ツーリングレポート

土庄港から岬の分教場へ
小豆島南部

1997年2月11日(火)曇りのち晴れ 10:05−15:45

瀬戸内海に浮かぶ小豆島は高松から船で約1時間。
地中海式の温暖な気候を利用したオリーブ栽培が盛んな島である。
また小説「二十四の瞳」の舞台となった岬の分教場や
紅葉美を誇る寒霞渓など見所も多い。


今日はFCYCLO海援隊のオフ。
この時期、少しは暖かいだろうと思っての「小豆島」となったわけだが、さにあらず。
寒冷前線が通過した直後で、天気は荒れ気味、今にも吹雪いてきそうだ。

高松港午前9時出航のフェリーに乗り込む。
たまたまMTBのグループも乗船し、甲板にズラリ自転車が並ぶ。
さすがに温暖な小豆島もシーズンオフなのか、渡る人も少ないとみえる。
「車より自転車の台数が多いぞ」

10時、土庄港着。
「ようこそ、小豆島へ」の看板が、「さあ、走りに来たぞ」という気分にさせてくれる。
今日はこの土庄港から田ノ浦の岬の分教場まで行き、草壁港から高松に戻る予定だ。

10時5分、港を出発。まずは大深山の半島を左廻りに一周だ。
右手に見える山の方に走り出してすぐ、小さな橋の角に「小瀬右へ」の標識がある。
それに従い、用水路に沿ってしばらく行くと、徐々に上りに差し掛かる。
ウォーミングアップを兼ねて軽くペダルを回して登って行くと、
早速前方に瀬戸内の海が現れる。
生憎の曇り空で海の色はどんよりしているが、
ぽっかり浮かんだ島々がいかにも瀬戸内海らしくていい。

坂を下ると海岸線、右から吹き付ける西風に押されながら走る。
戸形崎を越えて千軒へ、
海の向こうに霞む屋島を見ながら走ったあと、左に回り込んで行く。
「おや、こんな所に」
道脇にシュロの木と、その向こうにはビーチがあって
「さすが小豆島」と、変に納得する。

柳ののどかな漁村を抜けると、トンネルに向かって坂を上って行く。
トンネルを出ると右手の斜面にコテージが建ち並び、池田湾を見下ろしている。
さながらここは四国の地中海と言ったとこか。

あっと言う間のダウンヒルを終えると、鹿島に入る。
ビーチを目の前にホテルや民宿、ユースホステルなどがあり、
観光色のある賑やかさが出てくる。
ここまで来ると半島一周はそろそろ終わりだ。

土庄の街へ入る交差点をトンネルがある左方に進み、
商店街の中をしばらく行くと短い橋がある。
ここが世界一狭い海峡「土渕海峡」だ。
アーチ形に架けられたモニュメントには、
わざわざ「ギネスブック認定」とまで書かれている。
ここが海峡なら、今走った所は半島でなく
「島」ということになるな。

さて、土渕海峡を渡り、突き当たった所で右折、
少し走ると大きな鳥居がある交差点に出る。
ここからR436に乗り池田町に向かう。

さっき雪をちらつかせた雪雲が、
皇踏山と大麻山に挟まれた深い谷間を黒く覆っている。
「小豆島そうめん製造販売」の看板を左右に見ながら、追い風の中を快走、
飛岬の上りもするする越え、キラキラ輝く池田湾に向かって下って行く。

11時30分、池田の町。
室生方面との交差点にある大衆食堂で昼食を摂る。
「おおー、結構安いやないの」
安いメニューのせいか、工事の人やトラックの運ちゃんがぞくぞく入って来た。
「今日は何時で来た?」
「何時で帰る?」
そんな会話が聞こえてくる。
どうやらこの地ではフェリーの時間で挨拶が交わされるようだ。
「ん〜、これが『島』の文化なのだろうか・・・」
ひとり納得したところで、550円のカツ丼がテーブルに置かれた。

12時30分、再び出発。
R436を離れて南下、次の目的地、二面の「誓願寺のソテツ」に向かう。
店を出た時のポカポカ陽気も、沖の鼻をまたぐ辺りで一転し、海から強烈な風が吹いてきた。
室生に「小豆島ふるさと村(道の駅)」があるので立ち寄ってみる。
広い駐車場と食堂に売店、資料館などがあり、裏が墓地ということを除けば、
ここで海を見ながらのランチは気分がいいだろう。

室生から二面に向かう「鼻」を下りきった所で左に入る道がある。
勢い余って、通り過ぎないよう注意して曲がると、すぐに誓願寺だ。
ひっそりとした境内に、見事なソテツが居座っている。
強風にあおられ、雪が舞う中で記念写真を済まし、見学もそこそこに退場、
寺を出て田んぼの中を、竹生に向かう山越えの道に進む。
谷に吹き込み、さらに強さを増した風に押されながら上って行く。
途中ダート道に合流し左へ、ため池の脇を通ってまもなく、峠に行きつく。

風はピタリと治まり、右手に内海湾を見下ろしながら下る。
瀬戸内特有の花崗岩の明るい岩肌に松の緑が映え、実にいい雰囲気の道だ。
海を挟んで、二十四の瞳の分教場がある田ノ浦の岬を間近に見る。
「あれをぐるーっと廻って行くのか・・・」
と、しばらく自転車を止めて湾を一望する。

和めるダートはすぐ終わり、竹生に出て再びR436に乗る。
オリーブ園を経て、白波が立つ内海湾を右に見ながら、シーサイドロードを快走。
まるで湖のような海の対岸には、碁石山が特徴ある姿を見せてくれている。
帰りのフェリー乗り場がある草壁の街を過ぎ、醤油工場が立ち並ぶ苗羽の町筋に入って行く。
古い建物がぽつぽつ残っていて、当時の繁栄ぶりを忍ばせる。

大きなホテルの前をカーブしながら下りた所の信号を右に折れると、
田ノ浦の半島に入って行く。
強烈な向かい風を覚悟していたが、大したことなく一安心、
小さなアップダウンを約4km走ると分教場だ。

14時20分、岬の分教場。(ここまで約35km)
「こんな寒い日に来る人はいるのだろうか・・・」
と思っていたが、さすがに小豆島を代表する観光地だ、
さっき追い越していった車が数台止まっている。
無料休憩所で映画(VTR)を見ながら、しばらく暖をとる。
「おっと、このままでは全部見ちまうぞ」
入館料100円を支払い、古い校舎に入ってみる。
廊下のガラス窓、木目がすり切れた床や天井、黒光りした小さな机と椅子。
「私の通った小学校もこんなのだったなあ」
どれもこれも懐かしい。

そそくさと記念写真を撮って、600m先にある映画村に行くことにした。
ますます風は強くなり、波しぶきが防波堤を越えて打ち寄せている。
「おおー、すごいぞお!」
スリル満点。やや興奮気味で、波の間隙をすり抜ける。

さて、映画村まで来たのはいいがフェリーの時間まであと1時間、中を見て回る時間はない。
結局、「寒いからもう帰ろう」
ということで、自ら門前払いを食らわしてUターン、再び「潮」をかぶりに行く。

帰路はさすがに強烈な向かい風。
今まで楽をさせてくれた分、たっぷり吹き付けてくれる。
3時45分、草壁港着。

寒風の中の、初めての冬のサイクリングは無事終了。
小雪が舞ったり、波をかぶったり、なかなか変化に富んでいて楽しい一日だった。
フェリーから、今走ってきた田ノ浦の岬や、山越えの道を見る。
走った距離は短いが、こうやって船に乗っていると「旅した気分」になれていい。
「今度来るときは、じっくり時間をかけて廻ろう」

夕暮れの瀬戸内海に浮ぶ高松のネオン灯りが、船首の向こうに見えてきた。

■走行距離 47.0km
■走行時間 3:11:27(NET)
■平均速度 16.2km/h
■最高速度 44.5km/h


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