ダンヒル Bruyere FS HW 1919年

このやうな初期においてブルイエル・キュアリングの味が存在してゐたことをどう考へるべきか? いっぽうにおいて極上生味、かたや完成されたキュアリング味が同時期に売られてゐたことは、恐らくひとつの推論を可能にするであらう。すなはち初期ダンヒルにおいては複数の他社から最高級の材料を仕入れてゐた、という事実からすれば、このキュアリング味は「他社」にあってすでにキュアーされたボウルであらうかと言ふことだ。

そしてこのブルイエル・キュアリングをもたらした「他社」とはその味からしてBBB以外考へられないのである。ここに至って20世紀初期におけるBBBが大きくクローズアップされてくる。

珍しいオーバルの形状はFS,しかも Hand Worked を表すHWスタンプ付きの希少品。

吸口はオリフィック直後を思はせる厚めのもの。天地にも大きく開口する。たしかにこの全長10cmほどのかわいいサイズ(ノーズ・ウォーマー)からは手作りゆえの隙の無さのやうな魅力が発散される。小さひながら存在感のあるパイプである。以上でブルイエルの研究はいったん終了する。

パテント期以降、60年代いっぱいまでのブルイエルを買へば、あのキュアリングが確実に楽しめるであらう、といふ結論だ。生味を避けたいといふ個人的理由である。その点およそ55年以前のブルイエルはリスキーだと思ふ。繰り返すが極上生アルジェリアンは他のメーカーでも味わえる。そこからのプラス・アルファがダンヒルのダンヒルたる所以である、と考へると、ブルイエルはキュアリングがされてゐなければ自分にとっては価値が半減してしまふのだ。



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