index
みたもん

2001/12


12/07 Fri
 『真贋のはざま−−デュシャンから遺伝子まで』
東京大学総合研究博物館 2001/10/20−12/09

さまざまな性質を持つ「複製品(コピー作品)」を展示する展覧会。見ごたえがあった。何点か興味深かったものをあげてみると…

「中国湖北省に出土した戦国時代楚の竹簡」と称され、複数のルートで日本に大量に持ち込まれたものが、調べてみたら「焼き鳥の竹串」と同年代のものであることがわかったという、その竹簡。
藤田吉香による、プラド美術館蔵のフラ・アンジェリコやヒエロニムス・ボッスの絵の模写(テンペラ画)。この模写は原寸大だけれども、美術館では普通、模写作品が「贋作」として流れることのないように、原寸大の模写は禁じているということを知る。
富岡鉄齋の、「あい剥ぎ」という技法による、2枚の『観音大士像』(1920年、大正9年)。「あい剥ぎ」というのは、1枚の紙を薄く2枚以上に剥ぐ技術のことで、普通は表装のときなどに使われるけれども、極めて特殊な複製技術にもなるらしい。「1つの作品から複数の“真作”を捏造することができる」という説明書きがついていた。厚手の紙に、墨をたっぷり使って描かれた鉄齋の作品は、「あい剥ぎ」しやすかったという。

一番奥の部屋は、いかにも博物館らしいという感じの展示室だった。薄暗くて、何か独特の匂いがする。医学標本とか、石器や鉱物の標本などが陳列ケースの中に並ぶ。ちょっと眼を覆いたいけれど、でもやっぱり見てしまうというような医学標本もある。ガラス製の義眼模型があった。義眼自体が既に複製品(コピー)で、「義眼模型」というのはコピーのコピーだなと思う。1931年(昭和6年)制作。オーダーメイドの義眼制作法に成功した作品で、その後、戦傷などによって需要が増えたことに対応したのだという。「男茎形製品6点、来歴不明」というのも陳列ケースの中にあって、えっ?と思いながら、眺めてしまう。文学部の資料の中にあったという。民俗学的資料だろうか。石膏製、大理石製、べっ甲ふうのセルロイド製、陶製のものがあった。

ほかには、赤瀬川源平氏の「0円札」と「千円札」、デュシャンが描いた設計図のようなものを見ながら瀧口修造氏たちが東大で制作したという「大ガラス」、外国の雑誌の表紙をまねして作られた日本の美術雑誌、それから写本、版画、写真などが展示されていた。(もしかして昆虫擬態のコーナーとかあったのかにゃ。見忘れたかも…。そういえば“遺伝子”も見てない)

「コピー」と一口に言っても、学習するためのコピー(絵画、標本用レプリカ)や、代替品としてのコピー(ポートレート、義眼、標本用レプリカ)、広く普及させるためのコピー(写本、版画、印刷)、身を守るためのコピー(擬態)など、いろいろな性質のものがあることがわかって、面白かった。「学習するためのコピー」は、コピーする行為に価値があるという点でも、ほかと分けられると思う。

そうそう、「あい剥ぎ」の展示コーナーには、新聞紙や、レシート、半紙、ノートなどの断片を「あい剥ぎ」したサンプルがあった。家に帰ってからレシートのあい剥ぎに挑戦してみた。うー、どうやればこの紙を2枚に剥ぐことができるのじゃ、という感じだった。素人にできるワザではない。

← 2001/09


home