ダンヒル Bruyere  #708  1969年

またしても60年代後半のブルイエルである。68年は美味かったから69年はどうか? 薄氷を踏む思いで落札したのがこのパイプである。

なによりシェイプに惹かれた。フレンチパイプのような優雅なかたち、シェイプ708というのは数字から見ても新しいものに違いなかろう。内径18mmというスモールボアでありながら深さが41mmもあり、さらに肉薄のボウルとなれば個人的には完璧な形状と言える。

味も良い。60年前後の後半が薄味になり、旨みが消える傾向が若干なくもないが、しっかりと味に芯があるのはボウル形状にもよるのだろう。とにかく御機嫌なブルイエル味が最後まできっちりと楽しめる。

ボウルの肉厚約5mmというのは薄い部類だろうが、自分の宝物になっているパイプの多くがこれと同じか薄いものが多いことに気がついた。昨今の作家系パイプでは異様に肉厚の “Thick Bowl” が人気のようだが、私にはどうしても理解できない。そのうえ煙道内径を大きくするのも最近のトレンドのようだが、こうなってくると煙がぼんやりと茫洋になるばかりで、私の好み、煙がシャープで香りが立つパイプとは正反対になる。

昔紹介したイタリアのリナルドはこれを模したのではないか、と思うほどそっくりなのに気がついた。これより薄いあのボウルを見れば、イタリアには真の意味でクラシック・パイプを理解している作家もいることがわかる。「肉厚巨大ボウルなどはアメリカ向けに嫌々作っている」、というのはジェイムス・アプシャルのバリー・ジョーンズも言っていたことだ。

さてブルイエルの「安全な」年代はどのあたりまでか? という問題である。もちろん個体差があるから絶対確実なことは言えないのであるが、これを吸う限り69年まではOKのように思う。次は70年を買ってみることになるのか? おそらく魅力的なシェイプが出れば買ってしまうだろう。


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