index
みたもん

2001/02


02/23 Fri
『没後170年記念展 − 良寛さん』
Bunkamura ザ・ミュージアム 2001/01/20−2001/02/25

展示品の多くは書。ほんとに一人の人が書いたのかしらんと思ってしまうぐらい、いろいろな書体があった。ほとんど解読不能…。くねくね系の、『秋萩帖 臨書』というタイトルのついた書に惹かれる。中村岳陵が描いた『月下舞踏の図』(良寛さんが月明かりの中で踊っている図)の絵はがきを購入。

家に帰ってから調べてみたら、あれ? 臨書というのは「手本を見ながら書を書くこと。また、そうして書いた書」(『広辞苑』より)のことなのか。もともとの『秋萩帖』は小野道風の書として伝えられているようだ。図録をちゃんと読んでくればよかった。ぼけぼけ。

【めもmemo】良寛(1758−1831)
江戸後期の禅僧、歌人。号は大愚。越後の人。諸国を行脚の後、帰郷して国上山(くがみやま)の五合庵に住。性恬淡(てんたん)、村童を友とし、高潔の人格を敬迎された。書を以て知られ、また漢詩・和歌にすぐれた。弟子貞心尼編の歌集『蓮(はちす)の露』などがある。(『広辞苑』より)

【関連ホームページ】
良寛と貞心尼
『秋萩帖・淮南鴻烈兵略間詁(紙背)(あきはぎじょう・えなんこうれつへいりゃくかんこ(しはい))』@東京国立博物館
新潟良寛研究会


02/08 Thu
『新世紀に伝える東西の美 − 大谷コレクションを中心に』
ニューオータニ美術館 2001/01/01−2001/02/12

ニューオータニ美術館開館10周年を記念して開かれた展覧会である。今回のわたしのお目当ての絵はデュフィの絵6点。うち5点は鎌倉大谷記念美術館から出展されたもので、1999年春に同館で開催された『デュフィ展』で見たことがある。二度目のご対面だ。

デュフィの絵は、例えば今回出展されている『赤いヴァイオリン』の赤、『黄色いコンソール』の黄色、『パドック』の緑というように、絵の大部分が一見原色に近い一つの色で彩られていても違和感を感じない。一歩間違えると品のない絵になってしまいそうなのだけれども、デュフィの絵の場合は、それらの赤や黄色や緑が爽快で生きがいいのだ。このような色の使い方も、デュフィが“色彩の魔術師”と言われる所以の一つなのかもしれない。ほかの画家にはあまり見られない色づかいなのではないかと思う。

『パリの風景』は、どこか高い位置から眺めたパリの遠景が描かれている。左側にエッフェル塔がそびえ立ち、その右側に広がる小高い丘には家の屋根が小さくびっしりと書き込まれている。それらの手前、キャンバスの下のほうには、近景としてバラなどの花が、横1、2列に並んでキャンバスの幅いっぱいに描かれている。この絵でわたしの目を引いたのは、キャンバスの上部5分の1ほどのところに描かれた雲の形だ。よく子供の絵に見られる、くし刺しにされたダンゴ3つのような形をした白い雲が、10個ぐらい浮かんでいる。ふつう画家はこういう形の雲は描かないよなあと思うけれども、デュフィが描くこの絵には、空のかなたからもこもこと次々に現われてくるかのように描かれた、くし刺しだんごの形をした雲がよく似合う。ぷかぷかと楽しそうに浮かんでいる雲だ。

『オーケストラ』は、そのタイトルのとおり、客席から観た演奏中のオーケストラを描いたものなのだけれど、楽器の配置が奇妙だ。コントラバスが、舞台に向かって左側に並んでいる。指揮者をとり囲むようにチェロが5台並んでいる。コントラバスとチェロでキャンバスの3分の1近くを占めていて、オーケストラを描いた絵にしては多くのスペースを割いている。なぜオーケストラの配置がこのようになったのかはわからないけれども、デュフィはコントラバスやヴァイオリンなどの弦楽器の形が好きだっだのかもしれない。『赤いヴァイオリン』はもとより、『黄色いコンソール』も、絵の中央部のコンソールの上にヴァイオリンが描かれている。

以上5点の絵が、鎌倉大谷記念美術館から出展されたデュフィの絵である。デュフィの絵のもう1点は、ニューオータニ美術館所蔵の『メナラ宮の内部』。全体的に淡い色調で室内が明るく描かれている。天井に近い位置にある半円形のスペースにイスラムっぽいモザイク模様が描かれている。

初めて私が観たデュフィの絵は、ブリヂストン美術館所蔵の『ポワレの服を着たモデルたち,1923年の競馬場』だ。軽やかな筆づかいで描かれた緑色の背景とモデルが身につけているドレスに、透き通った着色ガラスで作られたもののような色彩感覚が感じられ、とても新鮮で、好きな絵の1枚になった。ほかに鎌倉大谷記念美術館所蔵の『三人の騎手』も、暗緑色の背景の中に、デュフィ独特の描き方で、赤や黄色や白や黒の輪郭線によって3頭の馬が生き生きと描かれていて、好きな絵だ。

今回の ニューオータニ美術館の展覧会で新しく私のお気に入り加わった絵は、ベルナール・ビュフェの『花束』。特に西洋の絵の場合、わたしはどうも色彩から好き嫌いがまず決まる傾向があるようだ。この絵も、鮮やかなオレンジ、赤、黄色、緑、黒の色彩と、その配置の仕方、バランスのよさがまず目にとまる。描かれたものの形がシャープなところもよい。油絵具を厚塗りして描かれた絵の質感も好きだ。

ビュフェは1999年10月4日に、フランス南部トゥルトゥールの自宅で自殺。アトリエに通じる廊下で袋をかぶって倒れていたらしい。パーキンソン病で悩み、生きる気力をなくしていたという。享年71歳。1999年といえば私が絵を見始めてから間もないころで、ビュフェという画家はまだ知らなかった。ビュフェは、日本のことを「永遠の第二の祖国だ」と語っていたらしい。1976年、札幌ニューオータニの開館の際に、その地にふさわしい絵としてビュフェに依頼したという2羽の丹頂鶴が描かれた大きな絵が、今回の展覧会に出展されていた。日本にも度々訪れ、歌舞伎を題材にした作品もあるらしい。日本とのつながりも結構あった画家なのかもしれないと思う。
静岡県にビュフェ美術館がある。


home