ピーターソン Irish Free State  1920年代 (?)

e-Bay で古くて程度の良さそうなピーターソンが安く落とせそうな時にはあいかわらず入札してしまう。このパイプは出品者が IrishFree State を表記せず、年代が特定できない説明しか出していなかった。しかし似た様なピーターソンを持っているので銀巻きの刻印、全体の雰囲気などから、古いものに違いなかろうと思って落札した。

届いてみたら案の定古かった。薄汚れてはいたが、ご覧のように磨いたら綺麗になった。思いのほか安く落札出来たのは目利きのおかげ、と自画自賛したくなる。

喫味についてはこの年代のピーターソンの味、極上生味であるが、この点はもう繰り返さない。今回はダンヒルで言えば5号の大きさであり、通常大きなパイプを好まない私でもかなり気に入った。

燃焼室の深さは46mmもあるが、さいわいボウル内径は好みの19mmであったから、おそらくこれが大きめのサイズでも気にならない理由だろう。

パイプが大きくなればボウルの肉厚も増すのが自然、だがどうも肉厚ボウルはタバコの味にシャープ感がなくなり、鈍感な味になると思う。ボウル肉厚は5〜6mmくらいまでが私の好みの限界なのだ。この前手に入れたダンヒルの Shape P なども極厚のボウルで大味になっていけない。逆に薄いボウルは3mmほどでも気にならないのだが………。

個人的にピーターソンに愛着を感じる理由は自分でもよくわからない。若年の頃、このブランドにずいぶんお世話になったことが大きいのだろう。徹底した実用品以上のものではないところが逆に魅力になっており、気のおけない喫煙の相棒という感じだ。熱い時にも抜き差し出来るアーミーマウント、咥えやすいベントのシェイプと言ったところも、芸のない生味でもつい手がのびてしまうパイプになる理由だろう。

英国パイプにおいてはダンヒルを頂点にプレステージ性という価値基準がある。そこではメーカーやメーカー内のブランドに明確にヒエラルキーが存在する。仮にサシエニがダンヒルと同じくらい美味かったとしても、階級を飛び越えることは不可能なのだ。いっぽうアイルランドのパイプにはそんなややこしい位階は存在しない。パイプ喫煙という本来リラックスすべき行為において、これはむしろ好ましいことではないか? 今回大きめなピーターソンをゆったりと吸いながら、そんなことを思ったのである。



数年前、現代のピーターソンからパイプを始めた当校クラブ員に吸わせてみた。あまりの美味さにしばし絶句、そこで答えて曰く「今日初めて本当のピーターソンを吸ったわけだな。ダンヒルばかりがパイプじゃないよ………」


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