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みたもん

2001/06


06/10 Sun
『歓喜の画家 ラウル・デュフィ』
NHK教育テレビ 新日曜美術館

ゲストは、明治学院大学教授の高橋秀郎氏と、作家の新井満氏。スタジオに、デュフィの『モーツァルトへのオマージュ(青いモーツァルト)』が置かれている。デュフィの絵をそばにして、デュフィとモーツァルトの研究者である高橋氏も、自称「日本一のデュフィファン」である新井氏も、さぞかし嬉しいだろうなあと思う。羨まし。それに加えて、デュフィについて話すことが嬉しくてしようがないといった感じのお2方である。

いま全国を巡回中の『デュフィ展』に出展されている絵や、鎌倉大谷記念美術館所蔵のデュフィの絵などを映しながら、その変遷をたどるところから番組は始まる。デュフィの絵の特徴(秘密?)について語られた言葉をめも。

ある日、デュフィの目の前を、赤い服を着た少女が駆け抜けた。少女の姿が消えた後、デュフィの網膜には赤い色の像だけが残り、少女の形自体は消えてしまった。この思いがけない体験によって、デュフィは、色彩と輪郭は一体ではなく分離しているという事実を発見した。
(デュフィ研究第一人者で美術史家のドラ・ペレス・ティビさんの言葉)

デュフィの絵は、人物やものの一連の動きを、はみ出した色彩によって網膜の印象として再生している。デュフィは、単なる固定された平面ではなく、揺れ動く対象のリアリティを表現しようとした。ごく小さな動き、例えば暑さによる大気の振動や音楽的な音の振動から、もっと大きな振動も含めて、動きのあるものすべてを絵画で表現しようと模索していた。
(新進気鋭のデュフィ研究家でポンピドゥセンター学芸員のディディエ・シュルマンさんの言葉)

今回、フランスでの取材があったことも嬉しい。『電気の精』(パリ市立近代美術館所蔵)の映像は、高さ10m、幅60mという壁画のスケールの大きさや色彩の豊かさを、印刷物で見るよりも明確に伝える。モンマルトルのゲルマ小路のアトリエの映像は、テレビに接近して目を凝らしながら見たデュフィファンもいるとか……。そこには、デュフィが触れたのであろう品々が今も置かれている。デュフィが描いた、まさにその風景も映し出される。

デュフィが生きた時代は決して明るいことばかりではなかった。画家としても十分な環境があったわけではない。戦争も体験したし、晩年はリウマチに苦しんだという。それでも、つねに軽やかな動きを、生きることの喜びを描いたデュフィ。そういうデュフィの魅力が、45分という限られた時間の中で、デュフィを愛する人々によって余すことなく語られた番組だったと思う。晩年、デュフィは、バッハ、モーツァルト、ドビュッシーなどの作曲家へのオマージュを数多く描いた。この番組は、「デュフィへのオマージュ」とも言えるかもしれない。

【関連ホームページ】
ESPACE Raoul Dufy……この番組制作にあたって取材協力もしているデュフィファン、A.Wadaさんのページ。

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