WDC 1910年代(?)

 これもWDCの安物。 Milano と刻印されてゐるのはイタリアからの輸入モノだらう。
この時代イタリア移民はアイルランド移民同様アメリカでは差別されてゐた。
貧しい国だったのだ。おそらくイタリア製のパイプなど、今の中国製ほどにしか見られず、
3流品として売られてゐた筈だ。だが材質はコルシカ産であるやもしれず、吸ってみると
かなり美味いのである。

 またダンヒル同様アルミのインナーチューブも入ってゐたから、この頃はパテント侵害も
イタリアなどでは頻繁に行われてゐたのかもしれない。あるひはダンヒルがこれをパクって
勝手にパテンティーになったのかもしれない。

 さて初期WDCも安物でなく高級グレードがあれば吸ってみたい。だがシガレットが
普及する前、万人がパイプを吸ってゐた時代にそんな高級品はなかったのかもしれない。
あるとすればデコラティブなメアシャムであり、ブライヤーなどはメアシャムより低く見られて
ゐたのだらうか?

 ダンヒルが超絶高級パイプを作り始めるのは紙巻シガレット普及と関係があると思ふ。
タバコの味よりニコチン摂取を目的とするシガレット派と、嗜好品としてタバコ葉の旨みを
追求するために道具を洗練させる、現代に至るパイプ派の流れが出来た、と愚考する。

 だが皮肉なことに、その流れが出来るころには良質なブライアーはすでに払底し始めて
ゐたのである。