タリアブ 20th Century  1940年代以前(?)

イタリアン・パイプの経験が乏しいことは遺憾である、と思っていた。フレンチのほうも一段落、ダンヒルもだいたい見えてきたところで、手薄な分野を少しずつ探索してみようと思う。

そもそも「イタリア高級パイプの始まりはカステロから」などという言説を最初から信用するようでは甘い。カルロ・スコッチはイタリア国内で修行しているのである。凡庸なメーカーで修行した者がいきなりハイグレードを作れる筈もない。

手元にイタリア語の豪華なパイプの本、”Le Piu Belle Pipe Italiane”(1987) がある。20世紀初頭以前の手のかかったパイプも何本か紹介されているのだ。

だが e-Bay Italy では戦前のパイプがほとんど出ない。とりあえず古そうなものを狙っているうち、出てきたのが Tagliabue である。1910年創業は古い。46年から Lorenzoブランドに変わり、現代に至る。アメリカの Wally Frank のOEMもしていたようだから少なくとも低グレードも作っていたのは確かである。

ただ、46年からは全てロレンツォ銘にシフトするかはわからない。したがって、この20th Century というパイプは年式不明だが、それほど低グレードではなかろう。ブライヤーをインレイしたマークも凝っているし、造りもまあまあである。ただしボウルはニス塗りされている。ある程度良いグレードでもニス塗りされていたのは戦前までのような気がするから、これも戦前まで遡るのかもしれない。

マウスピースがヴァルカナイトではなく、もっと硬いベークライトであるのも、その可能性を高める。もっともイタリアにおいてはヴァルカナイトは少数派であるから、それは年代特定の根拠にはならないかもしれない。ヴァルカナイトの変色を嫌う国民性が、現代のイタリアン・パイプの多くをしてアクリル製マウスピースを採用せしめ、それが前時代においてはベークライト採用の理由であった、と考えれば興味深い。

さて喫味はどうか? けっこう上等な木質であるが、アルジェリアンでも、カウフマンで頻発するイタリアン・ブライヤーの味でもない。ラタキアの味をほぼ全面的に消してしまうキャラクターは、リレハンメル、チャラタンなどに近いと言える。キュアリングの痕跡はない。それでも不思議に明るい味である。イタリアンパイプの乏しい経験から言っても、その明るさはこの国のパイプに通底するものであるように思う。

ステムの断面形状が面白い。 テーブルに座る Sitter を狙ったものだが、なにごともデザインせずにはいられないイタリアンの面目躍如であろう。



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