ツーリングレポート

野川林道装束峠から三ツ目山
高知県奈半利町

1995年12月23日(土)晴れ

高知から国道55号線を室戸岬に向けて走っていると、奈半利(なはり)町を過ぎた辺りから、緩やかなスロープを描く山の先端が、急崖で太平洋に落ちている段丘地形をいくつか見ることができる。とりわけ大きく海に突き出た羽根岬や行当岬は美しく、段丘はこの両岬間が最も発達している。
地形図を見ると、海抜100m付近に広がる田畑や溜め池など、段丘面の様子が伺えて楽しい。


「おや、面白そうな道があるぞ?」
奈半利の東方、三ツ目山の尾根上に、ひょろひょろと6kmほどの実線道が付いている。
道には点々と建物がまつわり付き、田畑の中を緩やかに狭い段丘面に下った後、
一気に急坂を落ちている。
「きっと、太平洋にダイビングするような道に違いない」
そんな風景に期待して、
今年の「走り納め」に出かけることにした。




奈半利は背後に野根山連山を持つ。
江戸時代はその尾根伝いに、装束峠を経て東洋町野根に抜ける、
参勤交代の道「野根山街道」が通じており、
今もハイキング道(四国のみち)として整備されている。
どうやら目指す道はその一部のようだ。
幸いに野川林道と須川林道が、街道にクロスして走っているので利用する。

国道55号線、警察署前から奈半利港の方に入っていくと、
「なはり緑地公園」があるのでそこに車をデポする。
国道に戻り右へ。
すぐを「北川町役場(国道493号)」方面の標識に従い左折する。

奈半利川から吹き込む北風が強く、なかなか前に進ませてくれない。
4kmほどで野友の集落に入る。
ここで国道の橋を渡らずに直進すると、T字路に突き当たるので右へ、
野川の谷を上流に向かう。

さっきまでの風はピタリと治まり、幾分ペダルも軽くなる。
何軒か民家の前を犬に吠えられながら通り過ぎる。
しばらくして、荷台に犬を乗せた軽トラが次々追い越して行く。(いやな予感)
ほどなく道はダートになり野川林道に入る。

一人、二人、猟銃を持ったハンターがいよいよ作戦開始か?
トランシーバーでやりとりしている。
えらいところに踏み込んでしまったか?
「おじゃまします・・・」って感じでその場を過ぎて行く。

いちおう念のため、地味な色のジャンバーを脱いで、赤いシャツ一枚で走る。
少し寒いが、さすが南国土佐、日なたに出ると心地よい。
真っ青な空に、遠く野根山の電波塔が輝いている。

標高600m近く、右に太平洋を見ながらトラバース気味にフラットな道を行く。
日陰の路面はあちこちで凍っている。
最後ぐぐっと上って須川林道との分岐に出る。
展望良好、小休止。ご高齢のハンターと出会う。
話(長いんだこれが)によれば、兎を追っているとのこと。


さてさて、ここから峠まで約5km。
装束峠は登山道(野根山街道)の峠なので、
とりあえず林道の峠にあたる電波塔を目指す。
ちなみに装束峠のいわれは、山を上がってきた殿様が、
眼下に見える野根の村を前に、ここで装束に着替えて身支度したから。
と、その老ハンターは語っていた。

峠の標高は1060m。
電波塔を背にして、左に太平洋、正面に幾重にも連なる山々、
そして右手に魚梁瀬(やねせ)ダムと雪を被った剣山系を遠望しながら、
ランチタイムにする。

ここから先は蛇谷林道が続いている。
さきほどのハンターの話では、地元の人はほとんど通らない道らしい。
見れば確かに荒れ気味。
この林道は今後の課題として、来た道を引き返す。
道には所々幅15cm位の溝が横切っている。
ジャンピングなどのテクニックは持ち合わしていないので、その都度減速、
多少のジレンマを感じながら須川林道の分岐まで戻る。

分岐を左へ、林道っぽい道が続く。
日陰は相変わらず凍っているが、さっきの溝にはフタがしてあるので今度は楽しく下れる。
尾根を回り込むややきつい上りのあと、野根山街道と交わる場所に出る。
ここから三ツ目山の稜線を行く道が始まる。

出だしは1km半程のシングルトラック。
内心ドキドキ、シートを下げて深呼吸、飛び込んでゆく。
いざ入ってみると結構広い。よく整備されているので走りやすい。
落葉の上を気持ちよくポタリング。

森を抜けると突然田んぼ、白石神社脇に出る。
ここから1車線の舗装道を、
棚田と段々畑の中を適度なアップダウンで道なりに走る。
昔はこの狭い道がメインストリートだったのだろうか、
生活を感じるのどかな風景が広がる。
子犬を連れた女の子から「がんばれー」と声がかかる。
思わず「おおー」と手を挙げる。

途中、T字路に突き当たるので左へ、
三ツ目山に向かって少し上った後いよいよ下り。
カーブを曲がると目の前に、逆光に輝く太平洋が広がる。
ヘアピンを駆け下り、海を見ながら緩やかな稜線を行く。
やはり生活道らしく車がぽつぽつ来るのでスピードは控えめに、
路肩に寄ってやり過ごす。

標高は400mから100mに、この道もそろそろ終りだ。
段丘上の豚舎の脇を抜け、
急崖の坂道をつづら折りで下って国道55号線に出る。
貯木場の前をから左に進み、東浜の町筋(旧道)に入って行く。
小さな川を渡って左へ、川沿いに進むと奈半利港に出る。
緑地公園はすぐそこだ。


■コースタイム
奈半利<0:15>野友<0:15>(野川林道)<1:10>林道分岐<0:40>電波塔
<0:10>(須川林道)<0:40>白石神社<0:20>R55<0:10>奈半利
■走行距離 47.1km
■走行時間 3:37:57(NET)
■平均速度 12.9km/h
■最高速度 47.5km/h
■高低差 1060m(1060m−0m)
■5万図 奈半利

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