TEXT BY 特命課桜井
ええ〜皆様、マジンガー以来の御無沙汰でございます。何せ、前回のマイナーロボット大戦の原稿を落としたら、まるで飛鳥五郎を殺されたあのお方のように「原稿を落としたのはキ・サ・マだなぁーっ!!」と地獄の果てまで追ってくる物ですから、心を入れ替え右手をワープロアームに付け替え心機一転書かせて頂きます。(でも溶かされたのは左腕)
今回は「等身大特撮ヒーロー」という事で何を書こうかと迷ったのですが、もう時間も無いので「マイヒーロー」を思いつくまま初心者向けに紹介、と言う事で、リレー方式で行って見ましょう。
で、等身大ヒーローと言えばやはり・・・
「一人でも 一人でも 守る 守る 俺は・・・」「仮面ライダー」(72.4〜73.2 全98話)
を外して語ることは出来ません。ライダーの前にも東映のヒーロー番組は「キャプテンウルトラ」や「ナショナルキッド」果ては「風小僧」まで遡る事が出来るのですが、三十年の時を経て復活した「クウガ」は言うに及ばず、今まで連綿と続く子供番組、ヒーロー番組の基礎部分となった事には誰も異論を唱えますまい。ライダーを名乗るヒーロー計15人(更に3人?)、TVシリーズ11作、劇場映画10本、Vシネマ1本、イベント用映画2本、TVスペシャル3本、といった数は、何時の時代にも強い正義のヒーローが求められる事の証に違い有りますまい。さて、ライダーについては本来それで一冊の本を作るべき内容(じゃないですか?むらかみさん)なので風呂敷を広げすぎる訳には行かないのだが、あえて一つに絞ろう「アクション」。
平山亨氏プロデュースによる1号〜ZXのアクションは大野剣友会、BLACK以降はJACによって演じられている。それぞれ一長一短あると思うのだが、私が始めてBLACKを見て一番がっかりしたのが、「アクションかっこよすぎ」な事であった。そこまで意図してやっていた訳では無いだろうし、単なるカラーだと言ってしまえばそれまでなのだが、一号二号のあの「腕をハンマーの如くぶんぶん振り回す」殴り。実際の実戦においては隙だらけであろうパンチの一撃一撃に、燃える怒りを感じないだろうか?JACのアクションと言うのは良くも悪くも華麗すぎて、戦隊には最適なのだがライダー向けではないような気がする。最も最新作クウガやアギトでは、どちらかといえば大野剣友会よりのアクションになっているが、作品テーマを考えるなら正しい選択であろう。で、そのJACが初めてアクションを担当した作品が・・・
「正義と悪との青と赤」「人造人間キカイダー」(72.7〜73.5 全39話)
ライダー(毎日放送)のヒットによって巷には変身ヒーローが溢れる事となり、当の東映も「超人バロム1」(日本テレビ)「変身忍者嵐」(毎日放送)とを立て続けに放つ。続いて登場するのがキカイダーである。当時、土曜8時といえばザ・ドリフターズの「八時だよ!全員集合」が絶対的な人気を誇っていたのだが、それに挑むべくNET(TV朝日)は永井豪原作のアニメ「デビルマン」との2本立てというラインナップを打ち出した。東京地区では7時半からのライダーと立て続きの放送になる事もあり、スタッフのテーマは「ライダーとの差別化」であった。ロボットのメカニカル性、テロ組織でなく死の商人である敵、ギルの笛と言うアキレス腱、連続ストーリー、軽快なウェスタン音楽のライダー(菊池俊輔)に対して重厚で大人びたブラスロックの渡辺宙明、アイキャッチイラストの排除(吉川進PDはジャッカー1話、スピルバン、ライダーBLACK、RX等でもアイキャッチを使っていない)そして、大野剣友会に
対してJACのアクション等など。
差別化と言っても途中まではジャスピオンとスピルバン程度の違いしか無かったのだが、長坂秀佳がメインライターとなるに至り俄然面白さが増していく。そして遂に伝説的な敵役ハカイダーの登場を見る。変身前と変身後にそれぞれテーマソングがある悪役なぞこいつだけである。原作のハカイダーもなかなかニヒルだが、TVのハカイダーは無敵の戦闘力を持ちながらも戦士としてのプライドに拘り、血液交換というアキレス腱を持つ実に魅力的な存在として描かれている。そして、自分が倒すべき標的だったキカイダーが赤地雷ガマに倒されてしまった事で、自己の存在理由を見失ってしまい、遂には生みの親ギルにも牙をむく!結果としてハカイダーはキカイダーと同じく「ロボットである=命令に従うのみの存在」から逸脱していくのだ。今の現実社会、他人の命令で毒ガスを撒く事に何の疑問も持たない輩まで居る事を思うと、彼等の何と「人間らしい」事か。最もことハカイダーに関しては、次作「キカイダー01」で人間らしい余り「柄の悪いチンピラ」にまで落ちぶれる(苦笑)羽目になるのだが。そのハカイダーやビジンダー、ワルダー達の育ての親、日本じゃ二番目のシナリオライター長坂秀佳。「じゃあ日本一は?!」
「地獄が見えたあの日から 俺の体を吹く風は」「快傑ズバット」(77.2〜9 全32話)
「人呼んでさすらいのヒーロー」ってあぁた、人が呼ぶ前にヒーローを自称できるのは、後にも先にもこの方だけでしょう。
善良な市民を襲うサングラスの男たち、刃が振り下ろされるその時鳴り響く哀愁のギター!「なんだてめぇは?!」「お前等のようなドブネズミを退治して回っている男さ」一瞬で倒される男たち。「そこまでだ早川の」「これはこれは村上組の用心棒、DT橘さん、日本じゃあ二番目のバイク使い」「二番目だと!じゃあ日本一は?!」Chi
Chi Chi ♪Hyu〜!親指で自分を指差す。「面白い、勝負だ」殆ど曲芸技の域の用心棒、だがそれ以上の超絶技を見せる早川!「覚えていろ!」立ち去る用心棒。襲われた女性はその地域のヤクザ村上組にとって邪魔な存在だった。既に犠牲者も出ている。一方村上組組長村上竜一はダッカーの幹部首領Lに叱責を受けていた。「頭を使え!あの早川は女子供に弱い」人質をとられ成す術の無い早川、手下達のマシンガンの乱射に断崖から落ちていく。「早川さーん!!」「邪魔者は消えた、さぁこいつらを始末してしまえ」ゴォーッ「何だあの音は?」飛来するズバッカーから飛び降りる紅い影!「貴様、何者だ」「ハッハッハッハッ、ズバッと参上、ズバッと解決、人呼んでさすらいのヒーロー!快傑ズバーーット!!」「自らの欲望の為に罪の無い人を苦しめ、あまつさえ殺人を犯そうとする村上組組長、ゆるさんっ!」「先生、お願いします」立ち塞がるDT橘との間に熾烈な勝負、ズバットスーツにタイムリミットが迫る。だが一瞬の隙を突いて勝負が決まった!「ま、負けた」爆発する用心棒。逃げる村上を締め上げるズバット「二月二日、飛鳥五郎という男を殺したのは貴様かっ?!」「ち、ちがう〜」「キ・サ・マだなぁーっ!!」「本当だ、俺はその日池袋で同人誌を売っていた〜(>_<)」止めを刺すズバット。脳裏に蘇る親友飛鳥五郎の最期。「この街にもおまえを殺した奴はいなかったよ」パトカーのサイレンの音に立ち去る健。駆けつけた健の友人、警視庁の東条は白目を剥いて気絶している村上の上にあるカードを見つける。「この者、殺人犯人」助けられた女性が探しても健はもういない。夕日の中、彼はまた旅立つ。親友を殺した真犯人を追い詰めるまで・・・。
という、話が毎回毎回同じように繰り返されるという、ある意味水戸黄門よりワンパターン度は高いかもしれない「快傑ズバット」。もともとは小林旭主演の日活映画「渡り鳥シリーズ」のコンセプトなのだが、演じている宮内洋のテンションの本家を超えること半端じゃないのだ。心底、自分に自信が無いとあれは出来まい。また、長坂秀佳によるトンデモ用心棒のアイデアの面白さ、居合切りとか拳銃使いなんか良いほうで皿回しとかゴルファーとか果てはトランペッターである。で、それらを更に上回る早川の技!何本か見続けていくと「さぁ次はどんな奴だ」と楽しみになってしまう面白さ。
だがそんな伊達男も、人目に触れない所で還らぬ親友を思い夕日にギターを奏で涙する。親友の仇を撃つ、ただその一点の為だけに戦いつづける男。例え、どんなに強くても、悪を倒す事によって人々に感謝されようと、友は還って来ない。それが早川健の弱さであり、哀しさであり、だからこそ強いのだ。「世界の平和」でも「正義」の為でもなく只一つ、「復讐」の為にだけ戦うという、後にも先にも「ヒーロー」をここまで逸脱した作品が無いにも関わらず、尚かつ!決しておふざけではなく、しっかりとした視点の下に作られた真にヒーローの中の「ヒーロー」。CMでの風見史郎との夢の競演も嬉しいがそれだけでなく、もう一度彼の活躍を見てみたいと切に願う。
東映の誇る日本一のヒーロー役者宮内洋。そんな彼も年を取り円熟味を見せていく事となる。47歳となった彼が本部長として活躍したのが・・・。
「心を突き刺す必死の悲鳴 さあ行くぜおれたちの出番だ」「特警ウインスペクター」(90.2〜91.1 全49話)
「その手にその胸に 新しい夢が光るまでは」「特救指令ソルブレイン」(91.1〜92.1 全53話)
長きに渡って続いている東映ヒーローの世界。だが、何度となく存続の危機はあった。ライダーシリーズ(ストロンガー)の終了、ジャッカー電撃隊、スーパー1の終了、等の時は番組数も減少しかなり危なかったのだが、ゴレンジャー、スパイダーマン(とその発展型バトルフィーバーJ)、ギャバン、といった新機軸のヒーローが現れ危機を救っている。そしてある意味では、ウインスペクターもその一つに数えるべきかも知れない。
危機は唐突にやってきた。あの連続幼女誘拐殺害事件容疑者宮崎勤の逮捕。TVカメラが映し出したその部屋には、ビデオテープが溢れかえり、何本もの特撮作品のタイトルがあった。そして「そんな殺人鬼がコレクションするような」「有害な」作品を当時制作していた東映、TV朝日、毎日放送に抗議が殺到した。結果、三作目が決まっていた仮面ライダーは急遽取り止め(主役に決まっていた小林良平は翌年のファイブマンにスピンオフ)。高速戦隊ターボレンジャーも人目を避けるように土曜6時から金曜5時半へ移動、と踏んだり蹴ったり。ここに来て、ヒーロー番組は今までの勧善懲悪の名の元に行ってきた血みどろの歴史を見直す事態に陥る。なまじ放映中だった機動刑事ジバンが、刑事と言いつつ「法の名の元にマーダーライセンス(モンスターに対してのみだが)を持つヒーロー」という困ったちゃんだっただけに、その反動は大きかった。
災害から人々を助け、犯罪者を捕らえはするが殺さない。それが90年代のトップを切るヒーローWSPであった。私事で恐縮だが、当時私は友人と共にスポンサーのB社でアルバイトをしており、伝説のマニア社員Aさんの好意で放送前に1話を見せてもらうことが出来た。感想を求められた我々の答えは「面白いけど、これじゃおもちゃ売れませんよ。」であった。確かに今までのセオリーで行けば、敵を倒す訳でもない剣や銃なんて子供たち欲しくねーよ、である。番組自体も日曜の朝っぱらから30分版の特捜最前線(山田隆司、宮下隼一、三ツ村鉄治がスタッフとして参加)みたいで子供達がついてこれる訳・・・ついて来たのである!加えて玩具も大人気となったのだ。「良い物を作っても子供が支持してくれるとは限らない」かってメタルダーにおいて資本主義の無情さに涙した自分にとっては溜飲を下げる思いであった。内容は決して「ヒューマンヒーロー万歳」みたいな話ばかりではなく、「手錠を掛ける者」としての立場を問うような内容も有り、正に「ヒーロー版特捜最前線(オリジナルは87年3月放映終了)」であった。
個人的には扇沢信男氏の「この人、絶対特捜ファンだ」な傑作の数々に感動させられた。特に25話「雨に泣くロボット」(監督/三ツ村鐵治)は、タイムレンジャーのメインライター小林靖子氏をしてその道に進ませる程の衝撃を与えた傑作。泣けます。扇沢氏はその後もメタルヒーローに参加し、ロボコンまで数々の傑作を書き続けた。最近ではTV朝日系「はみ出し刑事情熱系」(千葉参謀平泉征、ピンクレーサー来栖あつこがレギュラー出演中!)にも参加し、相変わらずのノリで活躍してくれている。
好評のうちに終了したWSPの後を受けて始まったソルブレイン。ストーリーの水準は下がる事無く、社会派の佳作、問題作が頻出する。が、二年目のジンクスで玩具の方は苦戦し、結局中盤から前作のヒーロー香川竜馬が新スーツと共に再登場。いわゆる「ビッグワン現象」になってしまう。前作の最期に於いて「人の命のみでなく心も救う事が出来ないか」という命題の元に結成されたSRSであったが、その道は険しかった。中盤より登場したレギュラー犯罪者高岡隆一(演じるはシャドームーンこと寺杣昌紀!)はかって父を殺され、その復讐として世の全てを憎み科学犯罪で挑んでくる。
43話「二つの顔を持つ女」(脚本/杉村升、監督/小西道雄)では凶悪な強盗犯の女性に普通の優しい女性の記憶を植え付け、「果たして裁く事が出来るのか」と迫る。SRSに出来たのは自殺しようとする彼女を救う(それとて本当に思いとどまらせたのは彼を慕っていた少年である)事だけであり、結論は出ずに終わる。「人の心など救えはしない」そう言い続けた高岡は最終回でヒーローの目の前で毒を煽り息絶える。
メインライターの杉村升の描くヒーローは無力である。というか、ヒーローを結局否定しているとしか思えない。星雲仮面マシンマン28話「好き!好き!真紀」(監督/小笠原猛)ではニックに「マシンマンとしてで無く高瀬健として」真紀を助ける為に、変身せずに戦ってズタボロにさせているし、ジュウレンジャー、カクレンジャーの最終回でも敵首領を倒す事は無く「封印」が限界。ダイレンジャーに至っては「正義と悪は表裏一体でどちらかが滅ぶことは無い」と無常の域まで達しているし、極めつけの仮面ライダーBlackではゴルゴムを倒すものの信彦=シャドームーンを助ける事は適わず、挙句「お前は親友を殺したんだ。これから一生それを背負って生きていくんだ」とまで言われる始末。続編RXは設定上三年後の話だそうだが、あそこまで言われたら、そりゃ三年ぐらいかけなきゃなかなか傷は癒えんよ。(RXでのシャドームーン再登場は宮下隼一の脚本による。おそらく宮下氏は最期に改心させたかったのだろう)最近はヒーロー物にご無沙汰ではあるが、(PS2「鬼武者」では曽田博久、三ツ村鐵治氏と共に活躍!)杉村升氏についてはもっと研究されるべきであろうと思う。
その杉村氏ともう一本は上原正三が脚本を手がけ、雨宮慶太監督の拘りぶりで好評を得たものの最近はクウガの為にちょっと影が薄い映画の仮面ライダーといえば・・・。
「限りなく駆け抜ける心の彼方へ 今愛が止まらない」「仮面ライダーZO」(93.3公開)
「どうして皆んな勇気まで 手放してしまうのだろう 強く強くあんなにも握り締めた指を」「仮面ライダーJ」(94.3公開)
92年にVシネマとして再度復活した「真・仮面ライダー」(脚本/宮下隼一,小野寺丈、監督/辻理)売上的には成功であった物の、内容的には原作者自ら「手段と目的を取り違えた」(リアルな変身は手段か目的か?)お粗末な結果となってしまった。シンがヘルメットを被って「ライダー」となる続編も考えられていたらしいが、結局見送られ1号ライダーのリファイン案等色々出た結果完成作の内容となる。
その変遷過程は、「大人の鑑賞に堪えうるリアルさ」と「子供が楽しめる変身ヒーロー」との綱引きであった。元々は単独公開を前提にしていたのだが、「スーパーヒーローフェア」となる事で上映時間が短縮された事が幸いし、冗長さを排除したスピーディーな展開による疾走感を楽しむことが出来る。また、佐々木功、犬塚弘、といったキャスティングの妙も見事で、何より主役を演じた土門廣の迫力と優しさを兼ね備えた魅力は藤岡弘を髣髴とさせるものがある。また、川村栄二の音楽も劇場用の迫力とテレビ用のスピード感、オルゴールに代表される「優しさ」をうまく併せ持ちすばらしい出来である。雨宮慶太による旧1号ライダーへのオマージュ、数々の仕掛けは言うに及ばず。「仮面ライダー」と言うものを全く知らない人に1本だけ見せるのならこれだと思うんだけど。因みに杉村氏はここでもZO=麻生勝に、宏を助ける事には成功する物の望月博士を助ける事は出来ず、しかも自分の兄弟とも言えるドラスを倒すという「英雄・失格」とも言える道を歩ませている。
翌年、ZOの成功に引き続き製作されたJは、RXと並んでとかくマニアからは「邪道」呼ばわりされる、ある意味可哀相な作品ではある。が、あの時点で劇場映画としての「売り」が「巨大化」以上のものが無かったというのも事実である。(翌年のハカイダーの失敗はそういう所を考えなかった結果であろう)何故、ライダーは巨大化してはいけないのか?なぜ剣を使ってはいけないのか?なぜタイプチェンジしてはいけないのか?(まぁ車には乗らない方が良いとは思うが(^^;)そういう考えを突き詰めていくと、「第一作以外は邪道」という一時期闊歩していた「ゴジラ第一作絶対崇拝主義者」のようなしょうも無い結論しか出てこなくなってしまう。毎年毎年「旧1号」でもあるまい。
それよりも、もっと素直に楽しむ事を考えてもばちは当たるまい。少なくとも、過去の東映にありがちな「ちゃちな巨大化」では無い。成層圏からぶちかますライダーキックの迫力を素直に楽しむのが正しい姿勢だと私は思っている。(これまた川村栄二の音楽が激燃えである!)もちろんそれ以外にも、例によって「少女の命を救う為」(だけ)に疾走する上原節効きまくりのストーリー、子役として有名になり始めた時期の野村佑香、四足着ぐるみの生物感をぎりぎりまで追求した対トカゲ男アギト(そういう名前でしたね(^^;)戦、クレーンによるワイヤーワークの極致で見事に「飛んでいる」対蜂女ズー戦等、楽しめるので未見の方にはオススメしたい。また、上原正三による小説は宇宙刑事シリーズを代表とする氏のテイストがふんだんに盛り込まれた「上原ヒーロー集大成」とでもいえる傑作なので、是非読んで頂きたい。
今にして、惜しむらくはZO、Jのダブルライダーの活躍がイベント用3D映画「仮面ライダーワールド」(94年制作、各地イベント等にて上映)のみにて終わってしまったことである。科学者麻生勝、カメラマン瀬川耕司の二人なら正に平成の一号二号といった趣だっただけに残念でならない
で、「伝説を塗り替えちゃった」最新の(といってもアギトが始まりましたが)ライダーといえば・・・
「完全独走!オレが決めてやる!超変身!」「仮面ライダークウガ」(00.1〜01.1)
その魅力については、何よりもその眼で「見て」頂くに限る。幸いレンタルも始まっているしDVDも発売中なので初期話数を見損ねた人も安心だ。
ハイビジョン撮影、鳴り物入りで始まった前作ロボコンの終盤の不調、限られた予算、栄光の「仮面ライダー」の冠。それらの困難をいかにスタッフ諸氏が乗り越えていったかは、各雑誌に漏れ伝えられている部分だけでも充分感動的である。「暴力を否定する」という「ヒーロー番組」にとっては自分の首を絞めかねないテーマを描くために、カタルシスとの間のギリギリのラインを脚本、演出がいかに死守していったか?今一度、ビデオ、DVDで再確認して頂きたい。
今回、語りたいのは、宮内洋氏言うところの「ヒーロー番組は教育番組である」と言うこと。それは決してあぁだこうだと説教垂れる事ではなく、行動として、生き様として、見せていくべきことであろう。どんなヒーローでもその時代時代においてそれなりの支持は受けるものだ。だが、クウガのそれは別格である。「宇宙船」のインタビューだったか、オダギリジョー氏に来た母親の手紙で「何一つ自分からやろうとしなかった子供が、クウガを見てから積極的に自分から動くようになった」とあった。この感覚は御覧になっている方なら解って頂けると思う。
雄介は実に自然体で気張っていない。「奇麗事ばっかりや!」と嘆く奈々ちゃんの方が我々の感覚としては近いだろう。けれど雄介は「だって本当は、奇麗事が一番良いじゃない」と返すのだ。なんと言うことだ。今まで数々の「リアルな」アニメや「大人向け」のドラマで無数に繰り返されてきた「そんなの奇麗事だ」という言葉をたった一言でひっくり返してしまった。今まで無数のそういった「作品」が「奇麗事じゃ世の中は云々」とか言って、子供も大人もそれにうなづいて甘やかされてきたのだ!
フィクションが現実を超える瞬間、というのが必ずあるはずである。生きて行く勇気の足りない私なぞは、アニメや特撮からそれを貰って生きてきた。(勿論、それだけではないが)未だに良い年をしてではあるが。然るにアニメはガンダム以降、「現実はそんなに都合良くないんだ」という解り切った事を繰り返し繰り返し訴えかけ、遂には「自分の殻に閉じこもっても良いんだ」という(作者は逆の事を言いたかったようだが、やってる事はその通りだ)根性無しのおたく甘やかしアニメまで出るに至った。「玩具が絡むと良い物は出来ない」だって?挙句、出来上がったのはアニメと言う「商品」か。そんなアニメならもう要らない。特撮ヒーロー達の生き様が有れば、充分だ。
年輩のファンには俄には信じがたい話だろうが、中学生や高校生といった特撮等「卒業」した世代からの支持も多いようなのである。単なる二世代ヒーロー「仮面ライダー」としてでは無く「仮面ライダークウガ」として完結したと言っても良いのではないか?!ウルトラマンティガ、ダイナ、ガイアが(ガイアは内容がリンクしてないにも関わらず)「ティガ三部作」と呼ばれるように「クウガシリーズ」と後に呼ばれるようなムーブメントとなるべく、現在放映中の「仮面ライダーアギト」にも期待したい。蛇足ではあるが「アギト」の次回作には小林靖子女史の「ライダー」を熱望!
かって、我々の前にその「生き様」を見せ消えていった「自然体の」(ぼけと紙一重と言う説も有るが(^^;)ヒーローがいた。それは・・・。
「君の青春は輝いているか 本当の自分を隠してはいないか」「超人機メタルダー」(87.3〜88.1 全39話)
最初に主題歌を聞いた時は驚いた。テーマを真っ向勝負の剛速球で語っているではないか。
敵は日本の経済を牛耳るコンツェルンの顔の裏に巨大な帝国を持ち、暗躍している。生まれたばかりのロボットヒーローは、創造主の死をも理解できずに敵に立ち向かわなければならない。そして敗北。谷底から這い上がってきた彼は問う。
「風よ、雲よ、太陽よ、心有らば教えてくれ。何故この世に生まれたのだ?!」
そして、彼は出逢う。人と。仲間と。敵と。そして友と。彼は戦った。雲霞の如く押し寄せるネロスの軍団員!彼は守った。友を。新しい命を。幼い命を。幾多の命を。そして彼は人間としての姿を捨て去っていった。だが、最期に彼は言った。「生まれてきて良かった」と・・・。
メタルダーという作品の歩んだ道。それはまさに「茨の道」であった。5作目にしてマンネリを脱しきれず打ち止めとなった「コンバットスーツシリーズ」の後を受けて生まれたメタルダー。巨大な敵にたったひとりで立ち向かう。また、敵も己の真実と誇りに賭けて(真反対に「卑怯未練恥知らず」の方々も一部居ましたが(^^;)戦いを挑んでくる。そんな志の高い生き様は時あたかもバブルの真っ只中にあって、子供たちには受け入れられなかったのだろうか?確かにストーリーのテンション、ネロス帝国のスケールの大きさ(それを説得付ける横山菁児、新日フィルの大迫力のシンフォニー)に比して、特撮的な見せ場が少ない、アクションも派手な必殺技が無い等エンターテイメント的には、やや魅力に欠ける部分があったのも否定は出来ない。浪費が美徳の時代、海岸で日本刀を振り回すような精神派ロボットは生まれる時代を間違えたのだろうか?いや、そうではあるまい。後にジャンパーソンは最終回において「人間とロボットの垣根を遂に越えた」では無かったか。最終回、あの時メタルダーの果たせなかった夢、それが6年の後果たされたのだと自分は勝手に思っているのだ。
高久進による真正面剛速球のメインストーリー、不幸な女を書かせたら右に出る者無しの藤井邦夫によるウィズダム三部作他の女性ゲストシリーズ。一発勝負、読み切り感覚の山崎春哉、上原正三、中原朗、デビュー作にして完全仮面劇のビッグウェイン編、扇沢信男とストーリー的には本当に見所満載のシリーズであった。それこそ、「大人の鑑賞」には十二分に堪えうるストーリーの数々である。ただ、今にして思えば打ち切りによって、当初予定されていた「ゴッドネロスの裏にいる真の黒幕」とその配下の3人の直属軍団員の登場が見送られてしまった事は残念でならない。もし、機会があるのなら高久進氏には是非、真相を伺ってみたい物だ。
で、打ち切りになったと思ったら今度は「後番のジライヤが間に合わないので、2話増やしてくれ」という事で、最終二部作は藤井邦夫氏が筆を揮い、戦闘ロボット軍団長バルスキーと女ロボットローテール、そしてメタルダーの愛と憎しみの戦い、そして剣流星としての死→舞、八荒との別れを持って地球を救うというクライマックスは、今でも当時のファンの間では語り草になっている。バブル真っ盛り、軽くて薄い「トレンディドラマ」が持て囃されていた時代に、こんなにも熱いヒーローと悪がいたのだ。「そんなのが本当の友情なのかよっ?!」ヒーロー番組を見ていてぼろ泣きさせられたのはこれが初めてです。(最近はティガとかけっこう(>_<)ありますが)LDBOXが発売されていましたが、ケーブル等で放映された折には絶対見て欲しい作品です。
あぁ、そろそろ時間切れだ(T_T)
駆け足だし、掘り下げが浅いし、で毎度満足の行かない内容で申し訳無い限りです。
特に宇宙刑事シリーズを取り上げられなかったのは痛いなぁ。大葉健二、渡洋史、森永奈緒美のアクション、上原正三の社会派脚本、小林義明、田中秀夫、小笠原猛、小西道雄、澤井信一郎、といった演出陣の冴え、渡辺宙明の激燃BGM、村上克司の未来派デザイン、etc・・・。見所の多いシリーズ故、こちらも機会があればお見逃し無く!