華字海』に「音羽、苗字」とあるが、JIS漢字との関係はないだろう。
【持−寺+劣】
638
手 6
H31-67
m12081
1-84-77
『伊呂波字類抄(早川流石写)』に「ヲサフ」とある。『国字の字典』が『大字典』を引き「毟(むし)る」意の国字とする。『新字源(改訂版)』にも「国字 むしる」とあるが、『異体字研究資料集成』所収の江戸期の異体字資料などにもなく、「むしる」意で使うのは新しい用法か。『漢韓最新理想玉篇』に「日字 裂也」、『中華字海』に「音義待考。字出《ISO-IEC DIS 10646通用編碼字符集》」とある。「毟」・[持−寺+毟]・[毟−少+小]参照。
【持−寺+夷】
639
手 6
u6317
m12073
【持−寺+吏】
640
手 6
『名義抄(観智院本)』に「ノフ」とある。
【持−寺+(峠−山)】
641
手 6
H31-61
m12041
1-84-76
苗字に[持−寺+(峠−山)]田(かせだ)がある。『色葉字類抄(永禄八年写二巻本)』に「テウツ」、『音訓篇立』に「ロン音 ロ音 ヘン音 アサケテ テフチ フサクル カヒテラス モテアソフ ワラフ ヨロコフ カセヒ」、『米沢文庫本倭玉篇』に「セン テスル テウツ カセク ヨロコフ モテアソフ」、『玉篇要略集』に「テウツ ノホリ クタル ヘン」とある。『大漢和辭典』は、『正字通』を典拠に「弄の俗字」、「邦:はたらく」とする。その他の漢和辞典も、「働く・稼(かせ)ぐ」意の国訓とすることが多いが、歴史的には意味の広がりが、もっと広いものであることがわかる。
【持−寺+决】
642
手 6
『異體字辨』に「サガス」とあり、『広漢和辞典』に「国字 さがす」とあるが典拠はない。
【持−寺+芒】
643
手 7
『国字の字典』が『曾我物語』から「[持−寺+芒]不覚涙」と引き「零(こぼ)す」意の国字とする。
【持−寺+呆】
644
手 7
『国字の字典』が『法華三大部難字記』を引き「手繰(たぐ)り」の意の国字とする。『中華字海』に「同抱」とあるが、典拠がない。新しい文字か。
【持−寺+希】
645
手 7
m12138
『国字の字典』が『新字源(旧版)』を典拠に「惜しむ」意の国字とする。引用しているのは『新字源(旧版)』の「国字国訓一覧」であり、『国字の字典』自体『康煕字典』に同字があるとしているのであるから国字とすべきでなかった。
【持−寺+弄】
646
手 7
『現代漢和辞典』は「漢音呉音ロウ。原義は、もてあそぶ。」としながら、「せせる。つつく。ほじくる。」の意の国字とする。国訓とするところを国字と表示した編集上の錯誤か。『龍龕手鑑(宋本)』に「[持−寺+弄] [持−寺+(峠−山)] 同上」とあり、『中華字海』には『集韻』を典拠に「同弄」とある。国字でないのは、いうまでもない。
【持−寺+序】
647
手 7
『名義抄(観智院本)』に「フルフ」、『篇目次第』に「フルフ 无」とある。
【持−寺+尾】
648
手 7
u6364
苗字に[持−寺+尾]呂(かじろ)がある。『名義抄』・『音訓篇立』に「カチ」とある。「梶」の異体字か。台湾の規格にあるが、『中華字海』には「音義待考。字出《ISO-IEC DIS 10646通用編碼字符集》」とあり、『臺語大字典』・『漢語大字典』・『中華大字典』などになく、台湾での意味用法等は未詳である。字喃にもある。
【持−寺+利】
649
手 7
『国字の字典』が『伊京集』を引き「抓(つむ)」意の国字とする。
【持−寺+秀】
650
手 7
m12162
2-13-18
『日本人の作った漢字』が『新字源(旧版)』を典拠に「すかす」の意の国字とする。『説文解字』・『集韻』などに「引也」とある。国字ではない。『新字源(新版)』国字・国訓一覧は、国訓とする。
【持−寺+近】
651
手 7
『字鏡鈔』・『字鏡抄』・『篇目次第』に「ナカシ 无」とある。「チカシ」の誤りか。
【持−寺+花】
652
手 7
『永禄二年本節用集』に「テズサミ」、『弘治二年本節用集』・『堯空本節用集』に「テスサミ」とある。『異體字辨』・『和字正俗通』に「ナクサム」とあり、『国字の字典』が「慰む」意の国字とする。
【掵】
653
手 8
57-62
苗字に掵(はば)がある。『JIS X 0208:1997』(附属書7(参考)区点位置詳説)に「JISの原典典拠は『国土行政区画総覧』にある秋田県の掵上(はばうえ)」とある。芝野耕司編著『JIS漢字字典』には秋田県の地名「上掵(かみはば)」がある。
【持−寺+茂】
654
手 8
2-13-20
苗字に[持−寺+茂]木(もてぎ)がある。
【持−寺+取】
656
手 8
m12287
【持−寺+(会−云+米)】
657
手 8
『音訓篇立』に「ナフル」とある。
【持−寺+送】
658
手 9
『篇目次第』に「タシカニ 无」とある。「慥」の異体字[情+青+送]のさらに変化したものか。『中華字海』が『正字通』を典拠に「同[持−寺+双]」とする。国字ではない。
【持−寺+(宮−ノ)】
659
手 9
『字鏡鈔』に「タノシフ」とある。
【持−寺+重】
660
手 9
『名義抄(観智院本)』に「ツク」とある。「撞」の異体字か。
【持−寺+頁】
661
手 9
『篇目次第』に「オキツ 无」とある。
【持−寺+{隊−(阿−可)}】
662
手 9
『字鏡鈔』に「ヨル」とある。
【搾】
663
手 10
26-81
m12553
本来木偏であったものが、手偏になったものか。「搾り取る」意の国字とされることが多いが『漢語大詞典』が宋代の文献を典拠に「同[村−寸+窄]」としており、国字ではない。
【持−寺+屓】
664
手 10
『字鏡鈔』に「ヤラフ」とある。
【持−寺+{u6EBC−(泳−永)}】
665
手 10
『国字の字典』が『伊京集』を引き「塗(ぬ)る」意の国字とする。
【持−寺+座】
666
手 10
『名義抄(観智院本)』に「ハサム」、『字鏡鈔』に「サハム」とある。『字鏡鈔』は「ハサム」の誤りか。
【持−寺+時】
667
手 10
『名義抄(観智院本)』に「トクラ」とある。「塒」の異体字か。
【持−寺+(軍−車+東)】
667a
手 10
『音訓篇立』に「ソヽク」とある。
【{持−寺+(生+刀)}*手】
668
手 10
『国字の字典』が『天正十八年本節用集』を引き「水車(みずぐるま)」の意の国字とする。
【持−寺+通】
669
手 10
『和字正俗通』に「ツヽト」とある。
【持−寺+曽】
670
手 11
『名義抄(観智院本)』・『字鏡鈔』に「ウツ」とある。
【持−寺+(句−口+思)】
671
手 11
『字鏡鈔』・『字鏡抄』に「トル」、『篇目次第』に「トル 无」とある。
【持−寺+婪】
672
手 11
『名義抄』・『字鏡鈔』・『字鏡抄』に「ムサホル」とある。
【持−寺+盖】
673
手 11
『名義抄(観智院本)』に「クヒル」とある。「縊(くび)る」意の国字か。
【持−寺+責】
674
手 11
『名義抄』に「オク」、『字鏡鈔』に「ヲク」、『篇目次第』に「オク 无」とある。
【持−寺+菊】
675
手 11
苗字に[持−寺+菊]水(きくすい)が、屋号に[持−寺+菊]代がある。「掬」にも「キク」の音があることから、音にひかれて旁が「菊」になったものであろうか。『中華字海』などになく、国字であろう。
【持−寺+間】
677
手 12
『異體字辨』に「クツログ」とあり、『広漢和辞典』が「国字 くつろぐ」とする。漢字に[持−寺+(間−日+月)]があるが、この字の異体字に対する国訓ではないであろうか。『中華字海』は、字形を[持−寺+間]とし、[持−寺+(間−日+月)]の方を、「同[持−寺+間]見《直音篇》」と異体字扱いしている。いずれにしても国字でないことには間違いない。
【持−寺+喜】
678
手 12
苗字に[持−寺+喜]久(きく)がある。
【持−寺+孱】
679
手 12
『字鏡鈔』・『字鏡抄』に「ハシハミ」、『篇目次第』に「ハシハミ 无」とある。
【持−寺+(角+半)】
680
手 12
『国字の字典』が『饅頭屋本節用集』を引き「捌(さば)く」の意の国字とする。
【持−寺+復】
681
手 12
『字鏡鈔』に「サクル」とある。
【持−寺+道】
682
手 12
『字鏡鈔』に「ウカヽフ ヲサム ヲカム」、『篇目次第』に「ウカヽフ オサム 无」とある。
【持−寺+(門#世)】
683
手 13
『字鏡鈔』・『字鏡抄』に「トシ」とある。
【持−寺+(面*比)】
684
手 13
『法華三大部難字記』に「ノキスケ」とある。
【持−寺+翠】
685
手 14
『新字源(旧版)』(国字・国訓一覧)に「むずと」とあり、『国字の字典』が「無手(むず)と」の意の国字とする。
【推*同】
686
手 14
『音訓篇立』に「タヽサハル」とある。「携」の異体字か。
【持−寺+(白+白+白)】
687
手 15
『名義抄(観智院本)』に「ウツ」とある。

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