アルバートソン Russet  年式不明

パイプ世界一周の旅、ベルギー編。

Albertson は Hilson のブランドである。ヒルソンは1846年ベルギーに創立されるが1980年にオランダの Royal Dutch Pipe Factory に吸収され国籍も変わる。このパイプには MADE IN BELGIUM のスタンプがあるから80年以前であるが、喫味からして戦前まで遡るかもしれない。

このパイプを e-Bay で発見した時はなにやら多少の殺気を感じた。なにか非常に端正でしっかりと造られたパイプ、という印象を持ったのである。程度も極上のようであり、ベネルクスのパイプへの興味もあったから試しに落札したのだった。

届いてみると少しがっかりした。ブラストの表面に埋めが数箇所あり、経年変化のためか、かなり目立つのである。だが造りはやはりしっかりしている。煙道コンセントリシティーは満点、ボウル・コンセントリシティーも問題なし。マウスピースはマシンメイドだが、吸口は薄く精度も高い。テノンは段付きのイングリッシュ、そこに穿たれる穴もど真ん中だ。さすがにFNブローニング(オートバイや拳銃のメーカー)を擁した工業国の面目躍如である。

しかしシェイプは若干ま延びしている。量産パイプの雰囲気が拭えないのだ。

いっぽう吸い味はかなり上等であり、美味い。キュアリングはされておらず、上質な生木にブラストをかけた味である。はっきりいって70年代以降のダンヒル・シェルより吸えるのではないか? だが美味いパイプに囲まれている現在、これはそれほど特記すべきことではない。

白状すれば、最近は上等な生木にブラストというパイプがあまり好きになれない。Kaywoodie のThorn 、Vauen 、Barling 、Castello など非常に似通った味である。特に戦前の上質な木であるほど、ブラストによって味がボヤけるのがなんとなく気にいらないのである。

味にとらえどころが無くなる、というか Dunhill Shell やSasieni のオイルキュアリングのブラストのほうが味に芯が出るような感じで好ましいのだ。

さて面白いと思ったのが Albertson とか Hilson と言った名前である。どこか英国製を装ったネーミングではないか? デンマークのStanwellが英国風を狙ったのと同じである。

オランダにはビッグ・ベンなどというロンドンの象徴のような建物の名を冠したパイプもあった。ドイツやフランス、イタリーでは各国そのままの名前がほとんどだが、ベネルクスでは英国風でないと駄目らしい。この地域がパイプ生産の辺境であったのか、サンクロード同様、英国パイプメーカーの息がかかっていたのか……….?

オランダは磁器・陶器製のパイプが盛んのようであるから、ブライヤーパイプの生産では遅れを取ったのかもしれない、だがなにより英国製パイプの地位・人気が高かったことのあらわれであったろう、などと考えたりした。


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