index
きいたもん

2001/10


10/31 Wed
 ATRIUM CONCERT No.95--THE 21st CENTURY CONCERT IN TELECOM CENTER
「秋のエーテルに、P.ボウルズの心が溶ける」
テレコムセンター アトリウム
川端英子(ピアノ) 塩野衛子(ピアノ) 塩沢直美(アルト)


お台場の先にあるテレコムセンターへ、初体験の「ゆりかもめ」に乗っていく。

テレコムセンターでは、月に1回ないし数回、アトリウムを演奏の場として若い音楽家に提供して、無料のランチタイムコンサートを行っているようだ。今回のコンサートもその一つで、ポール・ボウルズのピアノ曲と歌曲を演奏する。会場となるアトリウムは、6、7階分くらいが吹き抜けになっていて、天井はガラス張り、床はたぶん大理石。中央にグランドピアノが2台、向かい合わせに置いてある。

プログラムには、2台のピアノで演奏する二重奏の曲が3曲、組まれていた。二重奏というのは、特に同じ楽器の場合、ずれると目立ちやすいし、楽器自体の音質もなかなか同じということがないので、アンサンブルとしてまとめるのは難しいという。(川端英子さん談)その上、ボウルズの曲は、変拍子や、一筋縄ではいかないようなメロディーがよく出てくる。ピアニストの気迫がより感じられ、ライヴならではの緊張感もあり、聴く側としては、それも楽しみの一つになる。2人のピアニストの息はよく合っていて、気持ちのよい演奏だった。今までピアノの二重奏はあまり聴いたことがなかったけれども、今回、生で聴いてみて、二重奏も面白いものだなと思う。特に最後の曲、『Sonata for 2 pianos』の3楽章の、2台のピアノで演奏される複雑なリズムと音の塊の躍動感は圧巻だった。まるで打楽器のように奏されるピアノは迫力もあり、ピアニストの指が鍵盤に突き刺さるのではないかと思いました。(笑)

ボウルズの曲は、CD『MIGRATIONS』で聴いたときに、変拍子を伴う鋭いリズムや、調性がはっきりしないような複雑なメロディーや和音によって奏でられるにぎやかな曲があるかと思うと、夜のしじまの中から、ときには妖しく、ときには優しくわき出てくるような穏やかな曲もあるなあと思ったのだけれども、きょうのコンサートでも、ピアノ曲と歌曲によって、その両方を聴くことができて、1時間あまりという短い時間だったけれども、充実した、ライヴ感あふれる演奏を楽しめた。

プログラムに載っていた川端英子さんの「演奏者からの一言」によると、ボウルズの楽譜はなかなか手に入りにくく、今回の演奏会に当たっては、ボウルズと親交のあったアメリカ人ピアニストによる、多くの未出版、絶版の楽譜の提供があったという。これからもボウルズの曲を演奏する機会が増えていったらいいなと思う。

ポール・ボウルズは、作曲家としてよりも、作家として世に知られているのではないかと思う。彼の小説、『シェルタリング・スカイ』は1990年にベルナルド・ベルトリッチ監督によって映画化されたと言えば、思い当たる人も多いのかもしれない。1910年にニューヨークで生まれ、1999年に、長く住んだモロッコのタンジールで逝去。

【演奏曲目】
・『Nocturne for 2 pianos』(ピアノ:塩野衛子、川端英子)
・『Once a lady was here』 (text by Paul Bowles)
『An American hero』 (text by Andrew Law et Nathanie Niles)
『The frozen horse』 (text by Jane Bowles)
『Farther from the heart』 (text by Jane Bowles)
(アルト:塩沢直美 ピアノ:川端英子)
・『Six Preludes』(Tranquillo,Graziozo,Stately,Allegro,Allegro,♪=54)
(ピアノ独奏:塩野衛子)※「♪=54」の「♪」は、正しくは四分音符。
・『Night Waltz for 2 pianos』(ピアノ:川端英子、塩野衛子)
・『Faint as leaf shadow』(text by Tennessee Williams)
『Night without sleep』 (text by Charles Henri Ford)
『April fool baby』 (text by Gertrude Stein)
『Her head on the pillow』 (text by Tennessee Williams)
『My sister's hand in mine』 (text by Jane Bowles)
『Secret Words』 (text by Paul Bowles)
(アルト:塩沢直美 ピアノ:川端英子)
・『Sonata for 2 pianos』(Strict tempo,Molto moderato,Absolutely strict tempo)
(ピアノ:川端英子、塩野衛子)

【関連ホームページ】
お台場「テレコムセンターアトリウム」のランチコンサート

← 2001/09


home