◆ 彩々日記 ◆
2003年4月(下旬)
■ 4月17日(木) 霞か靄か
朝。薄墨色の雲の向こうに、白くて丸い太陽が透けて見える。空の下のほうには“もや”がかかっている。新緑の樹冠はまだ輪郭が定まっていない。空に向かって伸びる枝の張り具合もまだ先端近くまで見えて、その枝に沿ってもこもこと若葉がついている。
このあいだトースターが壊れてしまい、今は食パンを魚焼き用のグリルで焼いているのだが、グリルはトースターよりパワーがあって早く焼けるので、つい焦がしてしまう。今朝も、カーテンを開けて外を眺めていたちょっとのすきに、パンが一面火の海(ちょっと大げさ)になってしまった。トレーを引き出して、息を吹きつけて火を消して、真っ黒けに炭化したパンの表面をバターナイフでこそげ取って、ちゃんと食べましたよ、はい。
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【ふと気になった靄と霞と霧の違いmemo】
goo辞書『大辞林 第二版』によると、靄 (もや):空気中に小さい水滴や吸湿性の粒子などが浮遊し、遠方のものが灰色にかすんで見える状態。視程は1キロメートルを超え、霧よりは見通しがよい。気象庁のページによると、
霞 (かすみ):空気中に浮遊するごく小さな水滴・ちりなどのために、遠くのものがはっきり見えなくなる現象。また、そのために、山腹などに帯状に見える薄雲のようなもの。普通、春のものをいう。[季]春。
霧 (きり):地表や水面の近くで水蒸気が凝結して無数の微小な水滴となり、浮遊している現象。発生場所によって海霧・山霧・盆地霧・川霧などに、また生因によって放射霧・移流霧・蒸気霧・前線霧などに分けられる。[季]秋。〔平安以後、秋のものを「霧」、春のものを「霞(かすみ)」と言い分ける風があった〕
靄 (もや):微小な浮遊水滴や湿った微粒子により視程が1km以上、10km未満となっている状態。goo辞書『EXCEED 和英辞典』によると、
霞 (かすみ):(定義なし。気象では使わないらしい。→「森田さんのお天気ですかァ?」)
霧 (きり):微小な浮遊水滴により視程が1km未満の状態。
靄 (もや):haze,mist,fog「かすみ」と「きり」は現象としてはほぼ同じもので、季節によって使い分けるのだろうか。春の朝に現れたもので、視程が1km以上あるのは「もや」かな…。「朝もや」とは言うけれども、「朝がすみ」はふだんあまり使わない気もして、朝だけに出ていた今日のものは「もや」にした。
霞 (かすみ):haze,mist
霧 (きり):fog,mist
■ 4月18日(金) りんごの匂い
きょうの東京の最高気温は26.1度で、今年初めての夏日だったらしい。正午過ぎのうちのベランダ(日影)の気温は28度、湿度は40%だった。部屋の中でデスクワークしている分には暑くもなく寒くもなく、過ごしやすい。
1週間ほど前から、近所のスーパーマーケットまで買い物に行くときや、家にいるときにも、ときどきどこかからいい匂いが漂ってくる。気のせいかもしれないと思うくらいわずかなものなのだけれども。りんごの匂いに似ている。カモミールの花の香りだろうか。ネズミモチやアップルゼラニュームの葉も、りんごの匂いがするらしい。芳香剤の香りは強すぎて好きではないけれども、こういうほのかな匂いは春らしくもあって、ちょっとうきうきする。
ハナヤスリの発芽数は20本を超えた。昨年春とほぼ同じペース。うれしい。
■ 4月19日(土) かけがえのないもの
ニュースとしては少し古い話になるが、1週間ほど前にバグダッドで起きた、イラク国立博物館収蔵品の略奪と破壊のニュースはショックだった。12年前の湾岸戦争のときも、治安が悪化してイラク各地の博物館が襲われ、文化財が4000点ほど盗まれたという。どうして同じことを繰り返してしまったのか…。今回のイラク戦争では、ユネスコや考古学関係者が、イラクの遺跡や博物館を守るようにアメリカに訴えていたという。でも略奪は起きてしまった。
そのとき、博物館の職員が警備を要請しても、アメリカ軍は応じなかったという報道もある。バグダッドを真空地帯にしてしまったのはアメリカだ。貴重な文化遺産は命同様にかけがえのないものだと思うのだが、そういうものはアメリカにとってはどうでもよかった、ということなのか。アメリカはイラクに比べれば歴史の浅い国だし。
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【きょうのめも】
国際連合教育科学文化機関憲章(ユネスコ憲章) 前文
この憲章の当事国政府は、その国民に代わって次のとおり宣言する。
戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。
(中略) 政府の政治的及び経済的取り決めのみに基づく平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。[日本ユネスコ協会連盟> ユネスコ憲章]
……本当に強いものは、けっして戦わないものだ。(中略)何者も恐れないものは、何者にも恐怖を与えたりしないのです。[astroboy.jp>天馬博士の開発日誌 2003/4/4]
■ 4月20日(日) 親子/ピンクのマンサク
今は沖縄に住んでいる昔からの友がやってくる。もともとは夫の友(というか先輩)。この春から娘さんが東京で暮らすことになり、ちょっとわけありで、急遽、父親である友が東京にやってきた。娘さんが小学校へあがったばかりのころに、やはり父親である友と一緒に東京に遊びにきて、一緒にディズニーランドに行ったのが4〜5年前のような気もするが、実はもう十数年もたっている。あなおそろしや。しっかりものの娘さんのようにお見受けするけれども、父親としては心配らしい。(自分と性格が似ているので心配だとも言っていた。笑)たまたまわが家と比較的近くに住むことになった娘さんを、まあ何かあったときにはよろしくということで、タイ料理の店で一緒にランチを食べた。美味。……沖縄は、来るなら暑い夏がいいぞとか、1週間は滞在しないとねとか、そうゆう話もする。ああ沖縄が私を呼んでいる(笑)。
ハナミズキ、ハナズオウ、ツツジ、アカバナトキワマンサクの花が咲いている。マンサクは早春にほかの花に先がけて「まず咲く花」ということで「マンサク」という名前になったと言われているくらいだから、たしか2月ごろに黄色い花を開く。トキワマンサクは同じマンサクでも今ごろに咲くらしい。それのピンク色の花をつけるのがアカバナトキワマンサク。初めて見る花。
■ 4月22日(火) 宿のねだん
ゴールデンウイーク明けに夫も私も義妹もたまたま休みがとれそうなので、岡山の両親と一緒に温泉へ行くことを計画。どこに泊まろうかなと岡山近辺の温泉宿をいろいろ調べているのだが、平日なのでだいぶ安くなるところもある。純和風の、部屋の造りが面白いこちらの旅館など、5人以上で泊まったときの平日の宿泊料金(1人当たり)は、2人で休日前に泊まるのに比べると随分お得。でも岡山から車で4時間というのはちょっと遠い…。
もう一つ、大きな漁港の近くにあって料理がおいしそうで、ファミリー向けの特別室(2つの寝室の間にリビングがある)のある宿も候補に挙がっているのだけれども、こちらは平日に5人で泊まってもあまり安くならない。今回は、ともに退職した両親に、ささやかながら今までご苦労さまの気持ちをこめての温泉行きだから、それでもよいのだけれど、その値段に見合うだけの快適さが得られるかどうか、よく考えて決めることにする…。
■ 4月23日(水) カメラ
カメラが壊れてしまった。今までにも何度か、電源が入らなくなったり、レンズが作動しなくなったことがあって、そのたびに修理に出して十数年間使い続けてきたけれども、そろそろ寿命かもしれない。中国の砂塵や、山歩きのときの風雨にも耐えたタフなカメラだった。
今度買うとしたらデジカメだろうか。デジカメについて、なんにも知らない。これから情報を集めて、来月の温泉行きに間に合うだろうか。あまり急いて買いたくない。壊れたカメラを修理に出すか、それとも温泉行きのときは使い捨てカメラを使うか、新しいカメラを買うとしたらデジタルカメラかアナログカメラか、迷う。
■ 4月24日(木) まるで呪文のような
教会の庭の隅っこにスズランの花が咲いている。じつは園芸用に栽培されているスズランの多くはドイツスズランという種類で、スズランより大きくて、花は葉とほぼ同じ高さに咲くらしい。教会のスズランの花は葉の下に隠れるように咲いていた。スズランとかたちの少し似ている花が別の家の庭に咲いていて、こちらは「ナルコラン」という名札がついている。スズランより少し細長い花がたくさんぶら下がっている。きれいなかたちだと思う。別名、アマドコロ。よく似た花にナルコユリというのもある。ややこしい。スズランもナルコランも「ラン」がついているけどユリ科。
竹垣の角を隅きりしたところにある小さな花壇には、薄紫や青系のディモルフォセカ(アフリカキンセンカ)がきれいに咲いている。ディモルフォセカというのは、「2つのかたちの果実」という意味らしい。よく似た花にオステオスペルマム(アフリカンデージー)という花もある。こちらはオステオン(骨)+スペルマ(種子)で、「かたい種子」の意味らしい。どちらにしても呪文のような花の名前は何回唱えても覚えられそうにない…。
■ 4月25日(金) これも時計
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左の図は、先ほど、21時ごろの様子。何も知らずにパッと見せられたら、短針、長針、秒針が何を示しているのか、私にはきっとわかりませぬ。ちょっとおもしろい。
この時計の正体はこちらに。
■ 4月28日(月) 緑色の世界/肘打ち奏法
松屋銀座へ「展覧会 星野道夫の宇宙」を見にいく。たくさんあったうちの一枚、たぶん南東アラスカの森の中の写真。木の幹には苔がびっしり生え、地面も苔やシダ植物に一面覆われてふかふかしている。その上に大きなムースの角が2つ乗っている。1頭のムースの角かもしれない。薄いコケか何かがついて明るい緑色に変色している。その向こうには、ミズバショウに少し似ている棒状の肉穂花序の花が、にょきにょき頭を出している。ところどころに太陽の光の差し込む緑色の世界。
【きょうのBGM】
山下洋輔 “Song of Bird(鳥の歌)”「目をみはるキャンバス」より
ジャズピアニストの山下洋輔氏が紫綬褒章を受賞した。NHKのインタビューを受けて山下氏は、「やっと“肘打ち”がただ乱暴であるだけの奏法ではないことを認めてもらえた」というようなことを話していた。半分冗談、半分本気かもしれない。その山下氏には、この曲のようなリリカルな演奏もある。エモーショナルという点で“肘打ち奏法”と同じで、山下洋輔氏の弾くピアノは両方ともよいと思う。「Song of Bird」はチェロ奏者カザルスの演奏で知られているカタロニアの民謡。
■ 4月29日(火) 試し撮り
デジカメを買った。コンパクトな手のひらサイズ。小さくて軽くて、今まで使っていたフィルム一眼レフに比べると雲泥の差だ。
試し撮り2点。(カメラお任せモード)
中国土産の泥人形“九老”プラス1(写真クリックして拡大→36KB)……ピンぼけ。
ハナヤスリ(写真クリックして拡大→53.3KB)……夕方なのに意外に明るく撮れた。(参考:過去のハナヤスリ日記)
■ 4月30日(水) 雨の神楽坂
朝から風が強い。空はときどき晴れ間をのぞかせる。午前中、神楽坂に用あって出かける。家を出るころに雲行きはあやしくなり、小雨が降りだした。神楽坂に着くと、バケツをひっくり返したような土砂降り。道路のあちらこちらに水たまりができていて、白いサンダルをはいて出かけたのは失敗。蒸し暑いかと思って半袖の上着を着ていったのも失敗。雨が降って風が少し冷たくなった。幸い神楽坂の駅から目的地のビルまでは近かった。どこかによい風景でもあればと思って昨日手に入れたばかりのカメラをかばんに忍ばせていたのだが、雨風が強くて、それどころではなかった。
近所の水路脇にナガミヒナゲシの花。去年は咲いていなかったところだ。木々の青葉はほとんど生えそろう。
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